猫好き俳優 東正実の またたび☆

俳優 東正実の東南アジア旅

伝説のカオサンロードへ

 

煌びやかなネオン街の門で再び集結した僕たちは その後、何故か宿に帰って来ていた。。

 

歩いている途中で雨が降り出し、傘も持っていない僕たちは、メータータクシーを止めて、すぐに乗り込んだ。

そしてその雨は降り続け、やがて土砂降りになり、とても 何処かへ行くとかいう話では無くなっていた。

 

タクシー運転手は、結構 大変な人であった。。

30歳半ばの 細身のタイ人男性で、まだ仕事を始めて日が浅いのか、まずドアを開けた時に、

隣の車線で止まっていた隣の車に、

 ドアがぶつかったのでは無いか?

と泣きそうな顔で心配して、

「ブロークン、ブロークン!!ドアー!

 カー ドアァァ!ブロークン、ユー!!」

と発狂せんばかりに、タイ語とカタコトの英語で、半泣きで まくしたててきた。。

 

いや、ぶつかってないよ。

大丈夫だよ!  そう!大丈夫。

お、落ち着いて。大丈夫だから。

 

そんなやり取りをして、宿に向かってもらう。

とりあえず有名なモニュメントに向かって貰い、途中からこちらが、

「ライト」だの「レフト」だの指示をする。

その際も、

「こっ、こ、ここからか??

 ここ曲がるのか?!先か?!

 レフトはこっち? あ、こっちか??」

とまたしても発狂寸前であった。

 

最後に、宿への細い道に入って貰おうとすると、

「いっ、一方通行だ!!

 ここはぁ!! きっとそうダァぁあ!

 イッポーツーコー! なんだぁっっ!!

 ここはダメだ!警察につかまるぅぅう!」

と再び発狂したので、面倒くさくなった僕らは、もうここからは 歩いて帰ることにした。

 

雨が小降りになっていたとはいえ、まったく やれやれなタクシーであった。

(後でバンコクに詳しい人に聞いた所、

 最近のバンコクタクシードライバーさんは

 タイの田舎から、出稼ぎて来ている人が多く

 まだ、都会にも 道にも 外国人にも 全然

 慣れていない人が多いとの事だった。)

そんなドライバーさんは、僕ら外国人が降りて、ホッとした様子だった。

 

小雨の中、僕らは小走りで宿に戻り、宿の共有スペースで雨宿りする。

この宿は、ビールやコーラなどが、キッチンの冷蔵庫に常備されており、後清算で飲んで良い。

システムを聞くと、冷蔵庫の横のノートに名前と、買った本数を「正の字」で記入するらしい。(結構雑な管理も、日本人を信用している証拠だろう 笑)

僕らは早速それらを飲みながら、色々と話し、雨が止むのを待った。

 

木下さんは、有名なお寺さんで、観光客に精進料理を出す店で働いているという。

今はオフシーズン?なのか、時間ができたのでタイに来たようだ。

そういえば坊主頭であるし、そのせいか、何か普通の人とはちょっと違う雰囲気がある。

 

ナンちゃんは、ここに来る前は台湾で、ギター片手にストリートライブをしながら旅をしていたが、まとまったお金になったので、タイに来たようだ。

台湾の人は日本人に優しいので、投げ銭でも結構お金になるらしい。

「通帳作れるくらいのお金になりましたよ 笑」

と、喜んでいた。

香港も、物価が高く日本人に優しい人が多いので、かなり稼ぎになるという話だった。

 ここでもストリートライブするの?

と聞くと、

「今日は着いたばかりだから、

 明日あたりカオサンでやりますよ。」

というので、僕は 俄然興味が湧き、明日一緒に行く事になった。

その為にも、ナンちゃんは、雨が止んだらカオサンロードに、ライブできそうな所を、下調べに行きたいと言っていた。

 

そして、しばらく話していると、丁度雨が止んだ。僕たちはカオサン通りで飲み直そうと、意気込んで宿を出た。

この宿からカオサンロードまでは、徒歩10分ほどで着く。

 

辿り着いた 夜のカオサンは、凄い熱気だった。

今は、一番の繁華街の商号は、スクンビットなどに移ってしまい、ありし日のカオサンはもう無い。と嘆く旅行記を読んだことがあったが、そんな事は無い。

祝日の原宿ほどでは無いが、大賑わいだ。

逆にこれ以上賑わっていると、僕などは来たく無くなるだろう。

 

まず、カオサン通りに行く 前の通りから賑やかで、屋台でカオマンガイや、パッタイなど、タイの代表料理をおばちゃん達が、鉄鍋を振り、一心不乱に笑顔で作っている。

そして、カオサンロードには クラブやバーが軒を連ね。

その前には、お土産屋や、衣料品屋、果物やジュース屋などの屋台が、軒を連ねている。

 

外国人が所狭しと歩き回り、夜はこれからとばかりに、大盛り上がりだ!!

 おおおお!!!マジか〜〜!!!

 スッゲェな!! カオサン マジでヤバいな!

と僕が盛り上がっていると、何度も来ているナンちゃんは、

「ははは、ずまさん良かったっすね。

 一緒にひと歩きして、明日のライブ、

 やれそうなところも見つかりましたよー。」

と一緒に楽しんでくれていた。

 

バックパッカーの聖地」とまで言われている、憧れ続けたカオサンロードに、

 僕は今、自分の足で立っているのだ。

 そう!自分の足で、旅をして 日本を出て

 今!ここに、ついに! 立っている。。

何か物凄い事をやり遂げたような達成感と感動が僕にはあった。

 

ついこの間まで「外国」にすら行った事がなかった僕が、思い立ち、計画し、覚悟を決め旅に出た。

そして、憧れ続けた地に、遂に辿り着いたのだ。

これは、自分の人生にとっても大きな事だった。

 

一人 感慨に浸る僕に、

「どこいきましょうかぁ?」

と木下さんが、のんびり聞いて来たので、ナンちゃんが、前によく行っていたという、一本カオサンから入った通りの、小さな食堂風の場所で飲む事にした。

店の前の、テラス風のプラスチックのテーブルで3人でチャンビアーで乾杯する。

隣のカオサン通りより、地元感がある場所で、風も心地よい。

(ああ、俺はこれを感じたかったんだ…)

と、楽しい仲間とゆったり飲める事が最高の時間となった。

 

ナンちゃんは、頭も良いし、人も良い。

僕は彼が大好きになっていた。

僕が役者だと言うと、俄然彼も僕に興味を持ったようだった。

ナンちゃんが、酒が進んだ時に少し寂しそうな顔で、

「ズマさんは、役者だから言うんですけど…」

と前置きしてから話した事が印象的だった。

「実は、こう言う稼ぎ方してる僕らって

 旅ブロガーの人とか、他の旅人に、

 日本人を売りにして、小銭を恵んで貰ってる

 乞○きと一緒って言われる事があるんすよね…」

と言って来た。

僕の友人の俳優で

 「大道芸人」になりたいし、

 そんな風に いつでも演じられて、

 芝居で稼ぎながら旅をしてみたい。。

と言っている奴がいて、僕は出来るなら

 そんな彼女と仲間と、

 一緒に 一年くらいそうやって

 一緒に世界を回れたら素敵だな。。

と思っているような男なので、

 いや、俺は凄いと思うよ。

 そんな事を言ってる奴は、目の前の人間から

 一円すら貰った事が無いやつだよ。

 俺はナンちゃんは凄いと思うよ。

 絶対に、それも人間力だよね!!

と話すと嬉しそうに、

「ズマさんそう思います!?

 嬉しいなぁ。。なんか良かったなぁ。。

 俺、ここおごりますよ!マジ嬉しい!」

と、僕は奢ってもらう事になってしまった 笑

「ええと。。僕もそう思います。僕はぁ?」

と可愛い顔で聞いて来たので、木下さんもナンちゃんに奢られる事になった。

この人も、実にちゃっかりした人である 笑

 

とても楽しい 良い奴らと飲みながら、伝説のカオサン通りの隣で、とても心地よいタイの風に身を任せながら、

(やはり旅に出てみるもんだ。

 日本を出て本当に正解だった。)

と僕は、この伝説の地の風を、

しみじみと心ゆくまで噛み締めていた。

 

続く。

 

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↑ 夕方のカオサンロード

 夕方はまだ本気を出していない 笑

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

バンコク ジャパンビレッジ

 

ここの日本人宿はかなりの規模で

「ジャパンビレッジ」という言い方がしっくりくる。

それほどの日本人の多さだった。

 

ここはもう、ひとつの村である。

若者が多いこの村には、色々な旅人がいて面白い。

長期旅行者も多く、もう日本に3年、5年帰ってない という人もざらにいる。

 お金はどうしてるのか?

と聞くと、皆、物価の一番高い、オーストラリアで、青年海外協力隊を通じて農場で働くらしい。

長期旅行者の旅人は、一度はここで働いた事があるとのことだった。

 

住むところも、食事も出る為、あまり生活費はかからない。大体2ヶ月で70万以上稼げるらしい。

それを元手にまた、旅に出るのだとか。。

皆、どうしても日本に帰りたくないらしい 笑

 

他の手段は、皆 一芸を持っているので、路上でギター片手に歌ったり、大道芸のような事をして、日銭を稼いでいるらしい。

すごい暮らしだ。

 

何にせよ、およそ日本で聞いた事も、会った事もない面白い人達である。

 

そして中には、ここが心地よいので、日本で少しまとまった休みが取れると、ここに泊まりにくる 短期旅行の常連さんも多いらしい。

 

そんな皆は、する事がない時は、屋根もある吹き抜けの共有スペースで、ダラダラしたり、ギターを弾いたり、トランプをしたりしている。。

まるで大学のサークルを思い出させる。

そんな自由さがここにはあった。

 

僕が到着した時、鍵の番号を教えてくれた男性は 長期旅行者で、南野という28歳の旅人であった。

かなり柔らかい印象の青年だ。

初対面で、不思議とウマが合った僕達は、すぐに打ち解けて、

僕は、彼の渾名である「なんちゃん」という名前で呼ぶことにし、彼には 日本での僕の渾名である「ヅマさん」と呼び合う事になった。

バンコクには何回も来ているが、ここに来るのは初めてだという。

そして、今日来たばかりだと言う。

もう3年 日本には帰っていないそうだ。

 

 

宿の主人さんが、明日帰ってくるとのことなので、とりあえず代理の、旅人兼スタッフの方に、部屋に案内してもらう。

2階の一人部屋であるが、言われた通りクーラーは無く。扇風機が一台あるだけの、角の部屋だ。

3畳くらいの部屋は、そこまで狭くはない。

 

僕は荷解きをして、部屋はやはり暑いので、早速 涼しそうな共有スペースに降りていった。

 

下ではなんちゃんが、もう一人の日本人と、ギター片手に話している。

話しかけるともう一人は、木下さんという男性で、童顔で ちょこんとした感じの人で、30歳だと言う。

3人とも「今日この宿に来た」 という、何かの縁で、僕らは色々話して仲良くなっていた。

そして、そんな日本人宿は、誰かがイベントを提案して「いきたい人〜」と募ることもあるようだ。

 

今夜は 常連組の、29歳の、いかにも日本で仕事をバリバリやってそうな女性の提案で、有志の皆で出かける事になった。

なんと無しに、彼女に仕事を聞くとやはり大手のレコード会社勤務らしい。

中々 綺麗な女性である。

 

僕は、なんちゃんと、木下さんと話して、

「せっかくだから」と、皆と一緒に行く事にした。

10人程のメンバーは、タクシーにバラけて乗って、現地に向かう。

タクシーの交渉は、旅人のなんちゃんに任せて、場所までも指定してもらう。

 

ここバンコクは、タクシーは、まずは窓越しにやり取りする。

まず、メータータクシーか聞く。

メーターじゃ無い場合は、場所を告げて、いくらで行くかと交渉をする。

 

何故最初にメーターか聞くかというと、ほとんどの場合、メータータクシーの方が安いからである。

メーターを積んで無い運転手は、行き先にもよるが、大体50〜100バーツは高くふっかけてくる。そういう運転手はこちらが、

 メータータクシー?

と聞くと、答えずに、すぐ行く場所を聞き返してくる。

 

幸いメータータクシーがすぐに見つかり、僕達は、夜のバンコクへと繰り出した。

ここバンコクは、もうタクシーがほとんどのようだ。

タイの代名詞だと思っていた、トゥクトゥクはまず見かけない。

聞くところによると、ベトナムのシクロと同じで、観光用の乗り物になっているとか。。

ありし日のタイが見れないのは、少し寂しいが しょうがない。

 

そんな中、すぐにメータータクシーを捕まえた僕たちは、なんちゃんの英語で、行き先を告げた。どうやら有名な歓楽街らしく、そこの名前を聞いたタクシー運転手は、「OK。」と片手を上げて、すぐに出発してくれた。

なんちゃんに聞いてみる。

 

 なんか、どこ行くのかわからんのだけど、

 なんて言ってたっけ?

 

「ゴーゴーボーイっすね。」

 

 ???  ゴーゴーボーイ??  なんそれ?

 

「僕も行くのは初めてですけど。。

 まぁ、ズマさん、行けば分かりますよ」

そういって なんちゃんはニヤリと笑った。

 

木下さんをみると、彼もキョトンとしていて、目が合うと(わかりませーん)とジェスチャーをしてきた。

やがてタクシーは、煌びやかなネオンのあるゲートの前で止まった。

ゲートの奥はさらにギラギラとしたネオンで明るい。

まるで、近未来映画のセットの様だ。

他のメンバーは僕らを待っており、全員でお店へと向かう。

「一人、〜バーツで、

 飲み物はまた別だけど良いかな〜?」

と例のレコード会社の女性が、テキパキと交渉してくれる。

ここまで来て、入らないという選択肢などない。よっぽど高くなければ、帰る者など居ないだろう。

みんなOKして、店内に入る。

店内は薄暗く、タイ人の男性のスタッフに案内される。

奥へと進むと、何やらトランスミュージックの様な音が聞こえ始める。

やがて店内の開けたところに入り、僕はなんちゃんが、ニヤリと笑った理由を理解した。

 

店内には、中央に花道の様な横長のステージがあり、まっ裸のマッチョな漢達が踊っていたのだ。  みな若い。。

僕は唖然としたが、ここに来たいと言っていた例の女子は、大喜びである。

 

奥のL字型の豪華なテーブル席に通される。

レコード会社の彼女は、舞台の真下に移っていき、かぶりつきで楽しそうだ。

僕と同じく、どこに行くのかよくわからないまま付いてきた、まだ20歳くらいの大学生の女の子は、びっくりしすぎたのか、目をまん丸くした後、真っ赤な顔を手で覆っていた。

 

舞台のすぐ横のかぶりつき席には、眼鏡をかけた、まだ16、7歳であろう、タイの若い男の子の客が2人ほど 憧れる様に、頬杖をついて、うっとりと彼らの肉体美を見上げている。。

 

 なるほど。。そういう男子達の、

 楽しみの場所でもあるんだなぁ…

と妙に納得する。

 

大はしゃぎの例の女子と、仲間の2人の女子は大はしゃぎだが、我々男共と、女子大生には、ちょっとキツイだけだった。

皆黙ってお酒を飲んでいる。。

僕は役者のサガなのか、せっかく来たので、とりあえず、一回り店内を回って見ることにした。

 

舞台にはバーもあり、トランスミュージックに合わせて、男達はクネクネと踊ったりしている。

ステージを降りたところでは、パンツ一丁の男達が、出番待ちなのか、ひたすらバーベルなどで、体を鍛えている。。

ゆっくりと、重そうなダンベルを上下させ、上腕を鍛えている、パンツにサスペンダーだけの格好の男性もいる。。 きっと オシャレなのだろう。

 凄いな。。 凄い空間だ。。

席に戻った僕は、その光景を見ながら、皆と酒を飲む。

しばらくいたが、僕は正直なので、

「俺、もう充分だから、

 他のお店に行こうかな?」

と言うと他のメンバーも、激しく同意してきた。

舞台前で楽しんでいた女子3人組も、満足したのか、帰ってきた。

彼女達は、僕らの雰囲気を感じ取ったのか、もう満足したのか、みんなで、

「出ようか。。」となり、店を出た。

 

会計はレコード会社の女性がまとめてしてくれ、一人いくらでいいよ。

と多めに出してくれていた。

思ったより、みんなが引いていたので、

流石に「悪いな。。」 と思ったらしい。

凄いところに連れてきてくれた挙句に、大はしゃぎしていたので、

(おいおい… ちょっと オネェちゃん。。 笑)

と思っていたのだが、案外可愛いところがある。

 

店を出たところで、奥の飲み屋で みんな飲むらしい。

僕は(もうここは充分だな。)と思っていたので、黙って店の前にいた。

皆、奥にワイワイ言いながら消えていった。

(まぁ、一人いなくなっても大丈夫だろう?)

と僕は、やはりあまり大人数でつるむのは昔からあまり好きでは無いので、自然とそれを見送っていた。

 

(さてと、。どうしたもんだろう…?)

と一人、入り口のゲートに帰ってきた僕に、声をかけてきた男性がいた。

それは なんちゃんだった。

「ずまさ〜ん、どこ行くんですか?

 一緒に飲みにでもいきましょうか。」

優しい笑顔でそう言ってくれたなんちゃんの横には、木下さんもニコニコしながら、立っていた。

どうやら僕のバンコクナイトは、これで終わらない様だった。

 

つづく。

 

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バンコクのタクシー


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↑ 近所の猫さん😊

     挨拶すると返事をしてくれる🙏

 

 

次話

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バンコクの不思議なバス

 

前を向いて歩き出した僕は、すぐにオンヌット駅に着いた。

 

階段下で、今日も盲目の女性がカラオケを口パクで、歌っている。

彼女の側の缶に、そっと小銭を全て入れた。

この街への感謝も込めて、それが この街への僕なりのお別れだった。

 

オンヌット駅はからは、Googleマップの、指示に従う事にする。

宿で調べておいた「経路」の通りに行く。

Googleマップの便利さは、他の追随を許さないのでは。。?

と思う事が良くある。特に海外だとそう思う。

(中国だとGoogle系は全て使えないので、

 流石のGoogleも無力らしいが…)

 

少し前に気付いたのだが、かなり便利な機能がタイでも使える事を、改めて発見していた。

行きたい場所をタップして、その後、

「経路」ボタンを押すと、車での時間や距離、徒歩での所用時間が出て来る。

そして「電車」のマークを押すと、公共交通機関での行き方が出てくる。

完璧では無いし、出てこない経路もあるが、バスなどを利用する場合には、重宝する。

日本だけでは無く、この機能が タイでも使える事に気付いたのである。

 

「まず宿から最寄駅まで、徒歩で8分、

 その後、BTSに乗るという指示。

 出発と、到着駅までと時間。

 その駅から8分歩いてバス停へ。

 何時発のどこ行きのバスに乗ると、

 何分でこのバス停着、そこから宿へは、

 徒歩で10分で着きますよ」

という感じで、外国でも経路が出る。

 

今回の僕の経路は、オンヌットからBTSに乗り、

Phloen Chit(プルンチット)駅で降り、そこからバスで行くと一番良いらしい。

 

僕は、旅に出てからは、

Googleマップ先生の生徒ととして、旅をしてきたので、恩師の言う通りに宿に向かう事にしてみた。

まずオンヌット駅から、電車に乗る。

BTSのプラスチックカードをインサートし、警察官のいる物々しい改札内からホームへと向かう。

電車で、例のプルンチット駅に着く。

周りにはあまり何も無い駅だ。

ここからは、歩きでバス停までなのだが、意外と歩いた。。 旅のフル装備の僕には堪える。

 

 あ、あっつい。。死ぬ。。

 

暑いと、すぐに死にかける、汗っかきな僕であるが、水をガブガブ飲みながら、なんとかバス停に着いた。

 

バス停はスーパーの前にあったので、中に入りとりあえず涼む。。

時間は気にしない事にしていた。

経路案内で指定された、乗らなきゃ行けないバスの時間を過ぎても、3分おきくらいに、同じような路線のバスがいっぱいくるはずだからだ。

それに、東南アジアで、時間通りにバスが来るハズがない 笑

 

中で、水も買い足し、日陰のスーパーの日除けのシェードの下でバスを待つ。

やがて古びたオレンジ色のバスが来た。

窓は全開で、どうやらクーラーなどと云うものは 付いていなさそうだ。

 

僕はそれに乗り、目的地へと向かう事にした。

日本のバスと同じで、バスはややこしい。

 後払いなのか? 先払いなのか?

 小銭しか使えないのか??

と、集中力を最大限にして、行き先だけでなく、支払い方法なども含めて、とてつもないプレッシャーに晒されることである。

幸い僕は、時間だけは無限にあるので、乗り間違えようが、行き過ぎようが、そこのプレッシャーだけは皆無だ。

 

なので早速、行く場所をタイの人に見せて、

「ここに行きたいんだけど、

 このバスで合ってるかしら?」

と聞いてみる。

一人目の30歳くらいの男性は、英語がわからないのか、困った顔で、首をかしげた。

 

数人が携帯を覗き込んでくれたが、一人の強そうな40過ぎのおじさんが、「OK!」といってくれた。 おじさんは力強く、

「行く行く!大丈夫だ!このバスだ。

 俺に任せろ!そうだ!安心しろ!

 俺に任せれば、降りる場所も大丈夫だ!」

とかなりの強さで教えてくれた。

僕は嬉しくなり、覚えたての男性語尾で、

「おじさん、コップンカァっプ!」

とお礼を言い、そのままこのバスに乗ることになった。

後ろのドアから入り、皆 そのまま席に座ったので、このバスはきっと

後払いなのだろうと結論付けた。

席は、おじさんと通路を挟んだ隣に座った。

 

おじさんは良い人なのだが、あまりこちらの云う事が伝わらないのか、それとも使命感なのか、かなりの自分のペースで喋る。

 このバスは どこ行きなのか?

などと聞いても、答えは全て、

「大丈夫だ、俺に任せておけ」だった 笑

僕はもう 腹を決め、おじさんに全てを預ける事にして、Googleマップも見るのをやめた。

 

とりあえず、おじさんとなんとなく話す。

おじさんは そこまで英語が喋れないので、タイ語と日本語と英語で

伝わっているのか。 伝わっていないのか?

という会話を延々としていた。

 

「どこからか? コリアンか?」

 

 いえ、日本人です。

 ええと、ジャパン、ジャパン。

 ジャパニーズ!

 

「おおそうか、いつタイに来たんだ?

 だから、、いつ?いつ?タイ??」

 

 一昨日、、ええと、ツーデイ ビフォア

 ツーデイ…、まえ、前に。ふつか前。

 二、ツー?分かる? ツーね。デイ、ツー!

と云う具合に、ほとんどジェスチャーで、会話が進む。

その為、彼と僕は話はしたが、たぶん、お互いの脳内に残っている会話の内容は 全く違う可能性が高い。。 が、それはそれである。

どこの国でも、似たようなやりとりが色々あった僕は、そんな事にはもう慣れ切っていた。

お互いに興味があれば良いので、内容など重要では無いのだ、きっと 笑

 

おじさんと話しているうちに、信号の向こうに何やら巨大なモニュメントらしきものが見えてきた。

(ここら辺じゃ無いのかしら?)

となんとなく思いながらも

おじさんの話は終わらない。

話に夢中なおじさんの肩を、後ろの これまたおじさんがトントン叩いた。

するとおじさんは、ハッと気づき、

 ここだ!ここ!!

 おーい!降りるぞー!

と運転手さんに大きな声で呼びかけた。

 

バスはバス停に一直線に寄り、急停車した。

いきなりの展開に僕は驚いていたが、

「いくらですか?」と運転手に聞くと、

「降りろ降りろ!」という。

困って後ろを見ると、おじさんが、

「フリー、フリー」と連呼してくれていた。

 

なんと!? どうやら信じられない事に、タイのバスは無料らしい。

このバスでは、みんな気軽にひょいひょい乗って来ては、ひょいひょい降りていくので、不思議に思ってはいたのだが、、

「きっと定期か何かを持っているのだろう…」

と、考えていた。

流石に 無料だとは考えもつかなかった。

そんな 人生初の無料路線バスを降りる事にした僕は、

運転手さんにも 「コップンカップ!」

おじさん達にも 「コップンカップ!!」

とお礼を言ってからバスを降りた。

過ぎ去るバスから、おじさんは手を振ってくれていたので、それに答えた。

 

さて、、である。

巨大なモニュメントの 周りを回る車達を見ながら僕は、オンヌットとは、全く違う顔を見せるバンコクを感じていた。

道は4車線で広く、歩道も広い。

何か今までのような街では無い。

 

Googleマップで、現在地と、宿を確認する。

西にバスで移動してきた僕は、どうやらここからは徒歩で北へ向かうと、宿に着くらしい。

 

片掛けにしていたバックパックをゆすり上げ、僕は、北へと歩き出した。

 

途中、日本料理の小さな食堂があった。

メニューを覗いてみるが、値段の割にはあまり美味しくは無さそうだった。

(ここは無いな。。)

と勝手にランク付けしてさらに進む。

途中に結構 不思議なお店が多い。

額に入ったタイ国王の、写真などを全面に売っている小売店が結構あるのだ。

あまり日本では見かけないお店である。

奥では何やら、他の物も売っている。

 タイの国王様は、

 皆に愛されている方なんだなぁ。

と不思議とそう思う光景だった。

 

さらに北上し、大通りから一本入る。

日中なのに、急に人通りがなくなり、ちょっと雰囲気が良くない。

久しぶりに、僕の危険センサーが発動し始めた。

お店などは無い、民家だけの通りだが、ちょっとだけ、スラム感を感じる通りだ。

動かないであろう、パンクした、廃れた車も放置されている。

 

野良犬と、左右に気を配りながら、まっすぐ歩くと、しばらく言ったところに、僕の宿はあった。

ここは、外壁で囲まれた 結構大きな敷地の、大きめの一軒家が 二つほどある造りで、敷地内への入り口は一つだ。

金網の門にキーチェーンの鍵がかけてある。

中に見える共有スペースらしき庭には、日本人らしき人がいっぱいいる。

門の前に立った僕に、その中の一人の男性が、声をかけてくれた。

「今日泊まる人ですか??」

 はい、そうですが。。

「なら、そこの鍵を開けて入ってきたら良いよ

 番号は36079だから。」

番号通りに鍵を合わせると、鍵は開き、僕は門を抜けて、敷地内に入れた。

この時声をかけてくれた気のいい若者が、

「なんちゃん」と呼ばれる日本の旅人で、この後、この宿で 一番一緒にいることになるとは、この時は 全く予想などしていなかった。

 

つづく。

 

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↑ 巨大なモニュメントと大通り。

    このモニュメントをぐるっと車は周る。

 

 

次話

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河岸替えの日と 揺れるこころ

 

今日は日本人宿のハシゴの日だ。

なかなかの河岸替えである 笑

 

「宿にあれば、誰かが使うので ^_^ 」

そうオーナーさんに言われたので、

地球の歩き方 東南アジア編」等、日本から持ってきたは良いが、もう使わない、使わなかった物など「勿体ない!」と捨てられなかった物も、宿に寄付し、荷造りを終えた僕は、

一旦荷物を預かってもらい、チェックアウト手続きをして、手ぶらで散歩に出た。

 

隣の市場へ行き、例の25バーツ(82円)のワンプレートの食堂へ行く。

いつも通りなのか、ここは混んでいる。

おばさんが、お椀にライスを入れ、それをお皿の中央にカパッと盛り付け、ご飯を山盛りにし、それを受け取った 違うおばさんが、三品 盛ってくれる。

今日は豪華に5バーツ足し、4品選べる、

30バーツ(100円)のプレートにした。

 

角煮と、野菜炒め、チキン、そしてやっぱりグリーンカレーを反対側にかけてもらう。

アジアに長く居るうちに、僕は カレーを朝から食べる男になっていた。

そんな アジア イチロー朝食に目覚めた僕は、

今朝は 4品の贅沢な モーニング野郎。である。

それでも相場からすると 本当に安い 笑

 

まずは野菜炒めを食べる。

優しい野菜の旨味で、胃に おはよう とご挨拶だ。

次に角煮を食べながらごはんをパクつく。

サイコーの タイラフテー丼である。

少し硬めの角煮にはしっかりとアジアンな味がついており、僕の味蕾を刺激する。

最後に、辛めの手羽チキンから 身をほぐし、グリーンカレーと混ぜて、〆のカレーだ。

トリの辛みと、グリーンカレーのスパイスの旨味が溶け合い、マリアージュする。

 カラカラ、辛うまぁ〜。

 喉もカラカラ〜。でもうまぁ。

それをラストスパートのようにかっこんだ僕は大満足し、そのまま 例のアイスカフェラテを買いに行った。

 

今日は2人体制で、若い従業員の男性が、店頭に立っていた。狭い奥でおばさまが、忙しそうに、飲み物を作っていた。

おばさんに声を掛けると、手を止めて話をしてくれた。

「あら? あんた また来てくれたの?

 また同じのでいいの??」

「うん。ありがとう。セイムセイムね 笑

 今日、オンヌットを出るんだ。」

「あらら、残念だわね。

 でもまた帰っておいでねー」

と暖かい言葉と、冷たいカフェラテを渡してくれた。

 

僕は手を合わせ 頭を軽く下げ、

「コップンカぁっプ」と キチンと男性語尾でお礼を言い、街に出た。

 

僕は 昨日もかなり歩いた。。足もなかなか疲れている。そこで僕が行くのは、昨日見つけた格安マッサージ店である。

マッサージが、1時間150バーツ(500円)の店はどうなのかを確かめに行く事にしたのだ。

例の角を曲がると、格安マッサージ屋である。

 

運良く、昨日のおばさまが、また暇そうに声を掛けてきてくれた。

おばさまに近付いて、

「1時間 150バーツのコース大丈夫?」

と聞くと、明るく。

「OK! ヤスイ、ウマイヨー!」

と日本語で、陽気に奥へ通してくれた。

 

奥では、おばさま達が皆暇そうにしている。

午前中の為、あまり人が来ないのだろうか?

少し心配になるが、まぁ、150バーツである。ダメだったらそれで良い。

 

8人ほど施術出来る作りで、横並びでベッドと、2つほど、リクライニングソファが置いてある。

どうやら、足のマッサージも専門にやっているようだ。

 

全身コースで、150バーツか、もう一度確認し、僕はベッドに横になった。

そして、念のため いつもの様に、腰に不安を抱える僕は、

「ソフトにしてね」とお願いする。

 

おばさまは施術を始めたが、、長年のテクニックなのか、これが人生経験の違いなのか?

とてつもなく上手かった。

「ドウ? オニイサン?」

と艶っぽく元気に聞かれた僕はつい、

「ウマイヨー!ヤスイヨ!」と思わずカタコトで唸りながら答えていた。

 

あっという間に1時間が経ち、

 おいおい延長しちゃうか?おい?

と初めて延長しようかと思ったが、時間内に一通りやってくれたので、またの機会があれば来る事にした。

施術後に、お茶を出してくれたおばさまに、

「サイコー!おジョーズ!コップンカップ!」

言うと、彼女は爆笑していた。

 

それにしても、格安だからと馬鹿にできない。

タイのマッサージの基本レベルは かなり高い様だ。

これからは、わざわざ高い店では無く、安くて良さそうな店しか入らない事に決め、宿に戻った。

宿に戻るとオーナーさん以外誰もいない。

皆、部屋にでもいるのだろうか?

 

今日出る事は、昨日皆に伝えてあるので、お礼を言って出ようとすると、オーナーさんが、下までわざわざ送ってくれた。

悪いので、一応 断ったのだが、

「いや、僕が送りたいだけなので。」

と笑顔で言ってくれたので、下まで話しながら降りた。

 

玄関の前で、握手をして

「東さん!ぜひまた来てくださいねー!

 と云うか、早く戻って来てね 笑」

というオーナーさんに僕も、

「じゃあ! 出来れば明後日には!」

と冗談を返して別れた。

 

彼は僕が角を曲がるまで、本当に素敵な笑顔でずっと手を振ってくれていた。

それを見た時、僕には、不意に込み上げるものがあった。

それは、カンボジアで、ジェイクとの別れ際に感じた感情だったのかもしれない。。

 

僕は角を曲がる前に、思い切り元気に、力一杯手を振って、「また来まーす!!」と とびきり元気に言って、角を曲がった。

 

角を曲がった僕は、この不思議な感情をしばらく味わい。

メガネをずらして、軽く濡れた目を拭いながら、

「そうさ。。本当にここに、

 また来れば良いだけのことじゃないか。」

と呟いた後、まっすぐ前を向いて駅へと歩き出した。

 

 そう。またいつでも戻ってくれば良いのだ。

 「自由」とは そういう事じゃないのか??

と自分に言い聞かせた。

 

その通りである。 そして、

後ろを振り返っている暇がある程、

僕はまだ「旅」をしていないのだから。

 

 前に進むしか無いのだ。

 そうしなければ いつまでも、

 

 僕の旅は終わらないのだから。

 

 

つづく。

 

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↑ 少し疲れた 子猫さん。


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↑ タイの空

     雨季の東南アジアに来たはずなのに

     旅立ちの日は不思議といつも晴れ渡っている

 

 

次話

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タイの女神と 気持ちのいい男たち

 

LINEを送った後、外国にいる僕から すぐに電話がかかってくるとは思わず、

中条は少し驚いていたようだった。

 

だが、アジアにいる僕からの電話に 喜んでくれた彼女に、僕は、

「ワタクシはこれから、どこに向かえば…

 一体 どうしたら良いのでしょうか?」

と、およそ神父様にしか聞かない様な事を、恥も外聞もなく聞いてみた。

まあ、付き合いの長い親友だから言える事である。

 

ノリのいい中条は、全く動ずる事なく、

「んーむ。。はぁぁあー! はい。

 …見えました。 チェンマイに行きなさい。

 余裕があったら チェンライにも行きなさい」

と 僕に道を示して下さった 笑

 

チェンマイとは、タイ 第二の都市で、タイの北部にある。

チェンライは、そこから更に 北東である。

中条が言うには、バンコクもいいが、

まさに「タイ」を感じたいのなら、ここにいった方がいいと、色々な情報も交えて丁寧に教えてくれた。

 

買い物に行くと、タイ人はよく

「セイムセイム」と言うらしい。

このTシャツ、どっちがLサイズ? と聞いても、

「セイム セイム。」(同じ同じ。)

 

お土産屋などで売っている、ナイキ? や、アディダス? を店員に「本物?」と聞くと、

「 Same Same But Different!

   (同じ同じ!だけどちょっと違う。)」

と今度は 謎のセイムセイムになるらしい。。

 

「どっちやねん?!」とツッコみたくなるが

全てを この言葉と、にこやかなタイスマイルで、そのまま押し切ろうとするらしい。

本当に 素晴らしくいい加減な国である 笑

マイペンライ(気にしない)」

という言葉と同じで、よく使われるとの事だった。

 

僕はまだ見ぬ「セイムセイム」に、胸を躍らせていた。

 一度は言われてみたいと 笑

 

僕はこの、道を示してくれた、タイの女神様に感謝しながら、さらに 少し疑問に思っていた事を聞いてみた。

 

なんかさぁ。。

「コップンカー」って、言って、満面の笑顔で、手を合わせてお礼を返すと、タイの人から、ちょっと不思議と言うか、たまに苦笑いされるんだけど…

何か、発音が変なのかな??

それとも、手を合わせ方が変なのかしら??

 

すると中条は爆笑して、

 それ! 女の子の語尾だからだよ!

と教えてくれた。

 

彼女がいうには、

語尾に「カー」をつけると女の子の言葉で、

男性は「カップ」だそうだ。

さらにいうと、あけっぴろげなレディーボーイの方だと「ハー」という感じらしい。

 

つまり、日本で言うと、AKBの可愛い女の子だと、

「コップンカー」であり、

どんだけ〜?!  と盛り上がってる時のIKKOさんだと、

「コップンハー!」 であると。

 

一般的な男性は、

「コップンカップ」だそうだ。

 

つまり僕は、日本人アクセント丸出しのカタコト英語で男らしく話していたのに、

会話の最後に、急に可愛くタイ語

「いやーん! ありがとう💕」

と手を合わせて挨拶していた事になる。。

 

日本に置き換えてみると、さっきまで英語で話していたゴツい男性外人さんが、会話の最後に日本語で、

「アリガトね💕  モエモエきゅん!」とでも言ってる感じだろうか??

 

 …どちらにしても かなりのホラーだ。。

 

 そら、苦笑いするわ😅

 

ここバンコクでは、手を合わせて挨拶をしてくれる人の率が、圧倒的に 女性店員さんに多く、しかも、可愛らしい笑顔の方が多かったので、ついつい嬉しくなってしまう僕には、

「コップンカー」という言い方が、自然と頭に残ってしまっていた。 そのまま、

 「ありがとう」と言うタイ語は、

 「コップンカー」ね、ふむふむ。

と覚えてしまっていたのだ (^_^;)

 

僕はこの語尾に慣れすぎて、もう誤解を生むレベルに 自然 になる前に、このことに気付けた事を、神と彼女に感謝した。

このまま言っていたら、色々と誤解され、そのうちどこかで、何かトラブルに巻き込まれる可能性だってない事も無いだろう。

 やはり、外国にいるのだなぁ。。

と改めて気付かされる。

(どんな気付きだ?  笑)

 

僕は彼女に感謝を述べ、近況を話して電話を切った。久しぶりに、色々と話せてスッキリした。

気の許せる友人の声を聞くと、安心する。

 

 しかし凄いものだ…

と 同時に僕は感心していた。

 

マラッカで、宮下さんと ケルビンさんを繋いだ時も感じた事だが、遠く離れたタイから、日本へ、無料で電話が、気軽に出来る事にだ。

 

まだスマホも、LINEもなかった頃は、海外に旅に行っている友人からは、旅の途中に 彼の寄る、インターネットカフェから、Gmailで 手紙のように、メールが来るだけだったのが、

今は その場で気軽にLINE電話をすると、すぐ日本に繋がる。。しかも音質も かなりクリアだ。

僕は改めて、スマホの万能感と、時代の凄さに驚いていた。

 

その後、駅の周りも色々うろついた僕は、夕方宿に戻った。

共有スペースでは、三上さんは既に一杯やっており、他の二人もまったり過ごしている。

飲み仲間を探していたのか、三上さんは僕を見つけるなり、昨日も行った日本食堂に

「呑みに行きませんか?」

と誘ってくれた。

 

せっかくなので、昨日の詫びもしたいなぁと、宿のオーナーさんも誘ってみる。

オーナーさんも話がしたかったのか、喜んで来てくれた。

 

今日は、昨日と違いゆったりと飲む。

しばらくバカ話をした後、改めて昨日の事を詫びた。

オーナーさんも

「あれは、僕の言い方が悪かったです。」

と言った後、説明してくれた。

 

驚く事に、実はオーナーさんも昔、映画系の学校に通っており、僕のいる業界にいたらしいのだ!

自分にとって「頭がうんぬん」というのは、芸術家に対する、褒め言葉だったと言うのだ。

 

かれの学校では、当時、ヤバい奴だな。。

と思っていた同期の突き詰め方を

「…おかしい」と皆表現していて、そこまで思われる奴が結局、プロになっており、自分と違い、まだ、そうやって突き詰めている僕をみて、素直に「凄いっすねー」と言いたかったのだと。

僕が

「いや、でも絶対誤解されるから、

 その言い方やめた方が…」

と言うと、

「いや、確かにそうなんですよ…

 久しぶりに、そういう業界の人と呑んでて

 嬉しくなっちゃって、酔いすぎたのもあって

 うっかりそういう風に言っちゃったんです…」

としきりに反省していた。

 

「いや、僕も酔いすぎて、

 ちゃんと理由も聞かずに喧嘩ふっかけて

 本当にすみませんでした…

 あれは、僕が悪いです。」

と僕も素直に詫びた。

 

腹を割って話すと、スッキリした。

そして、このオーナーさんの人柄がより解って、僕は彼の事がより大好きになっていた。

 なんか、素直で、本当に素敵な人だなぁ。

と。

 

人と人は結構ぶつかる。

必死だったり、一生懸命だったりすると尚更だ。稽古場でもそういう事が良くある。

最近は皆、ぶつかる事を避ける傾向にあるが、僕の経験では、ぶつかった後、その人と急に分かり合える事があるとも思う。

思い切りぶつかったから、生まれる関係性もあるのだ。

 

まぁ、あまり不用意にやるのは、もちろん良くないが、そんな無骨な昭和の男たちが、ここ、アジアの片隅で邂逅したという事なのだろう。

 

そう格好をつけた結論に至り、僕はその後も彼らと酒を飲んだ。

 

レストランのマスターも、

「お、仲直りしたの? 笑

 お祝いに、一杯奢りますよ。」

と笑いながら、ビールを無料で出してくれた。

 

そして、合流してくれたマスターと4人で、また楽しく酒を呑んだ。

昨日会ったばかりだが、皆、昔からの知り合いのような楽しい酒だった。

 

久しぶりの「日本人漢祭り」は、深夜まで続き。

タイの熱い夜は、穏やかに更けていった。

 

つくづく この出会いに感謝である。

 

つづく

 


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↑ タイでよく売られている

     セイムセイムTシャツ 笑

 

 

 

次話

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深夜の途中下車

 

深夜特急」の第二巻、

マレー半島シンガポール編を 途中まで読んだ僕は、宿から外に出る事にした。

 

まだ上級旅行者ではない僕は、よく考えるとこの街をまだよく知らない。

何度もバンコクに来ている彼女とは違い、タイ初心者の僕は、まだまだ部屋でゆったりしている場合では無いと 気付いたのである 笑

 

だが、久しぶりに 読書をした。良い時間だった。

深夜特急」は やはり名作だった。

旅に出る前は、ドキドキしながら、憧れながら、自分が沢木氏と旅をしている様な、いや、沢木氏になりきって旅をしている感覚を味わっていた。

こんな感覚を感じさせてくれる程の「引力」を持っている小説は、稀である。

他にこの感覚を味わった事があるのは、

司馬遼太郎の「龍馬がゆく」

吉川英治の「宮本武蔵

太宰治の「人間失格

くらいだろうか…?

 

だが、自分の旅の途上で読んだこの小説は、また別の感覚となっていた。

 この人の旅は、やつぱり面白いなぁ!

と、名著だと思いながら、どこか少し俯瞰的に捉えている自分がいた。

 

日本で、僕と一緒に旅をしてくれた、ガイドの沢木耕太郎さんの手を離れ、僕はひとりの日本人旅行者として、いつの間にか 独り立ちしていたのだ。

 

それはそうだろう。

彼が周ったマレーシアの場所を、僕は自分自身の足で周ったし、数十年前と今は全然違う。

 

僕は、自分の足で 実際にその地を周る事により、いつの間にか 「深夜特急」を卒業していたのだ。

それは、高校生に上がるあたりで、

太宰治」から卒業したかの様に。

 

だから、そんな僕は今、青春の真っ只中だ!

部屋で のんびりなど、している場合ではないのである!

 

まさに

 書を捨てよ 町へ出よう

である。

 

飛び出した街はやはり刺激的だ。

宿の真裏には 市場があり、朝の活気には及ばないが、まだ数件お店がやっている。

 

市場の一角にある食堂の 向かいにある、小さな自営のコーヒースタンドで、テイクアウトで、アイスカフェラテを頼む。

店主のおばさんが、

「朝と同じのでいいの?」

と笑顔で聞いてきたので、

(覚えてくれてたんだ!)と思い、嬉しくなって、

「うん、同じやつをお願いします。

 コップンカー(ありがとう)。」

と気持ちよく買い物ができた。

 

実はここには、朝も来ていた。

宿の部屋の、窓のすぐ下には 鳩が住みついており、朝から、バサバサ、バサバサ、

「クルッポー。クルッポー」と、言っている。

その音で、朝早く目覚めた僕は、窓を開けて、

「うるさいよー。くるくるっぽー!」

と鳩に注意したところ、眼下にある、全て屋根で覆われた、市場を発見したのである。

僕は早速、まだ誰もいない、階下の共有スペースからさらに階段を降り、その市場に行ってみた。

 

ここは地元の市場の様で、丁度、宿の真裏にあった。地面がコンクリートの、屋根だけのある 吹き抜けた作りだ。

 

衣料品売り場もある、他国の市場と違って、ここは 食材ばかりを扱っている。

魚がメインで、鶏肉や、なんと!

 こ、これ? 小さめのウミガメ?

という、生きた亀も売っていた。

(こ、これ… シメて食べるのかしら?? )

ちょっとビックリした。

そして、魚の下には全て氷が敷かれ、全く生臭くない市場であった。

 

市場には小さな食堂があり、皆そこで食事を食べている。いるのは地元の人ばかりだ。

25バーツ(82円)で、一つの皿のライスの上に、三品なんでも選べる 嬉しいワンプレートだ。

僕は美味しそうな、角煮と、野菜炒め、対角線上に、グリーンカレーをかけてもらった。

 

それを6席程ある、アルミの4人掛けのテーブルで、地元の人と向かい合って相席で食べる。

僕はこういう地元の人しか来ない、およそ 観光客が来ない様な食堂に入り込んで食べるのが 楽しみでもあるので、旅の間、結構こういう所で 朝ごはんを食べたりしていた。

 

ここは安くて美味しかった!

さっとご飯が出てくるのがいい。

さすが市場だ! 話に聞く築地のようだ。

とにかく「早くて  安くて  美味い」のだ!

 

食べ終わった僕に、次に目に入ったのが、

現在、今また来ている 例のコーヒースタンドだった。

 

2畳ほどのスペースに、明るいおばさまがいて、地元の人に大人気の様だ。

常連さんと談笑しながら、コーヒーを売っている。

僕はここが気に入り、モーニングコーヒーを飲む事にした。

おばさまに、アイスカフェラテを頼む。

ここで面白いのは、ミルクが、缶に入った甘々の コンデンスミルクである事だ。

 

そのネチャリとした液体を、ドボンとコーヒーに入れてくれる。

渡されたカフェラテは、僕好みの甘々コーヒーだ!

 うまい! 甘いっ! 美味い!!

と、喉が渇いていた僕は、一気に飲み干してしまった。

おばさんは、日本人の客が珍しいのか、最初は少し戸惑っていたが、少し話すと、すぐに打ち解けた。

こういう行きつけのお店があると、旅がまた豊かになる。

 

みんな人が大好きで、お商売をしている。

(きっと、日本も昔はどこも、

 こうだったんじゃないかしら?)

と僕はありし日の日本を、ここ東南アジアに、いつも 不思議と重ねてしまう。

 

再び 宿から飛び出した僕は、わざわざここの店に寄って、冷たいカフェラテ片手に、街をウロつく事にしたのだ。

 

その後、駅前に向かう事にした僕は、途中で何故か、ラーメン屋に吸い込まれていた。

まだ夕飯に早いが、ラーメン屋の提灯をみて、どうしても食べたくなってしまったのである。

ここは 日本のラーメン屋だし、美味そうだった。

 

店に入ると、元気な日本人男性が迎えてくれる。

「あらっしゃっえ!? サッセー!!」

と久しぶりに聞く、ちょっと 何言ってるか解らないギリギリの、

気合の入った「いらっしゃいませ」だ。

 

日本語のメニューを見る。

な、なんと!! 100バーツ以下だ!

300円くらいで良心的だ。

安食堂の一食に比べると、少し割高に感じるが、日本のラーメンをこの値段で食べられるのなら かなり安い!!

ベトナムで見た時は、ラーメン一杯600円以上だったからだ。

そして ラーメンは、僕の好きな鶏白湯スープの様だ。

 

日本のラーメンを食べるのは久しぶりである。

タイ人男性に席に案内してもらう。

彼の接客も気持ちがいい。まるで日本に帰ってきたかの様だ。

初めて入ったら ラーメン屋ではいつも頼む、基本の一番シンプルなやつ(96バーツの)を頼む。

 

しばらくして、白濁したスープのラーメンが、僕の前に来る。

(やべぇ。。旨っそー!!)

と思い、早速食べてみる。

 

まずはスープ。

(  …嗚呼。 沢山の。。

 沢山のタイの鶏さんを感じる…

 煮込まれてくれた鶏さん達、

 コップンカー🙏)

と謎の境地に至る美味さだ。

 

次に麺を思い切りすする!!

麺も細麺で スープに良く絡む イケメンだ!

鳥の旨味と、塩の旨味が良くマッチしている。

 正に 味のイケ麺ジャニーズや!

 良く マッチでぇぇえ〜す!

と、頭の中に、彦摩呂さんと、片岡鶴太郎さんがいっぺんに出てくる 笑

 

大満足した僕は、もう一個の、駅前にある方のモールを周ってみた。

ここは、宿の前のモールよりさらにデカい!

一階には、ここでもプリペイドカード式のフードコートがある。

(ここは、ほぼ満席で大盛況だった!)

 

そして、宿の前のモールでは、タイ版のケンタッキー屋? だったのに対し、ここにはちゃんと、正規のKFCがあった 笑

ここは、衣料品や、日用雑貨もかなり豊富な品揃えだ。

生活に必要なものは、全てここだけで揃ってしまうだろう。

 

ここオンヌットは、バンコクの中心地から少し離れていて のんびりできるし、必要な店や、モールは全部揃っている。

バンコクで一番の繁華街「スクンビット」へも、高架鉄道BTSで 10分程だ。

 

「とにかく住みやすそうな街」というイメージを 僕は持っていた。

(後で調べると、日本人が多く住んでいる。

 との事だった。それも、納得である。)

とにかく、宿の、旅の達人看護師さんの様に、

ゆるりと沈没するには、もってこいの街らしかった。

 

だいぶ歩いて、少し疲れた僕は、モールのフードコートの席に座り、何も注文せずに 無料の水をガブガブ飲んで休んでいた。

タイでは、別に注文しようがしまいが、誰も気にしない。

 

しばらくすると、モールの無料Wi-Fiで繋いでいた携帯に、LINEが入った。

「どう? づま?元気にしてる?

 上田から色々話聞いたよー」

と例の散髪を進めてくれた、俳優仲間からである。

タイに数ヶ月住んだこともある、タイの達人でもある中条からである。

 

僕は「次にカオサン通りに行く」という事以外、何も決めていなかったというか…

その後どうしたら良いのか全く解らなかったので、

これ幸いとばかりに、彼女に相談も兼ねて、

返信せずにすぐ、LINE電話をかけていた。

 

続く

 

 

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↑ 市場にて  良く売っている?亀さん。

 

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↑ 今度は 箱の上で寝ていた猫さん

 

次話

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日本人宿で出会った「旅人たち」

 

ワクワクランチを食べ終わった僕は、

一旦、向かいの宿に戻る事にした。

 

道を挟んだ向かいに宿があるのだが、相変わらず 信号や横断歩道などというものは無く、車は途切れない。。

僕は昨日、一体化して道を渡ったタイ人男性の、

「車の止め方」を思い出し、自分でやってみる事にした。

 

まずは車をよく観察する。

途切れなく走っているが、皆、そんなにスピードは出していない。

止まれそうなスピードである。

僕は そんな中、

(おぉ?? 止まってくれそうだ!)

と思った 一台の前に進み出る。

 

そして右手を突き出し、車を制する!

(言い忘れていたが、タイは、

 日本と同じ 左側通行である。)

 

そして、念じる。

(はぁああ〜!! 通りますよ〜!!

 ととと、、止まってーー。 いや、

 止まるんだっ! とぉまれぇぇえええ!!

 ペクトローナーァーム!!)

すると、念が出ているはずの 僕の右手のお陰か、

車は見事に止まった!!

 

そして、それを見た反対車線の車も…

諦めたかのように止まってくれた。

 

 念じれば通ず。  一念、岩をも通す。

 

とは よく言ったものだ。

まるで、マーブルの Dr.ストレンジのように僕は、車を右手から出る念で停車させ。

見事に。道を渡る事に成功したのであった!!

 

(後から考えると、ドライバーだって

 人を轢きたくは無いはずなので、

 普通に止まってくれているだけなのだ。

 と気付くのだが…。 )

 

とにかくその時の僕は、

 凄いぞ俺!!

 念で車を止めて、渡ったったぞ!

と興奮していた。

 

一回 勇気を出して、この「儀式」を経験すると、不思議なもので、タイでは渡りたい時に、無理やり道を渡る事が出来る様になる。

これは、止まれるスピードで車が走っている、おおらかな、タイ王国ならではの技なのである 。

(たぶん、マレーシアだと、

 サクッと轢かれてしまうだろう 笑)

 

とにかくタイはおおらかだ、微笑みの国といわれる所以がよく分かる。

居れば居るほどタイが好きになる。

(そんなタイが、居心地が良過ぎて僕は、

 その後しばらく、このタイ王国から

 動けなくなってしまうのだが…)

 

宿に戻ると、昨日会った女性2人が、各々共有スペースで寛いでいる。

二十代後半らしき女性は、文庫本を読んでいて、

もう一人の、ずいぶん若い(幼くさえ見える)娘さんは、携帯をいじっていた。

とても緩やかな空気が、この共有スペースには流れている。

挨拶をすると、それがきっかけになった様に、色々と話しをする事となった。

 

前述の 二十代後半の女性は、これからアフリカに行くらしいが、入国に必要なワクチンを打ちに、タイに来たらしい。

もうはるか昔の ブログ回の為、お忘れの方もいるだろうが、僕はびびって、第二話で、出発までに、8つの感染症のワクチンを打つ為に、1日に、一度に6本注射を打つ羽目になっていた。

 

実はこれが馬鹿にならない出費だったのだ…。

僕は関東で一番安い病院を探し出していたのだが、それでも総額で7万円近く掛かっていた。

(今考えるとアホ過ぎるのだが。。)

 

ワクチンは保健が効かないのか、実費のせいか、とにかく高くつくのだ!!

 

そんな中、旅慣れている達人たちは、まずタイのバンコクに入り、ワクチンを打つ。

スネークファームという有名な場所だ。

(これは、蛇の血清等の研究施設の名前で、

 実際は、その裏にある 赤十字の病院が

 ワクチンを打ってくれるのだが…)

 

ここで打つと、日本の半額か、下手すると三分の一の料金で、ワクチンを打つ事が出来るらしい。

これは長期旅行者や、数種のワクチンの接種証明が無いと、入国できない国に行く時には、かなり重宝する お得なやり方なのだ。

(これも彼女が教えてくれた。)

 

ワクチンの彼女は、看護師の資格を持っており、日本に帰ってもすぐに仕事に就けるので、お金が貯まると、定期的に海外放浪をしているらしい。

僕には想像もつかない、上級旅人であった。

 

旅慣れているので、僕の様に あくせくと街を歩き回らずに、宿で

「沈没してます〜 笑」と、

のんびりしながら、そう明るく言っていた。

(そのゆったりとした過ごし方に

 僕は、もの凄い 旅慣れ感を感じた。)

 

対照的に、旅初心者の印象がする、もう一人の小さな若い、まだ、「娘さん」と言いたくなる様な 綺麗な目をした彼女は、初海外だそうだ。

大学を出たばかりで、これから世界一周の旅に出るらしい。。

 

僕は、インドでさえ びびって、

 行くかどうしようか?

と思っていたのだが、彼女はその足で、世界一周へ向かう為、まずは外国に慣れる為、この日本人宿にいるらしい。

 

旅人とは、旅と経験を重ね、より大きく、旅人として成長していくものである(きっと)。

これは、びびってマレーシアの空港から5時間出れなかった僕が、実感している事であるが…

 

きっと余計な心配なのだろうが、日本ですら、人生経験をそこまで積んでいない、特に女性がこういうドミトリー宿に泊まりながら長い旅をすると言う事に、僕は単純に心配になってしまった。。

我々男と違い、また違う危険と戦わなければいけないし、より危険である 女性の一人旅だ。

 

僕には、彼女はまだ、日本の荒波すら 全く経験していない様に見えた。

日本では 全く気にしなくて良かった危険と、リアルに、本当に戦いながら、彼女は旅を続けられるのだろうか。。?

 

取り返しのつかない、傷を負わなければいいが。。  それとも、命さえあれば大丈夫なのだろうか…?

 

等と、余計な心配しか出来なかった。。

怖いなぁ。。と、、自分が旅するよりも。

 

だが…

単純に僕が、心配し過ぎなのかもしれない。

逆に、彼女が トラブルに揉まれながら、もの凄い旅人になって、大人気の旅ブロガーにでもなる可能性だってあるのだ。

 うーん。。そうかぁ、そうだよなぁ。。

と僕は、あまり人の心配などする事をやめた。

 

結局、全ては自分で経験して、自分の運によって、導かれるしか無いのだ。

運がない時は、それまでなのだ。

そう割り切る事でしか 旅はできないのかもしれない。

僕だって 明日トラブルに巻き込まれて、帰らぬ人になるかもしれない。

 

それをどこかで覚悟して旅に出たはずだ。

きっと彼女も、そうなのだろう。

僕の心配など、たぶん失礼なのだ。

 

それは、よく考えれば 人生も一緒なのかもしれない。

旅は危険だ と思って、じっとしてて、日本にいたからといって、明日交通事故で死ぬかも知れない。

 

そう。

海外は リスクが上がるだけで、日本にいても、明日何があるのかは分からないのだ。

そんな事を、改めて考えさせられる出会いでもあった。

 

そして、人のことを心配するより、

 これから僕こそ どこに行くのだろうか?

全く何も考えていない僕よりも、

「世界を一周する」という明確な目標のある彼女の方が、旅の終わりがはっきりしていて良いのかも知れない。

 

彼女と色々話しながら、僕は逆に自分の旅を見つめ直す良い機会になっていた。

これも初めて会う、日本人の長期旅行者のお陰である。

これだけでも、日本人宿に来て良かったと思う。

 

そんな僕も、ワクチンの彼女の 達人感に倣い、ここで、ダラダラしてみることにした。

たまたま「深夜特急」の文庫が全巻置いてあったので、読み返すことにする。

 

深夜特急」を、実際の旅行者として読み返しながら僕は、憧れではなく、自分自身の旅と対比しながら、面白いのだが、この本に 以前ほどの魅力を感じなくなっている自分に気付いた。。

 

そう、、きっと僕も 「自分の旅」をする

いっぱしの旅人になっていたのである。

 

つづく

 

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↑ 僕を旅へと導いてくれた「深夜特急

     バックパッカーのバイブルである!

 

 

次話

azumamasami.hatenablog.com

 

 

 

 

 

 

 

 

タイ・バンコクの外食事情

 

マッサージ屋さんで、国と言葉の壁を乗り越えた僕は、ご飯を食べに行くことにした。

 

一緒の感情を経験したり、ふっと 気が通じると、

通じないはずの言葉が、綺麗に通じる事が相変わらず不思議だが、それが人間の底力なのかも知れない。

 

腹筋を使い切った僕は、急にお腹が空いてきていた。

宿に戻りながら、お店を物色していく。

途中にバーベキューの食べ放題のお店があった。

 

日本から出て、初めて見る食べ放題のお店だ。

興味はあったが、値段が よくわかなかった。

何より、一人で食べ放題に行っても、きっと楽しくは無さそうだ。

そして、一日二食の僕には、今 そんなに量は食べられないはずであった。

 

中を少し覗いて「う〜む… うんっ。」

と一つ頷いた僕は、昨日買い物に行ったモールの三階にある「フードコート」に行ってみることにした。

 

僕は昔から、日本のイトーヨカドーなどにある、フードコートなどが大好きだ。

お祭りみたいで、ワクワクするタチなのだ。

 

なので、マレーシアのアロー通り、ペナンの屋台村である「レッドガーデン」や、

プノンペンのAEONのフードコート、

昨日、三上さんに連れて行ってもらった 屋台村でも、ワクワクが止まらない。

 

そんな僕は、タイのフードコートで、

ワクワクランチを摂ることに決めたのだった。

(どれくらいの値段なのだろう?

 まぁ… そこそこするだろうな。。)

と覚悟をしながら、しばらく歩いていくと、そのモールへの大通りに出た。

 

せっかくなので、裏道から行こうと思い、一本奥の路地から向かうことにした。

日本でも活動中の「路地部員」としての、路地探索をすることにしたのだ。

路地のすぐには、日本語のラーメン屋があり、ちょっといくと、日本語のメニューもある。

 

すぐ隣には、1時間 150バーツ(490円)の格安マッサージ屋もある。

ガラス張りなので、中を覗くと、店内はかなり綺麗だ。。

 安いし…  次はここでも良いなぁ。。

と、貧乏旅行者の僕が、しばらく様子を見ていると、中からスタイルの良いタイのおばさまが、出てきて、

「ヤスイヨー。スグニデキルヨー。」

と日本語で話しかけてきてくれた。

「上手いの?  安いけど。。」

と聞くと、

「スグ、ハイレルヨー!!

 ヤスクテ、ウマイヨ!サイコー!」

と、誘ってくれた。

どうやら、「早い、安い、上手い」の

日本の牛丼屋の様な 優良店らしい 笑

「今日は、もうマッサージ行ったので、

 明日来てみます!」

と言うと、「マッテルヨー!」と最高の笑顔で言ってくれる。

 

(明日は、ここに来るとしよう!)

と思いながら、お礼を言って、立ち去る。

彼女はニコニコしながら手をひらひらと振る。僕はすっかり、この人懐っこい笑顔の、愛想の良いおばさまのファンになってしまった 笑

 

路地をさらにいくと、フルーツ屋や、揚げ物の屋台、その先にはモールの駐車場。

その道中、もの凄い賑わいであった!

 

モールに入ると、一階フロアには、携帯屋など、ちゃんとお店を構えているところもあるのだが、

個人経営の怪しい、20バーツの均一ショップや、洋服屋、履き物屋など、バザールの様になっているエリアもある。

少し冷やかしてから 3階へと上がると、何故か、ユニセフ? の募金の旗があり、人がいた。

団体の制服を着た、とても可愛らしい顔立ちの女性に声をかけられる。

日本なら会釈くらいはして、通り過ぎるところだが、今僕は、天下の暇人である。

立ち止まって話を聞いてみる事にした。

綺麗なタイの女性とお話しできる、せっかくのチャンスだ!

 

彼女は一生懸命、色々教えてくれるが、英語とたまにタイ語なので、大体の事しかわからなかった。。

だが彼女が熱心なので、僕は 初日の空港で、タイから頂いた、1000バーツの残りであろう金額を、全て募金箱に入れた。

数百円だが、タイから頂いた善意を、世界にまわしていこうと、ふと思ったからだ。

 

お金を入れると、彼女は手を合わせて、

「クップンカー」と言いながら頭下げてくれる。

その笑顔が本当に美しく、その笑顔を見れただけで、僕は嬉しくなり、

(早速、善意が 僕に還ってきた!)

と 馬鹿なことを考えていた。

 

奥に行くと、小さな案内カウンターの様な所があり、さらに奥に10数店舗程のお店のあるフードコートがある。

広い店内の席に人は、かなりまばらだ。

 

入り口付近のカウンターを観察していると、何やら ここ専用で使えるであろう、Suicaの様なプリペイドカードを売っているらしい。

 

僕は毎日ここに来るわけでは無いので、現金で払おうと、そのままお店に向かった。

 

ここのフードコートは素晴らしかった!

カレーのお店はもちろん、パッタイの店、あんかけ焼きそばの店、フォーの店、色々おかずを選択できる店、カオマンガイのお店、

なんとカツ丼のお店まであり、かなり安い!

40〜90バーツ(130円〜300円)程だ。

 

僕は、楽しくなって、15分程じっくりと見て回っていたが、あんかけ焼きそばを食べる事にした。

他のお店の店員はやる気がなかったが、ここのおばさんは、笑顔でオススメしてくれたからだ。

「これを下さい」と言ってバーツ紙幣を出すと、手でバッテンマークを作られた。

 え?  何故ですか??

と聞くと、ここはプリペイドカードでしか、買えないと、ジェスチャーで教えてくれた。

 なんと! 現金は使えないのだ!

しょうがないので、先程のカウンターに戻り、プリペイドカードを買う事にした。

 

100バーツ単位でカードにチャージ出来るらしい。

僕はとりあえず、100バーツ入りのカードを買う事にした。

今日使いきれなくても、最悪、明日使い切れば良いと思い、100バーツ紙幣を渡す。

カウンターの女性はにこやかに、100バーツ分のポイントの入ったカードを渡してくれた。

 

早速、あんかけ焼きそばのお店に戻り、プリペイドカードを渡す。

おばさんは、受け取って、レジを通して会計をしてくれる。

そしてしばらく待っていると、お盆に載せた美味しそうなあんかけが出てきた。

僕は、何故か空いてる、大きなガラス窓になっている明るい窓際の席で食べる事にした。

 

フォークやスプーン、お箸は、手洗い用の洗面台の、すぐ横の台にある。 そしてここでも、

(おおっ? せ、先進国?!)

と驚く出来事が。。

 

食器の横には、ジュース缶程の穴があり、熱湯がグツグツいっている。

どうやら、ここで煮沸消毒してから使用するらしい。

素晴らしい衛生観念だ!!

マレーシアや、他の国では、卓上のペラペラの紙ティッシュで、気休め程度に拭くのがせいぜいだったのに、ここは、なんと!

 殺菌ができるのだ!!

(スゴイぞ! 凄いぞ!! タイ王国!!)

僕はそれだけで、かなり楽しくなっていた。

 

先の方がチンチンに熱くなった消毒済みの、フォークとスプーンをトレイに乗せ、僕は取っておいた席戻った。

早速、一口食べてみる。

 

 う、うまぁ。。ウマママ、マママイウ。

 アンアンっ ♫    ぁあんかけぇ〜 ♪

 

安心安定の旨味が、じわぁと広がる。

野菜も多く、色も素晴らしい薄クリーム色だ。

タイのこういう料理は日本人に合うと思う。

タイでは「味の素」が人気らしく、普通に使われているらしい。

懐かしの日本の味がすると、たしか本で読んだ事があるが、その通りだと思った 笑

うま味を感じる味なのだ!

旨味大島と化したその一皿を、あっという間に僕は平らげた。

 

これでたったの40バーツ(130円)である。

おかわりしようかとも考えたが、僕はまたの楽しみにとっておく事にした。

 

帰り際に、カードのカウンターをふと見ると、僕の向こうの席で食べていたおじさんが、カードを渡して、返金してもらっているのが目に入った。

(あれ? すぐに返金してもらえるっぽいぞ。

 まぁ。。手数料とられそうだけど。。)

と思いながら、僕も一旦返金してもらう事にした。

カードを渡して「リターンマネー」と、言うと、ちゃんと、残りの60バーツがあっさり返ってきた。

どうやら手数料も、何も要らず、使ったお金以外は、全てちゃんと還ってくるようだ。

 

最初は、不思議だったが、

どうやらこのシステムは(お金が汚い。。)という日本と同じ感覚で、食券の代わりにプリペイドカードで、衛生観念上このシステムにしているらしい。。

 

凄いぞ!タイラント!!

凄いぞ先進国タイ!!

 

僕は、タイの、

「痒いところに手を届かせよう…」

とする国の努力に、驚愕しながらも、感動していたのだった。。

 

恐るべし! タイ王国!!

 

続く


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↑ 旨味爆発の旨味大島


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バンコクにも猫さんは多い^_^

 

 

次話

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オナラには、国の壁と腹筋を崩壊させる力があるらしい。

 

今日は、宿のオーナーさんオススメの、

タイマッサージ屋さんに行く事にした。

 

今朝、挨拶をしたが、お互い大人なので、改めて昨日の事を話題に出す事もなく、 少し気を遣いながらも、オーナーさんは快くオススメのお店を教えてくれた。

 

タイはマッサージが盛んで、安いと聞いていた。

 

今日僕が行くのは 300バーツ(990円)のお店である。

道中、金魚屋?さんのようなお店もあり、なかなか涼しげだ。

すぐ隣に、猫が欠伸をしながら座り込んでいるが、別段 魚に悪戯はしない。

タイは、猫さんもおおらかなのだろうか? 笑

 

さらにいくと、右手に目当てのマッサージ屋が見えてきた。

外観は、いかにも「ゆったりしてください」という感じのオリエンタルな作りだった。

 

中に入ると受付の女性がいる。

昨日、道中に覚えた、タイ語で挨拶をしてみる。

僕が「サワディーカー」というと、

わざわざ手を合わせて、可愛らしい笑顔で

「サワディーカー」と返してくれた。

 

英語が話せる方で、コースと 施術者の性別を

選んで下さいと言われる。

日本であまりマッサージに行ったことがない僕だが、

 施術者は、男性がいいか、女性がいいか?

と聞かれるのは不思議だった。

やましい事は なにも無いのに、性別をわざわざ選ぶという行為が、少し恥ずかしい…

 

女性を選ぶと、何か すけべな奴だ と思われないかしら??  と 小心者な僕は色々考えてしまう。

だが、意を決して「女性で。」と答えた。

 

これは、今まで何回かマッサージ屋に行って、やはり女性の方が、男性より力が弱い分、力加減が絶妙で、上手にほぐしてくれるなぁ。

という実感から選んだのである。

決して僕が、女好きだから という理由では無いという事を、自分自身の名誉の為に、ハッキリと言っておきたい!  笑

 

まぁ、そんな事を色々と、考えてしまってる時点でダメな男であるが、受付の女性は そんな僕の葛藤など、全く興味無い感じで、普通に奥に案内してくれた。

 

奥には僕の担当の、20代前半に見えるタイ人の女性がいて、まずは足湯で足を洗ってくれるという。

椅子に座った僕の足を、丁寧に洗ってくれる。

うら若き女性に、温かいお湯で、足の疲れと汚れを洗い流してもらっていると、仕事でやってもらってる事を 忘れそうになるから不思議だ。

何か、もの凄い親切にしてもらってる気がして、親近感が湧くのだ。

 

何か昔の時代劇で見た、旅人の足を宿の女中さんが、

「今日はどちらさんから? あら江戸ですの?

 あらあら、長旅お疲れ様でございます。」

と桶で足を洗ってくれる映像を思い出し、若い侍と女中さんが、恋に落ちる理由がなんとなく分かった。

 

そういえばドラマ「仁 〜JIN〜」でも、

綾瀬はるかさんに足を濯いでもらう

大沢たかおさんが 照れながら、

「いつまで経っても慣れません。」

とはにかんでいた。

 

同じ状況だ。。

(そう言えば「深夜特急」の実写版も

 大沢たかおさんが 主演で、

 沢木耕太郎さんの役をやっていたはずだ。

 あれ? 知らぬ間に俺、オマージュ?! 笑)

と目まぐるしくおかしな事を考えながら僕は、

やはり、はにかんでいた。

 

足をこれまた丁寧に拭いて貰い、2階に上がる。

2階に上がるとお香のいい匂いがし、

りぃらぁ〜っくす、出来そうな音楽が流れ、

布で、一部屋づつ区切られている。

 

今までの所は、床にベッドが置いてあるところばかりだったが、ここは漫画喫茶のフラットシートのように、床にマットを敷いた感じだ。

 

かなりリラックスできそうだ。

僕の担当の方は、英語が苦手らしく、時計をセットして「オーケー?」とだけ聞いてきた。

言葉が通じないのが、気まずいらしく、彼女は少しぶっきらぼうに見えた。

 

恒例の、

「ソフト、ソフトプリーズ。

 ノー アクロバティック?OK?」

と、多分通じてない カタコト英語と、ジェチャーでお願いしつつ、マッサージは始まった。

 

こんな事を言うと、また誤解を招くかもしれないが、やはり人に体に優しく触れてもらうだけで、かなり癒される。

人の体温が、何か安心感をくれるのだ。

 

前に出会った、かれこれ50カ国以上を回った事のある、27歳のバックパッカーの男性に

「好きな国は?」と聞いた時、彼は

「どこ、と言うか 南米ですね?」

と言っていた。

 

理由を聞くと

「ハグをする国だから。」

と言う事だった。

 

やはり挨拶で、ハグをして相手の体温を感じると、より仲良くなれるし、安心するし、元気を貰えるとの事。

なんとなく、彼の言っていた意味がよく分かる。

ドミトリーで仲良くなった旅人達とも、やはり時間が合えば、握手をし、より仲が良いと、ハグをして別れる。

 

異国での一人旅は、なんだかんだいってやはり孤独だ。

日本人宿に泊まっていても、それは本質的に癒やされる事は無い。

だからこそ、人の体温が本質的に、多少であっても 癒してくれるのだろう。

人間の持つ 不思議な力の一つだと思う。

 

さぁ、話を戻そう。

マッサージは進んでいく。上手な方だったが、今までの店では、多少英語で

「どう?」とか、「ココ こってるよ」

とか、やりとりがあったのだが、何か、一言も会話がなく、、き、気まずい。。

そんな彼女も、やはり気まずそうだ。

 

さらに緊張してきた僕は、お腹が痛くなってきた。

そして、どうしても我慢ができなくなり、せめて音を出してはいけない。。と思い。

僕は かなり高度なお尻の筋肉の使い方をし、

全く音の出ない「サイレントぷぅ」をしてしまった。

 そう。。 " すかしっ屁 "  である。

いや、「サイテー」だと思われるだろうが、我慢ができなかったのだ。。

 

いい訳をさせて欲しい。

実は、ベトナムハノイにいる時から、お腹の調子が悪かったのだ。

 ここ、ちょっと衛生状態大丈夫かしら?

というお店で 食事をした翌日から、

普段は大丈夫なのだが、食事をすると必ずと言っていいほどお腹が痛くなって、トイレに行かねばならなくなり、その後は 何事もなかったかの様に回復する。

そんな事を繰り返していた。

 

一日、ほぼ二食なので、一日二回ある 腹痛である。

(まぁ、大した事ないだろ。

 日が経てば、そのうち治るだろ。)

とタカを括って、医者にも行っていなかった。

 

そんな、腸がゆったりやられている僕から、

ガスが漏れてしまう事は、必然であったのだ!

(↑これ、言い訳になっているのだろうか?)

 

だが、とてつもなく " スカしたヤツ"  が出たらしく、彼女は匂いに気付き、たぶんタイ語

「くっさーい!!」と言った。。

びっくりした しかめ顔をしていた彼女は、

僕と目が合うと、周りに遠慮してなのか 小声で、半笑いで 怒りながら、僕をパシパシ叩いてきた。

「くっさいよ!何食ってんの??あんた!」

タイ語だが、何を言っているのかがよく分かった。、

「ちょっとぉ! 大真面目な顔して、

 何してんのよ、あんた! 笑」

 

あまりの臭さに、彼女はもう「ケホケホ」むせながら、笑い始めた。

彼女は、廊下とを区切る布をパタつかせて、少しでも匂いを外に逃そうとしながら、笑い声を必死に堪えている。

 

きっと僕が、大真面目なスカした顔で、

まさかそのまま、スカした屁をするとは思わず、

その表情とのギャップで笑い出してしまったのだろう。

 

それを見ていた僕は「ごめんなさい。。」と蚊の鳴くような声で言ったが、

彼女を見ている内に、その あまりの威力に、僕も笑い出してしまった。

大声で笑うわけにはいかず、2人して声を殺して、笑いが止まらなくなった。。

 クックック。。くぅう〜、クッふ!

 くぅっ、くっ、くぁっ。 クックックッ…

と二人で顔を合わせて、ヒソヒソと、手でジェスチャーしながら、笑いをこらえた。

「ご、ごめんなさい。 そ、そんなに?!」

「もう やぁだぁ。何してくれてんの?」

と、手を振りながら、手で会話しながら、笑いは、より止まらない。

もう腹筋が崩壊しそうになり、彼女も僕も突っ伏して、笑いを押し殺して、笑い転げていた。

 

そして、笑いが収まったかと思い、また目を合わすと、また笑いが止まらなくなる。

 

そんな事を何回か繰り返し、

たっぷり5分は笑っただろうか…?

 

一通り笑った僕らは、急に真面目な顔に戻った。

彼女はまた、真面目な顔でマッサージを再開してくれ、僕も真面目な顔でマッサージを受ける。

だが、不思議なもので、もう最初の緊張感はカケラも無く、たまに彼女は思い出し笑いをし、僕も笑顔でマッサージを受けていた。

お互い、何かが通じた様な、近しい親戚の様な安心感と、遠慮のなさが生まれ、

僕らには、今、何も 壁は無かった。

 

不思議な事だが、本当に不思議な事だが、

とてつもない威力のオナラが、

国境や、国家や、言葉や文化の壁。

そして、男女の壁さえも乗り越えたのだ。

 

マッサージが終わり、最後に彼女は、悪戯っぽい笑顔で 僕の肩を軽く押して、また思い出し笑いをして、送り出してくれた。

本当に、優しい 可愛らしい女性である。

 

 オナラ一つで 凄い仲良くなる。。

という事が人生ではあるらしい。

 

 

 …ぷう。。

 

やはり「笑い」とは、 " 緊張と緩和 " であるらしいという事を、僕は国を越えて学んだのであった。

 

そして彼女に改めて言いたい。

「あの時はごめんなさい」  と。

 

つづく

 

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↑ 近所の金魚屋さん。

 

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↑ 近所の猫さん

 

次話

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タイの犬 噛まれあるあると、酔っ払いあるある

 

タクシーを宿の目の前の、例の巨大モールで止め、ATMで タイバーツを下ろした僕は、三上さんと、色々なビールと、ツマミを買うことにした。

 

ここは、2階が 巨大スーパーになっているので、何でも揃う。

こんな大きなスーパーに来たのは、プノンペンのイオン以来だった。

 

せっかくなので、色々と値札を見た。

やはり タイは、今までの国よりも物価は高いようだ。特にビールの値段は、ベトナムの2倍以上であった。

しかし、お酒の種類は豊富だ。

せっかくなので、久しぶりに、日本のビールも買い、宿に戻った。

日本より安い。発泡酒くらいの値段だ。

ここの会計を出した僕の方が、先程のお店とタクシー代より、明らかに安く済んでいるのだが、三上さんは、

「気にしないでいいっすよ!」と優しい。

 

モールの中で、とにかくここバンコクは、

 " だいぶ発展している " と勝手に感じていた。

 なんか、先進国に来たな。。

と思ってしまう。

別に他に周った国が、後進国と言っている訳では無く、やはり、一つ抜きん出ている感があるからである。

 

まず、ひとつは、クーラーの温度が、

 " 少し肌寒い" 位の温度で済んでいる事である。

他の国では 「人間も凍らせてしまおう!」

とばかりに張り切って、キンキン冷えているのだが、ここバンコクは そんな事がない。

 

話で聞くと、大した事が無いように思われるかも知れないが、実際に旅している身からすると、これは大変な進歩なのだ! 笑

(翌日に行った市場でも、

 魚の下に 氷が敷いてあった。

 マレーシアのKLの地元の市場では、

 魚を40℃ 越えの中、

 そのまま 台に並べて売っていた。

 その為、匂いも物凄かった…

 落語でよく聞く江戸の魚屋の話を思い出し

 昔は、どこもこういう感じだったのか…

 と、なかなか感慨深い、いい体験だった。)

その為 ここタイは、今までの国よりも、日本に近い感覚でいられるように感じる。

 道理でタイは 居心地がいいと言われる訳だ…

と僕は、勝手に納得していた。

 

近くの屋台のようなところで ツマミも買い足した僕らは、早速、宿の共用スペースに戻り 酒盛りを始めた。

ここには今、僕らとオーナーさんしかいない。

せっかくなので「一緒に飲みませんか?」と誘うと、喜んで参加してくれた。

 

男ばかりで、会話ははずみ、色々な話をする。

三上さんはとにかくタイが好きで、タイにはとても詳しいし、宿のオーナーさんの話も これまた面白い。

 

一部を紹介すると、豪傑の三上さんは、ここバンコクで一度、犬に足を噛まれた事があるらしい。

噛まれても、24時間以内に 狂犬病ワクチンを打てば良い事を知っていた彼は、次の日タイから自宅に帰るので、

(明日、飛行機で戻ってから

 ワクチン打っても間に合うでしょ?)

と、構わず例のレバー屋で、ビールを飲んでいたと言うのだ。

「アルコールで、血行が良くなってて、

 血が止まんなかったんすよねー 笑」

と言って笑っている。。

(なんかこの人、凄い達観だな。。

 長年海外にいるとそうなるのかしら?)

と思い、少しだけ、

(…大丈夫かしらこの人?)と、

タイの初心者の僕は、実は少し そう思っていた 笑

 

信じられない話だが、その時は、逆に周りのタイ人の方が心配して、彼らに無理矢理タクシーに乗せられて、そのまま病院に連れて行かれたらしい。

(タイ人の方がちゃんとしている 笑)

 

ともかく凄い話だ。

僕ならビビりまくって、パニックなり、

(うわー!! し、死んじゃうよ〜!)

と、涙ぐんでいたに違いない。

 

「やっぱり犬怖いっすね。。

 俺も気をつけなきゃ。」

と言うと、これからの タイの滞在時間を聞かれた。

「うーん。。一ヶ月くらいですかねぇ?」

と僕が答えると 三上さんは、

「だったらまず噛まれませんよ。

 大体、長くいると 一度は噛まれるんだけど、

 総滞在時間を併せて、一年以上にならなければ

 まず噛まれた人は居ないです。

 それくらい居ないと逆に、

 犬も噛んでくれませんよ!」

と笑われた。

 

オーナーさんを見ると、彼も大真面目に頷いている。

どうやら、タイの犬 噛まれあるある のようだ。

 

それにしても、野良犬はそこら中にいる。

そして、放し飼いにしている飼い犬 もだ。

それらが、店先とか路地に普通に、猫みたいに座り込んでいる。

何か、今までの国よりも、かなり近くに、そこら中に犬がいるのだ。

そして、動きを見ていると、猫みたいなのだ。

 

日本では野良犬は ほとんど見ないが、タイの

地域猫」ならぬ、「地域犬」的にいる犬は、猫のように人々の生活に溶け込んでいるのだろう。

きっと、猫も犬も放置しておくと、人間との関係性が、やはり 似たようなものなるのだろう。

 

まぁ、そんなこんなで、とにかく楽しい3人飲みは、結構飲んだところで、お酒が切れた。

オーナーさんも かなりの呑んべぇのようだ 笑

 

まだ飲み足りない僕らは、宿の近くの日本食レストランに行く事にした。

オーナーさんが言うには、かなりリーズナブルとの事。

早速入ってメニューを、見ると本当に安い。

 

今までの国では、日本食レストランでは、

一品700円とか、500円のメニューが主流だったのに対して、

ここは、150円〜400円位で食べ物が頼めて、ビールも 相場と殆ど変わらない値段だ。

レストランと言うか、もう日本食堂と言ったほうがいいだろう。

 

枝豆などのツマミを頼み、日本のスーパードライの 生ビールもあったので、早速頼む!

タイのビールより気持ち高いくらいだ。

「アっサッヒッ!!

 すぅぱぁ ドっラ〜イ!」

と、ダメなおじさん3人で乾杯していると、店長さんが挨拶に来てくれた。

店長さんは、40代の日本の方で、気さくな方だった。

宿のオーナーさんとも仲が良く、よく飲んでいるとの事だった。

 

店が落ち着いたあたりで、店長さんも僕らの席に合流してくれた。

この店長さんの話も、本当に面白い。

 

皆 芸人さんばりのエピソードを持っていて、

「タイ バンコク

 すぅべラなぁぁい 話ぁしィ。」

は、延々と続いた。

 

そして、酔っ払いあるあるが起こった、、

ちょっとした 喧嘩が起こったのだ。

 

みなさん知っていますか?

緊張状態でいる人間が、ホッと気が緩んだ時、気を許せる状態になった時、信じられないくらいに酔っ払う事を…

 

宿が日本人だけだと安心感が違うので、今まで気を張ってきた反動が出るらしい。

僕はだいぶ酔っていたが、宿のオーナーさんもホントに楽しんでくれていたのだろう。

かなり酔っていた。。

 

僕が

「37歳で、まだ 売れない俳優をやっている。」

と言うと、楽しそうに、

「東さん、頭おかしいですよね〜」

とニコニコして言われた。

 

即座に、カッチーンと来た僕だったが、しばらくは黙っていた。

僕は結構芝居の事では熱くなるし、生半可な気持ちでやってないからこそ、

別に普段はそう言われても「そうですかね〜 」

くらいで流せるはずだったが、酔いも手伝ったのか?

それとも海外だからよりそう思ったのか?

せっかく会えた日本人に、そんな事を言われて悲しかったのか?

 

僕の中の、役者をやる原動力というか、

全ての逆境に立ち向かってきた、生きる力というか、元々持っている、

とてつも無いエネルギーから湧き上がる、

とてつもないマグマが心から噴き上げてきた。

(お前に何がわかるんや?)

と思っていた僕は、しばらく黙って、その後のみんなの会話を、何とか聞き流していたが、

途中で、酔いも手伝い、うっかりマグマが、

ザッパーっ と火口から噴き出た。

というか、どうしても納得がいかず、

マグマが言葉として漏れ出た。 つい、

 

「オーナーさんって、アレですよね?

 人の気持ちが、結構解らない人ですよね?」

と言ってしまった。

そして、案の定 言い合いになった。

 

そしてその中で、僕の発言が 思った以上にショックだったのか、 彼に

「東さん。。あの。。

 今日初めて会いましたよね?

 なんで僕が人の気持ちが解らないなんて、

 わかった様なことを言えるんですか!」

とても悲しそうに怒られた。

 

その悲みと怒りが内在する オーナーさんを見て、僕はハッとした。

(流石に言いすぎた。。)と後悔し始めた。

反省した僕は、一気に酔いが覚め、

「ごめんなさい。

 さっき僕は、あなたの事を勝手に

 わかった様なことを言いました。

 確かに今のは俺が悪いです。。

 いや、、申し訳ありません。」

と素直に謝った。

 

僕はこう見えて、スイッチが入ったら、かなりイケイケで色々突っ込んでしまう事がある。

だが、、その反面相手の痛みというか、悲しみにも、敏感だ。

相手を傷つけて平気でいられない、不思議な自分もいる。

他の二人は、大人なのだろう。とりなすでもなく、僕たちのやりとりを、黙って聞いている。

逆にこういう居方というものは、なかなか出来ないものである。

ありがたかった。

 

その後僕は、彼と話して、お互いに謝って、この日はお開きとなったが、泊まっている宿のオーナーさんと口喧嘩とはいえ、いきなりやり合うとは、僕も 全くやらかしたものだ。

 

だが、こんな風に人とぶつかったのは久しぶりだった。

僕はよく ”まっすぐな人ですね” と言われる事がある。

きっと、良くも悪くもだ。

彼もまっすぐな人なんだろうなぁと、なんとなく思っていた。

だから僕も矛を収め易かったんだろうと思った。

(実は、彼の発言には、本当に悪気はなく、

 その理由を聞いて、誤解が解け、

 後日、僕も納得するのだが。。)

 

 

何にせよ、酔っ払い過ぎると本当に良くない。

人間の 噛みつきあるある まで披露した僕は、

 明日の朝、気まずくても 

 改めてきちんと謝ろう。。

と決めて、ベッドの中で僕は

 

 やれやれ。。

 酔っ払いに噛みつかれた後に効く

 そんなワクチンが無いものだろうか…?

 

とアホな事を考えながら、深い眠りについた。

 

こうして僕の タイの初日は

色々と "やらかしながら"  

無事? 終わったのである。

 

 

続く

 

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↑ タイのスーパーのビールの種類は豊富!

 


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↑ 個性的で、自由なタイの犬たち。

 

 

次話

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タイの関所と 生レバー

 

久しぶりに日本人だけの空間に入ったので、日本人だらけに感じたが、

実際は、宿泊者らしき人が3人、オーナーさんらしき人が 一人いるだけだった。

 

しかし、こんなに多くの日本人をいっぺんに見るのは、日本以来 一か月半ぶりである  笑

僕がまみれたい日本の方たちが、何人もいらっしゃる。

まぶされた僕は、早速挨拶をする。

女性二人と、男性一人、オーナーの男性一人。

皆 気持ちよく挨拶をしてくれた。

日本語だけで挨拶するのは、いつ以来だろう?

 

ここは共用スペースのようで、寝そべれるように、下には柔らかい下敷きが引かれ、ソファーや、座布団など、皆でまったり出来るようなスペースになっており、皆それぞれの場所で、思い思いに過ごしている。

 

宿のオーナーさんに、小さな受付カウンター越しに色々と、説明してもらう。

ここは、僕の泊まる 男性専用ドミトリーは上の階、女性専用がさらに上の階で、最上階のバルコニーに洗濯機があり、洗剤は自由に使って良いとのこと。

ただし、洗濯機使用 一回につき、10バーツをカウンターの貯金箱に入れて下さいとの事だった。

 

だが、洗濯機があるのは本当に有り難かった。

着替え難民であり、機内での異臭テロリストでもあった僕は、すぐに洗濯をすることに決めた。

 

先払いの為、2泊分の料金を、タイバーツで支払う。

宿代は結構安い。しかも 連泊の為、割り引いてくれるという。一晩 千数百円だ。

なんだかんだで、空港で祝福された千バーツで、ここまでの交通費と、宿泊代まで賄えてしまった。  …ありがたすぎる。

 

トイレと、シャワーの説明をしてもらい、部屋に案内された。

結構広い部屋に、壁際に2段ベッドが3つあり、計 6床あるが、かなり贅沢な広さの部屋である。

 

今日は、男性ドミトリーは、二人しか泊まらないとの事なので、好きなところを使って良いと言われ、僕は下のベッドを確保し、荷物をほどいた。

 

そして、早速洗濯に行く。

バルコニーは結構広く、洗濯機も二つあり、洗濯物も干せるスペースまである。

ハンガーなども大量にあり、いつも大活躍の、自前の洗濯ロープを張る必要もない。

新しいであろう方の洗濯機に、全ての洗濯物をぶち込み、適当な量の洗剤もぶち込み。

「おまかせ」というコースのボタンを押して、僕は鼻歌混じりに部屋に戻った。

 

部屋に戻ると先程お会いした、唯一の 同宿の男性がいた。

改めて挨拶をすると、三上さんと言う男性で、30歳だという。

 

下半身がガッシリした男性で、背は僕より少し低い。聞くとサッカーをやっていたという。

どうりで体格がいいはずだ。そして、昭和の匂いのする、中々の男前である。

 

ずいぶん旅慣れた感じだったので、話を聞くと、マレーシアの方面で仕事をしていて、この宿には、休暇の度に来ている との事だった。

とにかく、時間があればタイに来て ゆっくりしているとの事。

 

彼の話からも、日本で噂には聞いていた、タイの居心地の良さを感じる。

年齢の割には落ち着いた感じの彼と僕は、少し話すと すぐに意気投合し、

早速「飲みに行こう!」となった。

旅先ではインスピレーションが研ぎ増されているので、お互いに「合うか合わないか」がすぐ分かる 笑

 

そして、僕に勝手に ”タイの達人” 認定された彼に、行くお店を任せると、

ナント! 日本ではもう食べれない、

美味しい「新鮮 生レバーの店」に連れて行ってくれると言うのだ!! 

だが、、

 …た、タイで 生の内臓かぁ。。

 そんなモノを食べて本当に

 ダイジョブかしら??

とは思ったが、数年食べている彼は、一度もお腹を壊したことは無いらしいし、

昔、日本で修業した事のある タイ人店主のこだわりは凄いらしく、

「下手な日本の店より、

 間違いなく、美味しくて安全です!!」

という 彼の力強い日本語を聞き、僕も腹が据わった。

 

僕には洗濯物があるので、

「終わってからで良いですか?」

と聞くと、「おっけーっすよー!」

と普通に待ってくれる。

何か、この国の "おおらかさ" のようなものを、この国に来ている 日本人の彼からも感じる 笑

 

無事洗濯が終わり、干し終わった僕は、三上さんと街に繰り出した。

三上さんは、早速タクシーを停め、乗り込むと、タイ語で行き場所を告げた。

タイ語で普通にやり取りしている。

 や、やはり、もの凄い達人だ。。

と感心していると、

「いやぁ、最低限のタイ語覚えておくと、

 ナメられないんで、ぼったくられませんよ」

と笑いながら教えてくれた。

 

このタクシー運転手は しばらく走ると、

(ホテルなのか、高級住宅街なのか?)

という曲がりくねった 上り坂の入り口を前にして、三上さんと なにやらやりとりを始めた。

そして話はついたのか、車は坂を上り始めた。

 

すぐに、電話ボックスのような「詰め所」の様な建物が見えた。

そこにある、車止めのバーの前で止まる。

そして、そのボックスの詰所にいる男に、運転手がバーツ札を渡すと、バーが開いた。

タクシーは、奥へと進んでいく。

 うーん。。

 これから高速道路にでも乗るのだろうか??

と不思議に思っていると、三上さんが説明してくれた。

 東さん、ここはね。

 お金持ちの 私有地なんだけどね。

 ここの丘を通ると近道なんですよ。

 ここを通らないと 遠回りで 道も混むので、

 百数十円払うけど、結果的には

 値段は変わらないんですよ〜。

 昔はタダで通れたんですけどねー 笑

と教えてくれた。

 

何という事だろう!

ここは  "有料の近道" だったのだ!

所有する私道を、皆に勝手に "近道" 扱いされて、勝手に通られるので、土地の持ち主が頭に来たのか、それとも、

「商売になるな!」と思ったのか、

通行料を設定し、わざわざバーや 人まで設置して、お金を徴収しているらしい。。

なんともびっくりな話である。

タイ初日に、いきなり 個人経営の「関所」を通るとは、なかなかのレア体験であった。

 

やがて、無事丘を越えたタクシーは、道路に戻り、15分程走り、目的の場所に着いた。

そこは屋根付きの吹き抜けた「屋台村」の様なところで、七、八軒のお店が客席を囲む様な作りであった。

日本人らしき人も席にはいた。

 

店の中を見て、三上さんが「あれ?」と言い、

「あれ? 休みかも知れませんね。。」

と言い出したのだ。

二人で、奥のお店に行ってみると、ビニールシートが貼ってあり、明らかにやっていない。。

 

周りの店はやっていたので、三上さんがタイ語で聞いてくれたところ、生レバー屋の店主は、ご家族で、タイの自分の田舎に帰省しているとのことだった。

2週間ほどお店は開かないらしい。。

なんというか、随分 間の悪い時期に来てしまったものだが、こればっかりはしょうがない。

「マジかー。ごめんなさい。

 うーん、東さんどうします?」

と聞かれたので、

「周りの店はどうなの?」と聞くと小声で、

「そんなに美味く無いですよ。。」

と達人らしく情報をくれた 笑

 

「せっかく来たので、ここで食べましょう!」

と僕がいうと、彼もうなずき、席に座った。

レバ刺しを、食べられなかったのは残念だったが、少しホッとしている自分もいた。

やはり、ちょっと怖かったのだ。。

 

料理のオーダーは、達人の三上さんに任せる。

色々な料理と、チャンビアー(タイの一番有名なビール)を頼んでくれ、雰囲気もいいここで、僕と三上さんは、盛大に酔っ払った 笑

 

お腹がいっぱいになった僕らは、会計を済ませ、近場をうろついた。

達人の三上さんも、ここでは「レバー屋」しか来た事はないらしく、一緒に店を物色する。

 

オシャレそうなバーがあったが、顔を見合わせると、上級者の呑兵衛の同志の勘で、

(ここは、、違うかな…?)

と 鋭くなった呑兵衛のセンサーが働き、三上さんも同じく、酔っ払いテレパシーで、

 " ええ… そうですよね。。"

と、アイコンタクトできたので僕は、安心して、

「宿に帰って飲みませんか?

 そのお金は僕が持ちますので。」

と三上さんに提案した。

すると、ほっとした様に彼が、

「そうしましょうか?

 ええ、是非 そうしましょう!」

と、乗ってきてくれた。

 

実は僕は、宿代を払ってしまって、

タイバーツは、殆ど持っていなかったのだった。

最初、すぐにお金をおろそうとしていたのだが、

「そんなの、後でいいですよ。

 とりあえず俺が払うので、後で割りましょ」

という、三上さんの優しい提案で、僕は文無しだったのだ 笑

 

理由を聞くと、

 東さんは、たぶん 大丈夫な人だから。

と、いつの間にか僕は、これまた東南アジアの、百戦錬磨の達人しか分からないであろう、

「マトモな人認定」をされていた。

 

そんな僕は、宿で まだまだ飲むために、三上さんの停めてくれたタクシーで、オンヌットの宿へと戻って行ったのであった。

 

もちろん、このタクシーの支払いも、優しい三上さんである!

 

戻ったら、すぐにお金を下ろさなければ。。

 

続く。

 

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↑ 本当は食べれるはずだった生レバー達

 

 

次話

azumamasami.hatenablog.com

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

日本人だらけの不思議なバンコク

 

パヤタイ駅で大恥をかいた僕は、改札から一番端まで、逃げ延びていた。

ここまでくれば、僕の失態を見た人はあまりいないはずだからだ  笑

 

先頭車両から、電車に乗り込む事にする。

不思議な事に、改札を入ると すぐにまた警官が立っていた。

 

空港の改札では "国際空港" だから 警戒しているのかと思っていたが、どうやらバンコクは全体的にモノモノしいみたいだ。

僕の行った3カ国では、鉄道の改札内に警察が立っているなどと言う事は、これまで 全く無かったからである。

 

僕はここでハッとした。

 

そういえば、僕が最初、

マレーシアから、マレー鉄道で国境を超えて、

そのままタイに入るという、

深夜特急のオマージュルート」を断念したのは、2年程前にバンコクで起きた

「爆破テロ事件」の余波の影響であった。

 

そのマレーシアからの入国ルートは

外務省から、「レベル3」渡航中止勧告が出ていたのだ。

つまり、テロへの警戒で、タイはまだ ピリピリしている真っ最中なのだろう。

 

 

先頭車両から車両に乗り込むと、来た電車はまた混んでいた。

席は埋まっていたので、立っていると、やはりまた日本人がいた。

僕の向かいの席に座っている 50過ぎの観光客のおじさんは、何やら食い入るようにガイドブックを読んでいる。

(ん?? やけに一生懸命読んでいるな。。)

と思って見てみると、それは バンコクの夜遊びガイドブックだった。

 

彼もタイに来てまもない様に見えたが、

(どうせ日本語はわからないだろう!)

とばかりに、その風俗のガイドブックを広げて読んでいる。。

そこには、

バンコクの夜を楽しむならココ!」

とか、

「女の子 お持ち帰りOKな店」など、

どうしようもない日本語が並んでいる…

 

わざわざ そう言う目的で タイに来るおじさんがいるとは、日本でも話に聞いていたが、

実際にそれを目の前にして 僕はかなり驚いていた。

(おっ、おぉう…  本当にいるんだ。。こんな人)

と 逆に一瞬感心してしまった。

 

しかし、一体何を考えているんだろう… このおっさんは?

まぁ、旅の目的はそれぞれだとしても、人様の国に来て、

公共の電車の中でそんな物を広げているのは、流石にありえないだろう。。

同じ日本人として、僕の方が恥ずかしくなってきた。

 

そういえば、一昔前の事だが、何かのインタビューで、

ヨーロッパから来た外国の方が、

日本の通勤電車に初めて乗った時に、

 

日本のサラリーマンのおじさんが、

週刊誌や 漫画の「裸の描写」などを、車内で普通に読んでいて、

 "この状況 ありえない!" と本当に驚いた。

と言う話をしているのを 聞いた事があった。

(今は さすがにそんな人は、

 日本でも滅多に見ないが…)

 

だが、今度はタイで僕が驚く番だった。

(おいおい、頼むよ… おっさん。。

 何広げてんの… 俺が恥ずかしいよ。)

と、いきなり日本人にビックリさせられたのだった。

 

この、「旅の恥はかき捨て」という言葉を

はき違えたおじさんは、

スクンビット」という駅で降りて行った。

この体験は、結構な衝撃だった。

 

知り合った旅人たちから色々と話は聞くし、僕もそこそこ生きているのでそんな潔癖でもないし、大概の事は笑えるのだが、、

何か この、日本ではあまりお目にかかれない、

おじさんの生々しい 丸出しの欲望は、ちょっと笑えなかった。。

 

読んでいる時の表情も やばい顔になっていたので、

 おじさん… あなたね、、

 その顔だけで 軽犯罪法に引っかかりますよ…

と言いたくなったのは、僕だけではないはずだ。

 

そんな電車は、さらに数駅過ぎて、やっとオンヌット駅に着いた。結構な田舎を覚悟していたが、車窓から見えてきた街は、そんな感じではなかった。

 

ここオンヌット駅にも、改札に向かう途中、やはり後ろ手に組んだ警官が立っていた。

切符のカードを改札機に入れて、無事駅の改札を出た僕は、そのまま階段を降りた。

 

高架鉄道の下は、鉄道に沿うように国道になっており、向かい側にかなり大きいショッピングモールがある。

ほとんどの買い物はここで済んでしまいそうな大きさである。

 

ひとつ驚いた事がある。

階段を降りてすぐのところに、盲目の女性がいて、

今は懐かしい、ハンディタイプのカラオケマイクで、歌を歌っていた事だ。

(ん? …やけに歌が上手いな。)

と感心して しばらく見ていると、

どうやら 歌自体も音源から流しており、

「口パク」であるようだ。

 

マレーシアのクアラルンプールにも、盲目の方が駅からの階段を降りた すぐ横におり、ティッシュを売っていたが。。

 

カラオケを歌ってアピールするというのは、かなり斬新に思えた。歌には、より訴える力があるからだろうか??

そんな僕は、不思議と心が動き、先程の切符を買った残りの小銭を、彼女に気づかれないように、そっとカゴに入れた。

そして、Googleマップ先生を見て、場所を把握した僕はその歩道を歩き出した。

 

初めて歩くタイの街は新鮮だった。

高層マンションは、ちょっと入ったところにちらほらあるが、道の横は、三、四階建ての建物ばかりである。

賑わっている小さな屋台村のような所もあったし、ストアや、マッサージ屋さん、貴金属店、初めてみる看板のコンビニ、セブンイレブン、商売のついでに宝くじを売っている店もある。

脇道には、屋台も出ており、果物や野菜なども パラソルの下で売っている。

歩道に沿って、ずらっとお店が並んでいて、巨大な商店街のようで本当に楽しい!

美味しそうな、日本のラーメン屋も発見した。

 

そんな街を堪能しながら、スクリーンショットしておいた、宿までの行き方も見ながら、

ここだというところで右折する。

 

直進して行くと、駅前のモールより一回り小さいが、また綺麗なショッピングモールがある。

(二つも大きなモールがあって、

 この街で競合しないのだろうか?)

と思ったが、きっと大きなお世話だろう。

 

ここから道路を渡ると、路地に僕の泊まる宿があるはずである。

だが、道路を渡ろうと思ったが、ここには信号が無く、交通量も多い。

危なくて渡れそうにない。。

しかし 信号まで戻るとすると、右折したところまで、かなり戻らなければならない。

 

みんな どうしているのか? と見ていると、しばらくすると 誰かが強引に車を止めて道を渡っていく。そのついでに数人が渡っていく。

どういうタイミングで渡れるのかが さっぱり分からない僕は、しばらく呆然としていたが、何とかこの道路を渡ってみることにした。

 

一人では怖いので、歩道にいた 道路を渡りそうなタイの男性を見つけ、気付かれないように、彼の後ろにピッタリと付いた。

まるで「JOJOの奇妙な冒険」のスタンドの様に。

彼が轢かれたら、僕も轢かれてしまう…

まさに一心同体である。

 

やがて僕は 彼の動きに併せ、一緒に道を渡った。

一瞬、

 え?! このタイミングで?!

と思ったが、車たちは止まってくれ、僕たちは無事に道を渡ることが出来た。

 

渡ったすぐの路地に入ると、目印の日本料理屋があり、その向かいに宿があった。

 

インターホンを鳴らすと、上がってきて下さいとの事で、ドアが空いた。

 

階段の端には、サンダルなどがキチンと並んでおり、どうやらここも土足厳禁のようだ。

 

上がり切ったところで靴を脱ぎ、僕はフロントがありそうな、共用スペースに足を踏み入れた。

そこは、僕が追い求めていた

日本人旅行者が溢れかえっていた。

 

つづく。

 

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↑ タイでも猫さんは健在☺️

 

次話

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バンコクの改札 引っ掛け問題

 

電車のマークを追って行き、到着した改札から、バンコクの鉄道に乗る前に、

最初に連絡した日本人宿のオーナーさんからメールが来ていた。

 

ドミトリーではなく、シングルルームで、

扇風機はあるが、なんと、クーラーが無い部屋なら空くとの事。 値段も思ったより安い。

 

(クーラーが無くて平気かな…?)

とは思ったが、この宿にどうしても泊まってみたかった僕は、

(ま、、何とかなるだろう。)

と思い直し、お世話になる事にした。

明後日から 三泊予約する。

予約のメールを返したところで、電車の切符を買う事にした。

 

チケットオフィスで

「オンヌット駅まで下さい」と言うと、

「そこまでは買えません。」と言われた。

乗換駅の「パヤタイ駅」までしか買えないとの事。

 

仕方がないので、パヤタイ駅までの切符を買う事にした。

先ほどの千バーツを出し 支払う。

大きいお札は 早めに崩しておいた方がいい事は、各国での初日で学んだことだ。

 

お釣りと一緒に、プラスチックのコインを渡される。

普通はであれば、そのコインを見て

(これ… 何だろう?)と戸惑うだろう。

だが、僕は慣れたもので、お釣りと共にそれを受け取り、

「サンキュウ!」と言って改札へと向かった。

そして僕は、そのコインを 日本の Suica のように改札にタッチして、

迷いなく改札内に入って行った。

 

何故、僕がこのシステムを知っているかと言うと、実はマレーシアのクアラルンプールのモノレールが、

この ”プラスチックコイン タッチシステム” だったのだ。

 

コインの中に、運賃のデータが入っており、

改札を入る際は改札機にタッチし、

降りる駅の 改札から出る時には、このコインを 改札機の穴に入れるとゲートが開く。

そして、穴から回収されたコインは、たぶん再利用される。

 

この、コインが 切符の代わりのシステムは、日本の紙を使うシステムと違い、

(エコだなぁ…)と 僕は感心していたので、よく覚えていたのだ。

 

もちろんマレーシアでは、最初 戸惑ったが、そこは俳優である。

前の人の行動を注意深く観察し、入り方、降り方をマネして、問題なく利用できた。

(その際 相手に「何?」と言う感じで

 振り帰られるほど、相当集中して

 手元を 注視していたようだが 笑)

 

そんな僕が、鼻歌交じりに改札に入ると、何やらモノモノしい。。

警官らしき人が、何人か立っている。

マレーシアのペナン島で見た 軍人さん以来の、威圧感である。

空港駅だからだろうか??

 

ホームに行くと 結構人がいて、そこそこ混んでいる。

始発駅なので席に座れたが、途中駅から結構人が乗ってくる。

昼だというのに、電車に乗る人が多いようだ。

 

改めて路線図と睨めっこをする。

よく見てみると、空港からの電車は、

ARL(エアポート レイル リンク)と書いてあり、

乗換駅のパヤタイ駅からのBTS高架鉄道)とは、鉄道の種類が違うようだ。

(だから、パヤタイまでしか買えなかったのか…)

と 僕は理解した。

 

駅に着くたびに、駅名をチェックし、路線図と見比べる。

「えーと、あと四駅か…」

思わず独り言をつぶやくと、隣から日本語で

「そうそう、あってる…」

と日本語が聞こえた。

 

隣を見ると、スラックスにポロシャツの、紳士然としたおじさんと目が合った。

 

 えーと、日本の方ですか?

 

 はい、そうですよ。

 タイは初めてですか?

 

 はい、今日来ました。

 電車 結構混んでますね…。

 

と話が始まり、僕とその落ち着いた感じのおじさんと、パヤタイまで少し話をした。

やはりバンコクは都会で、通勤時間は満員電車になると言っていた。

 

だが、日本とは違い、ホームがかなり混むらしい。タイの人達は、電車に無理して乗り込まないので、車内はそこまでギュウギュウにならないのだそうだ。

その分ホームが混むのだとか。。

(うーん… やっぱりタイも面白いな。)

と 僕は早速ワクワクしだした。

 

ホームからエスカレーターで降り、コインを入れて、改札を出た。

先程の紳士は、一緒に下まで降りてくれ、乗り換えの方向を教えてくれた後、お礼を言う間も無く、すぐにいなくなってしまった。

 

なんとなく今までの雰囲気とは違う気がした。

イミグレーションでも、実は日本人が多かった。

やはりタイでは 日本人は珍しくもないのだろう。

今までは、他国で会った日本人とは 結構交流が生まれたが、ここバンコクで初めて話した人とは、非常にあっさりしたものである。

 

確かに、普段から日本人が周りに多ければ、わざわざ深く交流しようとは思わないのだろう。

彼らからすると、日本にいる時と同じ感覚なのかも知れない。

 

人の流れに付いて行ったこともあり、すぐに乗り換えの、BTSのパヤタイ駅の改札に着いた。僕は、早速コインの切符を買うことにした。

 

窓口に並び、自分の番になったので

「オンヌットまでのチケットを下さい」

と言うと、窓口の女性に 券売機を指差され

「あそこで買って下さい」

と言われた。

「ん?  いや、あの… え?

 ここで買えないんですか?」

とびっくりして聞き返すと、

「はい、ここは両替だけです。あとは、

 ワンデイパスなどしか売ってません。」

と、はっきり言われた。

 

(そんなバカな。。

 窓口で切符を買えないなんて

 そんな話、どの国でも聞いた事がないぞ…)

 

そう思い

「空港では 窓口で売ってくれましたが…」

と言って粘ろうとしたが、慣れた調子で、

BTSの普通切符は、機械でしか買えません。

 ごめんなさいね。

 両替でないなら どいて下さい。」

と言われた。

後ろを見ると、何人かが後ろに並んでいる。

僕は憮然としながら、窓口から離れた。

 

納得いかずに、そのまま窓口を見ていると、確かに、皆、両替しかしていない。

切符を買っている人は一人もいない。

 

(そういうものなのか… うーん。。

 いきなり、カルチャーショック…)

と思い、僕は仕方なく券売機に向かう。

 

券売機の前の路線図で、駅と値段表示を探す。

オンヌット駅までの値段を調べ、切符を買おうとすると、お札を入れる場所はなく、コインしか入れる場所がない。。

かなり古めかしいゴツイ券売機だ。

 

(なるほど、、硬貨しか使えないから、

 窓口で両替するシステムなのね。)

と思い、買おうとしたが、硬貨が足りない。。

お札を両替して貰うしかない。

僕はまた窓口に行くハメになった。

 

窓口に行くと、先程のスタッフの女性が

(また来たよコイツ…)

と言う顔をしている。

 

少し 恥ずかしかったが…   今度は、

(もうわかってますよ? ワタシは。)

と言う顔で 平静を装い、100バーツ紙幣を出し、両替して貰った。

 

券売機に44バーツ分の硬貨を入れ、やっとこさボタンを押す。

 

 例のコインが出てくる…  はずだった。

 

しかし、そこで出てきたのは 何故か、

 プラスチックのカードだった。

ニュッと、薄いスイカのようなカードが出てきたのだ。。

 

(ええ? あ、なに? ボタン間違えて、

 スイカ的なものを買ってしまったのか??)

と思い、少しパニクった僕は、再び窓口に向かった。

 

窓口のお姉さんは、僕を見て

(ええ? また来たんだけど…この人??)

と言う顔をしていた。。

 

「あ〜、え〜っと。。あの、

 普通の切符を買いたかったんですが、

 これが出てきちゃったんですけど…」

おずおずと言うと、 少し呆れた顔で、

「これ、これが普通の切符です。

 コインの代わりにカードなんですよ。」

と、苦笑いしながら教えてくれた。

 

僕はもう、無理矢理に笑いながら、

「ああ… そうなんですかぁ。。

 すいません、何度も。 し、親切にどうも!」

と無理に明るく振る舞い、恥ずかしさを誤魔化す為に、わざと、そのカードを 改札を通すようなジェスチャーをすると、

彼女は笑いながら 大きく頷いてくれた。

僕は「サンキュー!」と笑顔でお礼を言って、改札へと向かった。

 

それにしても、初めての国の初日は、やはり意図せず色々起きる。。

何度も、窓口に戻って来た僕を見たお姉さんはきっと

(この人、新手のナンパかしら? )

と思った事だろう… 恥ずかしい。。

 

 うん。これくらい よくある事さ。

 まぁ、何事も経験、経験! よし!

と切り替えた僕は、勢いよく改札にカードをタッチした。

 

…が、ゲートは開かない。

 

何度かタッチする。

 

…が、やはりゲートは開かない。

 

僕が懲りずにバシバシやっていると、後ろから肩を叩かれた、振り返ると、大きな白人の男性がいて、改札機の 切符入れの様な所を指差して、

「インサート」と教えてくれた。

 

そう。。このカードは、空港からのコインのように、タッチするのではなく、

切符と同じで、改札機に入れ、中を通すシステムだったのだ!

 

僕は顔を真っ赤にしながら、小声で

「…サンキュ。。」と呟くと、そのカードを改札機の穴に入れた。

すると改札のゲートは開き、入れた所のすぐ上に、今入れたカードが出て来ていた。

僕はそれを取り、逃げるようにして、ホームへと走り去った。

 

一体僕は、電車に乗るだけで、どれだけ恥をかくのだろう。。

空港から、鼻歌混じりにコインを操っていた 百戦錬磨の旅人の東正実さんは、どこに行ってしまったのだろうか??

 

 でも、コインはタッチ式で、

 カードは、改札機に挿入方式なんて

 引っ掛け問題じゃんか… ずるいよ。。

 

と呟きながら僕は、タイに来たばかりだというのに、

早速この国に、ケチョンケチョンにされていたのだった。

 

 やれやれ… 先が思いやられる。。

 

つづく

 

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バンコク鉄道路線

BTSの改札の方式も

 最近は、色々変わっているらしい。

 今は、切符のカードは タッチして入る

 コイン方式と一緒になったらしい。

 チケットも窓口でも

 買えるようになったらしい。)

 


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↑ 2017年当時のタイバーツ

 プミポン国王が描かれている。

 

次話

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人生初の タイとクアイテ

 

晴れ渡る空を、気持ち良さそうに飛んでいた飛行機は、

時間通りにバンコクスワンナプーム国際空港に着陸した。

 

隣のご夫婦は、降りる際にも 満面の笑顔で会釈してくれた。

多少の罪悪感を感じながらも僕は、

「ハバァ グッタイム!」と最高の笑顔で挨拶した。

 

飛行機を降り、イミグレーションに向かい、入国審査の列に並ぶ。

実は僕は、カンボジア −  ベトナム 間の移動が、あまりにスムーズで 審査が甘かった為、すっかり油断していた。

 

パスポートを、審査官に見せる。

その厳しい顔つきをした、細身の年配の男性職員は僕を見て、手元を人差し指でトントンして

「クァイテ」と言った。

 

(クァイテ…?  何だろう??

 「通って良い」と言う タイ語かしら?)

 

そのまま通ろうとすると、止められ、

かなり強めに「クアイテ!」と言われた。

 

僕は、タイ語はさっぱりわからない。

それとも知らない英単語だろうか?

 

まだ、そこまで国越えの経験値が無い僕は、うっかり携帯を出して、言葉を調べようとした。

すると鋭く

「ダメだ! しまえ! 携帯を仕舞え!」

と英語で叱られた。この言葉はよく分かった。

 

僕はここで初めて、空港のイミグレーションで携帯を出してはいけない事を知り、直ぐにしまった。

 

(しまった! 携帯、やらかした!!

 だけど、先刻から彼は何を言いたのだろう?

 一体何が問題なのだろうか??)

 

やがて彼は、諦めたような顔で

「プリーズ ライティング」

「ライト、ディスペーパー」

と言ってきた。

彼の手元を覗き込むと、そこには入国カードがあった。

 

(ああ、そういう事か! 忘れてた!!)

僕は入国カードを書き忘れていたのだ。

カンボジアベトナム間で、入国カードを書く機会がほとんどなかった為、僕はすっかり忘れていたのだ。

僕が慌てて書こうとすると、一度脇に退いて、そこで書けという。

彼は次の入国者を呼び、審査し始めた。

 

そこで僕は、ある事を理解し、背中に電気が走ったように、謎が解けた!!

彼は、日本のパスポートを渡した僕に 気を遣って、わざわざ日本語で

「書いて!」と言っていたのだ。

てっきり、英語かタイ語でしか やりとりは出来ない と身構えていた為、彼がカタコトで日本語を喋っている事に、全く気がつかなかったのだ。

 

(でも、「クアイテ」って言ってたし、

 日本語だと思うわけないでしょ。。)

と 最初は少し腹も立ったが、理由が解ると 笑いが込み上げてきた。

 

(さすがに「クアイテ」はないだろ。。

 自信満々の怖い顔で「クアイテ!」って  笑)

 

だが、笑っている場合では無いし、笑いながらカードなぞ記入していたら、確実に 怪しい奴だと思われるはずだ。

僕は笑いを噛み殺しながら、必死に素早く入国カードに記入した。

書き終わって 待っていると、彼は 次の入国者の対応が終わったところで、また僕を呼び寄せてくれ、今度はすんなりと通してくれた。

 

しかし、久しぶりに焦った。。

「タイは初心者向け」と聞いて舐めていたが、自分にとっては 初めての入国である。

僕は気合を入れ直した。

 

入国が終わると、後はお金を下ろす作業だ。

まず、ネットでチェックしておいた、

空港内で "1番レートが良い" とされている地下の方の Exchangeへと向かった。

時間の問題なのか、穴場なのか分からないが、客は僕しかおらず、周りに人も全くいなかった。

とりあえず、残っていたベトナムドンを全てタイバーツに変えた。

だが、出国の前にほとんど使ってしまっていたので、数百円分にしかならなかった。

 

次に僕は、VISAのプリペイドカードで、タイバーツを下ろす事にした。

ATMを探そうと周りを見渡すと、誰もいない。

その広い廊下の向こうに、ATMが見えた。

早速向かって 財布を取り出そうとした僕は、ハタと止まった。。

 

何かが落ちていたのだ。

よく見ると、バーツ紙幣だ。

拾い上げてみると、1000と書いてある。

 

頭の中で計算してみる。

(えーと、さっきのExchangeだと、

 1バーツが日本円で3.3円位だったから…

  おお! 3300円か。 結構でかいな…)

 

僕は周りを見渡す。。誰もいない。

しばらく行ったり来たりしてみる。。

 うーむ、誰も来ない。

 というか、俺しかいない。

落とし主らしき… というか 人っ子ひとりいない。

 

「ん… よし!」と言って、僕はその千バーツを頭上に掲げ、一礼してから財布にしまい、

ATMでお金を下ろすのをやめた。

(きっと タイが僕を歓迎してくれたのだ。

 ありがたや。 ありがたや。)

僕はそう思う事にしたのだ。

 

それから僕は、日本人宿に電話する事にした。

ついに僕は、今回の旅で 初めて、日本人宿に泊まることにしたのだ。

「日本人宿」とは、原則日本人しか泊まれない宿で、日本人にまみれることができる宿である。

 

予約方法がよく分からない僕は、とにかく公衆電話で電話する事にした。

そう! ここタイには公衆電話があったのだ。

僕は 電話越しの英語の会話は厳しいが、今回は日本語が通じるはずなので、安心して電話をする。

 

空港のエスカレーターの脇に、公衆電話が3台並んでいる。

真ん中と右側の電話の ちょうど間に、ホームレスなのか、薄気味の悪い男がうずくまっており、怖いので、1番左の電話を使う。

 

コインを入れ、しばらく待っても、呼び出し音も何もしない。。

(こういうものなのかしら?

 タイの公衆電話は??)

と思い、ホームページの電話番号を打ってみるが、何も起きない。

 

一度切り、もう一度やり直すが、やはり何も起きない。。

 

(この電話、壊れてるっぽいな。。)

僕は隣の電話を使いたかったが、とても、

「どいてくれませんか?」

などと言える雰囲気ではない。。

何か、今まで見た事のない 得体の知れなさが、彼にはあった。。

 

しょうがないので、他の場所に公衆電話がないか探す事にした。

階を変えて一回りしてみたが、やはり公衆電話は、見つからなかった。

 

僕は意を決して、先程の公衆電話に戻る事にした。

(頼んで、せめて横にずれてもらおう…)

と覚悟を決めて先程の公衆電話に戻ると、不思議な事に、先程までいた男は、いなくなっていた。

 

ホッとしながら、右の電話にコインを入れると、日本でもおなじみの「ツー」という音が聞こえた。

(やっぱり、壊れてたのか左端。。)

と思いながらも、電話番号をプッシュする。

 

やがて、呼び出し音が鳴り、

「もしもし…」と男性の声がした。

日本語を聞くと、やはり安心する。

 

 今日から、二、三泊したいのですが。

 

 いや、実は今日と明日は、満杯なんですよ。

 僕もこの電話に出てますが、

 この宿のスタッフではないんですよ〜。

 

 ええ?! そうなんですか?

 

 はい。 オーナーさんが今

 旅行に行っちゃってるので、代理です。

 オーナーさんのGmail教えますので、

 今メモれますか?

 

 あ、は、はい。

 ちょっと待ってくださいね〜

 えーと…

 

という感じで僕は、誰だか分からない男性から、口頭でメールのアルファベットを聞き取ることとなった。。

電話越しにメールアドレスをメモるという、原始的なやり方に

(一体何時代だ。。 笑)

と メモしながら笑ってしまうが、

アナログと工夫が最強なのは、この旅で学んだ事だ。

僕はお礼を言い、電話を切った。

 

さて、メールである。

聞き取ったメアドが間違っていたら、

そこで「ジ・エンド」である。

僕は ドラクエ2の、"復活の呪文よろしく、慎重にメールを打った。

アドレスエラーで、メールが帰ってこなかったところを見ると、

どうやら僕の「復活の呪文」は無事、旅の続きから 始められるようだ。

 

そして、今日、明日は満床と聞いたので、返信が来るまで、今日泊まる宿を確保する事にした。

実は日本人宿は、もう一つ見つけていた。

だが、僕の憧れの「カオサン通り」の近くではない。

そこから結構離れた、高架鉄道であるBTSに乗り「オンヌット」という駅で降りた所にあるとの事だ。

 

口コミはとても良く、宿の主人もとても良い人だと書かれていた。

「今日は、どうしても! 中華が食べたい!!」

と思ってしまう様に、

もう "口が日本語になってしまっている" 僕は、とりあえずこっちの宿に泊まる事にした。

 

とりあえず、その宿に電話してみると、気のよさそうな男性の声がした。

今日泊まれるか聞いてみると、全く問題ないという。

 全然空いてますよ〜! 大歓迎です。

 宿には、何時頃着けそうですか?

と、チェックインの時間を聞かれて、僕は止まった。

 

(ええと… すぐに宿に向かうけど、

 どれくらい時間がかかるのだろうか??)

と思案していると、

 今どこですか?  空港ですか?

と聞いてくれたので「そうです」と答えると、

大体の所要時間と、乗る路線を丁寧に教えてくれた。

 今日、初めてタイに来たばかりなので、

 時間通りにつけるかわかりませんが…

と言うと、

 気にせずに ゆっくり来て下さい。

 お待ちしてますので。

と優しく言ってくれた。

 

その後、鉄道の改札を探し出した僕は、

駅の窓口に置いてある、英語の路線図を見つけ、

「On Nut」と書かれている場所を探す。

 

タイの路線図は色分けされており、とても見やすい、

空港からは 「パヤタイ」という駅で、一度乗り換えが必要らしいが、乗る路線は特定出来た。

 

「よし! 行こう!!」と気合を入れる。

 

そして僕は、ついに空港を出て、本当はこの旅で最初に訪れるはずだった地、タイへと踏み出したのである。

 

つづく

 

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↑ タイ入国用の入国カード

 何故か 2枚渡されていたので、

 一枚は記念に取っておいた。

 

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↑ タイの空港の公衆電話

 

次話

azumamasami.hatenablog.com

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

僕が見た ハノイとベトナム

 

ベトナムの "首都" であるはずなのに、何か おっとりとした、田舎の風情のある都市。

それが僕にとっての、ハノイの印象であった。

 

ハノイは、ベトナムのほぼ最北端である。

北に行くともう中国。もう中国なのである。

 

人生で初めて、国境のある大陸である 東南アジアを旅していて、今更 実感した事だが、大体 国の境目には、大きな川か、山脈がある。

 

それは、墨田区荒川区が、荒川で分かれているように…

神奈川県と、東京都が、多摩川で分かれているように。。

秋田と岩手、山形と宮城が、奥羽山脈で分かれているように。。

 

ベトナムと、中国も山によって国境が敷かれている。

カンボジアと、ベトナムも、川が国境になっている。

 

戦争によって、土地を決めてきた我々人類は、戦国時代から ”要所” が国境(くにざかい)になる事が、そのまま今も変わっていないのだ。

当たり前のことだが、その事を改めて 島国の日本を出てみて初めて、頭ではなく 肌感覚で実感した。

 

ベトナムは、ホーチミンハノイも、汗かきの僕からしたら、

とにかくどちらも暑い のだが、ベトナム人からすると、北側のハノイは とにかく寒いらしい。

 

特にホーチミンの友人達は

「とにかくハノイは寒い、風邪をひく。」

と皆口を揃えていうが、僕には

(どっちも あっつい! そんな 変わらんし…)

としか思えなかった。

 

時期的なものもあるのだろうが、日本からきた僕からしたら 結論は、

 

 どちらも倒れそうなくらい暑い! である  笑

 

首都のハノイには 英雄のホーチミン廟もある。

ホーチミンの遺体が、ロシアのスターリンのように防腐処置され、安置されているらしい。

だが 例の如く、人の死んだところに近づきたくない僕は、ホーチミン廟はスルーした。

 

不思議なのは、ホーチミンが大都会であるのに対し、

ハノイは 首都 なのに 田舎の風情である事だ。

 

これは、ある人が言っていたのだが、

  ホーチミンは、大都会 東京で、

  ハノイは 古都 京都だよ。

という評である。

 

確かに言われてみると、ホーチミンは、最先端の都会であり、人も多く、ビルも多く、大都会なのに対し、ハノイは昔の街並みが残されている。

 

正に「言い得て妙」という感じで、僕は納得した。

 

東南アジアには、野良の動物が、色々いるが、ここハノイには 何故か、野良チャボ が結構いる。

ひよこを連れた、親の鶏が、道路脇の街路樹の 土を掘り返している。

それも「ココホレワンワン」と言わんばかりに、犬の様に もの凄い勢いで掘っている。

 

(ミミズでも探しているのだろうか?)

と思いながら 見ていると、

また思いが 浮かぶ。

 

(これって…  野良 じゃ無くて、

 放し飼いにされているだけで、

 実は 飼い主がいるのだろうか?)

 

「餌は自分で取ってこい!」という

"放牧システムの飼育" であるならば、この勢いで、ミミズを探しているのにも、納得がいく。

 

だが、その後に見た、ツガイのチャボ二匹に至っては、

(お互いを埋めようとしてるのか?)

としか思えない程、相手に砂をかけ合いながら掘っている。。

 "  もはや意味がわからない…

  夫婦喧嘩でもしてるのだろうか? "

奇妙な光景であった。

(因みに チャボとは、色のついた鶏の事で

 要は、カラフルな オシャレな鶏の事である)

 

そして、ドンハー門近くでは、ベトナムで初めて

" 見てはいけないもの "  を見てしまった。

それは、屋台で売られている犬だった。

いや、犬だったというか、元が犬であった…

というべきか。。

一度 丸焼きにしたらしいそれは、色々な部位に切り分けられ 並べられており、想像の斜め上の部分で切り分けられていた。。

 

僕は思わず見てしまったが、流石に気持ち悪くなり、その場をすぐに離れた。

旅の間に、色々見てきたつもりだったが、さすが直視し続ける事は無理だった。

何故か ホーチミンでは、一回も見なかった光景であった。

 

また、スクーターに、子供や奥さんとの3人乗りは、よく見かけたが、

しまいには、愛犬も乗せた、一匹含めの 3人乗りを見た時は、思わず 笑ってしまった。

 

やはり、ベトナムでは、ベトナムでしか見れないものがあるし、刺激的であった。

そして、幸いな事に "シクロボッタクリ事件" 以外では、特にボッタくられたり、

発生件数が多いという、ひったくり被害にも 全くあわなかった。

 

ビールも50~60円だし、ローカルレストランであれば、食事も一食 100円 200円で食べられるし、かなりおいしい。

物価の安さと、ビールの安さ(ここ重要!)、治安を考えると、まだ三か国しか行ってない僕だが、この時点では、一番居心地の良い国だった。

 

「フランス領であった 元植民地は、

 どの国も、パンが美味しい!」

という冗談のような情報を、前に日本人の旅人から聞いていたが、確かに、フランス支配の長かった ここベトナムは、バインミーに代表されるように、パンが美味しかった。

(蟻パンも、蟻のいない部分は美味しかった 笑)

 

また、他の二か国と違い、あまり宗教色を感じなかった。

マレーシアはムスリム色が強いし、カンボジアは仏教のイメージが強い。

 

最初は、共産国家にありがちであろう

(”宗教の自由” が あまり無いのかな?)

と思っていたが、実はこれまたフランス領時代の影響で、意外なことにキリスト教徒が多いからだという。

(知り合ったユンさんもキリスト教徒であった)

確かに言われてみると、教会は至る所にあった気がする。

 

考えてみた所、

マレーシアは、ヒジャブをかぶっている女性が多く、禁酒の店も多い。

視覚的にも生活でも嫌でもイスラム教を意識することが多い。

 

カンボジアでも、目立つオレンジの色の袈裟を着ているお坊様が多くいるし、托鉢もある。

お寺の形も日本とは明らかに違うので、視覚的に仏教を意識する。

 

だが ベトナムでは、教会だと建物もあまり意識して見ていないし、生活の中でもあまり宗教行事に触れる機会もなかった。

もちろん仏教徒も同じ位多いらしいが、僕が行った土地では、お坊様は一度も見かけなかった。

 

たぶん ”国教” と言える宗教が無いので、より宗教色を感じないのではないか?

と勝手だが、そう結論付けるに至った。

 

とにかくベトナムの人達は、人懐っこく、笑顔が素敵であったし、肌の色や顔つきも日本人に近いので、不思議な安心感があった。

二度、この国を訪れた僕にとってベトナムは、治安が良く 人も良い、のんびりしとした 素敵な国というイメージのままである。

ただ、ちょっと道が汚いのが玉にキズであるが 笑

 

他の二か国とは、全く違う経験をさせてくれたベトナム

危うく沈没しかかった土地ではあるが 笑

 

僕は今でも、ベトナムも そこに住む人たちも大好きだ。

 

是非、僕がまた訪れたい国の一つである。

 

タイ編へと 続く

 

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動画 埋め合う野良チャボたち

https://m.youtube.com/watch?v=qIZM4UknF4U

 

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↑ 野良チャボの家族


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コーギーさんも3人乗り


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↑ 聖 ヨセフ大聖堂

 よく考えたら教会は多いし立派だ。


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ハノイにも、歩行者天国はある。

 こういうスペースはとても素敵だ^_^

 

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↑ ふらっと迷い込んだハノイの劇場

 若いスタッフの女性がとても親切な方で

 色々と教えてくれた。

 

次話

azumamasami.hatenablog.com