猫好き俳優 東正実の またたび☆

俳優 東正実の東南アジア旅

いざ!! ケルビン邸へ!

 

第38話

いざ!! ケルビン邸へ!

 

クーラーのよく効いている部屋で、僕は朝早く目が覚めた。

 

少し寒すぎるくらいだ。。

ここのクーラーはよく効くらしい。

 

昨日、夕陽スポットから帰ろうとすると、犬達は寝ぐらに帰ったのか、2、3匹になっていた。

なので、僕は無事宿に辿り着き、同部屋の女性達にも挨拶をして、早めの眠りに就いていた。

 

皆、まだ寝ている。今日は朝ごはんを この宿で食べようと、カフェに出た

サムはもう起きていてカウンターで作業をしている。お店の前の黄色いガレージの鉄扉も全て開いていて、ガラス張りなので、表通りもよく見える。

 

ここは宿泊者は60円程安く朝食が食べられる。

180円くらいのモーニングプレートを頼み、

一日一杯無料の飲み物は カプチーノを頼む。

 

今日は いよいよケルビン氏の家を訪ねる。

しっかりと腹ごしらえをしておかなければ。

 

僕は出る前にシャワーを浴び、髭を剃り。

チノパンに、サンダルではなく 久しぶりに靴を履き。

唯一持って行ったシャツを着て、コンタクトをつけ、余計なものは何も持たずに、昼前に宿を出た。

 

昨日の黄金マッチョの像を過ぎ、突き当たりを左折した。。

 

 いよいよである。。

 いよいよ何が待ち受けているか分からない

 ケルビン氏の家へ。

 

家の前に着く。

中華系のマレーシア人らしく漢字の看板が上に掛かっている。

 

まず深呼吸をし、ブザーを探す。

ブザーは存在しない。。呼び鈴もない。。

 

僕は覚悟を決めて、俳優ならではの 奥まで通る声を選択し、ガラスは入っていない 鉄格子の窓から呼びかける事にした。

(長年俳優をやっていると、自分の声がどこまで届いているかは 手応えで判るようになる)

 

「ケルビ〜〜ん ミスタ ケルビ〜〜ン!!

 ヘロ〜〜 ミスタァ〜!ケルビ〜〜ん!」

と奥まで通る声で呼ぶと

うるさいなぁ。。という顔をして、不信感の塊の、ひょろっとしたおじいさんが現れた。

 

  おおぉわ????!!!!

 

なんとっ!!

ケルビン氏 その人である!!

ひょろっとした、60歳くらいの、スレンダーな若々しい おじいさんである。

送ってもらった写真のその人だ!!

 

 良かった!!やった!元気そうだ!!

 

まさか一発で ケルビン氏本人にお会いできるとは思ってなかった僕は、嬉しさと興奮を抑えられなかった!!

 

 

「最悪、お会いできないこともある…」

と どこかで覚悟していたが、、

 

   無事を確認出来た!!

 

僕は不信感を拭うために、必死のカタコト英語で話した。

 あ、アー、I'm ミヤシタ's フレンド。

 マイネームイズ MASAMI AZUMA.

 ユア エアメールフレンズ Friend

 I'm messenger  フロム ジャパァーン。

 シーイズ ベリィ worry you.

 ビコーズ、her エアメール ドンと リターン.

 ユー ノット ライティング エアメール?

 

と窓越しに話していると、彼は「ウエイト」

と言ってから、玄関に付いている鉄の鎖の先の立派な南京錠を外し 玄関の中に入れてくれた。

 

しかし、、まさか自分が

 "I'm messenger "   と言うカッコいい英語 を 人生で喋る日が来るとは、日本にいる時は全く思っていなかった。

つくづく 旅も人生も面白い 笑

 

ケルビン氏にまず、友人の宮下さんに頼まれてきた事、彼女が 手紙が返って来なくて心配しているという事、なぜ手紙を返さなかったのかを聞いてみると

 

「そうなんだね。それはご苦労様。

 わたしは。。手紙返したよ。」

 

え? 手紙届いてないって。。

 

「出したんだよ。彼女はひょっとして

 住所が変わったんじゃないのかい?」

 

ええと。。変わってないはずですけど…たぶん

 

「何かの間違いだよ。私は間違いなく

 返事を書いたんだよ」

 

ええと。。じゃあ、何かがあって手紙が日本に、届いてない可能性がありますね。

 

「いや、だからわたしは返事を出したんだよ」

 

はい。なので、たまたま届かなかったのではと。。 本人に確認してまた伺っても良いですか?

(いや、話がへいこーせん!あと、

  ケルビンさん、めっちゃ元気やん)

 

ケルビンさんはとても当たりの柔らかいおじいさんだった。

 

僕は一旦ケルビンさんに別れを告げて、宿のWi-Fiで、宮下さんに連絡を取る事にした。

まずは無事を伝えなければならないし。

ひとまずその事を、ケルビンさんに伝える。

 

 一旦貴方が無事な事を伝えに宿に帰ります。

 今日は貴方が元気なことがとても嬉しいので

 一旦宿に帰ってまたすぐ来ても良いですか?

 

と聞くと、「ええ、待ってます。」

 

笑顔で言ってくれた。

 

動画を撮るので、

宮下さんにメッセージをお願いします

と伝えると、優しい笑顔でメッセージ動画に協力してくれた。

 

僕はその動画を大事に持ち帰り、早足で宿に戻った。

宿でWi-Fiに繋ぎ 宮下さんに動画を送り。

暫く待って ラインの返信があったところで、LINE電話をした。

 

 もしもし、東ですお久しぶりです。

 ケルビンさんですが、お元気でした!

 良かったね!あと、

 見てくれたと思いますが動画頂いたよー。

 

 ありがとうございます!

 本当にありがとう!

 動画もありがとう。感動しました!!

 

 で、住所は変わって無いよね?!

 

 全く変わって無いです。

 だから、東さんの言うように、今回だけ

 手違いで届かなかったんだと思います

 

 やっぱり。。

 それでね。ケルビンさんにも言ったのですが

 今日これからか、明日、時間ありますか?

 Wi-Fiのあるお店が結構あるから、

 そこでLINEを繋げてテレビ電話で

 せっかくだから

 ケルビンさんと話しませんか?

 

 えええ?!是非お願いしたいです!!

 今日はこれからと、明日は。。

 仕事があるので、18時からなら

 落ち着いて電話できます!!!

 

僕の提案に、宮下さんはすぐに乗ってきた。

 

僕は、もし明日ならマレーシアでは1時間早い17時だなと頭で時差を計算し、これからケルビンさんとまた会うので、その旨を伝えます。

 

と、一旦通話を切った。

 

 さて!忙しくなってきたぞ!!

 

僕は気合を入れて、再びケルビン邸へ訪れ、

例のよく通る迷惑な声で ケルビンさんを再び呼び出した。

宮下さんが、無事をとても喜んでいた事と、

メッセージ動画にとても感動していたと伝え

 今から出かけて宮下さんと話しませんか?

と言うと、意外な答えが返ってきた。

 

「今日は無理なんだ」

 

用事があるのですか?

 

「いや、これから仕事があるんだ。」

 

そうなんですか、、では明日の17時以降は空いてますか?

 

「明日はランチの約束があるから、その後だったら空いてるよ。色々ありがとう。では、明日彼女と話せるのを楽しみにしているよ」

 

ちなみに お仕事とは?

 

「カレー粉の会社をやっててね。

 僕と家族の個人経営だけど、

 やることがいっぱいあるんだ」

 

(えええ?! 社長さん!?)

 

意外だった。

失礼ながらもう御隠居されているものだと てっきり思っていたので、すぐ連れて行こうと思っていたが、 まさか社長業があるとは?!

 

人は見かけによらないというか、見かけで勝手に御隠居さんにしてはいけない事を学んだ 笑

 

 明日17時頃に迎えにきます。

 

と約束をして、僕はこの事を伝える為に急いで 再び宿に向かった。

 

続く

 

f:id:matatabihaiyuu:20210101130459j:image
f:id:matatabihaiyuu:20210101130505j:image

↑ レッドハウス


f:id:matatabihaiyuu:20210101130305j:image

↑東洋のヴェネチア マラッカ

 

f:id:matatabihaiyuu:20210103124303j:image
f:id:matatabihaiyuu:20210103124309j:image

↑ 細い路地達

 

 

次話

azumamasami.hatenablog.com

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

マラッカのレッドハウス前

 

第37話

マラッカのレッドハウス前

 

マラッカ セントラル バスターミナルの17番のバス乗り場から僕はバスに乗り込んだ

 

バスは地元の方たちが多かった。どうやら観光客は僕だけらしい。

観光客は 皆タクシーで移動するのだろう。

これまた地元の方らしい バスの運転手さんに、マラッカの中心に行くか聞いてみると、どうやら英語が喋れないらしく

 知らない 知らない。 と言う感じで

手を振って「話しかけるな」とジェスチャーをして来た。

 

困っていると、他の乗客が

「マラッカの市街地に行くよ。大丈夫。」

と教えてくれた。

 

最初は、

 そんなに嫌がって拒否しなくても。。

と、KLIAのバススタッフとのやりとりも思い出してカチンと来ていたが、、

 

よく考えてみたら、

もし日本で、外国人に "英語が話せる前提"で、話しかけられても、僕も確かに困る。

 

いつも英語でやりとりして来たが、

それを当たり前の様に思い始めていた自分を反省した。。

 自分は、このバスの運転手さんの生活圏に

 "お邪魔させて貰っている"

と言う大前提をもう一度心に刻んだ。

 

やがて どこで降りれば良いかドキドキしていると、隣の席の 地元の若い男性が「次だよ」と 教えてくれた。

なんか、乗客みんなが味方で、僕が目的地で降りられる様に 気を遣っていてくれた。。

 

それが凄い嬉しかった。

 

そして僕は憧れの地、マラッカの

「レッドハウス」の前に降り立ったのであった!!

といっても、今回は事前に あまり調べていなかったので

 赤い大きな建物の前の 広場に着いた。。

としか思わなかった 笑

 

レッドハウスの前は観光客がいっぱいで、

ギターを弾いて歌っている人もいる。

それに合わせてノリノリで踊り始める外人さんをみて

 御伽の国に来たのかしら?

と僕は少しびっくりした。

 

川を挟んで 上野駅にもある 有名な

 「HARD ROCK CAFE

がある。

 

レッドハウスの少し離れた所に、観光客を乗せる為のリキシャ?が待機している。

リキシャは、ピカチュウや キティちゃんなどのキャラクターで覆われている。プラスチック製のそれには、アナ雪まであった。。

わかりやすく言うと、観光客を乗せ 大音量のBGMをかけながら 電飾を光らせて爆走する「自転車」である。

勿論 任天堂や、サンリオ、特にディズニーには、一切使用許可は取っていないと思う。。

 

まずは 地図をダウンロードしておいた Googleマップ先生を開き、衛星情報で 現在地から宿の星マークへと移動する事にした。

 

橋を渡った川向こうに 宿はあるらしい。

 

橋を渡ると右手に「HARD ROCK CAFE

左手に「H&M」の建物があり、その先に長い商店街というべきお土産街に出る。

 "ジョンカー ストリート" というらしい。

僕の宿はその一本隣の路地にある。

 

ブッキング.comのレビューで、

「世界中の優しさを集めて 煮詰めて抽出すると彼になります」

と評価されている 宿の主人がいるドミトリーに、僕は宿を取っていた。

主人の名前は "サム" というらしい。

 

ジョンカーから、隣の通りに入ると、バックパッカー用の宿が乱立していた。

自転車で大八車を引っ張って、マレー半島を旅しているらしい ドレッドヘアーの旅人を見かける。

 色々な旅のスタイルがあるのだなぁ。

と感心しつつ宿を探す。

 

黄色い横開きの鉄のガレージが閉まっていて、一回通り過ぎてしまったが、戻って良く見ると、宿の名前を見つけた。

人一人分通れる扉が付いていて、そこの小さなドアから入るらしい。

 

入るとカフェになっていて、噂の主人が出迎えてくれた。

主人はメガネをかけた「進ぬ電波少年」の

"明友のチューヤン" にそっくりな 気の良さそうな柔らかな雰囲気の方だった。

 

壁には「自転車に乗った彼」を描いた絵が掛かっている。きっと宿泊者がプレゼントしたのだろう。

それを見ただけで、彼の人柄がなんとなく判った。

 

部屋は5人部屋で、六畳くらいの少し狭い部屋に 二段ベッドが2つ、1人用のベッドが一つ。

木のしっかりした作りのベッドが  "コの字型"  に配置されていて、カーテンもあるので狭さは感じない。快適である。一日一枚の洗濯済みのバスタオルと500mlの水が2本付いてくる。

一日一杯 カフェのドリンクも無料だそうだ。

一階のカフェから、奥に行くと直ぐに部屋なので、ゆったりしたければ、カフェで過ごせば良い。

 

部屋を案内してくれた後に、サムが少し申し訳なさそうな顔で話しかけてきた。

「マサミ 今日はね。あのね。君以外は

 4人全員女性なんだ。。大丈夫かい?」

男女共同ドミトリーだとは知っていたが

僕以外が全員女性だとは思わなかった。

 

ちょっとビックリしたが、逆にいうと、

女性が多く泊まるということはそれだけ、清潔で宿の評判が良いという事である。

 

「大丈夫。僕は誰とでも仲良くやれるから」

と言うと、サムは最高の笑顔で笑っていた。

 

荷物を置いて一息ついた僕は、ひとまず散歩に出る事にした。

散歩ついでに尋ね人の "ケルビン氏の家" を確認しておきたかった。

明日 気持ちを整えて、きちんとした格好で尋ねるとして、場所をまず確認したかった。

 

宮下さんに送ってもらった 玄関先の彼とのツーショット写真と、手紙を送っていた住所を元に、ジョンカーストリートを奥に歩いていく。

 

お土産屋さんは おもちゃ屋、アンティーク、サンダルの店、カフェバーなど色々ある。

結構長いストリートである。

 

関帝廟を左手に見ながら さらに歩くと、

右側に巨大な黄金の マッチョの上半身の銅像が現れた。。

僕はこれを、黄金バットならぬ

「黄金マッチョ」と呼ぶ事にし、道の目印にする事にした。

 

やがて突き当たりを 左に行くと、ケルビン氏の家の付近に出た。

 

Googleマップ先生の星印に向けて歩き

送ってくれた玄関の写真と見比べる。

 

 あった!! ケルビン氏の家だ。

 

生まれて初めて行く土地で 会ったこともない人の家を探すと言うのも 中々出来ない経験である。

 

ドキドキしながら、鉄格子の窓から 家の中を少し覗いてみたが、人の気配はない。。

長細い、だいぶ 奥まで長いお家である。

 よし、明日くるぞ!

と勢いこみ、そのまま、ネットで調べておいた 夕陽の名所と言われるスポットに向かった。

 

ケルビン邸の裏手から海側へ向かったが、、何か雰囲気が良くない。。

住宅地なのだが、野良犬も多く、僕の危険センサーが作動し始めた。

治安があまり良くなさそうな雰囲気を感じたのだ。

気を張りながら、さらに海側へだいぶ歩き、海への一本道に出ると 急に野良犬が増えた。。

 

自転車をレンタルして来なかった事を後悔しながら、、最大限の警戒をしながら進んでいく。

 

何とか10匹以上をやり過ごして、やっと海に出た。  怖かった。。

帰りは日が沈む前に通らないと 本当に危ないな。。

と思いながら海に出た。

 

この野良犬ストリートは、2人乗りの自転車で僕を追い越して行ったカップル以外、誰も通らなかったのだが、海岸には結構人が居た。

屋台も一軒出ている。

屋台で缶コーヒーを買って海から眺めたが、沈みかけなのと、半島というか、埋立工事のせいで、夕陽が良く見えない。。

 

僕はコーヒーを飲み、夕日の色に煌めく海をしばらく眺めて、まだ夕闇が残る内に

野良犬達をやり過ごす為に 暗くなりつつある道を急いで戻る事にした。

 

 無事宿まで辿り着けますように。。

と祈りながら 僕は来た道を慎重に戻り始めた。

 

続く

 

f:id:matatabihaiyuu:20201231003404p:image
f:id:matatabihaiyuu:20201231003323p:image

↑レッドハウス前

f:id:matatabihaiyuu:20201231003331p:image

↑レッドハウス前広場と

川をはさんだ「HARD ROCK CAFE

 

f:id:matatabihaiyuu:20201231004340j:image
f:id:matatabihaiyuu:20201231004400j:image

↑ 待機するリキシャ達 笑

 

f:id:matatabihaiyuu:20201231004640j:image

↑ 宿にあった主人のサムの似顔絵

 (実物は眼鏡あり)

 

 

次話

azumamasami.hatenablog.com

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

魔王のバス

 

第36話

魔王のバス

 

遠くで ピコーん♪ ピコーん♪ピコーん♪

と何かがリズミカルに聴こえる。。

 

何かを忘れている気がする。。

だけど心地よい。。

もういいのでは無いか。。

何も考えず……。

この心地よさに身を全て任せれば。。

 

 。。。?!

 ?!?!?!?!

 

ばっと、僕は起きた!!

 

 やべぇ!! 寝ちまった!!!

 

たぶんやってしまった。。と思いながら時計を見る!!

 

すると…

 

まだ30分くらいしか経ってなかった。。

まだバスには間に合う!!

 

 よ、良かった〜〜。。

 

どうやら、有料マッサージチェア

「お金を入れて下さい!」という 警報音 が 目覚まし時計がわりに 僕を起こしてくれた様だ。

(お金をたくさん入れなくて良かった…)

僕は心底 倹約家の自分を 褒めた!!

 

急いでバスセンターに戻ると、僕の番号のバス停には、すでに数人が並んでいた。

(間に合って良かった!)

と僕は、出発時間まで並んでいた。

 

…だが、バスは一向に来ない。。

頬に刀疵のような傷のある、よく日焼けした、豆タンクの様な正方形の体型のガッチリむっちりのスタッフに聞くと「バスが遅れている」との事。

「いつくるのか? 」と聞いても ヘラヘラ笑って、

 しらんね。そのうち来るべよ?

と、馬鹿にした 薄ら笑いを浮かべている。。

「到着の場所は間違いなくここなのか?」と聞くと

 チケットに書いてある通りに来るべさ?

とにべもない。

(こいつに聞いても無駄だ)と気づいた僕は

クーラーの効いている食堂で バス乗り場が見える席を探して、そこに座って待つ事にした。

 

その前に窓口に行き、どれくらい遅れているのか、僕のバスは番号通りのレーンに来るのか、確かめてからであった。

これまた 感じの悪い窓口のスタッフが言うには、まだバスは前の停車駅にいるらしく、結構遅れているらしい。

(まぁ、教えてくれるだけましたが…)

と思い待っていると、僕のバスの来るレーンには10分おき位にバスが来る。。

その度にバスの内容を確かめに行かねばならなかった。

 

ラクダに乗ってそうな 細身のエジプト人の様な 全身白の服を着た男性が、

身振り手振りで先程の 豆タンクスタッフに バスがどうなっているのか「教えて欲しい!」と もはや懇願しているのに、

犬でも追い払うかの様に「向こうで待ってろ!」 と追い払われて 彼は泣きそうになっていた。。

可哀想になり、彼に声をかけた。

チケットを確認し、降りる場所はちがったが、乗るバスは同じだったので

「そのバスはまだ来ていないよ」

と教えてあげた。

 

薄々感じていた事だが、クアラルンプールの車の交通関係者は、ヤバめの人が多い。

後で聞いた話だが タクシーも世界のワースト1の称号を冠した事があるらしい。

言い方は悪いが、あまり まともな人間がやる職業では無いのでは… と思えてしまった。

 

その後も 何本かバスを確認するハメになり、結局 1時間ほど遅れて、僕のバスは到着した。

やっとこさ来たバスに 僕は乗り込んだ。

 

スタッフはもう信用していなかった僕は

同じバスに乗る乗客にまでチケットを見せて、

同じ行先のバスに乗っているかまで確かめた。

幸い同乗者も 同じ緑のバスチケットを持ち 出発時間 行き先も一緒だった。

先程のエジプト人? の男性もちゃんと乗っていた。

 

指定席なので席を探すと、僕の席は ドアのすぐ後ろの一番前の席だった。

通路を挟んで右前には運転席がある。

前の景色はよく見えるし、隣に人もいない様である。

他の席より足は伸ばせないが、それでも十分スペースはある。

 「いいバスに乗れたな」

僕はそう思っていた

 

そう…  バスが出発するまでは。。

 

まさかここでもマレーシア特有の 、

魔界シリーズ が始まろうとは夢にも思わなかった

 

バスの運転手は風貌からして迫力があった。

立派な口髭を蓄えた、ガッチリとした体格の男だった。

あまり良くない表現かも知れないが、その風貌は何故か、イラクの元大統領 サダム・フセインを彷彿とさせた。

 

運転席に着くと、彼はまず「マレーシアの演歌」とでも言う様な曲を "大音量" で流し始めた。

よくみると、運転席の隣には何故か カラオケセットがあった。そこのスピーカーから流れてくるらしい。

BGMサービスのつもりなのだろうか?

だとしても 音量がおかしい。。

 

そして、ハイウェイに入ると、今度はヘッドセットを装着し、大音量の歌に負けじと、とんでもない大声で電話をし始めた。

たぶんドライバー仲間と話しているのだろう。

ものすごい ご機嫌である。

 

声はかなりの重低音ボイス… と言うか獣低音とでも言うべき "響きまくる低音の声 " で、声量、音量ともに、最強レベルだ。

数々の俳優、声優を見てきた僕が そう思うのだから間違いない。

きっと、オペラ歌手か 声優になったら、

 "かなり 仕事に恵まれるに違いない"

と思いながらも、、すぐ左後ろで その声をずっと聞かされると眠れない。。

というか、そのうち 頭痛までしてきた。

 

しかも、ご機嫌の為、

 ぐわぁっっハハハハハハ!!!

 がぁあっははははは!!!

 

 バァだビーダー!ビー!!

 ドゥワハハハハハハハ!!!!!

 

 ぐわっははははははは!!!!

 バゥダ! バーダビー。

 ぐぅあっっはははははははっ!!!!

 

まるで 本宮ヒロシ原作の 漫画のキャラクターみたいだった。

 

そして 彼のエネルギー量は凄まじく

まったく疲れを見せない!!

 

マラッカに着くまでの4時間以上

電波が途切れて 掛け直してる時間を除くと、 ずっとこの音量 迫力の会話だった。

勿論 マレーシア演歌も大音量である。

参った。。

 

僕は耳栓を探したが、、出発前に預けた、バス下の荷物入れにある バッグパックの中だ。。

まさか、、宿以外で耳栓が必要になるとは思っていなかった。。そんな甘い考えの自分を呪った。

マレーシアのバスとか 電話ってみんなこんな感じなのか?と思っていると、途中で、僕の後ろのマレーシア人も、携帯で電話し始めたが、普通の音量だった。

 普通に、話すんじゃん!?

と逆にこっちにツッコンでしまった。

勿論彼は 大音量が入らない様に、しっかりと口元に手を当てていた。

 

どうやら、この運転手。。というか

もうこう呼ぶ事にしよう!

 

彼 「サタン」 だけが特別な様だ。

 

 存在感、見た目、笑い方、音量、獣低音。

 全ての役作りが完璧だった。

 

 「魔王サタン」 そのものである。

 

後ろの乗客を観察してみると、別段誰も気にしていないし、一番後ろの席では この状況で眠っているツワモノのいる。。嘘だろ?!

 

魔王はさらにテンションがあがり

 どわっはっはっ!!グハハハハハ!!!

 ぐあっはっはっはっはっはっ!!!!!!

もう 止まらない。。

 

僕はこの状況を乗り切るために

 これが、マレーシアの高速バスでは 普通の事

 "デフォルト" なのだ。

と思う事にした。

マレーシアでは、魔界がバスを運行しており、魔王がバスを運転するものなのだと。。

 

たぶん絶対に違うのだが、、もうそれで良いのだ。

そう思い込む事でしか、この状況を乗り切る術は無かった。

 

 

4時間後、やがてバスはハイウェイを降りた。市街地の国道をしばらく走り サタンのバスは

やっとの事でマラッカの交通の中心

マラッカ セントラルバスターミナルに到着した。

ヘロヘロの、フラフラ になった僕は、もうよだれを垂れ流しそうな顔で 放心していた…

 

まるで彼の 1人芝居のオペラ  「 魔王 」

超SSS席の最前列のど真ん中で鑑賞した様な…

恐ろしい疲れと、謎の満足感さえ感じていた 笑   

 

バスを降りると、船の長旅から陸に上がって、陸酔いした船乗りの様にフラつきながら、身体に残る響きというか痺れを抱えたまま

 

無事? マラッカに到着したのだった。

 (魔王は意外と安全運転だった?? )

 

生きてマラッカに着けた事を 僕はただ喜んでいた。

 

きっと、東正実の "海外旅行生誕の地" 

クアラルンプール国際空港に 無事戻って来れた事で、 緩んだ 心と身体を

 

   「おい! 気を付けろよ!!」

 

と何かの力が引き締めてくれたのだろう。

 

ポジティブな僕はそう考えて

とりあえず休憩できる場所を探す事にした。

 

バスターミナル内はかなり広く。

Wi-Fiが繋がる ローカル食堂が並ぶ通りに、マクドナルドがあった。

KLIAでたらふく食べた僕は、お腹は空いていないのと、今日は 移動などでだいぶお金を使ってしまったので、一番安いソフトクリームを頼む事にした。50円くらい。

 

冷たいソフトクリームも舐めながら ゆっくり身体を休めた。

 

 ああ。。ここは 静かだ。。

 

喧騒は少しあるが、僕は心から安らいでいた。

 

アメリカの "グアンタナモ 捕虜収容所 " では

  【 大音量で 寝かさない 】

という拷問が有るそうだが、その事をボンヤリと思い出していた。。

 

( 僕は 口を割らなかった! 決して!!)

 

と意味不明な事を思いつき、笑いが込み上げてきた。

 まさに サターン's ハイである 笑

 

しばらく休むと僕の身体と耳は回復し、倹約家の僕にはタクシーという選択肢はないので、バス乗り場をインフォメーションで聞き、17番から出るバスを待つ事にした。

 

今回この番号から出るバスは 全てマラッカの 中心地に行く同じ系統のばすだ。

僕は涼しい中からガラス越しに優雅にバスを待つ事にした。

 

次のバスは 静かである事を願いながら…

 

続く

f:id:matatabihaiyuu:20201219005526j:image

↑魔王のバス

 

f:id:matatabihaiyuu:20201219011136j:image

↑ マラッカ セントラルバスターミナル

 

f:id:matatabihaiyuu:20201219005756j:image

↑ KLまでバス時刻表

 

 

次話

azumamasami.hatenablog.com

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

太陽の地 マラッカへ

 

第35話

太陽の地 マラッカへ

 

いまさらだが、僕の旅の計画には当初、

"マレーシア" と言う国は存在しなかった。

 

僕は、元々マレーシアに行くつもりは無かったのだ。

 

たまたま従姉妹が

「マレーシアから旅を始めてくれたら

 7年ぶりに会えるよ!」

と言ってきたのでこの国に来たのだが

 

来てよかったと思える経験をいっぱい出来た。

そして、人生初めての外国としては、過ごしやすい国でもあった。

出国前に「深夜特急」を読み直した時、沢木氏が、いかにマレーシアで「旅」を したかも再確認し、マレーシアは、僕にとってかけがえのない場所になっていた。

そして旅の後 マレーシアが好きになっていた。

 

そんな僕には、小説の影響もあってか、どうしても行きたい場所があった。

それは "サッカー少年だった" 僕に刻まれている地 「ジョホールバル」 では無い。。

 

その地は  マラッカ  だった。

深夜特急」では  "世界一大きな夕陽だった"と記されている、マラッカ。

マラッカ海峡 という、場所は分からなくても、

名前だけは 社会の教科書で何となく覚えている人を惹きつける場所、 響き。。

   マラッカ MELAKA

僕は 北側に位置するランカウイ島から、南方のマラッカに行くことにしたのだ。

 

アイリーンに、

I'm advance to next place.

とカタコト英語で情熱的に伝えると

 じゃあ、明日は泊まらないのね

 わかったわ 気をつけて行ってらっしゃいね。

と優しい笑顔で 暖かく送り出してくれた。

 

僕はマラッカに行く為に、安く取ろうと 英語表記のホームページに挑戦して、悪戦苦闘の末

なんとか格安のクアラルンプール空港までのフライトチケットをインターネットで買っていた。

そして、KLIA国際空港からは、マラッカ行きの高速バスが出ているらしい。

 

朝早くタクシーに乗り 僕は空港へ向かった。

(タクシーはアイリーンが手配してくれた)

 

ランカウイの空港は 平家というか、一階建ての平地で、待合のスペースもガラス張りで、滑走路や、飛行機が 全て見えている。

その滑走路に続く、ガラスのドアの前へ チケットを持って並び、飛行機の準備ができたら そこからスタッフに引率してもらう。

飛行機まで 徒歩移動するシステムだった。

 

なので、気を付けていないと、

 " 乗る飛行機を間違える "

 

案の定、乗る飛行機を間違えていた 僕の前の席の中年の御夫婦は、無線を貰ったパーサーから

 飛行機をお間違えではありませんか?

と聞かれ、ハッとして気付き、タラップを降りて結構離れた隣の飛行機に走って行った。

窓から見えた、大きな荷物を抱えながら 全速力で必死に走る外人さんは、中々な光景である。。 間に合います様に…

 

そして、このマラッカへの旅には実は 一つ 大きな目的があった。

 

僕の旅の目的は、従姉妹と再会した事で、後はベトナムで俳優仲間と合流するという以外 もう何も無くなっていたはずだったが 実は旅先で出会ったある女性から

マラッカに行くのなら 是非尋ねて欲しい人がいる。

 " 貴方にしか頼めない "

と「人探し」を依頼されていたのだ。。

 

その依頼者は、誰であろう ペナンで一緒だった 宮下さんだった。

実は彼女、ペナンでお会いした期間は、本当は マラッカに行く予定だったとの事。

 

大学生の時、マラッカで道に迷った時

ケルビンさんというおじさんに、助けてもらった事があり、それ以来 "文通" をしていたのだが、

今回マレーシアに訪れる際に「会いませんか? 」とエアメールを郵送していたのだが、

文通を始めて以来、初めて返事がなかったという。

 

色々事情があるのかも。。 という思いと、

(何かあったのでは無いか…?)

と 少し恐怖感もあり、遠慮して マラッカでは無く、ずっと行きたかった もう一つの地 ペナンに訪れていたとの事だった。

 

僕と宮下さんは、お互い撮りあった写真を送る為に LINEを交換していて、その後も少し やりとりもしていた。

 

実は僕は 逆に目的が出来、正直張り切っていた。

沢木氏も、ゲンチャイへ 使者としてメッセンジャーを務めており。

僕はいよいよ 何か旅の醍醐味みたいなものさえ感じていた。

が、同時にケルビンさんのことも心配だった。

何があっても良い様に、心の準備だけは ちゃんとして、今日のフライトに臨んでいた。

 

やがて飛行機は KLIAに着いた。

クアラルンプールに戻ってきたという妙な感慨があった。色々あったが、最初に降り立った初の外国の地に 無事戻って来たのだ!!

 

僕はまずは空港の高速バス乗り場を探した。

インフォメーションで聞いてみると、綺麗な女性のスタッフが場所を教えてくれる。

KLセントラル行きのバス乗り場と違い

マラッカ行きの高速バスは通りを挟んで向かいの建物にあると言う。

 

渡り廊下を渡り、向かいの駐車場らしき建物に向かう。

バスチケット売り場に着いたが、4、5社の窓口がある。

 

マラッカに行きたいと言うと、

 一番奥の窓口に行け!

アゴでしゃくられた。

なんか皆、態度が横柄である。。

 

何はともあれチケットを購入した。

緑色のペラペラな紙のチケットで、1時間後の出発らしい。

しかし、ここのスタッフは皆 愛想が無い。。

 

チケットを買って、その待ち時間にご飯を食べようと思っていた所、チケット売り場の隣に、空港やバスのスタッフの方らしき人もいる ローカル食堂があった。

(きっと空港内で食べるより安いに違いない!)

僕はここで昼食を食べる事にした。

 

ビュッフェ的な感じで、色々な料理が、バットに載っている。隣にはお皿とスプーンやフォークが置いてある。

みんなの行動を注意深く観察する。。

皆 まず皿を取っている。 次に2種類ある中から 好みのご飯か、ナンかロッティを自分でよそうか取るかして、そこにさらに欲しい料理を乗っけていく。セルフ ワンプレートを作り、そしてそれを 最後におばさんが "その皿" を見て会計してくれる様だ。

 

日本で言うと、讃岐のセルフうどん方式みたいなものか? と思い挑戦する。

まずご飯である。ターメリックの黄色いご飯はちょっと味が読めなかったので、細長い方の白飯にする。

美味しそうな角煮と、むいて半分にカットしてあるゆで卵、バランスを考え 野菜炒め、骨つきチキン、グリーンカレーも反対側にかけた。

いくらになるんだろう?とドキドキしていたが、なんと!全部で130円と安かった。

 

レジのおばさんが、料理の種類と 目分量でgを計算しているのだろうか? ジロジロ皿を見て 値段を言ってくれる。

 

僕はお腹が空いていたので、早速アルミ製のテーブルに座って食べ始めた。

食堂はそこそこ広く あまり混んでいないので ゆったりできる。

結構ボリュームがあったが、お腹が空いていたので、あっという間に平らげてしまった。

美味しかった! 予想と少し違う味だった料理もあったが、それはそれである。

 

さて、出発まで後1時間ほどある。

このままここで待っても良いが、僕は涼しくて快適な空港内で過ごす事にした。

ちょっと横になりたかったので、空港の 有料のマッサージチェアに座ってみることにした。

 

まずは、お金を入れずに座る マレーシアシステムに挑戦してみた。

 ピコーん♪ ピコーん♪ ピコーん♪

と予想通り 警報音が鳴り続ける。。

 

ピコーん♪ ピコーん♪ ピコーん♪ピコーん♪

ピコーん♪ ピコーん♪ ピコーん♪ ピコーん♪

ピコーん♪ ピコーん♪ ピコーん♪ ピコーん♪

 

 

…無理だ。。

まったく 気が休まらない。。

 

僕は心の平安のために、お金を入れる事にした。

手持ちの1リンギット札を あるだけ入れる事にした。

6枚入れる! 160円くらいである。ご飯より高くつくが 僕は エイヤッ!! っとそれらを全て投入した。

 

すると音はぴたりとやみ、チェアはリクライニングを開始した。

そして僕の疲れた身体を揉み始める。。

 き、気持ちいい。。

 正しい使い方をすると すごいぞ チェアー!

と思いながら、早起きした僕はそのまま眠りについてしまった。。

 

続く

 

f:id:matatabihaiyuu:20201216010713j:image

↑ 飛行機から見たマレーシア(開発が進む)


f:id:matatabihaiyuu:20201216010914j:image
↑ KLIAへ帰ってきた!!

 

 

次話

azumamasami.hatenablog.com

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

僕の見た 二つの島

 

第34話

僕の見た 二つの島

 

マレーシアの北側にある2つのリゾートアイランド ペナン島ランカウイ

 

ペナン島は本当に 世界的に認められた観光地という印象だった。

何というか、洗練された観光都市だった。

中華系のマレーシア人が多いらしい。

 

バスでどこでも移動できるし、本数も多い。

また大きいインド人街があったり、ジョージタウンは観光客も多い。日本人もちらほら観光に来ていた。

島は結構大きくて、全ては周りきれなかった。

レッドガーデンで 日本語の歌(kiroro谷村新司さんなど)が歌われていたのも、ここもかつては日本人であふれていだからだと思う。

屋台村の一つは、かなり間違ったお寿司と、珍しく日本酒を置いていたり、他の屋台にも「豆腐のぬいぐるみ」とか 「ペナンで有名なさてこんにちは」という 一応和訳 のメニューの看板もあった 笑

また、市が芸術家を優遇しているので、移住してきて 作品を創作している日本人のアーティストにも たまたまお会いした。

 

ジョージタウンの古ぼけた家の壁には様々な絵が書いてあり、それもまた良い味になっている 

そして昔ながらの古い建物をそのままホテルにしているところもあり、古い街並みと、芸術と、都市が融合している稀有な街という感じがした。

 

料理も美味しかった。

宿の近くの、マレー系の 地元の人が朝ごはんを食べている 屋根だけある食堂は、長細い店で、珍しくカウンターオンリーのお店だった。

安くて美味しい ロッティチャナイ付きのチキンカレープレートだけを出していて、後は チャイを付けるか付けないか くらいしか選択肢はなく、まるで 昔の吉野家だった。

座った途端に注文を取られ

向かってくる従業員が もう料理を持って来ている!!  嘘だろ?! 笑

はやい(過ぎる) やすい うまい の三拍子が揃っている。

こんなに早くご飯が出てくる料理屋は マレーシアでは初めてだったので、逆に戸惑った。

(ロッティ チャナイとは小麦粉をこねて焼いたマレーシア版のナンとも言うべきもので、ナンより小さいが、安くてカレーにも非常に合うし、オヤツとしてチョコなどかけても美味しい。僕はナンよりこっちの方が好きである)

 

料理はシーフード屋さんが一番高い。

僕は海鮮は 刺身以外あまり好きでは無いので、

わざわざ高い値段をかけて食べに行かなかった。日本で言うとちょっと良い焼肉を食べに行く感覚に近いと思う。

 

印僑の町ではタンドリーチキンの美味しい店。

華僑の人の店では、パッタイの様な焼そばの「チャークイッティアオ」や餃子などの点心が美味しい。

つまり、様々な民族の方のお陰で、色々な食事の選択肢がある。

そしてそれらはどれも美味しいのだ。

勿論 マクドナルドなどのチェーン店もある。

 

食に選択肢があるのも、旅行では重要だ。

これもマレーシアが旅しやすい理由の一つだと思う。

 

ランカウイは、ペナンより、田舎というか、 のんびりとした自然の島 という感じがした。野良牛もいるし、庭には二羽鶏が 駆け回っている。空港近くには最強のバッファローも生息している。

 

僕のいた リゾートビーチ付近や、フェリー乗り場のイーグルスクエアなど、局地的に栄えていて、後は自然のままである。

 

ジオパークが有るのも 本当に豊かな自然に囲まれているからだろう。

なので、地元の人は基本 車かバイクで移動するし、そんなに遠出しなくても住んでいるところで色々事足りる。

バスなど必要無いのだ。

観光客用に、タクシーとレンタルバイクで十分事足りる。

なのでランカウイは、原チャリに慣れている人におすすめである。

まぁ、タクシーでも、実は日本に比べれば遥かに安いのだが、僕の様に節約旅をしたい方は 是非レンタルバイクでの移動をお勧めする。

(ただ事故とバッファローには要注意)

 

そして何より お酒が安い。

酒飲みの僕は、マレーシアに来てから 1番お金がかかったのが ビール代だった。

それでも飲みたいので

 日本でもこれくらいするぜ?ビール。

と自分に言い聞かせながら、ランチ代の倍、下手するとホテル代より高くつく量のビールを ガブガブ飲んでいた 笑

 

ランカウイで生活費が激減したのも、宿が安いのもあるが、それよりもビールが安くなったお陰であった。

なかなか宿代込みで 一日 千円弱で、遊んで好き勝手飲み食い出来るリゾート地も無いだろうと思う。

 

そして、ランカウイのタクシーの運転手さんが

 日本の津波は大丈夫か?

と心配してくれたのには驚いた。

 

聞くと、2005年にランカウイ島も津波に見舞われたとの事だった。

多くの犠牲の出たスマトラ島沖地震で起きた津波が ここ ランカウイ島にも来たらしい。

幸いというべきか。。死者は一名だけだったそうだが、被害はそれなりにあったそうだ。

 

 あの橋の上に逃げたんだ。

 

と、彼は川を越えるための結構なアーチになっている頑丈そうな立派な橋を指さした。

 

津波の時に川の真上に逃げるのもどうかと思ったが、、なるほど。

 

大きな建物などない平地、家も平家ばかりで、橋の上が1番頑丈で高い所だ。近所の住民がここに逃げたというのも頷ける。

 

そして、規模は違えど同じ災害を被った、遠くの日本に想いを寄せ 心配してくれていた事に 暖かい気持ちにさせて貰った。

やっぱり国籍とかでなく 人と人なんだなぁ。

としみじみ思ったりした。

 

何より後々思い出すのは やはりブルハムの事である。

彼とは不思議と馬が合い、仲良くしていた。

こういう旅では、これからこういう出逢いが一杯あるんだろうな。

と僕は勘違いしていた。

 

どんなに長く旅をしていても、心が通じるというか、波長が合う 子供の時にいた親友の様な人に出会える事は 世界中を回っても そうはないという事に気付かされていく。

 

とにかく日本を出なかったら 一生出逢えていなかった人達と、人生の一瞬でも 袖振り合う。

 

僕は本当に日本から出てみて良かったと、この二つの島で思わされた。

 

この二つの島にはゆったりさせて貰ったし

本当にいい出会いや経験をさせて貰った。

 

人生で初めて 本当に 魂が震える様な感動をさせて貰ったランカウイ島は 僕には一生忘れられない島となった。

 

2つの島と そこで出逢った人々に ただ感謝したい。

 

f:id:matatabihaiyuu:20201212173541j:image
f:id:matatabihaiyuu:20201212174222j:image

昼のペナンと夕陽のペナン



f:id:matatabihaiyuu:20201212173536j:image

f:id:matatabihaiyuu:20201212173355j:image
f:id:matatabihaiyuu:20201212173347j:image

ジョージタウン


f:id:matatabihaiyuu:20201212175523j:image
f:id:matatabihaiyuu:20201212175518j:image

レッドガーデン

f:id:matatabihaiyuu:20201219010740j:image

バトゥフェリンギビーチ バス停


f:id:matatabihaiyuu:20201219010731j:image
f:id:matatabihaiyuu:20201219010736j:image

吉野家的な食堂

 

f:id:matatabihaiyuu:20201214154343j:image

f:id:matatabihaiyuu:20201214154159j:image

ペナンヒル

 

f:id:matatabihaiyuu:20201212174856j:image

f:id:matatabihaiyuu:20201212174843j:image

マンチャン山

f:id:matatabihaiyuu:20201212174834j:image

ランカウイ


f:id:matatabihaiyuu:20201212174849j:image
f:id:matatabihaiyuu:20201212174826j:image

f:id:matatabihaiyuu:20201214154418j:image

f:id:matatabihaiyuu:20201212180321j:image

f:id:matatabihaiyuu:20201212180003j:image

f:id:matatabihaiyuu:20201219011021j:image

ジオパーク

 

 

次話

azumamasami.hatenablog.com

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

アンダー ウォーターワールド

 

第33話

アンダー ウォーターワールド

 

ランカウイ島はとても暮らしやすく、生活費も安い。ビーチもすぐ側で、格安でリゾートを楽しめる。

が、ここではタクシー代は 宿代より高い…

 

ここランカウイでは、レンタルバイクを借りないと、移動がタクシーになり、

下手に往復すると 宿代の3倍程以上になる。

料金は場所までの定額なので、計算すると、2日分の生活費が飛んでいく。。

実は、僕の宿が600円程なので、そっちの方に問題があるのかもしれないが 笑

どうもタクシーに乗るのが、

 勿体ないなぁ。 高いなぁ。

と思って利用を躊躇ってしまうのである。

 

なので、マンチャン山に行って以来、僕は宿からすぐの、一本道しかない大通り沿いをくる日も来る日も、歩いて移動していた。

 

 いつまで続けるかわからない旅

   節約するに越したことはない。

なにせ、旅はまだ始まったばかりである!

 

ビーチは目と鼻の先なので 泳いだり、24時間やっている地元の食堂も何軒かあるので、カフェがわりに使って WiFiで色々調べ物をしたり。通りには、お店や お土産屋なども 小さいながらも大量にあり、意外と飽きなかった。

 

夕方になれば ビーチにある マイ サンセット居酒屋(無料のベンチ)に行けばいい 笑

宿に帰っても、みんなとワイワイ出来る。

 

案外 みんな宿でダラダラしている。

 

一度 レンタルバイクを借りようとしたが、

「免許証が必要だ」と言われた。僕は免許証は 無くすのが怖くて、日本に置いてきていた。

 

そんな僕にアイリーンが、「免許の写メでも良い」というレンタルバイク屋を紹介してくれた。

日本にいる兄に、免許の写メをLINEで送って貰ったが、僕は考え込んでしまった。。

実は僕は "車はゴールド免許" なのだが、

原チャリに乗った事は  人生で一度も無い…

 

僕の周りの友達は、高校上がりたてで みんな原チャリに乗っていた。

しかも、少しやんちゃな友人ばかりだった。

僕の目の前で、2人乗りで、ぐるぐる遊んで乗り回した挙句、こけて骨折とか、「乗らせてー 」とバイクを借りたやつが、アクセルふかしすぎて、電柱にウィリーして突っ込んで、原チャリ大破!などと言うトラウマちっくな出来事が脳裏に焼き付いていた。。

 

僕は色々考えて 万が一怪我したら、

まだ旅を始めて2週間も経たないうちに 帰国…

と言うことも 十分あり得る と考えて借りるのをやめた。

そんなこんなで "徒歩芸人" と化した僕は、宿を出て大通りを左折し、今日は寄り道をせずに 行けるところまで行こうと、まっすぐ歩き出した。

 

いつも猫や、人や、お店に吸い込まれたり。

マクドナルドで涼んだり、BARに吸い込まれたりしていた僕だが、この日はとにかく歩いた。

だいぶ歩いたところで

 

 あっちぃ。。し、死ぬ。。

 ちょっとこれ。。あれだな。。

 

と脳が沸騰しそうなところに

 "UNDER WATER WORLD"

という、涼しそうな建物が現れた。

 

入り口を見てみると、なんと!

「水族館」 だった!!

 

値段を見て、そこそこ高かったが、外国で、

水族館に行くのは初めての経験である。

 

料金は 46RM(1250円位)

まぁまぁな値段である。

 

だが、建物は本当に立派だ!!

 

中に入る "一択" で、僕は未知との遭遇へ旅立った。

 

中に入ると、クーラーの涼しさが本当にありがたい。。

さっそく色々な小魚たちが 小さい水槽でお出迎えだった、、がそこを過ぎると、

なぜか水族館なのに 鳥たちのエリアに入った。。 バザバサ バザバサいっている。

 

そういえば入ってすぐ、何故かピンクの蛇や、カメレオン? もいた。。

 

2階に上がると、電子ペンで お絵描きした魚が目の前の巨大水槽の画面を泳ぐ、

謎のハイテクお絵描きのコーナーがあり。

絵心のない僕の、グロテスクな 魚? も 気持ちよさそうに、CGで水槽を泳ぎ始めた。。

 

2匹泳がせた後、僕は下のペンギンコーナーに行く事にした。

一階で ペンギンさん達の餌やりショウが始まるからだ。

薄々思っていたのだが、動物にも国民性があるのではないか? という思いが、ペンギンさんを見て確信に変わった。

奥からヒジャブをつけた 餌やりお姉さんが出てきた。ペンギン達は「ナニスルノ?」という顔で見上げている。

そこへバケツから1尾ずつ魚を放っていく。

が、、ペンギン達は一瞬目で追うが、ポカンとしている。

「ナニナニ? ネェ ナニ?」

とお姉さんを見上げている。

投げた先まで見に行ったペンさんも食べようとせず、キョトンとしている。。

 いやいや。。餌食べようよ。

僕が心の中でツッコミを入れている間もペンギン達はマイペースに過ごし。

餌やりのお姉さんもバツが悪そうに苦笑いをしている。

うーん こんなやる気が無いペンギンを 初めて見た。

さすがマレーシア! なんか、マレーシアのペンギンだなぁ。。

と僕は妙に納得してしまったのだった 笑

 

逆に普通の餌やりショーより よっぽど興味深くて 楽しめた。

 

僕の隣では母親に連れられた男の子も

指を咥えながら

 「たべないよ。。?」

とキョトンとしていた。

 

そんな餌やりショウを堪能した僕は 次に進む事にした。 やがて、順路で水族館内の食堂に着いたが、扱っているのはハンバーガー系のジャンクフードで、 外よりかなり割高だった。

 

僕はペンギンと同じく ご飯は外で食べる事にし、さらに先に進んだ。

 

しばらく行くと、大蛇と写真撮影出来る写真屋さんを発見した。

 

お母さんと娘でやっている少し変わり種の写真屋さんだった。

 

値段を聞くと、500円くらいだという。

 

僕は子供の頃からシマヘビなどは 兄と素手で捕まえていた、蛇好きの子供だったので、蛇は結構大丈夫だ。

せっかくなので写真を撮ってもらう事にした。

 

綺麗なニシキヘビを渡されると ヒヤッ とするのかと思いきや。。結構生暖かい。。

大人しい可愛い蛇さんだった。メスだという。

写真をパシャ パシャリと撮ってもらう。

後は携帯を渡すとパシャパシャと二、三十枚撮ってくれた。

もう携帯で撮ってもらったからいいかな?

と思っていたが、、写真屋さんで撮ってもらって選んだ一枚は、現像に10分ほどかかるらしい。

「待ってる間にこの子と遊んでいて下さい。」

と、何故かイグアナを渡された。

中々 待ち時間を 手乗りイグアナで乗り切って下さい  というシステムは無い。

世界でも 初の試みではないだろうか?

 

イグアナさんと自撮りをしながら、

だいぶ飽きて、イグアナをお返しして、さらにしばらく経ってから、ようやく写真は出来上がった。

中々良い出来である。

 

他にはない、味わい深い水族館を出て

ここは名前を

「アンダー グラウンド Water World」

に変えた方がしっくりくるな。と思っていた。

 

僕は大満足しながら、宿に帰ったが。

 

もう、、この島でやる事はないんじゃ無いか?

と薄々感じていた。

 

お酒は安いし、ダラダラできるし、1日の生活費が千円とちょっと。という素晴らしい場所であるが、何かここでこれ以上起きる気がしなかったのだ。

僕は直感に従う事にした。

 

advance to …    先に進む事にしたのだ!

 

僕はマレーシアでどうしても行きたかった

マラッカに旅立つ事にしたのだ!!

 

続く

 

 

 

 

(↓爬虫類の画像あり 苦手な方は閲覧注意!)

 

 

 

 

f:id:matatabihaiyuu:20201211164520j:image

f:id:matatabihaiyuu:20201211164700j:image 

https://m.youtube.com/watch?v=TCsNtnjXRaw


↑ やる気の無いペンさん達 笑 (動画も)

 

f:id:matatabihaiyuu:20201211164536j:image
f:id:matatabihaiyuu:20201211164527j:image

↑ 水族館

 

 

f:id:matatabihaiyuu:20201210011618j:image
f:id:matatabihaiyuu:20201210011543j:image
f:id:matatabihaiyuu:20201210011629j:image
f:id:matatabihaiyuu:20201210011527j:image

↑ 水族館??


f:id:matatabihaiyuu:20201210011613j:image
f:id:matatabihaiyuu:20201210011607j:image

↑ 可愛いメスの蛇さん


f:id:matatabihaiyuu:20201210011532j:image

f:id:matatabihaiyuu:20201210011554j:image
f:id:matatabihaiyuu:20201210011548j:image

↑ 待ち時間を共に過ごしてくれたイグアナさん

 

 

次話

azumamasami.hatenablog.com

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ビフタンネンなドイツ人

 

第32話

ビフタンネンなドイツ人

 

国籍を問わず自分勝手な奴はいるものだ。。

 

それは、急に two peace house hostel が満床になった日。

 

ドイツから大学生らしい、卒業旅行の6人が、男子3・女子3の比率でやってきた。

 

リーダー格らしい男が 顔も態度もデカイ。

 

俺は経済学の専攻で、これから世界を回していくんだぜ?!

 

という 気持ちオラオラ系とでも言うべき男だった。

 

アイリーンも、話しかけられる度に眉間に皺を寄せ、明らかに不快感を表している。

日本の宿ではあり得ないが、さすが外国である!

 

僕は彼を見て、バックトゥザフューチャーの

「ビフ・タンネン」を思い出していた。

またその相棒は、チリチリパーマの小アフロという感じで世の中を斜めに見ている感じだった。なぜかスネ夫を連想させる。。

 

2人はレンタルしたバイクで「ヒャッハー!」と島中を回っているようだった。

 

他のメンバーは、昼は何故かこの2人とは行動せず。皆でタクシー等に乗って移動していた。

 

こちらはアレックスという 中々いい人相をしたイケメン青年と、女子3人の普通の大学生という感じだった。

 

そのうち1人の女子は背が低くて、目がクリクリしてて、可愛らしい アイドルでも通じそうな可愛らしい娘さんだった。

話している時、上目遣いで真っ直ぐ見てくるので、恥ずかしくてあまり目を合わせられなかった 笑

 

彼らは、夜は合流して みんなでご飯や、共用スペースで他の宿泊者も交えて宴会という感じの日々だった。

 

ある日 宿で共用スペースにいる彼らに

「一緒に浜辺にある スポーツバーに行かないか?」

と誘われた。

バカンスで来ていると言う、いつも共用スペースでくつろいでいるインド系シンガポール人のシャーンも行くと言う。

 

道中アレックスと、かわいい娘さんと話す。

僕がカタコトなので、ゆっくりとわかるように喋ってくれる。

 

ドイツの方は、英語が上手いと言う印象が僕にはある。というか、世界的に英語が上手だとよく聞く。

流れるように、まるで "母国語" を喋っているんじゃ無いか? と言うくらい流暢に喋るので、僕くらいの英語レベルだと、聞き取るのを "諦める" 事もある。

 

不思議なのが、聞き取れるようにゆっくりわかりやすい単語で喋ってくれる人と、

こっちが解ってようがわかるまいが、喋り続ける人に分かれることだ。

(もちろんビフは後者である。。)

 

何故スポーツバーに行きたかったのかは、道中に解った。

リーダー格のビフがドイツサッカー界の覇王でもあるチーム

バイエルン・ミュンヘン」のファンだったからだ。

 

彼はチリチリ君と肩を組んで バイエルン・ミュンヘンの応援歌を歌いながら歩いていた。

 

僕らは砂浜にあるスポーツバーに着いた。

 

 今日は地元の人で賑わっているな。

 

と思っていたら、

マレーシア代表VSタイ代表の サッカーの国際試合が流れていた。

皆 テレビに釘付けで、声援を送っている。

 

僕らは席につき、このままこの試合を見るのかと思いきや、ビフは、店員と話し始め。。

 

なんと、店の全てのテレビが

バイエルン・ミュンヘンの試合に切り替わったのだ?!

 

僕は本当に、びっくりした。

 

地元の人の楽しみを平然と奪って、

またしてもミュンヘンの歌を歌い出すビフを見て、本当に、ビフのいる映画の世界に迷い込んだのか?と思った。

 

地元の人を見ると

唖然とした後、、、文句も言わずに、急にテンションが下がりながら、諦めたかのように会話している。。

 

む、無神経にも程があるでしょドイツ人!!

 

と、びっくりしたし。

断らない(断れないのか?)お店にもびっくりした。

 

僕はその光景を見て、

戦争に負けるとか、植民地支配されるってこう言う事なのかな?

と思っていた。

 

地元の人は、観光でやりくりしている人がほとんどである。観光客の我儘は ある程度我慢しなければと思っているのだろうか??

また、アジア人は背が低いし、巨大なビフタンネンに小さい身体で向かっていくのは、確かに

マイケルJフォックスくらいじゃなきゃ無理だろう。

 

良識のありそうな、シンガポール人のシャーンを見ても、別段何も気にしていない。

 

気が気じゃ無いのは、「日本人」の僕くらいだった。。

世界って、こう言う感覚なのか??と僕は困惑していた。。差別とまでは言わないが、、だが相手を下に見ていなければ 絶対にできない行為だと僕は思う。

 

やがて 試合途中に着いたせいか、

20分くらいで試合が終わり、やっと先程の国際試合に画面は戻った。

 

僕はほっとしつつ、信じられない光景を見た。

 

ビフが バイエルン・ミュンヘンが負けた腹いせに、ラミネートされたメニューを、ヘラヘラしながら、ジョッキに折り曲げて突っ込んだのである。。

 

ここは、島で、ラミネートのメニューを作るのも日本ほど簡単では無いと思う。

それを相手のことも何も考えず、自分の怒りに任せて、氷入りのジョッキに突っ込むのを見て、僕はさすがに許せなかった。

 

メニューをジョッキから、とりだし、おしぼりで綺麗に拭いて、元に戻した。

 

するとビフは、

 ヘイ、ジャパニーズ。

 君はこう言うのは嫌いか?

と聞いてきた。

 

僕は彼を睨み、

 ああ!!嫌いだね!!

と嫌悪感からはっきり言った。

 

正直喧嘩になったら勝てないだろうなとは思っていたが、僕は許せなかった。

 

すると彼は、相棒と顔を見合わせて、苦笑いした後、外人がやりがちな

 やれやれ と言うポーズした。

シャーンも間に入って取りなしてくれて、

とりあえず宿に帰ろうとなった。

 

僕は一人で散歩して帰る。 と言いながら、1人で宿に帰った。

 

次の日、大通りを歩いていたら、偶然出会ったアレックスが話しかけてきた。

 良かったら、一緒に回らないか?

と言ってきた。

 

彼は昨日の事を話したかったらしく。

    君のした事は正しい 

と言ってくれた。

 

昨日、「おかしいだろ?!」 と思っていたのは僕だけではなく、控えめなアレックスもそう思っていてくれて、わざわざ僕にそれを言いにきてくれたのだ。。

 

僕は嬉しかった。

 

 「ドイツ人ってのは!!!」

 

と、危うく怒りで、ドイツの方を一括りに決めつけてしまうところだった。

この一言で僕は、救われた。

 

そして、ビフを見て、全てのドイツ人を嫌いになろうとしていた自分を恥じた。。

ビフは別に ドイツ人代表ではないし、誇り高きバイエルン・ミュンヘンのファン代表でも無かった。。 

 

僕は "うん、、ありがとう!"  とお礼を言い。

 

後ろで控えている3人の女の子は、別に僕と周りたくは無さそうだったので、

 

 一人で考えたいことがあるんだ。

 

とアレックスに告げた。

 

アレックスは、たぶん僕を気に入ってくれていたのだろう。

本当に残念な顔をしてくれていたが、

僕は彼らと別れた。

 

しばらく歩いていると地元の猫がおり、

僕はなぜか人恋しくなって、猫さんに 撫でてもいいかお伺いを立て、撫でさせて貰っていた。

 

撫でながら

「君らの世界にも、差別はあるのかい?」

と話しかけたが。

 

猫さんは不思議そうな顔を一旦しただけで、

すぐに気持ちよさそうに、ゴロゴロ喉を鳴らしていた。

猫さんの世界は平和そうであった。。

 

続く

f:id:matatabihaiyuu:20201206232147j:image

↑ 平和な鶏たち

 

f:id:matatabihaiyuu:20201206233156j:image

↑ 猫さん

 

 

次話

azumamasami.hatenablog.com

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

魂が震える経験

 

第31話

魂が震える経験

 

カヤックツアーから帰って来ると。

ベッドに座った瞬間。

守り石にしていた ブラックオニキスパワーストーンのブレスレットの紐がちぎれて、散らばった。。

 

 

マングローブの海水に紐がやられたのか。

それとも危険から僕を守って身代わりになったのか?

 

実は僕は 旅に出る前に、

(何かお守りの様なものが欲しいな。)

とずっと思っており、そんな折り、たまたま歩いていた横浜駅の路上で、この石だ! と直感が働いて買ったのがこのブレスレットだった。

その後、ちゃんと神社に持っていき、力のある方に護り石として力を与えて貰っていた。

 

とにかく僕の旅とっては 本当に大切なものである。

 さて。。この異国でどうやって直すのか?

とりあえず散らばったストーンを、全て集めて 袋にいれた。

 

翌日 僕は、近くにアクセサリー屋は無いのか、大通りを探してみる事にした。

一通り回ったが、それらしい店はどこにも無かった。。 …本当に困った。

 

最後に ひとつだけ心当たりがある店に 行ってみる事にした。

そこはとてもおしゃれな オリエンタルな雰囲気の、小さめの雑貨屋さんで 扇子やトラベルバッグや、折り畳み傘 お土産の小物などを売っていた。

 

前に行った時、僕は折り畳めるトラベルリュックが欲しかったのだが、ものが良いので結構いい値段だった。

基本、交渉してみるのがいいので、

 少し安くなりませんか?

と聞くと 「ここは値引きをやらないの。」

と言われたので 「考えて またきますね」

と店を出たのだった。

 

あそこなら ちょっとしたアクセサリー用の紐か何かが置いてあるかも知れない。

僕はダメ元で 再びお店に足を踏み入れた。

 

店に入ると、この間はいなかった、40歳くらいの、細身の清潔感のある 店主らしき男性もいた。

 

僕はお店を一回りして、ネックレスと一緒に、ストーンのブレスレットが三点ほど置いてあるのを、見つけた。

僕はカウンター越しに 店主に声をかけ、バラバラになったブレスレットを見せ 直せないか聞いてみた。

切れた紐も持っていっていたので、見せて、このような紐は置いてないかも聞いてみた。

 うーん。うちは制作はやってないので、

 こういうstrings(紐)は置いてないんだ。

との事。。

 

ダメ元で、

 ブレスレットを買うから

 その紐で付け替えてくれないか?

と頼んだが、

 それは出来ないし、

 女性用だから、長さが足りない

と言われた。

それでも なんとかなりませんか? と聞くと

 紐が important なのか?

と聞かれた。

 

 NO ストーン!

 ストーン!  is important.

 

 why did you are important stones?

 

   It's my ガーディアン ストーン!

   Very important my journey.

 ストリングス..not important.

 

と僕がいうと、店主は

 「OK」

とだけ言って、ヒジャブを被った女性店員に何やら話し始めた。

 

やがてマレー系の女性店員が手を出して、

石を渡すように促してきた。

 

どうするのだろうと思いながら、僕が石を渡すと、机の引き出しから 釣り用のテグスを出してきて、石を繋ぎ合わせ始めた。

 

接着部分は、ライターで炙り溶かして接着し、

脱着できるように、綺麗な金具も着けてくれ、

取り外し出来る様にしてくれた。。

 

店主に

 さぁ、付けてみなさい。

と言って貰い

 

いざ付けてみると、生まれ変わったブレスレットは、全く問題無く 左腕に収まった。

まるで魔法のようだ。。

僕は本当にありがたくて、嬉しくなり。

 本当にありがとうございます!

 本当に私は助かりました。

 ありがとう。本当にありがとう!

 あ、工賃は、いくらですか?

と聞くと、

 

店主は普通の口調で、優しく、

 あなたの大事なものを

 治させて貰っただけだよ。

 お代なんて要りませんよ。

と、控えめな笑顔で言ってくれた。。

 

その優しい顔を見た時、僕は不意に まるで心臓を鷲掴みにされた様に動けなくなった。

何か言おうとしたが、言葉が出て来なかった。

…僕は。。声が…こえが出なかった…のだ。

 

人生で初めて 身体が魂が震えたのだ。

感動で全身が泡立つのがわかった。

人は本当に不意に感動すると、動けなくなってしまうのだと、僕は初めて知った。

 

だが僕はなんとか、絞り出すような声で お礼をいい。。

それだけでは気が済まず。何かお礼はできないかと周りを見回し、目に入った、前に買おうか迷っていたトラベルリュックを手に取り

 せめて、、こ、これを買います!!

 買わせてください。。

とそれを買った。

 

店主は、泰然とした態度で

 そうですか… ではこのお値段になります。

と淡々と会計をしてくれた。

 

困っている人がいて、自分ができる事があれば、やって当然の事です。

という態度が、その優しさが、僕には本当に心に沁みた。。

 

店を出た僕は まだ痺れた身体を抱えて、脇道から、すぐに 砂浜に向かった。。

近くのベンチに座り込み。

海を見ながら、痺れた心と身体を落ち着かせていた。

 

海を見ていると

不意に涙が頬を勝手に流れた。。

 

 ああ、世界はこうやって回っているんだ。。

 僕がして貰った親切は

 いつか誰かに返さなきゃいけない。

 きっと俺も人が困っていたら

 助けられる人になるんだろう

 こんな経験をしてしまったら

 誰でもそうせざるを得ないのだから。。

と、頬をつたう涙が とても暖かかったのを

僕は今でも覚えている。

 

そう、世界はそうやって回っている 本当に

ま・わ・って・いるのだ!!

親切も憎しみも怒りも悲しみも愛情も憎悪でさえも。。

周り回って還ってくる。

だから地球は丸いんだ。。というチープな結論を少しだけニヒルに、口の端をあげて笑いながら、僕はその日はビールも飲まずに、ずっと海を眺めていた。。

 

続く

f:id:matatabihaiyuu:20201202165059j:image
f:id:matatabihaiyuu:20201202165054j:image

↑ 色々な経験をさせてくれる

 ランカウイ島 そして海

 

 

次話

azumamasami.hatenablog.com

 

 

 

 

 

 

 

 

 

レッツ・マングローブ

 

第30話

レッツ・マングローブ

 

出会いとは偶然であり、必然なのだろうか。

それは不思議な1日だった。

 

いよいよカヤックツアーに行こうという日の朝

 

僕は地元の人や観光客で賑わう食堂に

「モーニング」を食べに来ていた。

 

地元のその食堂は、基本はマレー料理の店なのだが、先人のバックパッカー達がレシピを教えたのか? それとも見よう見まねでメニューを始めたのか。

モーニングもどき」が置いてある。

 

マレーシアの食パンに、スクランブルエッグに付け合わせの野菜。

食べると、カフェのモーニングとは、、

何かが。。具体的には出てこないが。。

ナニカガ チガウ。。なんか惜しい!と言う味なのである。

それでも、たまには "洋の朝食" を格安で食べたい時は、重宝する。

 

ここは朝は 特に観光客で賑わう。

 

僕もたまにはモーニングを食べたくなり、その食堂にいた。まだ動いていない頭で コーヒーを飲みながら、ぼけぼけとパンを齧っていると、後ろから日本語が聞こえてきた。

振り返ると日本人らしいカップルが 日本語で会話している。

 

不思議なもので、日本人観光客が多いところでは距離を置きたくなるのだが。。

日本人が少ない場所にいると、日本語が恋しくなるものである。

 

僕は後ろの日本人カップルに話しかけてみた。

最初向こうは ビックリしたようだが、

話しているうちに打ち解けた。

2人は婚前旅行でここに来ていて、帰ったらすぐに結婚するとの事だった。

30代後半の旦那さんと、30歳位の奥さんの  お似合いのご夫婦 だった。

話は午後の事になり、カヤックツアーに行くとの事。

 奇遇ですが、僕も行くんですよ〜。

と言ったところ、彼らは

"日本人のスタッフが案内してくれるツアー" だと言う。

それを聞き  あれっ?! となる

 

僕もそのツアーである!!

 

ここランカウイには、カヤックツアーは色々あるが、日本人インストラクターがやっているカヤックツアーは 一つしか無い

もう確定である 

午後から一緒に回るはずの日本人達が

たまたま 朝話しかけたら、朝食も一緒になったのであった!

凄い偶然もあったものである!!

 ツアーは すでに始まっていたのだ 笑

僕たちは お互いに、

 す、凄い偶然ですね!! 笑

と笑ってしまい。

ご飯を済ませてから

 午後もよろしくお願いします!

と別れた。

 

そして、いよいよ出発の時間が来た。

ワゴン車がわざわざ迎えに来てくれる。

大通りの待ち合わせ場所に着くと、すでに車の中に例の小林さん夫婦が乗っていた。

 

今日のメンバーは僕と彼らだけである。

 

ここランカウイマングローブは、

ユネスコ世界ジオパークに認定されている。

世界遺産との違いは僕にはよく分からないが、

自然の保全をしっかりして、観光資源として活用して、ついでに環境教育をすると言うような内容だったと思う。

 

現地に着くと、40過ぎくらいの精悍な男性のインストラクターさんがいて、

早速ウェットスーツに着替えて、救命胴衣をつけるように指示された。

 

何回も…いや、、何百回も同じ説明をしてるのだろう。

全く無駄の無い、わかりやすい説明を早回しでしてくれた。

 

とにかく、注意する事は、

言う事は絶対聞いてください。

マングローブの生息地は、海水が混じっているので、携帯電話の防水は意味が無いので気をつけてください。

と言う事だった。

 

地元の少年がモーター付きの小舟に僕らを乗せて、カヤックのスタート地点に連れていってくれた。

 

船の後ろにカヤックを牽引している。

 

カヤックは、2人乗りで、小林さん夫婦(もう夫婦でいいだろう)が2人で1組

僕とインストラクターさんは、1人一艘に乗り。

計 三艘での航海

 

最初操縦に慣れるまで、少し広い所で前進、後退、Uターンなどを練習し、いよいよ出発となった。

 

インストラクターさんは説明しながら結構スパルタだった。

 

どんどん進んでいく。

 

僕は運動神経はいい方だと自負している。

小学校の時、クラスで、ドッジボールは一番だったし、高校のスポーツテストのハンドボール投げは、一年生の中で1番遠くまで投げた。

35歳の時に俳優仲間とやったフットサルも、その日の得点王になった。

こういうアトラクションも結構こなせる。

 

だが。。

 

これを仕事にしている人と、

2人で漕ぐカヤックに、初心者が1人で追いつくのは本当に大変だった。。

 

前は、2人分の推進力で進んでいく。

しかも、これから結婚するだけあって、

息もピッタリだ。 まじかよ。。

 

僕は追いついた所で、彼が色々してくれる説明が、自分の息切れで、全然聞き取れなかった。。

 

追いついて息を整えると、

「はい次〜。」

 

ゼーハーゼーハー。。。ふぅ。。

「はい次〜。」

 

ゼーハーゼーハー。。うぅ。。

「進みまーす」 

 

ゼーハーゼーハー。。はぁはぁ。。

「…ですので。。…んですね。進みまーす」

 

 おいおい。。。

 筋トレに来とるんちゃうんやで!? 笑

 

日本語で案内してくれるツアーだから、

安全だし安心だろうと、他のカヤックツアーより、倍くらいの値段の、日本人スタッフのツアーにしたのに

"日本語自体が" 聞きとれないやんけ?!

 

僕は怒りに震えた。。

 絶対追い抜いてやる!!!

と僕はスイッチが入った!

不思議なものである。怒りが力に変わったのか、それからはスイスイ着いて行けるようになった。

これを狙ってやっていたとしたら相当な 名インストラクター、名コーチである。

 

やっとこさ  ツアー に参加できた僕を連れ

僕達は洞窟の前に着いた。

 

「これからこの洞窟で 蝙蝠と記念撮影をします

 蝙蝠は臆病で 超音波で絶対避けてくれます。

 万が一飛んできたら逆に動かないで下さい

 向こうが避けてくれます!!」

 

と言われたが、、僕はそんな感染症のカタマリと写真なんて撮りたくは無かった。

 

断ろうかと思っていた時。。

 

僕はあの新横浜での 注射の日々を思い出した!!

 

狂犬病を、持っているのは、犬 猿 蝙蝠とあった。。

 おお! あの予防注射の日々は!!

 この日…この時の為にあったのだ!!

僕は喜び勇んで洞窟について行った。

 

狭いので、インストラクターさんと2人づつで入る。入るとすぐ段差があり、降りると、もう蝙蝠さん達とご対面だった。。

 撮リマァーシュ。。

とウィスパーでの記念撮影。

 

寝起きドッキリのようなテンションである。

 

パシャっ!!っと フラッシュを焚いても、彼らは盲目…全然問題なかった。

 

小林さんの奥さんはさすがに少し、顔がひきつっていた…が、そこはスパルタインストラクター。

気にせずどんどん行程を消化していく。。

 

再びカヤックに戻った僕らは

やがて降り始めた雨の中、どんどん進む。

マングローブの説明などもしてくれながら僕達はどんどん奥へ進む。

 

 

やがて、、 雨が止んだ。。

 

すると、あたりは音を無くしたように

静寂に包まれ。。

 

暗かった狭い河に、急に陽が差し込み。

幻想的な景色になった。。

 

ゆっくりと漕ぎ進む。

 

水面はキラキラと黄金色に輝き 周りは荘厳な崖である。 そして静寂があたりを支配する。

 

少し開けた場所に出ると

さらに美しく 幻想的だ。。

 

僕らは しばらく声も発さず、漕ぐのも忘れてその光景と静寂を堪能していた。

 

ここではさすがにインストラクターさんもゆったり時間を取ってくれた。

 

そこからしばらく漕いでいくと、さらに開けた とても広い場所に出た。

 

空も広い! ゆったり漕いでいくと

ランカウイ島を代表する鳥  イーグルが飛んでいく。。

僕はそれを見ながら

ようやくこの島に 自分が受け入れられたような錯覚を覚えた。

 

僕達は この手付かずの自然を満喫しながら、やがて本日の最後の場所、水上のコテージについた。

 

この木製のいかだの様なコテージでは、ご飯とビールが用意されているとの事。

ご飯の前に救命胴衣で浮きながらひと泳ぎした。海水が混じっているので何もしなくても身体が浮く。

 

日が落ちて、暗くなった時、水面をぱちゃぱちゃやると、キラキラと光る!!

微生物が、刺激で発光するらしい。

ここのように、海と淡水が交わっている所でしか見れない現象との事だった。

 

コテージに上がり

本日のメインイベントである

釣りたてのイカを食べるイベントは

インストラクターさんが、

 あれ?あれ?んん?

 

 ちょっと待って下さいね。。

 

 うーん。。ちょっと待って下さいね。。

 

 うーん。。出てこーい。。

 

 うーん。。うん!

 

 雨が降ったせいで水が混ぜられちゃって、、

 今日はイカは出てきませんね。。

 

 イカはー。。やっぱり出てきませんね。。

 

と悲しい困った顔をしていた。

常に厳しい表情を崩さなかった、カヤックの時とのギャップが凄い 笑

 

僕はイカはあまり好きではないので、

そうなんだぁ という顔をしていたが、

僕らよりも、インストラクターさんの方が、

本当に残念がっていた。

 

危険と隣り合わせのカヤックが終わってから、安心したのか、インストラクターさんは顔が穏やかになり、イカを必死に探す姿は、少し可愛かった 笑

大の男が、、イカぁ。。いかぁ。。

と探している姿は哀愁があって良い。

 

コテージにて、小林夫妻と乾杯し、

ご飯を食べて、最高の自然を堪能した僕らは、

帰りも 車で送って貰った。

 

先に降りた小林夫妻は、海に隣接した、高級ホテルの車寄せで降りて行った。

 

 うん。 だろうなぁ。。俺は一人旅とはいえ

 全然違う宿に泊まってるなぁ。。

と自然と笑いが込み上げて来たが

 

それでも僕にとっては アイリーン達のいる宿は、   最高の宿だ!! 

 

僕は少しだけ強がりながら

その 自分の最高の宿 に帰って行ったのだった。

 

続く

f:id:matatabihaiyuu:20201129204738j:image

ジオパーク


f:id:matatabihaiyuu:20201129204706j:image

カヤックツアー


f:id:matatabihaiyuu:20201129204733j:image
f:id:matatabihaiyuu:20201129204722j:image

↑ 蝙蝠との触れ合い


f:id:matatabihaiyuu:20201129204728j:image
f:id:matatabihaiyuu:20201129204656j:image

f:id:matatabihaiyuu:20201129205846j:image
f:id:matatabihaiyuu:20201129205840j:image

↑  雨上がり


f:id:matatabihaiyuu:20201129204701j:image
f:id:matatabihaiyuu:20201129204717j:image

f:id:matatabihaiyuu:20201129204713j:image

↑ コテージにて

 

 

次話

azumamasami.hatenablog.com

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

恥じらいと 世界の広さ

 

第29話

恥じらいと 世界の広さ

 

男女混合ドミトリーにいる女性は逞しい。

 

共同のシャワールームから部屋へ戻るのも

バスタオル一枚で

 ヘロー ( ͡° ͜ʖ ͡°)

と手を振りながら笑顔で通り過ぎていく。

 

最初はびっくりしたが、

恥じらいなどなく普通にしているので

親戚か、姉兄妹のように別に何も感じない。

 

ただ、腕にごっつい刺青が入っているのでそっちの方が気になった。。

 

話が飛んで申し訳ないが、

僕は 男性は(日本人は特に)

女性に "恥じらい" を持って欲しい生き物だと思っている。

 これを僕が悟ったのは、幼稚園の時だった。

僕は当時 通っている幼稚園の 仲の良い友達の妹さんが好きだった。

 

そして今のコンプライアンス優先の世の中ではありえないが、「スカートめくり」が、当時 僕の大マイブームだった。

友達と 一緒に遊びに来た妹さんのスカートを

手を替え品を替え、めくっていた。

しまいには、割り箸と輪ゴムで手作りのマジックハンドをわざわざ作って、それでまくっていた。

めくりながら、まだ幼く アホな僕は、

「こんなドキドキして楽しいものが

 この世の中にあったのか?!」

と本当にハマっていた。

だが、、、!!!

彼女は最初は可愛く嫌がっていてくれたのだが

本当に嫌だったのだろう。

 

ある日急に、 無  になった。。

 

何をしても

「で、なに? で、どうするの? それで?」

と言う反応を発明したのだ。

 

僕は驚愕した!!

 

全然楽しくない!!

それどころか。。女の子。。ちょっと怖い。。

 

と思いながら、僕はその時 "気づいたのだ"

 

あぁ…僕は。。恥じらう女性に興奮していたんだなぁ。。 さあ どうぞ!? と言われるとなんてつまらないんだろう。。

もはや 何か悲しい。。

僕は、、もう、、

"恥じらって貰う" という楽しみを、彼女に一生して貰えなくなってしまったのだ。。手放してしまったのだ。。

あぁ。。何と言う虚無感だろう。、と

 

何か真理をひとつ掴んだ 幼少期を思い出していた。。(この経験により 小学校で流行った時 僕は見向きもしなかった)

 

話はだいぶ逸れたが、結局女性があけっぴろげだと、「そういうもんかぁ。」とこちらも受け入れてしまうのだという話です 笑

 

大部屋には 北欧の大柄な白人女性が、2人ほど泊まっている。

フロントのすぐ外の 宿の入り口のある 軒下の共用スペースで、みんな一緒にお酒を飲んだり話したりもする。 

その時も「ガハハハ!!」とやっぱり豪快だ 

(もはや焼酎の大五郎が似合いそう)

 

それどころか、旅慣れすぎているのか。

少し 旅ズレ している様に見えた。

きっと大部屋ドミトリーでも豪快に過ごしているのだろう。

アイリーンが心配して 僕に廊下を進めたわけも何となく分かった。

 

アイリーンは親切だ。

 

マレーシアには公衆電話は無いので、

カヤックツアーを予約する際に 電話ができず困って相談すると、自分の携帯電話を貸してくれたり、泳ぎに行くと言うと、1日一枚だけ無料のはずのバスタオルも、追加料金無しで、

「これいるでしょ?」と渡してくれる。

年はそんなに離れていないのに、親切すぎて、お母さんみたいだった。

(それだけ僕が旅慣れて無いのが分かったので心配だったのだろう。)

 

僕は数日過ごすだけで、アイリーンの事が大好きになっていた。

 

旦那さんのサムもとても優しい良い男だった。

初めて会ったのは、シャワールームから これまたバスタオル一枚で出てきた大男が「サム」だった。サモア出身のお相撲さんの様な 懐の広そうなおおきな男性だった。

宿を出てすぐの24時間営業の食堂に 大体いつも友人といて、挨拶は向こうからしてくれた。

彼らはフロント横の部屋を自分たちの家としている 住み込みでの宿経営だった。

 

宿にも主人にも恵まれて、僕はランカウイ島を満喫していた。

 

そんな僕は夕方はいつも決まっていく所があった。

それはビーチの歩道にあるベンチだった。

砂浜のチェアーはゆったり寝そべれたが、

有料で150円かかるので "勿体無い" と借りなかった。

(もはや150円を高いな!と感じるくらい金銭感覚は日本とはズレ始めていた 笑)

 

一番安いお店を見つけビールを買い、屋台でつまみを買って いつも海の向こうの島に沈む夕日を眺めて一杯やっていた。

いつも同じ所にいるので、他の観光客も名物扱いして話しかけてきたりした。

 

僕はこの場所が本当に大好きだった。

 

刻々と色を変えていく景色、太陽、海。

それに染められていくひとたち。

 

それらを眺めながらぼんやりと、色々なことを考えた。

その時間はとても心地よく、もうずっとここに居ようかと本気で思ったくらいだった。

 

ある日ちょっと疲れが溜まっていて、

今日は早めに休もうかと思い。

明るいうちに一杯やっていた。

 

するとビーチや海に直通できる 高級コテージから、真っ白なビキニに身を包んだ

東南アジア系の小柄な美しい女性が 素晴らしく綺麗なウォーキングで僕の横をすり抜けて、海へ歩いて行った。

抜群のプロポーションで愛らしい顔。

小麦色の 水を全て弾きそうな健康的な肌。。

 

マレーシア版の「セックス&シティ」の撮影が始まったのか??

と思うくらいゴージャスな "映画の一場面" だった。

 

僕はビールを飲むのも忘れて、美しいクロールで沖へ泳いでいく彼女を見つめていた。

天使に続いて、人魚に逢ってしまった。。と。

 

やがてしばらく泳ぐと彼女はまた、美しさを全て表現するかの様に 海から上がってきた。

 

そしてまた 僕の横をすり抜けて行った。

 

僕にはこの人魚を捕まえる勇気は一切ないので、後ろ姿がコテージへ消えるまでずっと見ていた。

 

しかし、世の中には色々な女性がいるものである。そして色々な男性もいる。

 

日本では経験できない出会いや、発見がこの場所にいるだけでも勝手に向こうからやって来る。

 

心が動くし、感動もする。

 

 世界は広い!!

 

本当に世界は広いのだ。

僕はいまさらその事を自覚していた。

 

やがて宿に帰った僕は、予約している明日のカヤックツアーの為の準備を始めた。

ランカウイで唯一 日本人インストラクターが連れて行ってくれるツアーである。

 

明日は 一体どんな出会いがあるのか?

楽しみにしながら僕は 布で仕切られたベッドで いつものように眠りついた。。

 

続く

f:id:matatabihaiyuu:20201129012432j:image

↑  150円のチェアー達

 

f:id:matatabihaiyuu:20201129013335p:image

↑  遊泳ゾーン

 

 

次話

azumamasami.hatenablog.com

 

 

 

 

 

 

 

 

 

免税の島 本領発揮!

 

第28話

免税の島 本領発揮!

 

宿に帰ると夕方になろうとしていた。

 

タクシーから降りると、

ブルハムは 一旦大部屋に戻る と言うので、後で又会おうと約束をし、僕はgoogleマップで 大通りを挟んだ すぐ近くのビーチに向かう事にした。

もちろん夕日を見る為である。

 

ビールを売ってくれる店がどこかにあるだろうと、まずはビーチに行った。

 

ところがビーチにはチェアーはあるものの、

お店はなかった。

 

ビーチはとにかく長く 向こうまで続いている

宿近くのビーチ沿いのエリアは、お金持ちそうな人達が借りている「庭付き 足洗い場付き」の ビーチまで直行できるコテージしかなかった。

 

僕はしばらくビーチ沿いに歩いたが、宿から結構離れた、僕が "良いな" と思ったポイントからだいぶ離れた所に BARしか無かった。

 

テレビのあるスポーツバーだったが、

僕は夕陽を見たかったので、そこからすぐ脇道に入り、大通りに戻った。

 

宿からだいぶ離れた道に出た。

近くのコンビニに入ったが、店番の女性はムスリムの証である「ヒジャブ」を纏っている。

 

むろん ここにはお酒は売っていない。。

 

すぐに出て周りを見渡すと 二軒先に二階建てのモールのような建物があった。

 

とりあえず入ってみる。

 

マレーシアの携帯会社や、電気家電などを売っているお店が 一階にあった。

 

入ってすぐ 中央にエスカレーターがある。

ここで おやっ? と思った。

 

上りは動いているのだが、下りは止まっている。。

 

壊れているのか?(そういえば歩道もガタガタだった) それとも、

下りは動かなくて良くね?

歩けばいいよね?電気勿体なくね?

というマレーシアシステムが発動しているのか?

この大通りで一番のショッピングモールだと思うのだが、、やはりマレーシアまだまだ奥が深い!!

 

2階に行くと、エスカレーターが止まっているとは思えないほど、綺麗なフロアに出た。

白が基調の美しいフロアを見回すと、左手に煌びやかな リカーショップがあった!

高級そうなお酒も色々並んでいる。

 

ビールの棚を見つけ 見てみると、

おお!日本のアサヒも置いてある!

種類が豊富で、バドワイザーなどもあるが、ここは、タイガービア一択である。

 

値段を見てしばらく止まる。。

 

 んん?  2.2リンギット???

 

 えーと。。1RMが27円くらいだから。。

 

 ご、55円?? え?嘘でしょ?!

 や、やっす!!!

 

今までは、同じ340ml缶で

8〜10RM、220〜270円もしたのに!

瓶ビールの大瓶なんかは 12RMで、320円以上!

2つ頼むと、魔窟では宿代とトントンとなっていた。。

 

おいおい!!エスカレーターなんか動かさなくて良いよ!! 天国じゃねぇか!!

 

とガラが悪くなるくらい僕は興奮していた

 

日本のタバコがほとんどが税金と同じように、税金を無くしたら "マジかよ?!" という値段になっていた

 

宿に冷蔵庫はないので、とりあえず僕はタイガービールを4本ほど買った

 それでも4本で、220円程である。

免税店と謳っていたので、パスポートの提示を求められた。

僕は免税店での買い物が初めてだったので面食らったが、外国人向けの免税店である。証明しないと売ってもらえないのは確かに当たり前だ。

日本にいる時、新宿あたりで 中国語で「免税!」と謳っているドラッグストアや、ドンキを見て、なんだろね?これ?、、と他人事にしか思っていなかったが、まさか自分が そのシステムを利用するとは思わなかった。

 

気を良くした僕は、隣の綺麗な大きなお土産屋さんも覗いてみた。

マレーシア版のプリングルスやら、プリッツやらが色々置いてある。

空港にあるお土産屋さんより大きい。

 

真ん中に、大きな文字で " SALE!"  と書いてある棚があり そこには可愛いコアラさん。

ロッテ「コアラのマーチ」がピンクのパッケージで大量に安売りされていた。

"何味か" は分からないが たぶん苺的な何かだろうとアタリをつけ、僕は ツマミとしてと、宿でお腹が空いた時用に、あとはブルハムにあげようと、5個ほどそれを買いこみ

 "違和感のある階段" と化したエスカレーターで下に降り そのままモールから出た。

 

外は夕暮れになろうとしていた。

 

急いで 宿の近くのサンセットポイントに戻る

ランカウイ島の パラグライダーおじさん達が話しかけてくる

砂浜のチェアーを勧められたが、150円かかるという!

 1日使いたい放題で150円!安いよ!!

と言われるが、ペナンで無料のチェアーに座っていた僕は またしても「お金かかるのなら」とお断りした。

 

歩道の 程よい背のない石のベンチに腰掛けて、途中の屋台で購入した、肉団子的なものをツマミに 海を見ながら一杯やり始めた。

 

丁度夕陽が沈み始めていた。

海岸線はペナンのビーチよりも長い。

僕だけでなく、周りの人も足を止めて沈む夕陽を眺めている。

 

離島があるため、海に沈む夕陽では無いが、それでも本当に美しい。

 

僕はどっぷり暮れた後も、余韻を楽しんでから宿に帰った。

 

宿では 共用の寛ぎスペースになっている、

入り口の軒先で、宿泊者達がワイワイやっていた。

 

 一緒に飲まないか?

と誘われて すぐに参加する。

 

ブルハムにも声をかけて参加した。

誘ったは良いが、ブルハムはイスラム教徒だった事を座ってから思い出した。。

 

一応、「お酒飲んでいい?」 と確認すると、

「全然大丈夫。飲んで飲んで。」

と言ってくれたので安心した。

色々みんなと話したり、ブルハムとは、連絡先を交換したりした。

ブルハムはワッツアップというアプリしか使えない。と言うので、ダウンロードしてやりとりした。

 

結局ブルハムとばかり話をして、その夜は更けていった。。

 

 

その深夜

ビールを飲みすぎたせいで 僕はトイレに行きたくなった。

少し広めの台所の、手前にあるトイレに入り 用を足してトイレを出た所で

 

 ギョッとした。

 

薄暗い台所に人がいたのだ。

 

しかも、正座している。

 

月明かりで見えたその人は ブルハムだった。

彼は時間通りにできなかった礼拝を誰もいなくなったこの静かな時間に行っていたのだ。。

 

それはとても静謐な情景だった。

ゆっくりと神を思い、メッカの方向に深々とお辞儀をする。

ただそれだけの事がとても尊いものに見えた。

月明かりが彼の真摯な顔を照らしていた。

 

僕は声をかけず、そのままベッドに戻った。

 

そして、何故彼が あんなに優しくて穏やかなのかが 少しわかった気がした。

 

僕はこの出来事は、誰にも言わず、自分の中に大切にしまっておこうと 心に誓った。

 

続く

f:id:matatabihaiyuu:20201127180908j:image

↑ いつもの場所から見る夕焼け

 

 

f:id:matatabihaiyuu:20201202165440j:image

↑ タイガービア

 

 

次話

azumamasami.hatenablog.com

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

外国の若者を知り 己も知る

 

第27話

外国の若者を知り 己も知る

 

これから山に行こう!

というプランに彼はすぐに同意してくれた。

 

ブルハムに話すと

「是非行こう!」となり。

 

僕たちはおじさんのタクシーに乗り込み

ケーブルカーのある麓まで向かった。

 

さっき会ったばかりだが、なぜか彼とはうまが合うと言うか、前からの友達のような気がしていた。

 

ブルハムはタクシーのおじさんとも結構話す。おじさんも色々英語で返す。

おじさんは、片言レベルが素晴らしい。

僕なんかより断然上手い。

僕がおじさんに 英語はどこで習うの?

と聞くと、引退する前は漁師だったから

タクシーを始めてから、独学と会話の中で覚えたと言う。

 

うーむ。マジか?  凄い。。

 

余談だが

僕は前に駅員のバイトをしていた事があり。

それは駅構内での案内だった。

持ち前のコミニケーション能力と ジェスチャーと カタコト英語でなんとか外国のお客さんとやりとりしていた時期があり。

結構 "生" の英語に触れる機会があったが

学校で英語アレルギーだった為 基礎がない。。ほぼ単語と動詞にプリーズをつけて乗り切っていた。

ヒアリングは「吹き替え」の声優の仕事で、英語の原文ばかり聞いていたので

ある程度何とか出来る様にはなっていたが。。

 

それでも簡単な英単語以外は チンプンカンであった。

 

一度バイト中、黒人の美人さんが来た時に。

 ATMはどこかしら?

と聞かれて。

 ゴーストレート ライトサイド

 ユー シー ATM

 ビューバンク アンド ミズホバンク

まではなんとか通じたのだが。。

 

 このカード使えるかしら?

と聞かれた僕は これなら答えられるぞ!と

  「Let's challenge !!」

と自分史上最高の発音で言った。

 

すると美人さんは

 オー!!チャレンジ?!

と目を丸くして笑い出し、しまいにはツボに入ってうずくまって

 チャ、チャレンジ。。 WWW

と苦しそうに笑い始めた。。

 

同僚を見ると、彼も爆笑しながら、

  東さん!!それ、ATMに 挑めっ!!!

って言ってますよ!! 爆笑

 

2人ともお腹を抱えて笑い出しているので。

周りの人も なんだなんだ?

という感じで集まってくる。。

 

そんな事が品川駅であった。。

 

そんな僕からしたらタクシーのおじさんは

明らかにちゃんとした英語でブルハムと話していた。

 

マジで凄いなマレーシア!!と僕は改めて思っていた。

 

ブルハムはタクシー運転手さんに

 トルコの大統領を知っているか?

と無茶振りを始めた。。

 

僕は。。というか

読者の皆様 知ってますか??

僕は全然知らなかった。。

 

だけどタクシーのおじさんは、〇〇さんだよね? と会話していた。。

 

の、能力たけーー!!!

 

 僕は「何この会話??」

 

と驚愕していた。

 

やがてブルハムが、

「彼はグッドリーダーだ。」

 

と言ったのを聞いて。

僕は恥ずかしくなっていた。。

 

俺は人生で今まで。。

「日本の国の首相を知ってるか?」

外国の人に聞いた事があるだろうか。

 

自分の国の首相を 誇らしげに「彼はね…

と話した事があっただろうか??

 

うーん。。

改めて外国の青年の志というか

意識の高さに驚かされた。

 

日本はやはり平和なのだ。。

 

そして自慢したくなる様なリーダーは

僕の中にはいなかった。。

 

その事を初めて 意識した。

 

政治とは自分たちの人生を決める一大事なのだと。

 

 

やがてタクシーは麓に着いた。

 

ケーブルカー乗り場まで、色々なものがある。

ちょっとしたテーマパークといった感じで雑然としている。

「オリエンタルビレッジ」というらしい。

 

やがて僕らは「SKY CAB」という ケーブルカー乗り場に着いた。

 

2日前にも ペナンヒルにも登っていたのに。

なぜまたすぐに山に登るのか??

馬鹿なのか?高い所がそんなに好きなのか?

 

と思われる方もいると思うが。

 

この山はペナンヒルよりはるかに高い。

そしてここには「スカイブリッジ」という

バンジージャンプさえ出来そうな

天空の橋のような吊り橋があり

どうしてもそこに行きたかったのだ。

 

ケーブルカー料金は 車体のランクによって違い

外国人はマレーシアンより高いのだが、

自国民にとっても観光地なのか、倍ほどは高くない。

1番安いゴンドラの車体で55RM(1500円)

マレーシアンより10RM 高いくらいだった

 

ケーブルカーと言うよりは むしろ「ゴンドラ

と言った方がしっくりと来る。

宙吊りで 物凄い急な傾斜を上がっていく

迫力満点の乗り物だった。

 

終点は見上げるほど遥か上にある。

しかも上の方は霧で覆われてはっきりとは目視できなかった。

 

途中の霧の中も抜けながら、上へ上へとゴンドラは上がっていく。

霧の晴れたところではランカウイの島々を遥かに望む事ができる。

 

ブルハムと2人で あまりの高さと迫力に、写真を撮りながら 「すげ〜! たっけぇー!!」と2人で笑っていた。

 

やがて頂上に着くと霧で何も見えない。。

外にいるのに 久しぶりに…本当に久しぶりに肌寒かった。

肌寒い。。マレーシアに来てから初めてだ。。

 

 何も見えないね?

 

というとブルハムも

 まぁ、しょうがないね。

 とりあえず回ろう!

と歩き出した。

 

頂上はぐるりと歩いて色々回る感じだったが、

霧で全然 何も見えない。

つまり雲の中にいるという事だ。すごい高さにいる事がよくわかる。

 

色々写真を撮りながら、二人で回っていると。

 

ブルハムがちょっと待ってくれと言い出して  リュックから何かを探し始めた。

取り出したのは、なんと!!

 

それは日本でもよく見る「自撮り棒」だった。

 

まさかトルコ人が自撮り棒なんてミーハーなものを持っていると思わず、僕はちょっと引いた。。

 

ブルハムは、この棒を装備してからスイッチが入り。

少しでも気になったところを見つけると、

ツーショットを撮りまくり始めた。。

 

しかも、気にいるショットを撮るまで

10回、20回とる 笑

 

凄い写真が好きなのね。。外国の方は、、

と思いながら付き合う。

 

霧で景色が全く見れなくて「誘って申し訳ない」と思っていたが、こんだけ楽しんでくれたらもう良いや!と一緒に撮りまくった。

 

ここにも

カップルが愛を誓う愛の南京錠 が大量にある。

高い所には必ずあるのは「吊り橋効果」を狙っているのだろうか?

男2人でうっかり舞浜のテーマパークに来てしまった様な感覚を覚えるが、気にしない!!

(ここでもツーショット写真は勘弁して欲しかった 笑)

 

なんにせよ どんどん彼とは仲良くなる

  さっき会ったばかりのはずなんだけどなぁ

と旅の出会いの不思議を思う。

 

もういくら粘っても霧が晴れないので、切り上げて麓に降りる事にした。

僕が一番楽しみにしていた「スカイブリッジ」は霧が凄いので 安全の為立ち入り禁止だった。。

ブルハムが

 君は明日も明後日も来られるんだから

 また来たら良いさ

と言ってくれた

ブルハムはやはり優しい。

 

お腹が空いたので、麓のテーマパークでご飯屋さんを探していると「SUBWAY」があった。

 

ブルハムが是非ここが良い!!

と言うのでそこに入る事にした。

 

理由は注文の時にわかった。

チキンを頼み、ポークが入っていないかを確認していた。

「豚嫌いなの?」と聞くとこの時初めて

彼は自分が "イスラム教徒" だと教えてくれた。

 

あぁ、だからパンに挟める具材を選べるサブウェイに入りたかったんだ。

 

と この時初めて僕は理解した。

後で知ったのだが、トルコはイスラム教の国家だった。

 

ブルハムは カメラを向けられた途端に

つい役者の血が騒ぎ 色々面白いポーズをとる僕を大いに気に入り、僕の写真だけで 携帯を埋め尽くすつもりなんじゃ無いかと思う程

僕の写真を撮りまくり "大満足" した様だった。

 

一通りオリエンタルビレッジも楽しみ

夕方になる前に僕らは タクシーで宿に帰る事にした。

 

続く

f:id:matatabihaiyuu:20201125140920j:image

↑ いざ頂上へ


f:id:matatabihaiyuu:20201122003609j:image
f:id:matatabihaiyuu:20201122003558j:image

f:id:matatabihaiyuu:20201122004116j:image

↑ もの凄いアトラクション
f:id:matatabihaiyuu:20201122003537j:image

↑ なんも見えねぇ!!


f:id:matatabihaiyuu:20201122003548j:image

↑ せっかくなので愛を誓う私


f:id:matatabihaiyuu:20201122003604j:image

↑ ブルハム ランカウイコレクション

 

 

次話

azumamasami.hatenablog.com

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

綺麗好きの女主人

 

第26話

綺麗好きの女主人

 

予約していた宿に昼過ぎ 無事到着した

 

魔窟で懲りていたはずの僕が

なぜまた600円代の宿を予約したのか??

 

それは僕の新しい挑戦と関係していた。

 

旅に少し慣れてきていた僕は

スマートフォンの万能性に驚愕していた。

 

宿の値段も見れるし 写真でどういう宿かも何となく判断出来るからだ。

さらに予約までポチポチで出来る。

 

そして僕は booking .com の機能をフル活用する ある方法を編み出していたのである!!

 

それはまず「ランカウイ島」と入力して

条件のところに

1日の宿代で払っても良い値段

今回は1000円以下の宿を検索し

 

さらに評価が10点満点中 9点以上 の宿で絞り込む。

9点の宿がなければ 値段を1200円まで上げてみる。(僕は宿代は2000円までだったらOK)

 

大体9点以上は綺麗で過ごしやすい宿ばかりである

さらに日本人のレビューを探して読む。

 

日本人は結構 宿に求めるクオリティが高いので

泊まった日本人が絶賛している所はまず間違いがない。

 

ロケーション情報も大事だ

駅に近いとか ビーチがすぐだとか

ナイトマーケットやバザールに歩いていけるとかの 場所の情報も重宝する!

 

さらに 部屋や フロントやシャワー周りの写真も見ると大体どんな宿か想像がつく。

 

前回のあたり宿「マグパイレジデンス」で

宿の重要性を再確認した僕は

この方法で "あたり宿" を探す事にしたのだ。

 

 

宿に着くと30代後半らしい女主人が迎えてくれた。

 

丁度シャワールームを掃除中だった為

ズボンの裾をたくし上げていた。

 

メガネの似合うヨーロッパ系の美人だった。

 

僕が予約している旨を伝えると

僕の顔をしばらく見て…少し小声でこう話した

 

 あなた 大部屋の方で予約してるけど

 部屋を見てから決めない?

 

実はこの宿は

エアーコンディション(クーラー)付きの宿なのだが。

 

男女混合ドミトリーの大部屋は 24時間クーラーが付いているのだが。

 

廊下にある2つ連なる2段ベッドの場所は

夜8時から朝の10時までしかクーラーをつけないと言うものだった。

 

僕は昼間もクーラーが欲しかったので。

大部屋の方で予約していたのだが、

 

たしかに広めの廊下のベッドの方は

片側だけに 二段ベッドが2つ 縦に連なり

カプセルホテルのように布で仕切られて カーテンもある。

 

大部屋は二段ベッドが3つある6人部屋

勿論ベッドは剥き出してカーテンなどない。

 

 クーラーか 布で仕切られた個室か。。

 

考えていると 宿の女主人が小声で

 

 あのね。今 大部屋にいる人たちは

 あまり良い人たちではないの。

 君は何というかまだ可愛らしいし

 廊下の方が良いと思うの。どう?

と言ってきた。

 

僕はかなり迷ったが、、彼女が本当に僕の事を考えて言ってくれている目をしていたので。

女主人の助言を信じて受け入れる事にした。

 

綺麗好きな女主人は「アイリーン」

という名前で イタリア人だと教えてくれた。

 

ここランカウイ出身の マレーシア人の旦那さんの「サム」と一緒に宿をやっているとの事だった。

宿にはもふもふの可愛い飼い猫もいた!!

(当たりだ!!)

 

チェックインが終わり、僕は下のベッドで荷物を整理し そこら辺をぶらつこうとしていた所

 

なかなかハンサムなメガネの色黒の青年が

大部屋から出てきた。

 

挨拶をすると明るく返してくれた。

 

これから散歩に行くというので

 せっかくだから一緒に行かない?

と言うと  "是非行こう!!"  と言ってくれた。

 

ドミトリーには礼儀というか、儀礼のようなものがある。

 

初めまして の人間と一緒にいるので

挨拶はもちろん 名前を名乗り 国も名乗り

こちらも相手の 名前や国を聞き 「宜しく!」

と握手しておくと 不思議なもので 少し安心して一緒に過ごせるようになる。

 

大体のやりとりは

 

Hello! my name is Masami.

 

Hello! my name is bulhum.

Were you came from?

 

I'm Japanese.

Were  your country?

 

trukey.

 

という感じで 会話はいつもお決まりである。

 

カタコト同士だと特にこうなる 笑

 

そう、上の例文の通り

宿で出会った彼はトルコ人

「ブルハム」という名前だった。

 

ブルハムと宿から通りに出た。

 

お互いカタコトの英語で話してみると

彼は「薬剤師」で 昨日までシンガポール

新薬の開発で来ていたそうだ。

 

明日昼過ぎの飛行機で帰るのだが

少しだけバカンスしにここに来たという。

 

不思議なものでカタコト同士の方が

心が通じるというか 何かが通じる。

 

それは  "相手が何を言いたのか?"

 "自分の言いたい事を どう分かって貰うか"

 

相手のジェスチャーや言葉に とにかく集中力を発揮する事で

言葉を超えた何かが発生するからだ。

 

そしてその会話を持続させるには

お互いに興味を持てる人間性とでも言うべき

親しみを感じる相手でなければ続かない。。

 

そして、伝えたい内容が どうしても伝わらない場合は 途中で諦めて違う会話を進めていく 笑

 

 

ブルハムはとても穏やかな素直そうな良い人だった。

年齢は27才。

 

僕が37才だと言うと

 若いね!信じられない!?

と言ってくれた。

 

これは自慢ではなく。

日本人は海外では実年齢より10才ほど若くみられる事が多いからだ。

 

宿とビーチの間の一本しかない "目抜き通り" とでも言うべき道を歩いていると

タクシーの運転手さん達が屯ろしている

車寄せ? 的な所に出くわした。

 

 どこへ行くんだ?タクシーはどうだい!

声をかけてきたので 色々聞いてみると。

 

ここにバスが通っていないのは

「バス会社が無いから」(当たり前である)

タクシーは全て "場所から場所" での定額

タクシー運転手は皆んな仲間だそうだ。

 

ここの島には タクシー会社は1社しかなく

みんなそこの所属で 仕事は平等に割り振っているとの事。

地元のみんなで運営している会社らしかった。

 

ブルハムは隣にある小さなツアー会社に

 明日のフライトに間に合う

 早朝から昼までのカヤックツアーを探す

と言って入っていったので

 

さらにおじさんと色々話した。

 バイクを借りた方が安いけど

 危ないからやめた方がいいよ。

 空港付近に 野生のバッファローが多いので

 そいつとぶつかると死ぬ事もある。

 だから、地元のドライバーは本当に

 バッファローには気を付けているんだ。

 お酒は安い、ビーチはすぐ裏だよ。

親切に色々教えてくれた。

 

いまから観光できるところがあるのか?聞くと

みんなで話し合ってくれて、

 マチンチャン山がいい!!

と結論を出してくれた。

 

2人だからタクシー料金も折半になるから

もし行きたいなら 連れがいる時の方がお得だ。

とアドバイスしてくれた。

 

僕は 「明日の予約が取れた!」と帰ってきて

ニコニコしているブルハムに

タクシーに乗って 一緒にケーブルカーで山に行かないか?

と早速提案した。

 

続く

f:id:matatabihaiyuu:20201118154104j:image
f:id:matatabihaiyuu:20201118154108j:image

ランカウイの猫さんたち☆

 

f:id:matatabihaiyuu:20201118160658j:image

↑ ブルハム(27)

 

 

次話

azumamasami.hatenablog.com

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ランカウイ島 上陸

 

第25話

ランカウイ島 上陸

 

フェリー乗り場を降りると

小さな空港という感じの "ターミナル感" のある施設に出た。

 

降りるとすぐに 原チャリ貸すよ!安いよー!

ラミネートしたチラシを見せられ

声をかけられる。

原チャリに乗る気は無いのでスルーしても

また違う兄さんに声をかけられる。

 

僕はこういう客引きは苦手なので。

 ノウ ノーサンキュウ。

と断りながら歩いていくと 皆ようやく諦めてくれた。

 

すぐにトイレに入り ペットボトルの水でうがいをした。

喉の気持ち悪さはだいぶマシになった。

 

トイレを出て周りを見ると

小さいゲームセンターや 食堂やお土産屋など色々ある。

 

マレーシアには 有料のマッサージチェアが結構置いてある。空港やショッピングモールになど

お金を入れないと

 ピコーん ピコーん♪

と警報音が鳴り続ける。

 

大体2リンギット(55円)で8分くらい、マッサージしてくれる。ここにも2台ほどある。

 

明らかに ピコーん ピコーん♪ と鳴らし続けながら おじいさんが 中空に目を据え 悟りを開くかのようにずっと座っている。。

 

ここでも お金を払わなくても 誰も何も言わないらしい。

空港でも、旅行者が鳴らしっぱなしで よく熟睡していたりする

 

この国ではいちいち声をかけたり 起こしたりしない。

鷹揚な国なのか。人に興味が無いのか?

とにかく別に 誰も「お金払いなさいよ」とは言わない国民性なのだ。

 

外に出ると今度はタクシーの客引きが声をかけて来る。

軽く断るとそれ以上しつこくはしてこない

なぜしつこく無いのかは 後でわかる事になる。

 

すぐ外に食堂兼カフェがあり

とてつもなくでかい "イーグルの像" があった

翼を大きく広げている

 

後で調べると この島を象徴する鳥らしい。

 

車寄せがあり 道の向こう側に ケンタッキーが見えた。

 

まだフラフラしていた僕は ここで休憩を取る事にした。

やはり日本では無いメニューも多い。

僕はとりあえずコーラを注文した。

下手なものを頼んで気持ち悪さがぶり返すのを恐れたのと 炭酸でサッパリしたかったからだ。

 

席に座っているとおじさんが話しかけてきた。

 

 どこからきたんだね?

 

 あ、日本からです。

 

 そうかそうか 

 島の地図をあげよう。

 今君はここにいるよ。

 

 この宿はどの辺りですかね?

 

 ああ、ここは西の南側だから

 ここさ。どうやって行くんだい?

 

 ええ、バスで行くつもりなんですが

 バス停が見当たらないんですが。

 

 ははは!ここはバスは無いよ。

 タクシーかバイクじゃないと。

 

僕はまたボッタクリ的なあれかな? と思っていたが。。

話を詳しく聞くと、本当にバスは運行していないようだった。

 

どうりで 客引きもしつこく無い訳だ。

結局ここから出るにはタクシーに乗るか

バイクを借りるしか無いのだから。

 

僕が「前にタクシーで酷い目にあったんだ」

というと

 

ここにはそんなのはいないよ。

大丈夫。俺の知り合いの人を呼んであげるから

それなら安心だろう? と言い

そして 乗るとも言ってないのに

外に出て勝手に若いドライバーを連れてきた。

 

ドライバーに 地図で宿の位置を指さすと

 「OK 」 と言って値段の表を見せてきた。

結構高い。。

 

一応一旦断って、他のドライバーにも聞いてみたが   皆同じ値段だった。

観念し、僕はケンタッキーに戻り 

さっきのおじさんを探した。

 

今度は違う観光客に話しかけている

その 趣味 "勝手に旅行代理店 " おじさんに話しかけ さっきの気の良さそうな若者を呼び戻して貰った。

 

とてもいい青年で 片言同士 意思疎通は出来る

 

いちいち止まってくれて、ここは土曜日には

ナイトマーケットが出て 安くてとても美味しいとか 色々丁寧に教えながら運転してくれた。

 良い運転手さんを紹介してくれたなぁ〜

と思いながら 彼の説明に耳を傾けていた。

 

余談だが

 僕は結構人相で人を見る。 目を見て、

プラス話し方で 人間性をある程度は直感的に

判断できる人間だと 自分の事を思っている。

 

それは 僕の幼少期に それを会得した経験があるのからだ。

 

僕は小学校を2つ

中学校は3つ行っている。

 

小学校の同級生は400人以上だし

中学校に至っては1000人近くいる

 

引っ越しは人生で9回 行なっている。

 

出会った人、別れた人の人数は 周りの人間より

段違いに多いし 俳優になってからは

常に「初めまして」の人々と仕事をしている。

 

単純に 人生でお会いしている人数が

普通の仕事をされてる人とは違うと思う。

 

だからなのか ある程度直感的に人を判断出来るようになったと 自分では思っている。

 

 

やがて宿の近くに出て Googleマップを見ながら曲がって欲しいところを指示する。

 

基本的な道は一本しかないので、

ここで曲がると宿ですー。

 

と伝えて 宿の目の前で止めて貰った。

入り口では何と!

モフモフな猫さんが お出迎えしてくれた!!

 

周りもヒッピー宿と言うか バックパッカー用の小さな村という感じで 似たような宿ばかりが

4、5軒向かい合って連なっている。。

なぜか鶏も歩いている。。

 

こうして僕は予約していた

「Twe Peace House hostel」

という 670円くらいの 格安の宿に

無事たどり着いたのだった!!

 

続く

f:id:matatabihaiyuu:20201118130849j:image

↑ Twe Peace House Hostel & mofumofu cat

 

f:id:matatabihaiyuu:20201118131442j:image

↑ 宿の近くと鶏

 

f:id:matatabihaiyuu:20201118131300p:image

↑ 島の南西の

 リゾートビーチから徒歩3分の好立地!!

 

 

次話

azumamasami.hatenablog.com

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

空飛ぶフェリー

 

第24話

空飛ぶフェリー

 

いよいよ今日はランカウイ島へ行く

 

昨日買っておいた チケットの時間通りに僕は

朝早く 高速フェリー乗り場へ向かった。

 

僕は "高速フェリー" と書いてあったので

勝手に "結構いい船" だと勘違いしていた。

乗り場からは "豪華客船" と "中型の客船" が見えていた。

 

僕は流石に 巨大な豪華客船では無いだろうと思っていたが 多分 中型の客船だと思っていた。

 

豪華な航海をした バタワースまでのフェリーは「50セント」という驚きの安さの割には結構しっかりした船で、

全く酔わなかったので 「2000円」も払えば

あの客船で優雅にランカウイ島へ行けると信じ込んでいた。

 

高速船乗り場に 早めに着いていた僕は

改札から 乗り場まで向かう途中にあった

キオスクのような小さな個人経営のコンビニで

朝食用に 赤赤しいチキンプレート弁当を買って待合のベンチで食べていた。

 

しかし、、これが間違いの元だった。。

 

 

いざ乗り場へ案内され船に着くと

 

そこには 石垣島から竹富島に移動した時に乗ったような。

背の低い 平たい船が停泊していた。

 

車やバイクなどを乗せる大きさではなく。

本当に人だけを運ぶ小型船である。。

 

チケット売り場からは "船体が低過ぎて" 存在自体見えなかったのだ。。

 

普通に考えたら この船なのが当たり前なのだが

僕はなんだか 詐欺にあったような気分でいた。

 

お客さんは続々乗り込んでいく

僕もそれに続いて後ろの方の席を確保した

 

前の席は 20代後半の ヨーロピアンらしい

バックパッカーの若いカップ

 

となりは。。

と、、、トト、、と、となりは。。。??

 

 

…僕は生まれて初めて

"天使" という生き物を見た。

 

ロシアの娘さんだろうか?

16歳くらいの女の子と12歳くらいの姉妹が乗っていた。

 

それは見た事がないくらい綺麗な人間だった。。

 

クアラルンプールで魔界の修行をしっかりやり通した僕は。。

 

ついに!天界に来てしまったのだ!!

と思ってしまうくらい。

 

妖精さんか天使さんだった。

 

思わず パトラッシュに

「ついにルーベンスの絵を見たんだ。。

        なぜかペナンで。。」

と呟いて 一緒に天界に連れて行かれるところだった。

 

断っておくが僕は 30歳半ばを過ぎたあたりの

「男って偉そうだけど弱いしバカよね。。

 まぁ、そこが可愛いんだけど(*゚▽゚*)」

くらい アホな俺たちを包んで下さる

大人な女性の方が大好きだし大好きだ!!

 

綺麗な人を見ても 尊敬してしまうし

別にどうこうなりたいとは

思わないタイプの人間である。

 

僕は「女性」を女性である それだけで

"尊敬しているし"   だからこそ

付き合う人とも "心のつながり" を1番大事にしている 真っ当な人間だと自負している!!! (大分言い訳が長いな 笑)

 

だが、僕にとってこの隣の女性は

オードリー・ヘップバーンを初めて見た時や

山口智子さんを初めて見た時くらいの衝撃だった。。

 

単純に 本当に美しい女性を。。

美しい人間を見た。。

 

という事である。

 

中学生の僕なら

「け、けっこんして下さい。。」

と言っていたかも知れない 笑

 

僕はまるで中学生に戻ってしまったかのように

隣の女子をドキドキしながら盗み見ていた。

 

そこには

決して邪な気持ちを抱いてはいけない

神聖な「女性像」を体現した

マリア様の様な 女性(ひと)が居たからである。

 

女性読者の方からすると

「コイツ、マジで何言ってんの?!」

と思われるかも知れないが、

そういう事が男子にはあるのダァ!!

 

とだけ勇気を出して書いておきたい!! 笑

 

そんな馬鹿な私を載せて舟は動き出した。

 

 

…最初のうちは良かったのだが。。

 

やはり外海をザッパンッ!ザッパん!!

と高速で飛んでいく舟はヤバい。。

 

天界にいたはずの僕は

親しみのある "魔界" を通り過ぎて

 

地獄に落ちていた。。

 

吐き気が止まらない。。

 

 うぉえっ。。おぇ。、ぅおぇん。。

 

と えずいていたが。。

 

限界の来た僕は 一番後ろにある

トイレとトモダチになる事となってしまった。

 

お世辞にもキレイとは言えないトイレに、しがみついて戻していた。。

 

。。船酔いの直前に、なぜ?? しかも胃に悪そうな赤赤しい食べ物Woo。。食べて。。しまったのだ。。

しかも常温に置かれていた。。?!の か?

それで気持ちが。。悪いのか??。。違うの??。。か。。

 

もう何が原因か分からないほど

頭も回らず ゲーゲー吐いた。。

 

もちろん便器も真っ赤に染まっている

 

朝の "赤赤しい" キオスク弁当のおかげだ。

 

一通り吐いた後。。

僕はヨロヨロと席に戻った。

 

不思議なもので 人間というものは具合が悪くなると、隣にどんな綺麗な人がいても興味が無くなるらしい 笑

 

もう 興味は 自分がどこまで 吐かずに耐えられるか。。と「内に内に」しか意識が向かなくなる。

 

またしばらくして "気持ち悪さ" の波が来て

トイレに行く。。

 

周りの人たちは皆「超人」なのか

平然としている。

 

 嘘だろ?! おい?おい?

 なぜ皆平気なんだ?!

 

と恨めしげに またトイレに行く。。

 

 

本当に死ぬかと思った。

あまりに皆が平気そうなので

キオスク弁当に 毒が盛ってあったのでは無いかと マジで一瞬疑ったくらいだった。。

 

3回吐いてようやく落ち着いた僕は。

 早く。。なんでもいいから着いて欲しい。。

と思いながらも 少しだけ周りを見る余裕ができた。

 

青い顔で時計を見るとまだ1時間半乗ってなければいけない。。

 

早く着いて欲しいという思いと、、

急ぐと波にガツガツぶつかるので やめて。。

 

との二つ思いが闘いながら 椅子にしがみついていると

 

  ゴタン!

 

と音がした。

前のカップルが 何かを落としたらしい。

 

下を見ると前の椅子の真下に 携帯電話が落ちている。

 

カップルは女の子の方が 急に寂しくなったのか、隣の席から彼氏に甘える様に 寝るように抱きついている。

彼は慰めるように髪と頭をヨシヨシと撫でている。。

勿論 携帯電話を落としたのには

全然気付いていない。

 

彼女の目にはうっすら涙が光っていた。

 

映画好きの僕はそれを見て

ヒッピー時代を描いたアメリカ映画や

「オン ザ ロード」を思い出していた。

 

退廃的というか。。

長い長い旅をする2人

 

旅の間 本当に頼れるのはお互いしかいない

"つがい" の2人が。。

最初の旅の目的すら忘れて

薄汚れた格好で、、いつしか旅をする事自体が "目的" となってしまった

 

      "つがいの人間たち "

 

僕は「携帯落ちましたよ」 とも言えず

それを眺めていた。。

 

携帯が 目の前に転がってきていたので拾っておいてあげた。

 

その後吐き気で

記憶が何回か飛びそうになりながら

フェリーにしがみついている間に

ようやく舟はランカウイ島に着いた。

 

やがて舟が着岸しようとした時

カップルの彼氏が携帯が無いのに気付いた。

 

肩を叩いて 拾っておいた携帯を渡してあげると

「オォウ サンキュウゥ。。」

と彼女の方が 目を見開いて

びっくりしたように お礼を言ってくれた。

 

 大丈夫だよ。頑張って。

 

と思いを込めて 僕は頷きニッコリと微笑んだ。

 

彼女はさらに目を丸くして

   "何この人??"

という顔したが僕は気にしない。

 

それより早く船から降りたかった 笑

 

列に並び船を出る。

 

陸地に立った僕は

この「天国と地獄」を生き抜き!

ついにランカウイ島に辿り着いたのだった。

 

続く

f:id:matatabihaiyuu:20201113225934j:image

↑ 船旅。。

 

 

次話

azumamasami.hatenablog.com