猫好き俳優 東正実の またたび☆

俳優 東正実の東南アジア旅

マラッカのレッドハウス前

 

第37話

マラッカのレッドハウス前

 

マラッカ セントラル バスターミナルの17番のバス乗り場から僕はバスに乗り込んだ

 

バスは地元の方たちが多かった。どうやら観光客は僕だけらしい。

観光客は 皆タクシーで移動するのだろう。

これまた地元の方らしい バスの運転手さんに、マラッカの中心に行くか聞いてみると、どうやら英語が喋れないらしく

 知らない 知らない。 と言う感じで

手を振って「話しかけるな」とジェスチャーをして来た。

 

困っていると、他の乗客が

「マラッカの市街地に行くよ。大丈夫。」

と教えてくれた。

 

最初は、

 そんなに嫌がって拒否しなくても。。

と、KLIAのバススタッフとのやりとりも思い出してカチンと来ていたが、、

 

よく考えてみたら、

もし日本で、外国人に "英語が話せる前提"で、話しかけられても、僕も確かに困る。

 

いつも英語でやりとりして来たが、

それを当たり前の様に思い始めていた自分を反省した。。

 自分は、このバスの運転手さんの生活圏に

 "お邪魔させて貰っている"

と言う大前提をもう一度心に刻んだ。

 

やがて どこで降りれば良いかドキドキしていると、隣の席の 地元の若い男性が「次だよ」と 教えてくれた。

なんか、乗客みんなが味方で、僕が目的地で降りられる様に 気を遣っていてくれた。。

 

それが凄い嬉しかった。

 

そして僕は憧れの地、マラッカの

「レッドハウス」の前に降り立ったのであった!!

といっても、今回は事前に あまり調べていなかったので

 赤い大きな建物の前の 広場に着いた。。

としか思わなかった 笑

 

レッドハウスの前は観光客がいっぱいで、

ギターを弾いて歌っている人もいる。

それに合わせてノリノリで踊り始める外人さんをみて

 御伽の国に来たのかしら?

と僕は少しびっくりした。

 

川を挟んで 上野駅にもある 有名な

 「HARD ROCK CAFE

がある。

 

レッドハウスの少し離れた所に、観光客を乗せる為のリキシャ?が待機している。

リキシャは、ピカチュウや キティちゃんなどのキャラクターで覆われている。プラスチック製のそれには、アナ雪まであった。。

わかりやすく言うと、観光客を乗せ 大音量のBGMをかけながら 電飾を光らせて爆走する「自転車」である。

勿論 任天堂や、サンリオ、特にディズニーには、一切使用許可は取っていないと思う。。

 

まずは 地図をダウンロードしておいた Googleマップ先生を開き、衛星情報で 現在地から宿の星マークへと移動する事にした。

 

橋を渡った川向こうに 宿はあるらしい。

 

橋を渡ると右手に「HARD ROCK CAFE

左手に「H&M」の建物があり、その先に長い商店街というべきお土産街に出る。

 "ジョンカー ストリート" というらしい。

僕の宿はその一本隣の路地にある。

 

ブッキング.comのレビューで、

「世界中の優しさを集めて 煮詰めて抽出すると彼になります」

と評価されている 宿の主人がいるドミトリーに、僕は宿を取っていた。

主人の名前は "サム" というらしい。

 

ジョンカーから、隣の通りに入ると、バックパッカー用の宿が乱立していた。

自転車で大八車を引っ張って、マレー半島を旅しているらしい ドレッドヘアーの旅人を見かける。

 色々な旅のスタイルがあるのだなぁ。

と感心しつつ宿を探す。

 

黄色い横開きの鉄のガレージが閉まっていて、一回通り過ぎてしまったが、戻って良く見ると、宿の名前を見つけた。

人一人分通れる扉が付いていて、そこの小さなドアから入るらしい。

 

入るとカフェになっていて、噂の主人が出迎えてくれた。

主人はメガネをかけた「進ぬ電波少年」の

"明友のチューヤン" にそっくりな 気の良さそうな柔らかな雰囲気の方だった。

 

壁には「自転車に乗った彼」を描いた絵が掛かっている。きっと宿泊者がプレゼントしたのだろう。

それを見ただけで、彼の人柄がなんとなく判った。

 

部屋は5人部屋で、六畳くらいの少し狭い部屋に 二段ベッドが2つ、1人用のベッドが一つ。

木のしっかりした作りのベッドが  "コの字型"  に配置されていて、カーテンもあるので狭さは感じない。快適である。一日一枚の洗濯済みのバスタオルと500mlの水が2本付いてくる。

一日一杯 カフェのドリンクも無料だそうだ。

一階のカフェから、奥に行くと直ぐに部屋なので、ゆったりしたければ、カフェで過ごせば良い。

 

部屋を案内してくれた後に、サムが少し申し訳なさそうな顔で話しかけてきた。

「マサミ 今日はね。あのね。君以外は

 4人全員女性なんだ。。大丈夫かい?」

男女共同ドミトリーだとは知っていたが

僕以外が全員女性だとは思わなかった。

 

ちょっとビックリしたが、逆にいうと、

女性が多く泊まるということはそれだけ、清潔で宿の評判が良いという事である。

 

「大丈夫。僕は誰とでも仲良くやれるから」

と言うと、サムは最高の笑顔で笑っていた。

 

荷物を置いて一息ついた僕は、ひとまず散歩に出る事にした。

散歩ついでに尋ね人の "ケルビン氏の家" を確認しておきたかった。

明日 気持ちを整えて、きちんとした格好で尋ねるとして、場所をまず確認したかった。

 

宮下さんに送ってもらった 玄関先の彼とのツーショット写真と、手紙を送っていた住所を元に、ジョンカーストリートを奥に歩いていく。

 

お土産屋さんは おもちゃ屋、アンティーク、サンダルの店、カフェバーなど色々ある。

結構長いストリートである。

 

関帝廟を左手に見ながら さらに歩くと、

右側に巨大な黄金の マッチョの上半身の銅像が現れた。。

僕はこれを、黄金バットならぬ

「黄金マッチョ」と呼ぶ事にし、道の目印にする事にした。

 

やがて突き当たりを 左に行くと、ケルビン氏の家の付近に出た。

 

Googleマップ先生の星印に向けて歩き

送ってくれた玄関の写真と見比べる。

 

 あった!! ケルビン氏の家だ。

 

生まれて初めて行く土地で 会ったこともない人の家を探すと言うのも 中々出来ない経験である。

 

ドキドキしながら、鉄格子の窓から 家の中を少し覗いてみたが、人の気配はない。。

長細い、だいぶ 奥まで長いお家である。

 よし、明日くるぞ!

と勢いこみ、そのまま、ネットで調べておいた 夕陽の名所と言われるスポットに向かった。

 

ケルビン邸の裏手から海側へ向かったが、、何か雰囲気が良くない。。

住宅地なのだが、野良犬も多く、僕の危険センサーが作動し始めた。

治安があまり良くなさそうな雰囲気を感じたのだ。

気を張りながら、さらに海側へだいぶ歩き、海への一本道に出ると 急に野良犬が増えた。。

 

自転車をレンタルして来なかった事を後悔しながら、、最大限の警戒をしながら進んでいく。

 

何とか10匹以上をやり過ごして、やっと海に出た。  怖かった。。

帰りは日が沈む前に通らないと 本当に危ないな。。

と思いながら海に出た。

 

この野良犬ストリートは、2人乗りの自転車で僕を追い越して行ったカップル以外、誰も通らなかったのだが、海岸には結構人が居た。

屋台も一軒出ている。

屋台で缶コーヒーを買って海から眺めたが、沈みかけなのと、半島というか、埋立工事のせいで、夕陽が良く見えない。。

 

僕はコーヒーを飲み、夕日の色に煌めく海をしばらく眺めて、まだ夕闇が残る内に

野良犬達をやり過ごす為に 暗くなりつつある道を急いで戻る事にした。

 

 無事宿まで辿り着けますように。。

と祈りながら 僕は来た道を慎重に戻り始めた。

 

続く

 

f:id:matatabihaiyuu:20201231003404p:image
f:id:matatabihaiyuu:20201231003323p:image

↑レッドハウス前

f:id:matatabihaiyuu:20201231003331p:image

↑レッドハウス前広場と

川をはさんだ「HARD ROCK CAFE

 

f:id:matatabihaiyuu:20201231004340j:image
f:id:matatabihaiyuu:20201231004400j:image

↑ 待機するリキシャ達 笑

 

f:id:matatabihaiyuu:20201231004640j:image

↑ 宿にあった主人のサムの似顔絵

 (実物は眼鏡あり)

 

 

次話

azumamasami.hatenablog.com