猫好き俳優 東正実の またたび☆

俳優 東正実の東南アジア旅

電車でGO!

 

体調を少しでも戻したい。

明日は、元に戻ってますように。

と祈りながら、昨日 早めに寝付いた僕は、早朝に パッと目が覚めた。

 

恐る恐る起きてみると、嘘のように体調が戻っていた。身体を動かして、部屋を歩き回ってみても、全く違和感がない。

どうやら、ただの風邪だったようだ。

 

胸を撫で下ろしながらも、ヒビリの僕は、まだ油断はしない。

午前中は、少し慣らし運転のように、日陰を選び、近場を散歩しながら、身体の調子を確かめていた。

どうやら万全の状態に戻っているようであった。

 

ホッとした僕は、一度宿に戻り、今日 行く場所を決めた。

 その場所とは「駅」である。

体調も戻ったようなので、あまり無理はせずに、電車のチケットを買いに行く事にしたのだ。

病み上がりの僕は、今日の仕事は

「電車の切符を買うだけ」と決めていた。

 

実は、ベトナムでは電車に乗った事がなかった。

体調を崩す前まで僕は、近日中に、小一時間ほど離れた駅あたりまで、電車でのんびり、日帰りで 小旅行に行ってみようと思っていたのだ。

 

3日前、床屋に行く途中に見つけていた鉄道駅に、切符を買いに行く事にした。

南にだいぶ歩き、駅の入り口しき所から中に入る。小さな暗めの駅舎は、窓口が4つ程並んでいるが、誰もいない。。

 無人駅に見えるが、

 田舎の駅だからだろうか…?

と思ったが、

 …いや。  落ち着け 自分!!

 ここは「この国の 首都の駅」のはずだ?!

と思い直し、線路の方に行くと、職員らしき男性がいた。 話しかけると

「ここは今は使ってない駅舎だ。」

と教えてくれた。

 

確かに人のいない改札?から入ると すぐ線路で、ホームの様なものもない。

貨物車だけが、鎮座していた。

 ここを抜けて行けばいいの??

と聞くと

「危ないから、あそこの踏切から

 北側に回りなさい。 駅舎があるから。」

と親切に教えてくれた。

僕は旧駅舎に戻らず 線路沿いに、来る時に渡ってきた踏切に行き、北側に戻った。

 

北側の大通りにぶつかり右に折れ、少し行くと駅舎が見えてきた。

かなり大きな駅舎で、旧駅舎とは全然違う。

僕はちゃんとした駅があってホッとしていた。

 

中に入ると古いながらも、綺麗な駅だった。

自動券売機らしきものがあるので、ちょっといじってみる。

English というパネルを押し、触ってみるが、まず なんの駅があるのか、名前も知らないし、触るだけ無駄だと気付いた。

 

奥を見ると、皆窓口で切符を買っている。

窓口の前には、銀行の待合の様なベンチが、四列ほど並び、皆受付の後、そこで待たされる様だ。

 

マレーシアもそうだったが、券売機が置いてあっても、窓口が開いていれば、窓口で買う人が多い。

 

不思議な事に日本だと、券売機で買う人の方が多いのに対し、僕の行った国では、結構窓口で買う人が多い。

日本だと速さを尊ぶせいか、まず券売機で買うのだろうが、外国だと並んでも窓口で買うのが、楽 みたいだ。

国民の識字率や、機械の使い方を知っているか。なども関係しているのだろうか?

分かりやすくする為か、券売機の画面のボタンは日本に比べてかなり大きい。

 

いかにも貫禄のある、時代を感じさせる窓口の前で、色々見てみると、時刻表を見つけた。

この鉄道は、有名なベトナム統一鉄道のはずである。調べたところによると、南のホーチミンまで通っている。

南北を繋ぐ「絆」の象徴のような鉄道らしい。

 

 ええと…どれどれ?

 ホーチミンまでどれくらいなのかな?

 

興味本位で 到着時刻を見ると、夜中に出て、明後日の早朝に着くらしい。。

 え? ええっ!? 車内に2泊三日??

 ま、マジで?  や、ヤバいな統一鉄道。。

さすがベトナムを、南北に縦断している鉄道である。

 

隣駅までを見てみると「プーリー」という駅で、1時間とちょっとかかるらしい。

(隣駅まででも 1時間以上か…)

日本育ちの僕の感覚だと、特急でも無いのに、隣の駅までが1時間以上の遠さというのは初めてだ。

さらに隣駅となると、2時間以上だった。

(滞在時間も考えると、日帰りだと

 これは隣駅が限界だな…)

そう思い、僕は隣駅に行く事にした。

 

ネットで、切符の種類を調べていた僕は、行きは一番安い、3等に乗り、帰りはせっかくなので、寝台車も見てみたいので、寝台に乗る事にした。

 窓口でいきなり説明しても、難しそうだな…

と思った僕は、メモ書きに、

 

行きの列車の時刻と、降車駅の「プーリー」と、その到着時間、三等の英単語。

帰りの列車の、プーリーの発車時刻、ハノイへの到着時刻、寝台の英単語をわかりやすく書き、窓口に持っていった。

 

30歳くらいのベテラン感のある窓口の女性に、そのメモを渡して、

「トゥモロウ! アイム ゴーイング tomorrow!

 アイ ウォン to トゥモロウチケット!!

 プリーズ! トゥモロウね!」

と、しつこいくらい 明日を望んだ。

 

スタッフの女性は

(コイツ… 明日明日、うるさいなぁ。。)

と言う顔をしてから、僕のメモ書きに目を落とした。

そして、少しして首をかしげた後

「just a moment」

と言い、奥にいた、上司らしき男性に相談し始めた。

(なんだろう? 英語が通じなかったのかな?)

と思ってみていると、やがて女性が戻ってきた。

「あなた、行きは "3等車" で行くのに、

 帰りを "寝台車 "って 間違えて書いてるわよ?」

と親切に教えてくれた。

 

だが、間違いではない。僕があえてそう書いているのだ。

 いや、間違いではありませんよ。

 僕は帰りは寝台車に乗りたいのです。

 

「いや、そうじゃなくて、

 たった一駅を 寝台車に乗る必要ないでしょ?

 しかも、あなたの乗りたい寝台の

 一番下のベッドは 一番高いのよ?

 帰りも、3等車になさいな。」

 

確かに、たった1時間弱の電車で、寝台に乗る意味が、彼らには解らないだろう。。

(隣町なので、どちらも数百円だが、

 席の値段は、やはり倍以上違う。)

 

おそらく彼女は、親切心で言ってくれているのは分かっていたが、説明するのに ただ正直に、

「ただ 乗ってみたいだけ」と説明するのが難しいな… と思った僕は 違う説明をする事にした。

 いや、、あの…ですね。

 アイ ゴーイング to プーリー & アラウンド

 ビフォアー ベリィ タイヤード。

 ビコーズ アイ need ベッド!

 アイム うぉんと トゥ スリーピング

 リターン トレイン。 OK?

と大真面目に丁寧に伝えた。

 

怪訝な顔をする窓口の女性に 僕は更に、

駆使し得る英単語を 全て駆使し、

いかに自分が "疲れやすいか" を伝え、昨日まで体調が悪く、病み上がりである事も熱心に伝え、いかにベッドで寝て帰る事が重要であるかを 情熱的に伝えた。

 

すると根負けした彼女は 呆れた顔で、

「わかりました。チケットを用意するので、

 ベンチでお待ちください。」

と言って、やっと了承してくれた。

 

スムーズに切符を買えるように、わざわざ紙に書いて渡したのに、購入が難航した事は 想定外だったが、何とか無事に買えそうだ。

 

そもそも、そんなに病み上がりで疲れやすいなら 、大人しく部屋で寝てろという話である 笑

 

だが、さすがにそこまでは 彼女はツッコんでこなかった。

やがて窓口に呼ばれた僕は、お金を払い、念願の切符を手に入れたのである。

まだ病み上がりながら、色々とやり取りをしたが、そのやりとりも結構楽しく、僕はより元気になっていた。

 

 明日は、いよいよ 電車でGO! だな!!

 

と思いながら僕は、そのままの余勢を駆って、うっかり小料理屋でビールを飲んでしまっていた。

 

だっていっぱい喋って 喉が渇いたんだもの。。

 

明日へと続く。

 

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↑ 旧駅舎の目の前の線路と列車たち

 

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↑ 無事買えた明日の切符

 三等が30000ドン(150円)

 寝台が66000ドン(330円)

 確かに倍以上だが、隣町なので安い 笑

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ついに外国で身体を壊す。。

…………ぅ…ん…。

…う〜ん。。 うううぅ。。 …んっはっ!

僕は ベッドで、かばっと起きた。

 

…どうやら、悪夢を見ていてうなされていた様だ。 気がつくと、汗をびっしょりかいている。。

だが、悪夢を見ていた記憶はあるのだが、内容はさっぱり思い出せない…

 

昨日帰ってから、気を失うように寝た僕は、深夜に気がつくと、熱が出て うなされていた。

その後も、何度か目覚めては、眠り、また目覚めては眠る と言う事を繰り返していた。

この旅に出てから、初めて体験する体調不良であった。

 

うなされながらベッドの中で、異国で一人で高熱を出すと言うのは、本当に心細いものだと改めて思い知らされた。。

(もし このままこのまま治らなかったら…)

と考えると、物凄い不安になる。

 

万が一の事を考えると、心配している家族にも、本当に申しわけ無い事になる…。

とまで考えてしまう。

 

そんな事が頭をよぎりながらも、とにかく横になり、無理にでも眠る努力をしていた。

 

 熱に浮かされ…

 何度も 寝て起きてを繰り返した。

 

そして、、どれだけ横になっていても、もう寝れなくなった時、ふと時計を見ると、時刻は もうお昼の2時になっていた。

恐る恐る、起き上がってみると、体はだるいが、だいぶ マシになった気がする。

軽くふらつくが、僕はシャワーを浴びるために廊下に出た。

 

今日は人がいるらしく、隣の部屋に人の気配がする。それだけでも少しホッとする自分がいる。  体調が良かった時は、

「独り占めだ!ラッキー!天国じゃん。」

と思っていたこのホテルも、体調が悪くて一人だと、地獄である。

 

そして ぼうっとしていた僕は、うっかり シャンプーをしてしまった。 思わず

「 っキ、キツ…  ココ、、コロサレル…」

と呟いてしまった。

体調が万全でない所に「最強のメンソール」はかなり堪えた。

(なんで シャンプーなぞ

 してしまったのだろう… )

と後悔し、より心細くなった。

シャワーを浴びて、バスタオルで体を拭き、着替えの下だけ履いて部屋に戻る。

 

少しさっぱりして部屋に戻ると、身体がだいぶ楽になっている事に気づいた。

どうやら、無理にでも寝ていた事で、大分熱も下がったようだ。

体温計など持ってきていない僕は、正確な体温などわかりようは無いので、全ては感覚だ。

 

(とにかく何か食べておかないと…)

と思い、外で食事をする事にした。

体調は戻ってきている様に思えるが、油断はできない。

フォーのお店に入り、一番体に優しそうなシンプルな一杯を頼む。

優しい味のスープをすすりながら、僕はふと マレーシアの事を思っていた。

 

マレー料理は辛いものが多いし、味も強めのものばかりだったけど、体を壊した時はみんな何を食べているのだろう?

と、不思議な事を考えていた。

流石に風邪の時に、いつもの料理は油も味も辛さも、身体が受け付けないはずだと思ったのだ。

自分が弱っている事も手伝ってか。

マレーシアからだいぶ離れたこのベトナムで、マレーシア人を勝手に心配している自分に、思わず笑ってしまった。

(きっと大きなお世話だろうな…)と。

 

僕はそのまま宿に帰り、そのままその日は、大人しく部屋で過ごしていた。

 

僕の旅は、本来ゆったりと周る旅である。

海外で体調を崩す人が結構いると聞くが、

無理して観光や 予定を詰めすぎて、免疫が下がってしまうと、体調を崩しやすいと、聞いていた。

 

せっかく お金がある限り、いつまでも続けられる旅をしている僕は、とにかく無理をせずに 国々を周ろうと決めていた。

 

何より僕は、旅先で 体調不良になる事程 嫌な事は無いと思っていた。

なので病気には、必要以上にビビっていた。

前日に無理をしたら、次の日は空調の良い所でゆったり過ごしたり、昼前まで寝る事にしていた。

 

実は、僕は若い頃、自分の体力を過信したあまりに経験した、苦い思い出があるからだ。

それは19歳の時、一浪した後に受かった大学に「危うく 通えないかも…」という事件から始まった。

 

「いや〜、受かると思ってなかったから

 入学金 用意してなかったわ〜 笑」

父に、そんな冗談の様な事を 入学手続き直前に、笑って言われた僕は、本当に 目が点になった。

さすがに、冗談だと思ってよく聞いてみると、事業の仕事の都合で金が必要だったので、そっちに使った。 との事だった。。

 

もう親父は当てにならんと感じ、このまま、二浪したくない僕は、色々当てを探した。

そして急遽、入学金を母方の祖母に借りれる事になった。

(流石に その後の授業料は 父が払ってくれたが…  )

 

そして、無事 大学に入学できた僕は、そのお金を返す為や、遊びにも全力だった。

20歳頃に自分の体力を過信していた僕は、

毎日「2時間しか寝ない生活」をしていた。

授業→演劇部→地元で深夜2、3時まで、友人と遊ぶ。

2時間寝て引越しのバイト。

で、休みは月に1日あれば良い方。。

という様な、無茶苦茶な生活を一年程続けて、80万近い入学金は完済できたが、2年次の健康診断にひっかかった。

 

自分の大学の 附属病院に呼び出された僕は、

「肺に影があります。

 レントゲンが真っ白です」と言われ、

「最悪 肺癌かもしれませんよ…」と脅されて、歯学部もある 自分の大学の敷地内の病院で、すぐにCTスキャンを取られた。

(在学生なので、診療代に、

 謎の学割がきいて、安かった 笑)

 

僕は「癌? そんな訳あるかいな  笑」

と笑っていたが、よく考えると、労咳病みの様にずっと咳をしていた自分がいた。。

 

僕は当時麻雀が好きで、咳が止まらない中、

「ゴホゴホ、ゴホゴホ」言いながら、よく徹マンをしていた。

 

「ゴホゴホ…あ、ごほっ。。ロン!!」

 

「エッホ! エホっ!!

 ごほ。。コ、コホ…、あ、ツモ。」

 

まるで「麻雀放浪記」の登場人物である。

 

その後、専門の呼吸器科に、強制的に通院させられた僕は、肺を肺カメラなるもので撮る事になった。胃カメラの肺版である。

えづきながら、カメラを肺に入れられた後の診察で言われたのは、

「癌ではないが、見た事ないほど、

 信じられないほど、肺が真っ赤っかです。」

 

「もう、何が起きてもおかしくない。

 菌が入ったら、すぐ感染して

 結核にもかかります。」

 

とお医者様に言われ、事態はどんどん大ごとになっていった。

 

そして僕は、ちゃんと治療する事にし、バイトも辞め、睡眠時間を 1日8時間に戻し、処方された薬が肝臓に負担をかけるので、お酒は禁止され、禁酒を守りながら、大学生活を過ごし。。

「結局、治るまでに 一年を要する」という事があった。

それまでの僕は、元々丈夫だったので、

(絶対身体など壊さないはずだ!!)

と大きな勘違いをしていたのだ。

 

そして今でも無理をすると、咳は出る。

「肺は 再生しない臓器です。」

という、医者の重い言葉を 今も僕は覚えている。

 

その経験により、早いうちに身体に無理をさせないクセが付いていた。

舞台がある時は ある程度無理をするが、睡眠時間を削りすぎる様な事はせずに やっていた。

 

そのはずの僕が、旅先で身体を壊したのである。

いつか、旅先で 何かキツい思いをするとは覚悟していたが、まさか、

" 友人と再会して、

   はしゃぎすぎて身体を壊す "

という小学生みたいな事になるとは思わなかった。

 

このまま笑い事ですむように、明日には完治していますように。。

そう願いながら僕は、夕飯もフォーをとり、早めに布団に潜り込んだ。

 

2時まで寝ていたので、眠れないかと思っていたが、しばらくゴロゴロしているうちに、いつの間にか僕は眠りについていた。。

 

つづく

 

 

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↑ 部屋で大人しく…


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↑ 一人旅は 孤独でもある。。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

長旅に 無理は禁物である。

 

シクロ代をめぐる 激しい「ボッタクリ論争」が決着し、その後、タクシー万歳とばかりに、タクシーで無事水上人形劇に間に合った僕達は、まだ見ぬ人形劇に期待していた。

 

劇場のロビーには人形劇に使う人形なども展示されており、テンションがあがる。

席は、真ん中の方のかなりいい席だった。

そして、いよいよ開演である。

 

水上人形劇は、2回目でも全然飽きなかった。

楽器の生音があり、舞台の両端には、歌い手がおり、人形に台詞の歌を当てたり、地の文を歌ってくれる。

ホーチミンとも ほぼ同じだったが、ストーリーは、違うものも多かった。

 

何より面白いと感じたのは、水の色だった。

水上人形劇は、水が透明だと、下で動かしている棒などが見えてしまうので、水に色が付いている。

ホーチミンは、灰色だったのに対し、

ここハノイでは 緑色だった。

 

僕の見たメコン川は、光の加減で、川が灰色に見える事もあり、ホーチミンは、メコン川をイメージしているのでは?と思った。

そして、ハノイ水草みたいな物を意識しているのだろうか?

と、勝手に分析していた。

 

しかし、舞台の後ろから、長い木の棒で人形を操作しているのに、まるで生きているかの様に 人形達を動かせる技術は、本当に素晴らしい技巧である。

またベトナムに来たら、是非 もう一度見てみたいと思わせてくれる舞台だった。

 

僕達は大満足して、池の周りを歩きながら、感想を語っていたが、"リサーチ王" でもある上田が、

「美味しい火鍋の店がある」と教えてくれ、最後の食事は、そこで鍋をつつく事にした。

 

お店を地図で見てみると、僕らがいる池の丁度反対側であった。

池の周りをぐるっと周る。

途中に色々お店もあり、なかなか楽しい。

 

ふと、スーパーを見つけた上田が、

「ちょっとここで買い物をしたい」

と言い出した。

友人に頼まれた、コスメか何かを買いたいそうだ。

そういえば、不思議と僕は、ベトナムのスーパーには入った事がなかった。

せっかくなので、一緒に入ってみる事にする。

 

しかし、ここでカルチャーショックを受けた!

なんと! ベトナムのスーパーでは、手荷物をロッカーに預けないと、入れないらしい。

僕はそれを聞き、荷物を預けるのを面倒に感じてしまった。

なので、荷物を僕が預かって、上田一人で入ってもらう事にした。

 

後で調べると、万引き防止の為にベトナムではロッカーに荷物を預ける事は、どこのスーパーでも常識らしい。。

 

気の良い人が多そうな国だと思っていたが、万引き対策で ここまで徹底しなければならない事が、ちょっと意外でビックリした。

(…そんなに万引き多いの??)  と。

 

僕がしばらく待っていると、上田が出てきた。

「ごめ〜ん。。欲しいやつ売ってなかった。

 空港で探してみるね〜」

と言うのを聞いて、

(なるほど。

 彼女ほど、キチンとリサーチしてると

 欲しいものも決まっており。

 売ってる店を、探して周らないと なので、

 こんなに買い物に時間を割くんだなぁ。。)

と最終日に僕は、妙に納得した。

そしてそれを楽んでいるところを見ると、

宝探しにも似た感覚なのだろうと思った。

 

スーパーからすぐ近くにあるはずの、火鍋のお店は、ちょっと分かりにくい所にあり、周りを 結構散策し、やっと見つけた。

 

木造のだいぶ古めかしいお店で、2階に案内された。

階段付近は、色々なものが置いてあり、雑然としていて汚い。。 階段も暗く 埃だらけで、何故か階段の真ん中のあたりの 棚の上に、薄汚れた野良猫さんもいた。

(飲食店として 大丈夫か? この店…)

と思っていたが、2階のフロアーは白が基調で、ちゃんとしていた。

 ちょっとやばいかな? この店…。

 と思ったけど、大丈夫そうだね 笑

と僕が言うと、

 ほんと〜。階段やばかったよね…

 なんか 猫いなかった??

と上田も かなり気にしていた。

 

ガイドブックでは「とにかく美味しい」と紹介されており、僕はフォローのつもりで

 アレじゃない?  日本でも、

 「店は汚いけど美味しい店」とかあるじゃん。

 ベトナムだと 「汚い」のレベルが高い!?

 とかなんじゃない??  笑

 

と言うと、上田は爆笑しながら、

 じゃあ、「美味しい」レベルも、

 半端ないじゃん! 笑

と言って、僕らは笑いながら盛り上がっていた。

 

オススメの鍋を頼んで待つ事にする。

肉入りの鍋に、野菜や香草などを入れていくもので、昼に食べた つけ麺の様な米の麺もついてきた。

店員さんが鍋を作ってくれる「料亭すき焼き屋」システムの様だ。

 

食べ始めていくと、

(う〜む。。 まぁ、「美味しい」けど…

  「汚い」が圧勝している。。)

と思って顔を上げると、上田と目が合った。

どうやら彼女も同じ事を思っている様だ。

長年一緒に芝居をやっている仲なので、アイコンタクトで言いたい事がわかる。

店員さんが真横にいるので、言葉にできないので、よりそうなった。

 

途中上田がトイレに立つ。

店員に場所を聞くと、例の階段を降りた一階にあると言う。

 

上田が席を立った後、僕はちょっと具合の悪い自分に気付いた。。

昨日の疲れが抜けていない所に、今日うっかりそのまま散歩にも出て、炎天下を歩いていた。

 

そして、そのまま昼寝もしないで、上田と合流した後も、色々歩き、シクロのおじさんと怒鳴り合い、そのまま大急ぎで劇場に行き、この店に至っている。。

 

何より、今まで自分のペースで 1ヶ月も生活してきた僕は、友人が来た事で、知らず知らずのうちに はしゃいでいたようで、結構無理をしていたのだろう。。

どれくらい体調が悪かったかと言うと、

僕は久しぶりにビールを頼んでいなかった。

これはかなりの重症であるはずなのだ 笑

 

戻ってきた上田が、そんな僕を見て心配してくれたが、何故か上田も少し顔色が悪い。

 

 ちょっと… 疲れが出てるかな。。

 少し、熱中症気味かもしれない。

 でも、上田も顔色悪いけど、どうした?

と聞くと、

トイレがまず 汚かった事と、トイレを出てすぐの廊下で、ネズミの様な 何か踏みそうになったそうで、

「うわっ!? な、なに??」となり、

よく見てみると、まだ目も開いていない、生まれたての仔猫が薄汚れた姿で「ミーミー」と鳴きながら、足元にいたと言うのだ。

 

それを聞いて、流石に僕も引いた。

かなりゾッとするお店だ。。

「もう、ここを出よう。。」となり、

店には申し訳無いが、鍋は半分くらい残っていたが、そのまま出る事にした。

よく考えてみると、ガイドブックでも有名な店のはずなのに、僕らしか客がいない事も 確かにおかしかった。

 

店から出て、僕はかなりクラクラしていた。

「づま、大丈夫??」

と言われて、

「いや、大丈夫じゃないかも… 汗」

せっかく来てくれた上田に、心配をかけたくは無かったが、情けない事に 強がる気力もなかった。

 

「あたし、まだ買い物もあるし、

 一人で帰れるから、もう宿に帰りなぁ。

 十分2人でまわれたよ〜。

 凄い楽しかったし、大丈夫だよ。」

と言ってくれる 上田の優しさが身に沁みる。

 

本当は、彼女を 空港まで見送りに行くつもりだったが、この状態では、もう一緒にいても迷惑になりそうだ…。

 

「ほんとにごめんね。

 たぶん、軽い熱中症だと思うから。

 宿で休めば治ると思う。。」

宿まで送ろうか? と言う上田に、流石に遠慮し、タクシーで宿まで帰る旨を伝えた。

また日本で ゆっくり旅の話をしようと、約束をして、上田が止めてくれたタクシーの前で、握手とお別れをして、僕は宿へと向かった。

 

タクシーは、ありがたい事に ぴったり宿の前に着けてくれた。

そして、無事に宿に帰った僕は、水をがぶ飲みした後、ベッドに倒れ込み、そのまますぐに気を失っていた。。

 

つづく…  ハズ。

 

 

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↑ 水上人形劇場に展示してある人形

 クセになる可愛らしさ?がある。


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↑ 開演前に間に合った!!

 

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↑ 何度見ても、素晴らしい舞台

 

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↑ エンディング。

 超絶技巧の人形使いの方々。

 

 

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↑ 例の火鍋屋である。

 美味しくはあるのだが…

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

人生初シクロで シタ苦労

 

昨日泥の様に眠った僕は、心地よいベッドで ゆったりと目を覚ました。

(んん? あ、そうだ… また違う天井だ。。)

と僕は、宿を変えるたびに見る 新しい天井の景色を眺めていた。

 

時計を見ると、まだ8時頃だ。

しばらくゴロゴロしていたが、僕は起き上がり、シャワーを浴びる事にした。

 

ドアを開け 廊下に出ると、人の気配は全くない。僕は共同のシャワートイレに入り、シャワーを浴びる。

石鹸とシャンプーのボトルも設置されていたので、それを使い身体と頭を洗う。

シャンプーは、かなりメンソールが効いていて、結構 痛かった。。

(こ、これ… キツイな。 は、禿げないかな??)

などと心配だったが、在るものは使うに限る。

せっかく買った石鹸は、勿体無いので、なるべく使いたくはない。

 

各国のボディソープや、シャンプーを色々使ってきた僕だが、

これは 歴代最強クラス のメンソールだった 笑

当たり前だが、アメニティも、国によっても、宿によってもかなり違う。

それも なかなか興味深いものである。

 

身体がだいぶ軽くなっていたので、僕は午後の待ち合わせまで、また散歩に出る事にした。

(実はこれが間違いであった事は、後で分かる)

 

ハノイの街を結構周るが、炎天下を周っている内に、昨日の疲れが出た僕は、ちょっとクラクラ来たので、カフェに入る事にした。

 

冷たいアイスコーヒーを頼んで、ゆったりとする。

Wi-Fiを繋いで、色々調べものなどをしている内に、上田との待ち合わせの時間が迫って来ていた。

僕はカフェを出て、待ち合わせの彼女の宿に向かう。

宿に着くと、丁度彼女はフロントで、大きいほうの荷物を預けているところだった。

今日の夜の便で、彼女は日本に帰るのだ。

 

 なんか、そこらへんに 他のと一緒に

 荷物置かれてるんだけど… 大丈夫かな?

と心配する彼女に、

 どこもそんなもんだよー。

 フロントの前だから、意外と安全だよ。

と慰めてから、二人で街に出る。

 

まだ お昼ご飯を食べてないので、美味しそうな、米の麺の つけ麺屋のおばさんから、

「オイイシヨー!ヨッテって!」

と日本語で誘われた僕らは、そこで食べる事にし、予想通り美味しかった つけ麺に舌鼓を打ち、その後 観光に出る。

 

「水上人形劇が見たい!」と上田が言い

僕は「いいネ!」とばかりに、同意した。

 

ホーチミンで 一度見ていた僕だが、もう一度見てみたいと思っていたし、ハノイ版はどうなのかも気になっていた。

 

先に チケットを買いに行くことにした僕らは、昨日行った池の、周りにある劇場に向かった。

劇場は、いかにも老舗感のある建物で、2階が劇場の様で、一階の窓口でチケットが買えた。

ウェイティングバーなのか、窓口の隣にはバーと、お土産屋があった。

 

無事にチケットを買えた僕らは、彼女の提案で、「シクロ」という、自転車の前に客席を付けた、人力の乗り物に乗る事にした。

 

事前に交渉して、2人で30万ドンと言われたところを、25万ドンに負けて貰って、市内を周ってもらう事にした。

 

ちょっと高い気もしたが、せっかくの観光で、1250円なので、1人625円だと考えたらまぁ良い値段だろう。

一人だと、乗る事は無かったシクロだが、2人だと楽しそうだ。

 

おじさんは、ニコニコして、とても良い人そうだ。カタコトの英語で、色々街を説明してくれる。

オススメだという、小物屋さんに案内してくれ、上田もテンションが上がり、色々店内を見ている。

 

観光を再開したあたりで、おじさんが、写真を見せてくれ、

「これは私の息子だ。警察官なんだ。」

「偉いんだ、私の息子は。」

と自慢してくる。

 

最初は、微笑ましく聞いていたが、車中でも、同じ事を何回か言い始めた。

僕は少し違和感を感じていた。。

 

ホーチミン廟の前の大通りの前を過ぎて、その近くの公園を一周したところで、少し降りて休憩になった。

 

そろそろ戻らないと、

「水上人形劇に間に合わないね」

と話し合って、おじさんに、間に合うかな?

と聞いた所、おじさんは

「間に合わせるから、先にお金を払って欲しい」

と言い出した。

 

まぁ、ここまで来てくれたら、もう大丈夫かと思い、25万ドンを渡そうとすると、

「50万ドンだ!!50万ドン!!」

と、突然おじさんが言い出した。

 

最初、キョトンとしていた、人の良い僕達だったが、よく聞くと、どうやら、

 1人25万ドンの約束だから、

 2人で 50万払え!!

と言っているらしい。

僕は最初に、2人で25万だと、しっかり交渉していたので、「始めやがったな…」と思う。

 

上田は多分 人生でもボッタクリにあった事はないだろうし、女性なので

「えええ? そうなの?

 でも、25万の約束だよね??

 づま、どうしよう?」

と不安がっている。

 

おじさんは、先程の笑顔の "恵比寿顔" とは真逆の「悪い顔」になっている。

まるで、水戸黄門の「越後屋」の様な、分かりやすい悪顔だ。

そして、先程見せていた 息子の写真を見せて、

「警察だぞ!! 私の息子は!!」

と脅しをかけてくる。

 

ここまで来ると、はっきり解る、分かり易すぎる "ぼったくり"  である。

「えええ? づま、、どうしたらいいの?」

と言っている 彼女も護らなければならない。

 

何より僕は、認めてはいないが、カンボジアですでに、詐欺にもあっている 笑

これまでの 経験が生きてくる。

 

僕の頭はフル回転し、

(上田は 今日帰るから、僕と違い、

 後日、彼に会う事もないだろう。)

とまで考え、彼と対峙した。

 

「いや、2人で25万だとあなたは言った。

 間違いない。50万なんて払わない!!」

とかなり強くいうと、彼も負けじと、

 なら、警察を呼ぶ!!息子は警察だぞ!!

 電話するぞ!今するぞ!!

 私思いの息子は、すぐ飛んでくるぞ!!

と電話を見せて脅してくる。

(ああ…さっき しきりに息子が警察だと

 わざわざ言っていたのは、この脅しの

 伏線だったのね。。)

と気付く。

 

(コイツ!  かなりの確信犯だ!!)

僕は怒りが込み上げて来た。

 

「それなら、絶対払わない!!

 なんなら 1ドンも払わないぞ!!

 25万ドンだけにするか、

 それとも無しにするかだ!!」

と僕がいい。

「いや、50万払え!」

「いや、25万か、ゼロかだ!」

と言い合いをしばらく続けていると、

彼は憎々しげに僕を睨んだ後、

再び電話を見せながら、

 息子に言いつけてやる!!

 ひどい、あなたは酷い。。

 こんな年寄りを!!

 あんなに自転車を漕がせて!!

 25万で済まそうというのか!?

 ここまでいっぱい漕いだ!!

 50万と言ったに決まってるだろう!!

と泣き落とし気味に言われた。

 

たしかに、不当な事を言い始めたボッタクリだが、年寄りの彼に自転車を漕がせて、若者の僕達がゆったり座っていたのは、事実である。。

 

僕は人が良いのか、、

(たしかに… そこは間違ってないな。。)

と思ったが、もう対処は1つしかない。

 

僕は、彼の 一理 だけは認め、

「じゃあ、後 5万ドン(250円)だけ、

 チップとして渡す。これはチップだからね!

 じゃあね!タクシー探すわ!!」

と、上乗せした5万ドンとで、おじさんに30万ドンを無理矢理握らせて、上田に

 

「行くよ!! どうせシクロがあるから

 追って来れないから。」

と言って歩き出した。

 

策士の僕は実は、交渉をしながら、

「なら払わないぞ!」と、何度も脅しのジェスチャーも兼ねて、少しずつシクロから離れながら 怒鳴りあっていたのだ。

 

おじさんは、結構向こうにあるシクロが放って置けないので、悔しそうに、電話をかけるふりを始めたが、僕は上田をせかして、とにかくボッタクリシクロから離れていった。

 

後ろを振り返りながら、トラブルにならないかと 心配している上田に、

「大丈夫だから。 追って来ないから。

 十分 向こうも儲かってるから。」

と、タクシーの相場も知っている僕は、彼女を急かして 大通りを曲がり、僕達は 彼の視界から消えた。

 

ボッタクられたとは言え "無賃乗車" は、さすがにやばいだろうと思い、料金は払ったし、チップまで渡したのだから

(無賃乗車だなんだとの、

 警察沙汰にもならないだろう)

と計算して、まだハノイに滞在する僕は、

彼や、彼の仲間に

 " あまり恨みを 買わない様に "

とも計算して、一応5万ドン上乗せしていたのだ。

 

"ボッタクリだから" とは言え、

人を あまりやり込めると、必ず恨みを買う事を、僕は人生経験でよく知っている。

 

「ボッタクリされたから、

 こうしてやった!!

 1円も払わずに降りてやった!」

などと武勇伝を作る事は、僕は あまりしたくない。

何故なら必ず何処かで、恨みを買っていそうで怖いからだ。。

 

百戦錬磨の旅人ならば、まず最初の値段が高いとか、もっと上手くやれるよ?

と思うのだろうが、海外で初めてのボッタクリに遭遇した僕は、この対応で精一杯だった。

上田を不安がらせない為に 強がってはいたが、なんのかんのいっても、僕も内心ドキドキだったからだ。

 

その後僕達は、タクシーを捕まえて、無事水上人形劇に間に合った。

 

色々あったが、公演にも間に合って、

僕は ほっと胸を撫で下ろしていた。。

 

続く

 

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↑ 美味しい米のつけ麺。

 薬味の香草は、かなりキツかったので

 あまり使わなかった 笑

 

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↑ 水上人形劇に展示してある人形

 


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↑ いざシクロで市内観光!

 

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ホーチミン廟の前も周る!


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↑ 最高の笑顔のおじさんと僕。

 まさかこの恵比寿顔が、

 越後屋顔になるとは。。


「やれやれだぜ。。」と言いたくなった 笑

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

友人と周る ハノイ 2日目

 

買い物を終えた上田と 無事合流した僕は、彼女が腹ペコだというので、早めの夕飯を食べる事にした。

 

彼女が行ってみたい店があるというので、僕は例の如く彼女に任せる。

よく考えたら、優秀な日本人ガイドが来てくれて、案内してくれる様なものだと気がついたのだ。

下調べをちゃんとしてくれている彼女に感謝しつつ、場所の特定だけは、僕が仕事をした。

 

考えてみると、僕もハノイに関しては、彼女の1日先輩であるに過ぎず、彼女の方が 下調べをちゃんとしている分、僕より優秀な旅人であるはずなのだ。

 

上田がお金を下ろしたいというので、先にATMに向かう。

日本では、あり得ないが、ベトナムのATMは、剥き出しのことがよくある。

日本の様に、屋内とか、小部屋のガラスの自動ドアの先にあるのでは無く、一応濡れない所に設置されているが、自販機の様にドンと置いてある。コンビニも、店内では無く店頭にドンと置いてある。

 セキュリティ的に大丈夫なのだろうか…?

と思うし、やはり外置きなのでだいぶ傷んでいることが多い。。

 

そして、僕もそうだったが、外国のATMでクレジットカードでお金を下ろすのは、結構ドキドキだ。

「え〜と、これでおろせるの?」

と剥き出しのATMを見ながら、上田も少し不安そうだ。

(ああ、旅の最初の頃の自分を見ている様だ…)

空港の時の僕ほど酷くは無いのだが、気持ちが痛いほど分かる。

しばらく待っていると

「なんか下ろせないみたい。。」

と帰ってきた。

「途中まで、俺がやろうか?

 暗証番号の所だけ 後ろ向いてるから」

と言うと、

「このATMが、私のクレジットカード会社に

 対応して無いみたい。。」

と言うので、お金は、多めにおろしていた僕が出す事にし、明日お金を下ろしたら、渡してもらう事にした。

「日本に 俺が帰った時に

 日本円で返してくれても良いよ 笑」

 

と一応言ってみたが、彼女は

「明日買いたいものもあるから、

 明日おろして返すね。 ありがとう!」

と明日返してもらう事になった。

 

正直僕は、

(まだ何か買うんだ。。

 スゴいな… 女子とベトナム 笑)

ともう笑ってしまったが、それくらいベトナムでのショッピングは魅力的なのだろう。

 

彼女が見つけてくれていたお店は、庶民的なお店で、扉などない路面店で、歩道にもテーブルが出ている。

だが、地元の人達が並んで待っているほどの人気店であった。

 

僕はベトナム人が並んでいるのは、空港のイミグレーションでしか見た事がなかったので、結構面白かった。

「ここはフォーがめっちゃ美味しい、

 隠れ家的なお店なんだって〜」

と上田が教えてくれる。

たしかに地元の人が並ぶくらいだから、本当に美味しいのだろう。 しかし、凄いリサーチ力だ!!

 

少し待っただけで、僕と彼女はお客さんでごった返す店内の小さなテーブルに案内してもらった。

注文も彼女に任せる。

色々と勉強家の上田は、必要最低限のベトナム語を、ちゃんと覚えてきていて、果敢にも ベトナム語での注文に挑戦していた。

(うーん。。前から思っていたが、上田は

 やっぱり努力家だし、頭がいいなぁ。。)

と日本で会うよりも、上田の一面が より垣間見える。

 

(やはり日本以外で、友人と会うと面白いな…)

そんな事を考えながら、フォーをすする。

 

一口スープを飲んだが、確かにうまい!!

僕はあっという間にフォーを食べきってしまった。

だが、向かいを見ると、彼女はまだ半分も食べていない。

「ごめんね〜、ちょっと待って〜」

と言われて

(しまった!!ジェントルマサミ 一生の不覚…

 美味しすぎて、彼女のペースを考えずに

 自分だけ 一気に食べてしまった。。)

 

ここまで、あまり人と食卓を囲む事なく、気儘に「孤食」を続けて来たせいで、自分のペースだけで食べるという習慣が、いつの間にか身体に染み付いていた事に気付いた。

 

僕はすぐに

「全然 大丈夫だよ〜 汗

 ゆっくり食べてね。あ、そうだ!

 ビールでも飲んでるからさ。」

と店員にビールを頼み、それを飲んで誤魔化す事にした。

 

しかし、日本ではあまり意識しない 彼女の一面に、

「ふふっ、色々気付かされるな…」

などとカッコつけていたくせに、

旅の間に身についた、自分のクセの様なものに逆に気付かされて、僕は赤面していた。

 

それに気付いたのか

「どうしたの? づま。顔赤いよ?」

上田が心配してくれたが、僕は

「いやぁ…? 酔ったのかな? 笑」

と誤魔化すしかなかった。

 

とにかくフォーを食べた僕たちは、昨日楽しかった、歩行者天国へと向かう。

露天も多いが、今日も相変わらず、色々な出し物がやっている。

 

本格的に、照明を入れて、美しい民族衣装の様なものを着て、舞踊を披露している集団もいる。

煌びやかに踊る女性たちの前に、これまた着飾った男性がいて、何故か 火をつけた棒をお客さんに渡していく。。 何かの魔除けだろうか?

そして、彼が渡す火は かなり炎が大きい…

面白いが、お客さんが心配になる。

 

そして、中でも素晴らしかったのは、ヴァイオリンで路上ライブをやっているパフォーマー集団だった。

やはり、路上と言う事もあり、何かノリが違う! めちゃくちゃカッコいい!!

夜空の下で聞く、アップテンポのヴァイオリンは、物凄くポップだ!

僕らも、大興奮して、ノリノリだった!

お酒を片手に、大喝采を送る。

 

そのまま色々話しながら、ハノイっ子の憩いの場になっているであろう、池に向かう。

 

ここは、僕の最初の宿から3分ほどにある、深夜でも人がいる場所で、貸しセグウェイ屋がいるのか、セグウェイに乗って遊んでいる人も多いし、パフォーマーもいる。

 

しばらく見ていたが、ちょっとしんどい自分がいた。

やはり、今日は意図せず、蟻に早朝に叩き起こされ、かなりの炎天下を歩き、床屋に行き、宿を移動し、昼寝もしてない事もあり、かなり疲れていた。

 

しかも、夜で気温は下がっているとはいえ、やはり暑い。。

「ちょっと、クーラー効いてる所で、

 少し 座らない?」

と提案し、その池の目の前にある、飲食店が各階に入っている、大きな建物に入る事にした。

ここは4階建てで、各フロアーに店が入っているが、3階にある " ベトナムサイゼリア?" と言う感じの店に入る事にした。

窓際の席にしてもらい、下の池を見下ろしながらゆったりと出来た。

 

色々話し、明日は 昼過ぎから遊ぼうという事になり、夜も遅いので、彼女を宿まで送り、僕は自分の宿へ戻った。

流石に今日は色々ありすぎて、かなり疲れていた。。

 

宿といえば、夜は明かりがついているので、

逆に暗黒路地は 明るくなっていたし、流石に民家の全開ドアも閉まっていた。

 夜の方が、逆にプレッシャー少ないな この宿…

そう思いながら、カードキーで玄関のガラス扉を開け、自分の部屋へ戻った僕は、

クーラーをつけた後すぐに、シャワーも浴びずに、ベッドに倒れるように寝てしまった。。

 

そして僕は夢さえ見ない程、泥の様に眠りこけていた。

 

つづく



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動画 「ハノイの路上舞踊パフォーマンス」

https://m.youtube.com/watch?v=B8TI6Ur1WPg

 

 

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↑ 陽気に並ぶ僕と 混み合う店内


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↑ バカうまな「フォー!」と

 付け合わせの揚げパン


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歩行者天国には、露天も多い。

 

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↑ 池の前。 イベント期間だったのか

 モニュメントもあった。



 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

失った時と 巡り会う。

 

この宿は、3階に上がるまでは アレだが…  上がってしまえば、そこは快適で清潔な空間だった。

この建物で、僕の別館エリアだけが まるで天国だった。

 

暗黒路地から、宿のガラス扉迄の "魔窟感" は凄いが、逆にギャップが大きくなり、よりこの部屋を素晴らしく感じさせる 笑

 

この3階フロアには、従業員さえいないので、今は僕一人しか居ない。

まるで、一軒 家を借りきった様な 贅沢な気分になっていた。

(バスタオルを 普通に四つ折りに畳み直し、

 シーツに撒かれていた花びらを、ゴミ箱に

 片付けるのは、ちょっと手間だったが…)

 

僕は ゆったりとベッドに寝転んで、何時だろうと思い、腕時計で現在時間を確認した。

 

そう。。僕は腕時計を手に入れていたのだ。

カンボジアで腕時計を無くしていた僕だが、実は初日のバザールで、腕時計を購入していたのだ。

 

その店は、バザールの 一階のエリアの端で、道路との境目で営業していた。

机程の大きさの、二段しか無い棚の、安っぽい汚れたガラスケースに、時計や腕時計が 全部で7点程並べられていた。

 え〜とぉ。。 し、品数… 少なっ。

と思いながら覗いてみると、僕の目は、ある腕時計に釘付けになった。

 

そこにある一点は、僕が日本から持ってきていた腕時計と うり二つだった。

あまりに同じだったので、一瞬僕は、

 自分の無くした時計が

 ここで売られているのでは??

と疑ったくらいだった。

 

しかし、冷静に考えてみると、僕が時計を無くしたのは、カンボジアである。

ベトナムで売っているはずがない。

 

包装などされていない その時計は、中古なのか、新品なのかもわからない。。

僕は目の前でタバコを吸っている、元は白だったであろう うす茶色の汚いランニングを着ているおっさんに話しかけた。

 

 えーと、その腕時計見せてくれない?

 

 ああ? どれだ?  ああ、これか?

 ん、ほら つけてみな?

彼は、ケースの鍵を外し、建て付けの悪すぎるガラスケースを、ゴリゴリゴリ…と無理矢理開けて、腕時計を渡してくれた。

(鍵をする必要はあるのか…?)とツッコミを入れたかったが、我慢して「サンキュー」と言って、それを受け取った。

 

手にとって、見れば見るほど 同じ時計だ。。

腕につけてみる。

 うーん、時計を無くす前の左腕だ。

 腕が、元のデザインに戻った。。

 なんか落ち着くな。。

 

僕は ある事をほぼ確信していたが、あえて値段を聞いてみた。いくらですか?と。

 

 その時計か?  いいだろ?

 なにせメイドインジャパンだからな。

 えーっと、8万ドン(400円)だ。

 

(ああ、やっぱり偽物かぁ。。)

僕はそれを聞いて、確実に偽物だと確信した。

CASIOの腕時計が、日本でも1500円だったものが、アジアとはいえ、400円なわけが無いからである。

僕は値引き交渉に入った。

 

 ええ〜? 8万は高いよ!

 もう少し安くなりませんか?

 せめて6万とか??

 

と聞くと、おっさんは商売する気がないのか、黙って僕から腕時計奪い取ると それをしまい。

急に無愛想になり、タバコを消し、新しいタバコを吸い出した。

 

全く交渉する気はない様だ。

僕は、どちらにしても腕時計が必要だったので、もう彼の言い値で買うことにした。

(まぁ、必要なものを買うのに、

 400円なら安いはずだ。

 それに偽物だったとしても、

 あまりに話が出来すぎている。

 この時計は ガラスケースでずっと、

 きっと 僕だけを待っていたはずだ。)

と勝手に不思議な縁を感じていた僕は、僕を完全に無視しているおっさんに、黙って8万ドンを差し出した。

すると、おっさんも黙って、ガラスケースを開け、その腕時計を渡してくれた。

そしてお互い無言で別れた。

 

だが僕は、不思議と「感じが悪い」などとは思わなかった。

(彼の性格や、商売のやり方なのだろう。)

と、何か妙に 納得できるおっさんだったからだ。

 

何にせよ、僕の左腕のデザインは 旅の当初に戻り、僕は気軽に時間を確認できる様になったのである。

(まぁ、やはり偽物らしく ボタンは少し緩いし

 毎日、キッチリ1分づつズレていくが、

 アジアでは大した問題では無い 笑)

 

そんな僕は、ベッドに仰向けに寝転びながら、天井をバックに、自身の左腕を見て、ニヤついていた。

 

そういえば先程 ショッピングに精力的な上田から、LINEで、

「もう少し、買い物したいから、

 待ち合わせ時間 伸ばして〜。

 終わったら連絡するね〜^_^」

と、買い物の延長戦の申し入れが来ていた。

 

しかし、僕の様な 旅行先で滅多に買い物をしない人間からすると、

(しかし、、よく そんなに

 買いたい物があるもんだなぁ。。)

と感心してしまう。一体何を買っているんだろうか?と。

 

やはり、 女性+ベトナム=買い物

なのだろうか? そういえば「地球の歩き方」を買った有楽町の三省堂でも、ベトナムの棚は

「女性向けのガイドブック」で溢れていた事を思い出す。

ベトナムとは、日本女性にとって「桃源郷」なのかもしれないと、改めて思う僕であった。

 

だが、せっかく親友と会えているのに、僕より買い物を優先されている事実に、

 もおぉ〜、ちょっと傷ついちゃうなぁ。

と僕は、少し買い物に嫉妬してしてしまうが、僕の方が年上だし、旅の先輩ぶっているので、そんな事は口が裂けても言えない 笑

 

「私と、買い物! どっちが大事なの?!」

と言いたくなり、女性心理が何となくわかった様な気がした。。

 うーん、酒でも飲むかぁ。

と思った僕は、この心地よい部屋から出て、宿の近くの散策ついでに、一杯やろうと宿から出る事にした。

相変わらずドア全開の 民家の前を通り過ぎて、暗黒路地に降りて、僕は日の当たる通りに出た。

 

この通りには色々お店がある。

今日はベトナムの若者達が多くいる、ロックな感じのするレストランに入った。

ビールは相変わらず50円ほどで飲めるので、席に座り、それを頼む。

メニューは色々あるが、僕は例の如くフレンチフライを頼み、ゆったりと飲み始めた。

 

しかし、まだ3日目なのにハノイでは、色々起きる。。

慣れているはずのベトナムだったが、都市が変わると結構違う。

僕にとっては「ベトナム」と一括りにしていたが、縦長の国ベトナムの、南の端のホーチミンと、北の端のハノイはきっと、博多と青森くらい違うのだろう。。

日本でも、都道府県で 全然気質が違うのだから、外国もそうである という、基本的な事に今更気付いていた。

 

ここまでが、あまりに長編ブログの為、読者の皆様も勘違いされているかもしれないが、

この時の僕は、生まれて始めての旅で、実はまだ一ヶ月ちょっとしか旅していない、未熟な旅人だったのです 笑

 

だからこそ、旅は続く

 

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↑ 清潔で快適な 素晴らしい部屋

 

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↑ 僕の腕に 戻ってきた時計

 

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↑ 腕時計と運命的な出会いを果たした

 バザール。熱気がすごかった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

アリノナイ世界へ ホームステイする。

 

青空床屋での散髪が終わり、髪の毛も水で流し サッパリとした僕は、バックパックを取りに、一旦 宿に戻る事にした。

 

実は 今朝起きてすぐ、宿を変える決心をしていたのだ。それは、昨日の上田のアドバイスで決めた訳ではなかった。

今日僕が 早起きしていたのには、一つ理由があった。

昨日上田と別れてから、さらに飲みたくなった僕は、一人でバーで呑み、深夜1時過ぎに宿に帰っていた。

本当は、もっとゆっくりと寝ているつもりだったが、朝、ある事で叩き起こされていたのである。

 

カーテンの隙間から 朝日が差し込む部屋で、僕は首がチクチクするので、違和感を感じて目を覚ました。。

手で首をかきながら払うと、手にも何かが付いているのを感じた。

 んん? え?! なっ、なに!?

僕は飛び起きた!

 

そして周りを見て、仰天した!!

なんと、小さな蟻が 行列を作り、ベッドの上を行進していたのだ。

足が多いベッドの、足の1つから登り、彼らは僕の喉元の辺りを通り、向こう側へ行進していたのだ!

 うわ!! なんだよ!? おい!!

 ふざけんなよ!? おいっ! アリっ!

僕は首や、胸元に入り込んだ蟻達を必死に手で払っていた、服も脱いで、バスルームの鏡で見ながら全部を払った。

 

払いながら、

 俺は、パンじゃねぇっつーの!

 冗談じゃないよ… マジで 泣

 

半泣きの僕はさらに

 無理だわ ここ!  バカかよ!?  

 お馬鹿さんかよ?! 

 どんなモーニングコールだよっ!?

と本気で毒づき、ツッコミを入れていた。

 

そして、僕は怒りに任せて、

 もぉお! 宿変え けってぇーい!!

 はーい!! 決定しましたよー!!

 アリだけに、無しになりましたよー!!!

と叫んでから、僕は もう行進するアリ達は無視して、蟻から遠い椅子に どかっと座り、booking .comで宿を探し始めた。

 

前の魔窟の時から思っていたのだが、ガイドブックが紹介する安宿では、ろくなことが無い。。そして日本人にも会えた試しがない。

 

僕はもう、旅に出てから一番信頼している、ホテル検索サイトで、自力で宿を探す事にした。

近くに、良さそうな宿を見つけた僕は、バスタブは無いが その宿に移る事にした。

 

荷物をまとめ、干していたシャツも生乾きだが全てしまい、僕はフロントに降りていった。

部屋のドアを開けた時、ドアの下の隙間から蟻達が来ていた事が分かったが、もうどうでも良かった。

 

フロントにいたのは、昨日 思いっきり怒鳴りつけてしまった 若いスタッフだった。

彼は 僕の顔を見ると怯えた表情をする。。

どうやら、よっぽど怖かったらしい。

(昨日 どんなキレ方をしたんだろう? 僕は…)

と罪悪感が頭をもたげる。

 

      彼はもう 十分罰をうけている。。

 

そう思った僕は、もう クレームさえ入れずに、黙って宿を出る事にした。

チェックアウトする旨を伝え、手続きをしてもらう。

次の宿のチェックインは最短で、午後1時なので、僕はバックパックだけ フロントに預かってもらい、散歩兼 散髪に出ていたのである。

 

そして 1時前に、移動の為に宿に戻ると、例のいい加減そうなオーナー兼 主人がいた。彼は僕を見るなり、

「どうして宿を変えるんです?!

 ハノイの次の宿はどこですか??」

と、珍しく気色ばんで聞いてきた。

 

僕はめんどくさくなり、

「いや、今日もうハノイを出るんだ。」

と適当に言った。

 

すると、何故かその嘘がバレて、

「イヤ! アナタは 宿変えるダケ!

 ドシテ?  ナゼこの宿ダメか?!」

と急に日本語で言ってきた。

 

( えっ? なんで分かったんだろう??

 ん、、まぁ、勘だろう。。

 もうめんどいからいいや)

と思った僕は、まだ何か言いたそうな彼を無視して、バックを背負い「グッバイ!!」とだけ言い残してその宿を出た。

 

この宿には、クレームの一つも入れてやりたかったはずなのに、

 自分が 罪悪感を覚えさせられて 宿を出るという "不思議な理不尽さ" に、なんか笑えてきた。

(まったく… 凄い宿だなぁ 笑)

と歩きながら、吹き出していた。

 

この宿の方が、今朝の青空床屋より、よっぽどネタとしては秀逸である。

 

そんな事を考えながら歩いていくと、次の宿の前には、5分程で着いた。

前の宿が近いので、

(あのホテルの前は 当分通れないな…)

と思ったが、しょうがない。

遠回りすれば良いだけだと 自分に言い聞かせる。

 

Googleマップでは、宿の目の前に着いているはずだが、ホテルのような建物はない。。

そこには、歩道でタライに水を溜め、食器を洗っている女性がいるだけで、そこから路地はあるが、袋小路で、本当に暗い狭い路地だ。

 

(この先には民家しかないのでは…?)

と思いながら、恐る恐る路地に入っていくと、悪臭もする。。

 

右手に階段があり、僕の宿の表示があった。

斜め上を指している矢印通りに、階段を上がると、2階は 広めの踊り場といったところで、かなり暗い。。

階段を登り切ろうとしたところで、僕は止まった。

いきなり、暗い廊下を挟んだ目の前に、

ドア越しに「明るい部屋」が出現した。

玄関のドアが全開で開いており、上半身裸のお父さんと、おじいさん、その家族が

「ザ・ベトナムの一般家庭」という感じで、食卓を囲み、一家団欒していた…

 

一瞬、(本当に民家に迷い込んだのか?)

と思った僕は、次に、

 

「え? えっ?!   嘘でしょ?

 マジのホームステイじゃないよね??」

と呟いていた。

 

実は このホテルの名前が

「Hanoi Family Homestay」

だったからだ。

 

だが、サイトの写真では、ちゃんとした、綺麗なシングルルームであり、シャワートイレだけが共同だったはずで「本当のホームステイ」などとは書いていなかったはずだ。

 

僕が彼らを見ていても、彼らは無視、と言うか全然気にしない。誰も僕を見ない。

「何か用ですか?」とすら思ってない様子である。

 

僕は勇気を出して、階段を登り切ってみた。

するとドアの前を過ぎた先に、さらに階段があり、その階段だけ やけに綺麗だ。

 

その階段を登ってみると、ガラスのドアがあり、そこにインターホンがあった。

そしてそこには、ホテル名が書いてあった。

ドアの中も、雑然として暗かった2階とは違い、かなり綺麗で明るい。

 

僕はほっとした。

「流石に あの一般家庭に

 ホームステイは厳しいぞ。。」

と思っていたからである。

 

インターホンを鳴らし、しばらく待つと、スピーカーから スタッフの声がして、オートロックの扉の鍵が空き、そのまま中で待つ様に言われた。

 

扉のすぐ横に 共同スペースの小さなテーブルと椅子があり、僕はそこで待つ事にした。

しばらくすると、スタッフが 下の階段から上がってきた。そして鍵を開けて、入ってきた。

てっきり奥から出て来ると思っていた僕は、面食らったが、この謎は後で解ける事になる。

 

背の低い、20歳そこそこであろう、頭の良さそうなスタッフが、部屋に案内してくれるという。

まずは共同のシャワートイレを見せてくれる。

そして、その向かい側の部屋が僕の部屋で、大きなダブルベットがあり、そこそこ寛げるスペースもある。

 

ちょっとびっくりしたのは、いかにも

「愛の巣へようこそ!」という様な、カップル向けの演出がされていた事だ。

シーツの上には、可愛く折られたバスタオルが置かれ、赤い花びらが散りばめられていた。

(俺は一人で泊まるんだが… 笑)

と苦笑いする。。

 

しかし、それ以外は、本当に綺麗な良い部屋だ!

ここは僕の部屋から外階段を上がった4階に一部屋と、隣に一部屋しかなく、今日は僕しか泊まる人は居ないらしく、この空間を全て一人占めらしかった。

前の宿と変わらない値段の割にはだいぶ得をした気分だ。

 

鍵を貰い、荷物を置くと 彼は

「手続きをするから、付いてきて」

と言って 階段を降り始め、何故か一緒に、宿の外の通りまで出た。

そして彼は、同じ通りの4つ先の建物に入って行った。そこはしっかりしたビルで、ビジネスホテルの様だった。

どうやらここのフロントが、僕の部屋のフロントでもあるらしい。

 

僕の部屋は、このホテルの別館だったのだ!

無料のモーニングも、このフロントの奥の 食事スペースで出るらしい。

そして、謎だった2階の人々は、本当にあそこに住んでいる方達で、彼の親戚だそうだ。

 

どうりで、見知らぬ旅行者が上がってきても、何も騒がないはずだ。

彼らからすると、そんな輩には、慣れ切っていたのだろう。

 

だが、最初に何も説明が無いので、そんなの分かるわけがない。

あと、紛らわしいホテル名もやめてほしい 笑

 

なんにせよ僕は 手続きを済ませ、別館に戻る為に、悪臭のする 暗い路地へと戻って行った。

 

(ここさえ過ぎれば、居心地のいい部屋だ)

そう 自分に言い聞かせながら。。

 

続く

 

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↑ 事件現場。。


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サラバ! 愛しのバスタブ。


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↑ 新しい宿、 えーと。。

 僕は1人で寂しく泊まるのですが… 笑

 

 

 

 

 

 

 

海外で初散髪。そこは青空と風の中…

 

昨日 上田が、会話の中で、

日本にいる もう一人の俳優仲間からの

「伝言」を預かっているよー!

と言ってきた。

「散髪 いつ行くの? 」と。

 

 

そういえば、、日本を出る前に、そのもう一人の仲間から貰ったアドヴァイスの

"外国に行ったら やってみてねリスト" の中に

「海外で散髪をする」というのがあった事を僕は思い出した。

 

今日本にいる、 タイを勧めてくれた、これまた俳優仲間でトンチのきいている彼女は 20代の時、タイの床屋で 髪を切った時に、前髪をパッツン切られて「ちびまる子ちゃん」にされたと言っていた。

 

日本にいると、マネージャーが営業に使う

「プロフィール写真」や「撮影の繋がり」の関係もあり、我々俳優は、殆ど髪型は変えられない。

阿部寛さんなんかは、他の人に短く切られすぎたりするのが嫌で、自分で切っていると聞いた事がある。

(因みに僕は、たまたま受かったCMで

 阿部さんと共演させてもらった事がある)

 

長い旅とは、この機会に 思いっきり髪型で遊べるチャンスでもあるのだ。

それより何より、とんでもない髪型にされても、海外だから、旅の間にまた伸びるので、

ガンバ以上の大冒険が出来るのである!

 

「明日は、午前中は買い物に行きたいから、

 別行動しよう」と提案してきた 上田からも

「私がいる間に、髪切ってきて、

 明日、生で見せてよ! 笑」

と言われて、ぼくも ついに髪を切ることにした。

 

日本でもよく、私を乗せて楽しんでいる彼女達を楽しませる為、僕は旅での "ネタ作り" の一環も兼ねて、散髪屋を探すついでに、朝早く散歩に出た。

僕は別に 芸人さんでも無いのに である 笑

 

最初に見つけた美容室は、看板の写真に大きく男性が描かれ、彼の左右の側面は 頂上まで? 断崖絶壁と化している。

従業員を見ると、皆、側面がエベレストか、アンナプルナ岩壁の様に、クライマーを寄せ付けない程の異様を放つ  "刈り上げ" だ。。

高尾山にしか登った事がない僕には、この山は レヴェルが高すぎた。。

「僕は…まだ 死にたくない。。」

と呟き、そそくさとその場を離れた。

 

ノリが良すぎる僕は、万が一店員に話しかけられたら、うっかり説得されて、彼らとブラザーになりそうだと、危険を感じたからである。

 

そのまま南の鉄道駅を過ぎて 歩いていくと、オレンジツナギの国家公務員を見かけた。

若い女性で、一生懸命ゴミを拾ってくれている。

だが、ホーチミンと違い、圧倒的に ゴミの量に対して戦力が足りない。。

彼女はこのクソ暑い中、決して勝てない大量のゴミという怪物達と、必死に闘っていた。。

僕はそんな彼女に敬意を表しながら、さらに歩く。

途中に 日本製品専門店を見つけ、

(ここも、ミンさんの経営する店かしら??)

と思いながら歩く。

 

それにしても本当に 暑い。。

(誰だ??ホーチミンに行くと風邪を引く

 とか言っていた輩は…。)

と、ホーチミンで「ハノイは 寒い…」と言っていた友人に毒付きながら歩く。

 

僕はやがて、巨大なスタジアムにぶち当たった。

門が空いていて、入ってみると、どうやらサッカースタジアムである。

芝は少し禿げ上がった場所もあるが、数万人を収容できる規模のスタジアムである。

中に入った僕は、結構圧倒されていた。

そして、こんな立派な施設に、普通に中に入れる事に ちょっと笑ってしまっていた。

(おーい!首都ぉ! セキュリティぃぃ!?)

と 一笑いした僕は 外に出て、スタジアムの周りを歩き出した。

 

その時に、まるで恋に落ちるかの様に、運命的な出逢いを果たしてしまった。。

 

このスタジアムのかべを利用した

「青空床屋」を見つけてしまったのだ。。

 

なかやまきんにくんをソフトな髪型にした様な、全面積を刈り上げた20代前半であろう、目のギョロギョロした おとなしそうな若者が、ハサミを片手に持っている。

そこには、スタジアムの壁に鏡を立てかけた、

謎の床屋がキックオフしていたのである。

 

スタジアムの壁に 鏡を立てかけただけで 一人で営業する床屋さん。。

なんと言ったらいいか、床屋界のファンタジスタだろうか??

 

(流石にここは無いわ…(^_^;)

と思って通り過ぎようとすると、だいぶ髪が伸びていた僕を見た、店員であり店長?の彼が

 床屋ですか? 床屋ですよね??

ジェスチャーで僕に一生懸命、話しかけてきた。

 いや、いやぁ。。うーん、そう??

と僕は話だけ聞こうと近づいた。

すると彼は「どうぞ」と椅子を引くが、僕はここで切る気は無い。

 いやいや、、座りませんから 笑

 なんか… 本当に ここ大丈夫なの? 

と思わず聞くと、

 

「OK OK!」と言う。

 

 …えーと、、ハウマッチ?

 

聞いても、「OK OK!」と彼は言う。

 

 いや、だから値段です…  いくらですか?

 

「ア〜、うん、OK  OK!」

 

どうやら彼は、英語は「OK」しか知らない様だ。

だが、その「オーケー」だけで、なんとかコミニュケーションを取ってくる。

「オーケー」のニュアンスと、表情と、ジェスチャーで、全てを解決しようとしているのだ。

 

僕も面白くなってきて、ふざけて

「Oh! オーケー?」と聞き返すと、彼も大きく頷き 嬉しそうに、

「OK OK!」と席を進める。

 

僕は半笑いで「おーおー!オーケー? OK?」

とやりとりしている間に、楽しくなってきてしまい、ノリで うっかり席に座ってしまっていた。

 

(し、しまった!  や、やられた!?)

 

悪意があると、すぐに分かり 対処するのだが、彼はとても良い人そうで、安心感があったのか、僕も彼のノリに引き込まれてしまっていたのだ。

 

まるで彼に 「シャル・ウィ・ダンス?」

と、はにかんで手を出され、

 

(あら? この人良い人そうだわ。。

 それに一生懸命、わたくしなんかを

 誘ってくださってるわ。。)

とうっかりその手を取ってしまったかの様に…

 

(これは 一番やばいパターンだぞ…

 マサミホイホイに引っかかったぞ。。)

 

自分が悪いのだが、僕は早くも後悔し始めていた。 うっかり座ってしまったが、

(流石にここは無いだろう。。)

とかなり焦り始めた。

 

ノリとはいえ、座ってしまった以上、何か理由を付けなければ、ここを出れない。

彼はニコニコしながら、僕に髪除け用のエプロンを、全く自然につけ始めていた。

 ちょ、ちょっとストップ!

 ノー OK!  オーケー??

 えーと、お金、ドン! ドンいくら??

とぼくが言うと、「アー、、OK 」と言っている。

 

僕は財布に たまたま色々な種類のベトナムドンが入っていたので、相場のわからない僕は、とりあえず、

20万ドン(1000円)を、提示すると

「OK OK!」と言ってきた。

僕はどうせ「OK」しか言わないだろうと思い、とことん値切ってみることにした。

 

交渉さえ決裂すれば、僕はこの席から解放されるからだ!!

 

札二枚提示し、15ドン(750円)に変えて、「OK?」と聞いてみる。

 「OK OK!」

さらに、10万ドン札(500円)に変えてみる、

 「OK OK!」

 

僕は 流石に怒るだろうと思い、

5万ドン札(250円)を提示すると、

「OK OK!」

…全く変わらないテンションで、「OK OK!」と言う。。

 

流石に僕も観念した。。

これ以上値切っても、彼は「OK OK!」と言う事がわかったからだ。

もう、彼はいくらでも 僕の髪を切りたくてしょうがないのだと思ったのだ。

それに、流石にこれ以上値切るのは、本当に失礼な気がした。

 

僕は観念して、ひと際 元気な声で、

 「おっけぇええ〜〜〜 !!!」

と絶叫し、彼に伝えた。

その僕の叫びは、ハノイの 気持ちのいい青空に吸い込まれていった。

 

流石に「刈り上げ」全盛の

「刈り上げてなければ、人にあらず」という平家システムのベトナムに抗うため、僕は彼の髪型を指差して、

「ノーストレート、ノーまっすぐ、

 ノー刈り上げぇええ!」

ともう日本語で、必死にバツを作り、ジェスチャーで伝えた。

そして、日本の僕の事務所のホームページの宣材写真を見せて、

「これ!これ!!これにして〜〜!!」

と懇願していた。。

 

勿論彼は、全てに「OK OK!」と返してくれたが…。

 

画像だけは真剣に見てくれた彼は、僕の髪を切り始めた。。

 

最初、切腹する武士の様に覚悟を決めた顔をしていた僕だったが、彼がハサミを動かす内に、徐々に表情が柔らかくなってきた。

(あれ?? 彼の介錯…意外と上手く無い??)

僕の手を取り 踊り出した彼は、実はかなりのテクニシャンだったのだ!!

 

僕は笑顔になり、

(もおぉ! 上手なんだったら、

 勿体ぶらずに、早く言ってよ〜。)

とはにかんでいた 笑

 

やがて意外と良い感じになった僕は、

(これだとネタにならないじゃん!

 もう。ぷんぷん☆ ぷんぷん丸☆)

と可愛く怒りながら、彼にお礼を言い、

一緒に記念撮影して貰って、彼と握手し、そこを後にした。

 

ここには流石にシャンプー台は無く、高野豆腐か、足の角質とるやつ??という軽石レベルに硬くなったスポンジで、顔や、首や、肩の髪の毛を払ってくれたが、

顔をガリガリ、首をガリガリ

(ち、血がでるぅぅうう。。)

と言うくらい痛かったので、ついに僕は、

「NO! のぉぉおおお!! のおぉぉおん!」

と、「OK」とは逆の、たぶん この店では 言ってはいけないであろう単語を発して、ようやく解放されていた。

なんにせよ僕は、彼を

ベトナムシザーハンズ と呼ぶ事にした。

 

髪の毛が 顔にも付きっぱなしの僕は、このままじゃ気持ち悪いので、工夫で乗り切ることにした。

近くのお婆さんのやっている、本当に小さな、暗いお店に入り、おばあさんから2リットルのペットボトルの水を買い、頭を流すことにしたのだ。

人通りのない歩道を見つけ、誰もいなくなったタイミングで、Tシャツを脱いで上半身裸になった僕は、ズボンが濡れない様に前屈みになり、頭からその水をぶっかけた!

その瞬間である!!

 つ、つ、つめてぇええええ!! えええ?!

と僕は叫んでいた。

僕はおばあさんに、常温の水を指差して買ったはずだが、おばあさんは、知らぬ間に気を遣って、冷蔵庫でキンキンに冷やした水を渡してくれていたのだ!!!

考えてみると、確かに普通は、飲む用に買っていると思うはずで、おばあさんの優しさである。

 

そんな僕が、ヒーヒー 言いながら、何とか頑張って、頭を水ですすぎ終わると、何故か目の前には若い女性がいた…

彼女は、物凄く頭のおかしい人を見る様な目で 、僕を一瞥してから、目が合うと 逃げる様に走り去って行った。

 

海外で髪を切るのは本当に大変である。

皆様もご注意願いたい。。

 

因みに上田には、

「全然 おもんな〜い!!」

と案の定 ガッカリされた。

 

それでも 僕の旅は続く。

 

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↑ 見つけた綺麗なスタジアム


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↑ 髪を切る前の僕とスタジアム。

 写真では分かりにくいが、

 意外と髪はボサボサだ。


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↑ 青空と、本当に美しいスタジアム。

 この外壁に床屋があろうとは。。


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切腹の覚悟を決めた僕


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↑ 髪の毛と今生の別れをする僕…

 手前にあるのが 固すぎるスポンジ。。


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↑ あ、あれ?? 意外と…


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↑ お互いに大満足の 僕とジョニー・デップ


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↑ 全然おもんない僕が出来ましたとさ 笑

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「遂に 外国で友に再会す!」の巻

 

20xx年 宿のバスタブの栓をめぐる、

ハノイ バスタブ戦争」が終結し、

この宿は平和を取り戻していた。

 

僕は色々な疲れにより、ベットで少し横になる事にした。

心地よいクーラーの温度と、お風呂に入れた事による身体の柔らかさが加わり、僕はやがて平和な寝息を立てていた。。

 

だいぶ深く眠っていたはずだが、LINEの着信音が鳴り、僕は目を覚ました。

どうやらもう2時間ほどで、彼女は自分の宿に着くらしい。

そう、ハノイで再会する友人は俳優仲間で、女優でもある。彼女 上田とは、舞台共演は勿論、一緒に何回か旅公演も行っている、10年来の、親友であり、家族に近いというか、戦友に近い。

芝居や、プライベートな事も気兼ねなく相談できる 数少ない人物である。

僕が旅に出る前に、いつものメンバーで飲んでいた時、上田が、

「私もマイルが切れそうだから、

 使い切りに、近々ベトナムに行くから、

 旅の間に会えたら面白いよね〜」

と言って笑っていた。

僕が旅にでる直前に、上田は次の月に 丁度まとまった休みが取れる事になり、呑み屋で冗談で言っていた事は 実現の運びとなったのである。

 

ラインで、彼女の予約した宿の場所が、Googleマップ付きで送られてきた。

その場所は、僕の宿から歩いて5分ほどの、すぐ近くだった。

ハノイに慣れている僕が、彼女の宿まで迎えにいく旨を伝え、落ち着いたら待ち合わせ時間を決める事にした。

 

ついに外国で友人と再会する!

日本を出てから、1ヶ月以上が経ち、ついに最後のイベントである。

 

その後、僕は宿でゆったりと待ってから、待ち合わせ時間に彼女の宿に向かった。

かなりワクワクしている自分がいる。

 

会えるのも嬉しいが、日本語で遠慮なしに喋れるであろう事も、この嬉しさに拍車をかけていた。

僕は、一週間前にいた "プノンペン" を最後に、ここ一週間、今の宿の主人の 怪しい日本語にしか触れていないからである。

そんな事を考えていたら 宿にはすぐ着いた。

ホテルの階段を見上げると、ガラス越しにフロントにいる上田が見えた。

向こうもこちらに気づいて手を振って降りてきた。

「づま〜、久しぶり〜、焼けたね〜。

 というか、痩せたね〜! 」

と彼女は元気いっぱいだ。

(因みに「づま」とは僕のあだ名である)

 

僕もニコニコしながら、

 まぁね。色々あったからさぁ〜。

と半笑いで 返事をする。

 

彼女のその元気なノリを見て 僕は、

(観光客だ、、観光客が来た… 笑)

そう思い 実は少し笑ってしまっていた。

 

彼女は二日間ダナンに行っていて、満を辞してのハノイである。

僕の様な、時間だけはあり、ダラダラ過ごしていてる 暇な旅人 と違って、限られた時間で、行きたい所を周らなければならない。

 

そんな彼女はやはり気合が違うのだろう。

旅に出て以来、のんびりした旅人にしか会っていなかった僕は、彼女の その「観光客パワー」の様なエネルギーに、久しぶりに触れて、

彼女には悪いが、思わず何故かそう思って 笑ってしまったのだった。

 

 だが しかし、嬉しい!!

1ヶ月以上も "友人の誰とも会わないでいる" という事自体が、まず 人生で初めての経験である。

友人に会える事がこんなに嬉しい事だとは思わなかった。

 

あまりの事に 僕は少し人見知りしていた…

恥ずかしい話だが、長旅で、友人との距離の取り方が 少し分からなくなっていたのだ 笑

 

はにかんでいる僕が、とりあえずどうするかと話すと、彼女は「行きたいピザ屋がある!」と話が早い。

 

今日ダナンから来た彼女は、ベトナムを、限られた日程での観光である。

僕みたいに、なんとなく街をうろついている輩とは違い、ちゃんとガイドブックで、色々リサーチを 完璧にしてきていたのだ!

 凄い ちゃんとした旅行者だ!!

と感心しながら、僕は別にどこでもいいので、彼女のリサーチ力を頼りに、回る事にした。

 

彼女のガイドブックで探すと、なんだかよくわからない。。近くにはいるはずだが…

僕には旅で培った、勘のようなものがあり

「たぶん、こっちじゃ無い?」

と、ずんずん先導し、結局そのままそのお店に着いた。彼女は、

「すご〜い。やばい能力身につけてるね!」

と感心してくれたが、

言われてみると、そんな能力が身に付いているのは確からしかった。

 

ピザ屋に入ると、キチンとしたレストランで、何か場違いな感じがする。。

ローカルレストランばかり行っていた僕は、ちょっとオシャレすぎて苦笑いしていた。

 

だが、自分ではお店は 絶対に見つけられなかったはずで、たぶん見つけても入らないはずである。彼女のおかげで 違う街の姿を発見出来た。

 

(普段、どんなとこ行ってるん?自分…  笑)

と自分にツッコミ、相対化するいい機会である。

 

食べながら色々喋っている内に、リハビリが済んだのか、僕はようやく普通に喋れる様になっていた。

さすがは、10年来の友人だ、ありがたい 笑

 

ハーフアンドハーフの2種類のピザを一枚ずつを頼んで、シェアする事にした。

値段はまぁまぁ高く感じるが、よく考えると、日本に比べるとはるかに安い。

(自分の感覚が大分 ズレているのだなぁ。)

と気付かされる。

 

しかし、流石に有名なピザ屋である、接客も気持ちよく、ピザも美味しかった!

満足した僕らは、暗くなってきたハノイの街を散歩する事にした。

 

ここハノイは、街中は 歩行者天国になっていて、出し物や、舞踏、ミュージシャンなどがいて、ちょっとしたベトナム大道芸と言ったところである。

 

実は、彼女は結構おしゃべりで、僕もかなりのおしゃべりだ。

俳優同士であるので、お互い聞く力はそれなりに手に入れているが、気の許せる仲間同士なので、日本では いつもお互いマシンガントークで、激しく撃ち合っていた 笑

 

色々話をしていると、彼女が不思議そうにしている。

 あれ? なんかすごい聞き上手になってない?

 あんまり喋らないね。。

僕は「そうかなぁ。。」

と言っていたが、確かにそんな気がする。

 

少し考えてから彼女に、

 だぶん、こっちだと英語だから、

 とにかく 聞くことだけに、

 マジで集中してないと、本当にさぁ…

 コミニュケーションが成立しないから。

 とにかく聞こうとするクセが付いてるのかも

 だから、そうなっているのかもね…?

と話した。

どうやら僕には、昔 日本のインプロの師匠が、口を酸っぱくして言ってくれていた「傾聴力」なるものが、いつの間にか身に付いていたようである 笑

 

彼女は大爆笑して「すごい成長だ!」と大喜びしていたが、確かにそうなのかもしれない。

 

確かに芝居の勉強で、聞くことは学んでいたが、まだまだ自分発信で喋っていた僕は、旅の間に いつの間にか

「まず聞く」という事が出来るようになっていたのだ。

 

この旅での「成長」を、日本での僕しか知らない彼女が、色々気づいてくれた事で、僕も気付くことが出来たのは、収穫だった。

 

僕がハノイの宿 名物「蟻パン」の話をし、

「上田も パン食べる時は蟻に気をつけてね 笑」

とボケて彼女に

「いやいや、まず食べないから!」

とツッコミを入れて貰うやりとりもあり、このような日本語での、テンポのいいやりとりが非常に楽しい。

 

久しぶりに安心して日本語で話せる事が、本当にありがたかった!

日本語で話す事が新鮮に感じるのだから、なかなか人生で味わえない経験である。

 

そのあと 彼女に

「その宿さぁ…変えた方が良いんじゃない?」

と言われて初めて、

「そっかぁ…そうかもね。。」

と何も気にしていなかった自分に気付いた。

(確かに これは宿を変える理由になる案件だ…)

ちゃんとした感覚の彼女の意見は新鮮だった。

明日まで、あと一泊だけ予約していたので、僕は明日、他の宿を探す事も 視野に入れる事にした。

 

その後、歩行者天国の通りで、足マッサージの店の人に声を掛けられ、値引き交渉してみると、安くしてくれた。

あまりに自然に交渉する僕にも、彼女は驚いていた。「さすが、慣れてるね…」と、どうやら僕は、知らぬ間に このアジアに大分馴染んでいる様だ。

 

足マッサージをして貰いながら、隣同士でも下らない話を色々する。

僕の旅の話も、面白そうに彼女は聞いていた。

彼女は先に他の都市も2日周っていたので、その話も聞く。

ここは足湯で最初に足をしばらく漬けて、その後マッサージなので、かなりリラックス出来た。

「旅に連れがいると また楽しいものだ」

と改めて思う。

(次に、外国に行く時は、

 誰かと来てみようかなぁ。。)

という考えも頭をもたげる。

 

まぁ、彼女が帰ってしまったら、また一人だ。

とにかく、今この時をとにかく楽しもう!!

 

  人生初の "友人と周る外国 "  を満喫しつつ、

合流してくれた彼女に、僕は本当に感謝していた。

 

やはり、長い旅はしてみるものである。

 

つづく

 




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↑ 実は ベトナムにも出没していた

 カンボジアウォーターマン

 

 

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↑ 美味しいピザ!!

 ピザにはビールです^_^

 

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↑ めちゃくちゃ楽しそうな僕 笑



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↑ 彼女と再訪した夜の教会(聖ヨセフ大聖堂)

 


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↑ 足湯…からの足マッサージ

 隣同士での会話はリラックス出来て

 楽しくてオススメです。



 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

お風呂の栓で揉める… 事が人生にはあるらしい。

 

ハノイの街の北側をぐるっと周った僕は、大分北側まで行き、無事タクシーを捕まえて、宿に帰ってきた。

 

Googleマップの住所を見せると、宿にピタリとつけてくれた。

そして、お代も240円程で、バスよりは高いが、よく考えると かなり安い。

早くタクシーを使えば良かったと思うが、それはそれである。

中二階にある、少し広めのシングルルームに戻った僕は、昨夜は疲れていたので シャワーで済ましていたが、ついにお風呂に入る事にした。

「グフフ。。ゆっくりと浸かっちゃうぞ。」

と少し変態気味に喜びながら、お湯を張る。

  どどどドドドドド…

どんどんお湯が溜まっていく。

「クカカカカ! ドンドン溜まっていくわい!」

とおかしなキャラになり 笑いながら、僕はシャワーで汗を落としてから、やがてお湯が溜まったバスタブに飛び込んだ。

 ふうぅぅぅ。。あ"、 ああ"〜〜!

口から勝手に息が漏れ、ぼくはゆったりと足を伸ばして目を瞑った。

 ふぅ〜う。今日もいきなり色々あったなぁ。

とさっきまでの出来事を思い出していた。

今朝、蟻パンを食べた事が、遠い昔のことの様に思える。。

初日から中々 色々起きたし、体感できた。

しかしながら、夕方に来る " 友人に再会する"  という、この旅を始めた時から発生している

「一大 最終イベント」が、まだ僕を待っている。

ゆったりと浸かっていると、疲れが出たのか、案の定 寝てしまった。

10分程で、ビクッと僕は起きた。

顔に、お湯をかけて目を覚ます。

僕は大分スッキリして、お風呂から上がった。

 

だが、ここで問題が起こった。

またしても風呂の栓が抜けなくなったのである。

一週間ぶりにベトナムに帰ってきた僕は、

ベトナム お風呂の栓抜けなくなる問題」

が頭からすっかり抜け落ちていた。

ここも例の「落下傘型のステンレス製の栓」で、紐などはついてなく、爪を引っ掛けて取ろうとするが、水圧で栓は取れない。。

 あぁあ"〜  もぉおお!!

と、せっかくの気分は台無しになり、僕はフロントに電話をかけた。

早速、背の高い若いスタッフが来てくれた。

彼はバスタブを見て、一応手を入れて、取れないとわかると、事もなげにこんな事を言い出した。

 シャワーがあるから問題ないね。

 シャワーを使って下さいね。

 

(え…嘘でしょ?  この人何言ってんの?)

僕は優しく言った。

 いや…、あのね。

 僕はバスタブ使いたいんですよ。

 なんとかなりませんか?

 今までどうやって栓抜いてたんですか?

 

 今までバスタブ使った人はいません。

 みんなシャワーだ。

 シャワーを使えば良いんです。では。

 

そう言って帰ろうとする彼に僕は辛抱強く話しかけた。

 いや、だからね、、私は、

 バスタブに浸かれるからこの宿にしたんです。

 栓を抜くマニュアルとかはないの?この宿?

 

 だから何度も言っていますよね?

 シャワーが使えます。何も問題はありません。

 何故 私のいう事が理解してもらえないんですか?

 

と言う彼に努めて冷静に僕は話しかけた

 いや、だからあのね。

 お風呂。お風呂に浸かりたいんです。

 日本人は、バスタブ大好きなんです。

 だから、シャワーだけじゃダメ。

 ゆー OK?

 

 お客さん 笑 あのですね…

 そんな事は、今まで誰も言ってきてないし、

 みんなシャワーしか使いませんよ?

 なぜバスタブなんかにこだわるんです?

 

かなりカチンと来ていたが頑張って話す

 だ、か、ら ワタシは、バスタブが必要なんです。

 バスタブがあっての この部屋の料金ですよね?

 

 ですからバスタブは使いませんって 笑

 お客さん、お聞きしますが、

 逆に、何故シャワーじゃダメなんです!?

 

 

と聞いてきた彼に、温厚な僕も、

ついに堪忍袋の尾が切れた。

 どぅあから!

 バスタブに入りたいんだよ!俺は!!

 シャワーだけだったら!!

 違う宿にしてるんだよ!!

 バスタブ!!バスタブが大好き!!

 バスタブ愛してる!!わかる???!!!

 アイ ラブ バスタブ!?

 ウィー ラブ バスタブ!!

 Japanese Love バスタブ!!

 ユー オーケー??!!

 どうでも良いから、栓抜く方法!

 聞いてこいや?!

 わからなかったら、桶かバケツ持ってこい!

 お湯抜いてから栓抜くから!!

 つーか、栓に紐くらいつけとけや?!

 前の宿は抜ける様に、

 ストリングス付けてたぞ!!

 ああ??聞いてんのか?! おい!!

 俺は アンダースタンド か聞いてんだよ!?

と、この旅で一番、僕はブチギレた。

 

たかが風呂でこんなにキレている自分を、

「大人気ないねぇ。。この人…」と、冷静に見ているもう一人の自分もいたが、我慢が出来なかった。

すると彼はあまりの僕の剣幕に、口をパクパクさせた後、

 す、ストリングス…?

 何故ストリングスがいるんですか? 泣

 分かりません。。 とりあえず、

 ば、バケツ持ってきます!

と半泣きで下に降りていった。

 

彼が出ていった後、僕は苦々しく溜息をついた。カタコトの英語同士で伝わらない事もストレスだったが、彼の怯えようを見て、

 あぁあ…嫌な事しちゃったなぁ。。

と自己嫌悪も感じていたからだ。

ホーチミンで、怒りに任せた挙句、

10人以上に追いかけられて、反省していたはずなのに、全く学習していない自分がアホにしか思えない。。

 

この長い旅で、大分 気が長くなったつもりでいたが、まだまだ何も成長していない自分に嫌気が差したし、あんなに彼を怯えさせた事を後悔していた。

 何様だよ、お前はよ…?

 おい、マサミさんよ!

と、自然に自分に毒付いていた。

 

ふと鏡を見ると、どうやら、僕はバスタオル1枚腰に巻いただけで、あれ程怒り狂っていたらしい。。

 あのさぁ。。 コントかよ…??

と笑ってしまい、そのおかげで、僕は気持ちがふっと楽になった。

 

(もう、風呂使えなくても良いや

 ちゃんと 彼にも謝ろう。。)

僕は今怒った出来事を笑って流す事にした。

 

しばらくすると、スタッフの男性は、凄い真剣な顔で、バケツを持ってきてくれた。

僕は「ありがとう」と柔らかくお礼を言い、彼の目の前で、 ザバー…、ザバー。

と、風呂の湯を抜いて行き、やがて半分以上湯が無くなったところで、栓を抜いて見せた。

彼は、「オー マイガー」とびっくりしていた。

僕は、「先程は言い過ぎてごめんなさい。」

と謝るが、彼はもう、僕が恐怖の対象でしか無いらしく

「いっ、いえ、だ、大丈夫です…」

と言って逃げる様に、下に降りていった。

もう、苦笑いするしかったが、前向きな僕は、この事はもう忘れる事にした。

都合のいい旅人であるが、忘れる事もまた大事な事である。

(ちゃんと謝ったし、後悔してるから、

 今 これ以上やれる事はない。)

と割り切ったのである。

 

実はこの日、夜中の 1時過ぎまで酔っぱらった僕が宿に帰ると、ドアが閉まっており、インターフォンを鳴らすと、フロント台の後ろに布団をひいて、隠れて寝ていた彼が、眠そうに目を擦りながら、ドアを開けてくれた。

 

それを見た僕は、家にも帰らずに仕事をしている彼に、さらに申し訳ない気持ちにさせられたが、それ以上に、あの日本語も 人使いもテキトーなオーナーに、少し違和感を感じながら、若いスタッフさんに より罪悪感を感じながら、ベッドで眠りについた。

 

いちいち勉強になるわ…  一人旅。。

と呟きながら。

 

凹んでいる日は、不思議と人恋しくなる事も、改めて感じた夜だった。

 

つづく

 


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↑ ハノイの街並み

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↑ 道路はこんな感じ 空いてる所と混んでる所がはっきりしている。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

博物館の英語の長文で哲学する。

 

色々ホーチミンと 比べていたが、歩き周り始めると、僕はこのハノイの街が大好きになっていた 笑

 

大通りに戻り、さらに北側に向かうと、立派な博物館があった。

普段 博物館には滅多に入らないのだが、外観が気に入ったのと、観光客の集団が大量に出てきたのを見て

(今なら空いてそうだな?)

と想像して、中に入ってみる事にした。

 

受付の女性にお金を払って 中に入ると、予想通り、お客さんはまばらだ。

建物は近代的な作りで、吹き抜けた広い天井には、何故かシャンデリアがぶら下がっている。

ここでは、ハノイの歴史や、発掘物などが展示されていた。

船の闘いのシーンを再現した、ミニチュアの展示が面白かったりしたが、何の戦いなのかは分からない。

頑張って周ってみたが、説明が英語なので、僕には結構 理解するのが難しかった。

というか無理だった 笑

実は、中学の時 英語アレルギーだった僕は、英語の長文を見ると、目眩がするのだ。。

 

そう言えば、そんな僕は 高校生の時

(英語は人生に必要ない。いや、

 厳密に言うと、俺の人生には必要がない!)

と馬鹿なことを本気で思っていた。

英語の授業中にずっと、当時ハマっていた、角川スニーカー文庫の「フォーチェン・クエスト」を読んでいた。

ようは勝手に授業をボイコットしていたのだ。

 

この時の英語の先生というのは、頭が大分禿げ上がったおじさん先生で、ある日僕は、彼に職員室に呼び出された。

この先生は頭ごなしには怒らず、

「なぜ授業中に、本を読んでいるのか?」

と丁寧に、理由と話を聞いてくれ、テコでも動かない頑固な僕に、

 うーん、わかった。

 君の言ってることはある意味正しい。

 ただ、そのままと言う訳にはいかないよ。

 そこで提案なんだけど、

 ノートだけはとって欲しい。

 それさえしてくれたら、

 別に本を読んでようと構わないから。

と、提案をしてくれ、

僕も「それならばノートだけは取りましょう!」

と生意気ながら、話し合いは無事 落とし所を見つけた。

(当時の僕は何様だったのだろうと、

 若気の至りが過ぎる自分を考えると、

 今でもお恥ずかしい限りである。

 ようは 本当に人間として未熟だったし、

 ある意味 純粋だったのだろう。。)

 

この先生が、頭の良い方であるのは 後で解る。

やはり ノートをちゃんと取っていると、本などを読む時間など無いのである。

男の約束を守る僕は、それだけをキチンと守っていた。そして先生の狙い通り、そのうち、本を読むことを諦め、授業に参加する事になったのだ。

本当に「よく生徒の性格を見ていた先生だなぁ」と、今でも思う。

今でも、この先生には感謝している。

プアーなイングリッシュしか持たない僕だが、それでも、この高校である程度はノートを取っていたから、ほんの多少は 英語が理解できる様になっていたからである。

この先生に出会わなければ、本当に、ナッシング イングリッシュになっていただろうし、大学にも受からなかったと思う。

 先生、本当にありがとうございます。

 

僕が中・高の教職免許を取ったのも、この先生に限らず、転校が多かった割には、この先生の様な、とても良い先生方に恵まれて来たからである。

(その後、大学でお世話になった教授に、

 せっかく学校まで紹介して頂いたにも関わらず、

 結局断って、俳優になってしまったが…)

そんな事を、思い出しながら僕は

(何やってんだろうなぁ…)と、少し自分を笑いながら、中を周っていた。

展示の内容は分からないながらも、色々思考が広がり、とても良い時間だった。

まさか、ベトナムで、高校時代の恩師の事を思い出すとは想像していなかった 笑

思考とはまさに繋がりであり、人との繋がりで 今の自分があるのだと気付かされる。

 

この博物館では、結局、ベトナムの原人? の様なパネルに顔だけ出し「ベトナム原人 マサミ」に変身した以外は、あまり理解出来なかった 笑

 

博物館を出た僕は、また歩く。

バス停が目に入ったので、バス停に書かれた路線図を見てみるが、かすれているし、また大雑把でよくわからない。

ホーチミンでは、職員用のバス路線図を、バス会社の優しい職員さんから頂いていたので、どのバスに乗れば どこら辺に行くかは 大体解っていたが、ハノイでは流石に路線図をくれる人はいないだろう。。

(一般の人用に渡す、配る路線図は無いと

 前に、ホーチミンで聞いていたからだ。)

 

 実地で乗って覚えていくしか無いな。。

と腹を括って、早速バスに乗ってみた。

宿の方向に向けて乗ったはずだが、右折して欲しいところを、バスは、早速左折レーンに入り、反対側に走り出した。。

 うぉーい!!いきなり逆行っとるがな (^_^;)

と焦ったが、そこはグッと我慢する。

 まだ、どうなるかわからないぞ!

と自分を励まし、少しの希望に縋ったが、バスはドンドン宿から離れていく。。

流石に諦め、3駅目でバスを降りた。

道の向かいのバス停に向かい、そこから今来た方向に向かう右車線から、来たバスに乗った。

先程のバス停の近くに来たところで、バスを降りた。

僕は 冷や汗をかきながら、

(やはり、、行き先も分からないバスに乗るのは

 かなり無茶だな。。汗 )

と今更実感していた。

 

ここで改めて考えてみた。

(うーん、マレーシアでは、高いし、

 運転手がヤバめだったから乗らなかった。

 カンボジアはそもそもトゥクトゥクだった。

 しかし、ここはベトナムだし、

 そろそろタクシーを使っても

 良いのでは無いだろうか?)

昨日、宿にぴたりと着けてくれた事も考えると、ハノイのドライバーさんは、かなり優秀なはずだし、市内を移動するのなら、そんなに高くは無いだろうと、僕は今更だが この旅でタクシー利用を解禁することにした。

そういえば、不思議な事に、あまりベトナムでは、ボッタクリの話も聞かなかったからである。

帰りはタクシーに乗ってみようと決めて、僕はさらに歩いた。

左手に劇場があった。がぜん興味が湧き、中を覗いてみると、下がジャージでTシャツを肩まで腕まくりした、若者がベンチで休憩していた。

ここの俳優さんだろうと思い、話しかけると、やはりそうで、これから稽古だという。

「夜に公演はあるが、

 自分はまだ修行中なので、出ない」

と教えてくれた。

僕も劇団の研究所時代を思い出し、彼と少し話をした。聞くと、芝居を始めてまだ間がないとのことだった。

今は身体訓練や、シーンスタディをやっているらしい。

僕も俳優だと伝えると

「是非見に来てください」と言ってくれたが、

「君は出ないんだよね?」と聞くと、

「僕はまだお芝居には出れないんです」

とはにかんでいた。

その初々しさは、もう僕は、とうの昔に捨て去ってしまったものだ。

僕は 初心を思い出させてくれた彼に、

「時間があったら見に来るね、

 あと、あなたが早く舞台に出れる事を

 楽しみにしてますね」

と言うと、嬉しそうに

「ありがとうございます」

と言ってくれ、別れ際にチラシをくれ、握手をして別れた。

彼の力強く握られた手から、よく鍛えられている事、この若者の前向きな力強さとエネルギーを感じた。

何かパワーを分けてもらったかの様に、力が湧いてきた僕は、ついに道でタクシーを捕まえて乗る事にした。

結構ドキドキする。

外国に1ヶ月以上いるが、流しのタクシーに乗るのほぼ初めてである。

 

たかがタクシーに乗るだけで、こんなにも、思考し、エネルギーを使い、本当にドキドキする事があるのが、やはり初海外ならではである。

 

やはり旅は面白い。

 

つづく

 

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↑ 作りが素敵な 博物館

 


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↑ 何かの戦いらしいが…

 


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↑ 発掘された マサミ原人

 


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↑ 亀さんと 船さん

 



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↑ 何度見ても難しいバス路線図…

 


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ハノイの劇場



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↑ 街歩きで見かけた綺麗な建物たち

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ハノイに歓迎される

 

「蟻パン」への怒りを 少し吐き出した事もあり、前向きにその出来事を 綺麗さっぱりと "手放した" 僕は、さらに街を北上した。

 

しばらく行くと、小さなコンビニくらいの大きさの、日本語が書いてあるショップがあった。中を覗くと「メイド イン ジャパン」の商品を 専門に扱っている店らしい。

どうやら今日がオープン当日らしく、大々的にチラシなどを配っていた。

ここで、僕は「しめた!!」と思っていた。

 

僕は日本から、体を洗うのに、牛乳石鹸を持ってきていた。シャワールームで、それで身体も頭も洗い、ついでに洗濯物も一緒に洗っていた。

勿論、シャンプー 石鹸付きの宿もあったが、ドミトリー宿では無い事が多かったからだ。

長旅では、固形石鹸が1個あると、かさ張らないし、かなり便利なのである。

だが、その愛用の石鹸は、旅の間にかなり小さくなってきており、新しく買い足す必要があったのだ。

そこにきて、このメイドインジャパン専門店である!  まさに運命としか言いようがない。

 

店の中に入ると、日本ショップのコンセプトなのか 浴衣風のコスプレ? という格好の、女性と 男性店員が、日本語で元気に挨拶してくれる。

「いら〜シャい! まセ〜〜!!」

店内には、客は僕一人なので、みんなで大歓迎してくれる。

お目当ての石鹸を探すと、牛乳石鹸は無かったが、日本製の花王のホワイトがあった。

(おお! そこまで高くない。よし 買おう。)

と思った僕は それをひとつ取り、レジへと向かった。

「ありガトぅ! ゴザぃマァスっ!!」

レジに向かうだけで 大変な騒ぎだ。。

 

僕は何か楽しくなりつつ、レジで会計を頼むと、

レジでは色白の、とても素敵な妙齢の美人さんが、会計をしてくれた。

着慣れていない浴衣もどきを着ているので、はだけた胸元が チラリと見えそうになる。

僕は目のやり場に困った。。

(ご、ごちそうさまです。。)とうっかり思うが、本当に可愛らしい笑顔で会計してくれるので、

(おい!マサミ! 卑怯だぞ、見るなよ!

 お前は紳士のはずだ!!我慢するんだ!)

と僕は自分にそう強く言い聞かせ、目を逸らした。

僕は目を逸らしながら、胸元を直すジェスチャーをして、

「ビー ケアフル(気をつけて…)」

と言うと、彼女は恥ずかしそうに、浴衣を引き締めた。。

(なんて 可愛らしい女性なんだろう…)

本当に僕は 一目惚れ寸前だった。

(また、彼女に逢いに来よう。。)

と思いながら 外に出ると、開店のお祝いなのだろうか?

綺麗な、真っ白なテーブルクロスを掛けたテーブルが、4つくらい 歩道沿いに並んでいて、そこで 数人が楽しそうにしていた。

純白の布を掛けた椅子などは、大きなワイン色のリボンで おしゃれにデコレーションされていて、まるで結婚式のようだ。

 

若い経営者らしき人物が、友人達とワインを開けて、そこで開店パーティーをしていた。

彼は短髪の、かなり洗練された印象の、骨のありそうな、爽やかなイケメンである。

目が合うと、彼から話しかけてきた。

「どうですか? お店は?」

と聞かれて、石鹸が手に入って助かった旨を伝え 挨拶した後、旅をしている等 少し話すと、彼はニコニコして、

「一緒にお祝いしてくれませんか?

 もう少し、お話もしたいですし。」

と自分の隣の席を引いてくれた。

遠慮するのも何なので、僕は

「そうですか。。ありがとう! では。」

と席に座って注がれたワインで 皆と乾杯した。

 

お互い自己紹介をすると、彼は「ミン」さんという名前で、このショップの経営者だそうだ。

他にも2店舗経営しているらしい。周りにいるのは、経営者仲間の友人や、親戚だという。

 

この開店祝いは、お祭りのような雰囲気で、ミンさんと話している間にも、目の前の道にベンツなどの高級車が止まり、彼の友人や、親戚が降りてくる。

その度に、ミンさんはこの人は、兄だとか、同級生だ。と嬉しそうに紹介してくれる。

ミンさんは、男気のありそうな、柔らかい笑顔の、とても良い男だった。

色々話してる内に、僕が俳優だとわかり、店の衣装についても聞かれた。

僕は日本では、老舗の劇団の研究生だった事もあり、一応着物は自分一人で着れる。

 ちょっと、着崩れが気になるかなぁ。

 あのレジの女性なんか、胸元が危ないので

 気をつけた方が良いですね。

 

 そうなのか、マサミ。

 気をつけないといけないな。

 何でそうなるんだろう?

 

 えーと、ミンさん、

 これは身も蓋も無いかもだけど、

 材質自体が滑りやすいから

 そうなりやすいと思う。

 まぁ、レジの方が、とても綺麗な女性で、

 僕は今日、ラッキーでしたけど。

 ちょっと好きになりそうでしたよ 笑

 

と お調子者の僕が、つい そう冗談で言うと、

ミンさんは笑いながら、

 あのね、マサミ、それはダメだよ。

 彼女はね、僕の奥さんだよ。

と嗜めてきた。

僕は焦ってしまい、

 ええ?? 本当に!?  

 アイムソーリー …But..

 アー、I'm ジェントルメン.  

 because…(何故なら…)

 ちゃんと目を逸らしました!!

とヘンテコな英語で 必死に弁解すると、

ミンさんはそれが可笑しかったらしく、かなり爆笑し、

 オーケー! マサミはジェントルだ 笑

 みんな! このジェントルマンに 乾杯だ!!

とみんなに言い、僕に乾杯してくれた。

 

懐の深い、優しいミンさんに、

(そら、奥さんも惚れるはずだわ…)

と僕は感心していた。

 

その後、40分程いた僕は、他の方とも色々とこれまでの旅の話などもし、酔っ払いすぎる前に お暇することにした。

ミンさんは笑顔で、「是非また来て!マサミ」と言ってくれ、僕は、

「着付けが難しかったら 僕が指導に来ます。」

と約束して、また街を歩き出した。

 

それにしても気持ちのいい人たちだった。

ハノイに来て、いきなりいい思いをさせてもらった僕は、ニコニコしながら、無目的に街を歩き出した。

 

路地に入ったりと、思うがままに行くと、大きな川に出た。

小さな漁船も停泊しており、酔い覚ましも兼ねて、僕は 川から吹く風に身を任せて、しばらくゆったりと佇んでいた。 川を見ながら、

「あーぁ、そっかぁ、人妻だったかぁ。。」

と つい呟いてしまっていたが 笑

 

それにしても、いつ見ても川はいい。

僕は川が大好きだ。

日本でも何かあると川に行っていた。

 

朝 6時開店のカフェで 早朝バイトをしていた時、出勤日を間違えて、うっかり休みの日に行ってしまった時も、そのまま帰るのも何なので、途中下車して多摩川に行き、コーヒー片手に、橋から1時間くらい川を眺めていたり、、

中学生の時、親と喧嘩して、酒は飲めないので、泣きながら 瓶のコーラ を売ってる自販機で瓶コーラを買い、戸塚の地元の柏尾川のプロムナードで、

尾崎豊の歌を呟きながら、怒りに任せ

「バカやろー!!」と叫んで、夜の川に瓶を投げ入れたのは、若気の至りだが いい思い出だ…。

 

川はいつも、人の気持ちを優しく受け止めてくれる。

悠久の時を刻むその存在は、人間の一時の感情など、意にも介さず、ただ流れ、ただ存在してくれているのだ。

 

 川はどこの国でも変わらんなぁ。。

 

酔いも手伝い、哲学的に川を眺めていた僕は、風がさらに強くなってきたので、街の方に戻ることにした。

 

つづく

 

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↑ 本日開店!!

 日本製品専門のショップ

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↑ オーナーのミンさん、皆さんと。



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ハノイを流れる ソンホン川(風強め)

 

 

 

 

 

 

 

 

 

郷に従うと酸っぱいよ、朝。

 

んん?! ここは何処だ??

結構広いシングルルームで目を覚ました僕は、

初めて見る天井を見て、そう思っていた。。

 

 あぁ…  そうだった。。ハノイかぁ。

 そういえば ベトナムに来たんだった。

 

一週間ぶりに、寝起きで違う天井を見ると、一瞬、何処にいるのか 分からなくなるようだ 笑

昨日チェックインしたこの宿は、とあるガイドブックで オススメの宿であり「日本人もよく泊まる」と聞いていた宿である。

宿のレビューも結構高かった。

この宿を、何より素晴らしいと思ったのは、ここでもまた、前回のベトナム旅でしか出逢えなかった、

バスタブ付きの宿 だったからである。

 お お おー! お、お、お風呂に入れる〜♪

僕は、プノンペンの日本風宿の「屋上露天風呂」に入れなかったことも手伝って、バスタブがある事が決め手となり、この宿を予約していた。

結局、カンボジアの遺跡周りの勤続疲労を落とす為に、ここハノイ "セルフ湯治" をする事にしていたのだ。

朝ごはん付きなので、僕は顔を洗ってから2階の部屋からフロントに降りていった。

 

フロントには、明るいこのホテルのオーナーがおり、彼は日本語が少しだけ話せるらしく、

「オハーよー!ゴザイまぁす!」

と日本人の僕に、大きな声で元気に挨拶してくれる。

 

無料の朝食は簡単なもので、パンに、あとはビュッフェ的にウインナーや、ゆで卵が置いてあり、自分で取って食べる。

使った食器は自分で洗って、水切りの食器たてに戻すシステムだった。

硬めのコッペパンの様なものが、主食の様なので、トレイを覗いてみる。

すると、何故か小さな蟻が結構いる。。

 ええ? マジで?! 蟻がたかっとる…

びっくりした僕は、一気に目が覚めた。

 

周りを見渡すと、他の宿泊者の人達は皆、気にせずに、黙々とパンを食べている。。

ベトナムバックパッカー宿は、

 皆、こういうものなのだろうか?

 気にしたら負けなのだろうか…?)

と思った僕は、周りの人たちが あまりにも平然としているので、郷に従い パンを取ることにした。

(まぁ、払いのければ問題無いだろう…)

と思ったのである。

そういえば、子供の頃お世話になった 教会の、優しかったおばさんも、ピクニックに連れて行ってくれた時に、おにぎりに蟻が一匹登ってきた時に、僕が嫌がると、

「あら、アリさんが食べに来るって事は

 それくらい美味しいおにぎりなのよ。」

と僕に優しく諭してくれたことも思い出し、

僕は旅慣れた旅行者然として、あえて騒がずに、黙って食べる事にした。

(俺が何カ国周ってきたと思ってるんだ!?

 ふーん。。全然こんなの気にしませんよ?)

と僕は強がっていたのだ。

インスタントコーヒーを入れ、ウインナーと、ゆで卵、パンを取った僕は、席に座り食べ始めた。パンを一口齧ると、酸っぱい。。気がする。

 …腐ってないよな??

匂い嗅ぐが、問題はなさそうだ。

今度は、中央の割れ目を覗いてみる。

 

するとそこには、先程のアリさん達が数匹、まだ歩き回っていた。。

 こんにちは。 ようこそベトナムへ!

アリ達に挨拶され、僕は戦慄していた。

何故なら、さっき酸っぱかったのは、アリを 一緒に噛み潰していたからだと 気付いたからだ。

(マジで?? もう飲み込んじゃったよ?!)

 

「うわー!!」と叫びたかったが必死に我慢し、再び周りを見てみると、皆平然と食べている。

僕も感覚がおかしくなり、自分が悪い気がして、

(そっか、、中も取らなきゃダメだったんだ)

という謎の境地に至り、パンの中の蟻を必死に取り出した。。が、表だけでなく、少し中にまで食い込んでいる奴もいて、なかなか大変だ。。

やっとの事で蟻を全て取ったぼくは、パンを何度もひっくり返し、確かめてから、何とか食べ切った。

朝から中々の試練だった。

 

一応、フロントの元気印おじさんにこの事を伝えると「ええ? ホントに?!」と焦ってトレイに行き、彼は目に見えている蟻を払いのけ、

「もう大丈夫!」と力強く僕に報告してくれた。

何が大丈夫なのかは、全然わからなかったが…。

 

そんな僕はとりあえず、ハノイの街に出る事にした。

昨日はすぐ近くにある、そこそこ大きい池の周りの公園へ 散歩に行ったくらいだった。

 

街に出ると、ホーチミンと違い、結構雑然としていて、道も狭い。お店もぎゅうぎゅうに営業している感じだ。

しばらく行くと、巨大な建物があり、中は、バザールになっていた。

3階建ての、中央が吹き抜けた巨大なモールだった。入って見ると、かなりの熱気だ。お客も多く、小さなお店の店主達と値段交渉をしている。

一通り三階まで冷やかした僕は、満足して、そこを出た。

 

さらに 歩いていくと、何やら かなり古い煉瓦造りの門があった。いきなり道に出現した感じで、2車線の道を、分断している。

真ん中に2メートルくらいのアーチ状の穴があり、そこからは、バイクだけが、出入りしている。上には国旗が飾られていて、ここだけ急に昔のベトナムの風情が顔を出す。

だが、特別感はなく、ここハノイの街並みや、地元の人達に違和感なく溶け込んでいる。

 不思議な門だなぁ。。風情もあるなぁ。

と引き込まれて、ここが気に入り、僕しばらく近くや遠くから眺めていた。

後で調べて見ると「東河門(ドンハー門)」という、有名な門であるらしかった。

 

街歩きをして見ると、不思議な事に、かなり街はゴミだらけだ。

ホーチミンでは、国家的ゴミ拾い人が、大量にいたのに対し、そのオレンジのツナギの人達は、かなり少ない。

 えーっと、ここは「首都」のはずなんだけど…

と、ベトナムの首都「 ハノイに対するイメージが崩れていく。

 

大通りを歩いても、オレンジツナギの国家公務員の方々は少なく、どうやら 捨てるゴミに国家公務員の数が追いついていないようである。

そして、ホーチミンでは各店に1人いた警備員の数も明らかに少ない。。

一人で2、3店舗見ている印象だった。

ホーチミンより、首都であるはずのハノイの方が、田舎のように感じた。

それでも、中々味のある街ではある。

 

僕は、昨日 空港から来るときに通った 大通りに出て、少し北上してみた。大通りは片側2車線で、車もバイクも多いが、ホーチミン程は 渋滞していない。

大都市同士のはずだが、結構違うものである。

僕はここで、ホーチミンのホテルのジョンが言っていた

ホーチミンが、一番暮らしやすいしね」

という言葉を思い出していた。

たしかに、ここベトナムの首都ハノイと比べると、ホーチミンは より洗練されている印象になる。

 

 何故、首都なのに、こんなにも、

 ホーチミンより、田舎に見えるのかしら?

 

と僕はベトナム政府のお金の使い方に疑問を覚えつつ

(まぁ、こういうの…  別に嫌いじゃないぜ? 笑)

とさらに歩いた。

 

そんな街を歩きながら僕はずっと

 (やっぱりおかしいよなぁ…)

と 朝食時に起きた現象について考えていた。

郷に従うというか、時空の歪みに引き摺られたかのように、蟻パンを食べていたが、二度と食べたく無い自分がいて、これは "旅慣れたから平気なはず" とかいう感覚とは明らかに違うはずだ。。   僕は考えた末…

 やはりおかしいのは、宿にいたアイツらだ!

という結論に至り、あの宿の朝食は二度と食べない事に決めた。

 

急に怒りが込み上げてきた僕は、

 ふざけんな…。 と呟いてから、

(もう食べないと決めたから、別にいいや…)

と前向きに、苦い記憶…というか、酸っぱい記憶とおさらばし、

ハノイの街を スッキリした気持ちで歩き出した。

 

つづく

 

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↑ どこもバザールはすごい熱気だ。

 行くだけでテンションが上がる。


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↑ 東河門(ドンハー門)

 歩いていると いきなり出現する。

 昔の風情を感じられてとても良かった。

 街中にあるので、よく前を通る為、

 その内に 親しみが出てくる。

 

 

 

 

ハノイの空港は夜

 

午後9時50分、順調に飛び 時間通りについた飛行機から、ベトナムの首都 ハノイノイバイ国際空港に僕は降り立った。

 

ついに人生で初再訪の国、ベトナムに戻ってきたのだ。

物価の相場も、どんな感じかも、共産主義かも、右車線かも分かっている国へと帰ってきたのだ。

又、カンボジアベトナムには時差もない。

なので 午後10時頃という、夜遅くの到着でも僕は、全く不安がなかった。

 ふむふむ、ドンドン使うよベトナムドン。

かますくらい 余裕があった。

だが、さすがに夜が遅いのと、初めての土地の為、僕は 空港から宿まではタクシーを使うと決めていた。

先払いの為安心なので、空港内の配車会社のカウンターで、タクシーを頼む事にした。

一番近い会社のカウンターにいる、あまり愛想の無い 女性スタッフに話しかけた。

「この宿まで行きたいのですが

 いくらくらいになりますか?」

Googleマップの宿の位置を見せながら聞いてみる。

「ここだと45万ドンね。」

と言われた僕は

(2250円? た、高いな。。)と思いながら

「少し安くなりませんか?」聞いてみると、

「安くは なりません。

 嫌なら、他を当たってください。」

とはっきり冷たく言われた。

ちょっとその言い方に カチンときた僕は、

「なら 良いです! 他を当たるので。」

と、疲れも手伝って、こちらも不機嫌に 他の会社にする事にした。 余裕をぶっこいていたが、いきなり出鼻を挫かれた。。

そして、宿のチェックインの最終時間も確認しておこうと 旅の記録も書いていたスケジュール帳を開こうとしたが、前掛けの貴重品バックには見当たらない。

 あれ??  な、無いぞ? どこ行った??

と、バックパックのほうも探してみたが、全く出て来ない。

僕は大事な手帳が無くなり、額から脂汗を流しながら、ベンチで 荷物をひっくり返して探してみたが…  影も形もない。

 

落ち着いて 記憶を辿ってみる。

 最後にスケジュール帳を開いたのは…

と考えてみると、それは飛行機に搭乗する直前の空港のベンチだった。

これからの 何となくの予定を考えながら、フライトまでに 色々シュミレーションをしていた。

 …あぁ、たぶん やっちゃったなぁ。

きっと、カンボジアのアンコール空港に忘れてきたのだ。。 そう僕は理解した。

外国なので、忘れ物をしたらまず帰って来ないとは思っていたが、違う国に忘れた物は もう絶望的だろう。。

僕は国を跨いだ "壮大な忘れ物" をしてしまったのだ。

一応 空港のスタッフに聞いてみたが、カンボジアのアンコール空港に直接電話してみてくれと言われた。

携帯のシム契約をしていない僕は、電話する方法も無いのと、ジェスチャーの使えない電話では、自分の英語力では 説明出来ないだろうと確信し、

(諦めるしか無い…泣 )という結論に至った。

 

どうも、少し旅がチグハグだ。。

そういえば飛行機に搭乗する前にも、細身の男性職員に止められていた。

機械を通す荷物検査で、

「刃物があるので見せて。」

と空港職員に止められ、確認された。

バッグには、日本で撮影前に、眉を整えたり、万が一のお鼻の毛のお手入れに使っていた 小さなハサミが、旅でも案外重宝するので 入れてあったのだ。

その 本当に小さなハサミが写ったらしい。

彼はハサミの実物を見るなり、その小ささに少し驚き「大丈夫、戻して良いよ」と笑って通してくれたが、今まで一度も止められた事はなかった。

 

実は、日本で買っていた腕時計も、街歩きの途中、カンボジアで無くしていた。

外してポケットに入れておいたはずだが、いつのまにかどこかで落としてしまったらしく、行った場所や道を、1時間ほど探してみたが、見つからなかった。

横浜のビックカメラで、1500円程で買った CASIOのシンプルな腕時計だ。

防水で、暗いところでもボタンを押せば時間がわかる。

僕は、外国で時間を見るのに、日本にいる時の様に、いちいち携帯で調べていたら、盗難の危険も増えるだろうと、普段はしない腕時計を付けていたのだ。

それも、盗む気が起きない様なデザインの、ようは…「安物」に見える腕時計を買っておいたのだ。

しかし、流石のメイドインジャパンで、時計は全く正確に時を刻んでくれ、日にちや曜日も分かり、僕の旅を大いに助けてくれていた。

 

 …なにか、流れが悪いな。。

 

僕は 時計を無くしたあたりから何となくそう感じていたのだ。

僕は、結構昔から 直感が鋭い。

少し理由を考えてみる事にした。

 …いつからだ?

  いつからおかしいのかな。。

目を瞑って考えてみる…

 

やがて結論が出て、僕は目を開いた。

やはり、3日目の遺跡周りの「タ・ケウ」の祠で、お婆さんに 黄色と赤の糸を、腕に結んでもらってからだろう…

僕はそう結論づけた。

この手首に付けてもらった糸から僕は、何か 強い気の様なものを、少し感じていて、同じ腕に付けているパワーストーンのブレスレットと、なんとなくだが、少しぶつかっている気がしていたのだ。

変な話だが、僕はこういう "感じる事" を大事にしている。

  おばぁさん… ごめんね。。

と呟きながら僕は、この糸の輪を切り、腕から外した。その後、大事に袋に入れて、バックパックの奥にしまった。

すると、腕から感じていた、違和感のようなものはやはり無くなった… ような気がした。

 

その後僕は、他のタクシー会社にも料金を聞いてみたが、

「50万ドンです」というところばかりだった。

交渉してみたが、値引きしてくれて 48万ドンくらいだった。。

(うーん。。 結局、

 最初の会社が一番安かった)

と僕は最初のカウンターに戻る事にした。

もうすぐ23時前になろうとしていたので、僕は少し焦りながらその場所に戻ると、カウンターでは、先刻はいなかった男性職員が 店じまいを始めていた。

 ありゃりゃ。。間に合わなかったか。

と思っていると、彼の後ろを先程の女性スタッフが通って、僕と目が合った。

 すみません、もう終わりですか?

と聞くと彼女は、

(もう…、しょうがないわね。。)

という様なため息を ひとつ付き、わざわざカウンターに座って、僕を呼んでくれた。

 前の料金の45万ドンでいいの?

と聞かれるので「OKです」と伝えると、手続きをしてくれた。

最初に来た時は

(うわぁ。。感じわるぅ〜)と思っていた彼女だったが、着替えを済ませて 帰り支度までしていた所を、僕の為に、わざわざ手続きをしてくれている事に、僕は罪悪感と、同時に感謝を感じていた。

 (全然悪い人じゃなかった。。)

僕は彼女に心で謝り、感謝していた。

 

支払いが終わると、彼女は「着いてきて」と言い、空港の外の駐車場で、送ってくれるドライバーを紹介してくれ、また無愛想に「では」とだけ言って、空港に戻っていった。

彼女は無愛想なだけで、いい人だった。

タクシーに間に合った事より、彼女の不器用な優しさに、なぜか ほっとしている自分がいて、

なんだかんだで、気を張っていたのだと気付かされた。

 

ドライバーさんはというと、細身のおじさんで、彼女とは正反対の満面の笑顔で、

「ハローハロー!!

 ヨロシクヨロシク!!」

と握手してきた。

僕はマレーシアのタクシーのトラウマから、満面の笑顔で、馴れ馴れしく握手をしてくるドライバーに あまり良い印象はない。。

が、ここはベトナムだ。まぁ、大丈夫だろう。と思い、彼の車に乗り込む。

車が走り出すと、彼はよく喋る。英語が微妙なのと、たぶんベトナム語も交えて喋ってくるので、ほとんど言ってる事は分からなかったが

"彼が非常に明るい人だ " という事だけは分かった 笑

疲れているところに、彼のマシンガントークは、正直 結構きつかったが、僕は適当に相槌を打ち、後ろに流れる車窓を眺めていた。

 

ノイバイ国際空港からは、高速の様な道路に乗り、しばらく行くと大きな橋を渡る。

かなり立派な橋であった。暗くてよく見えなかったが、川もだいぶ大きそうだ。

深夜の為か 道は空いていて、片道2車線の、かなり広い 高速道路の様な所をずっと走っているのだが、なかなか市街に入らない。

思ったより長くタクシーに乗っていた。

ホーチミンの時は渋滞していて時間がかかったが、これだけ空いていてここまで時間がかかるとは思わなかった。

たしかに、2000円以上かかるのも無理はない。

やがてタクシーは市内に入り、普通のスピードになるが、結構道は空いている。

 ハノイは、ホーチミン程は

 道は混まないのだろうか?

 それとも深夜だからなのだろうか?

と思っていると、ドライバーさんは ピッタリと僕の宿の目の前に、車をつけてくれた。

ちゃんと腕のあるドライバーさんだ。

かなり疲れていた僕は、全く歩かずに宿に入れる事に感動していた。

先払いの為 支払いはないので、お礼を言って、今度はこちらから握手して別れた。

彼は陽気に挨拶を返し、クラクションを一つ鳴らして、夜の街に消えていった。

 さぁ、いよいよハノイだ。

と思うが、まずは一息つきたかった僕は、早速ハノイで初めての宿に入り、フロントの男性に声をかけた。

 

つづく

 

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↑ 夜のノイバイ国際空港

 やはり、空港へ直接降りて歩く。

 

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↑ CASIOの旅用腕時計

 安いし、重宝するので

 次に海外に行く時に同じものを買い直した。

 

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↑ 東南アジア同士だと

 国際線のチケットも安い!

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

僕が見た シェムリアップとカンボジア

 

乾いた赤土の大地

それが僕のカンボジアの印象でもある。

 

シェムリアップは、自然に囲まれた、田舎の観光地という印象だ。

遺跡だけではなく、カンボジアの田舎も堪能できるので、のんびりしてて僕は好きだ。

だが、観光地でもあるので、バーや、レストラン、バザール、サーカスなども色々あり、本当の田舎とは違い、遊ぶところは結構ある。

 

市街は、通りはアスファルトの道が多く、お店や、家屋などが密集しているが、シェムリアップ国際空港や、郊外の遺跡に向かうと、道中に見るものは、たまに道端に建っている平屋の民家か、他は畑か、野原である。

後はひたすらカンボジアの赤土の大地と、向こう側に見えるあまり高くはない山々、そして晴れ渡る空。遮るものが無いので、道の向こうに空が良く見える。

カンボジアの移動方法は、未だにトゥクトゥクが主流である。

トゥクトゥクいえばタイのイメージがあるが、実際、今はタイでは(特にバンコクは)タクシーが殆どで、トゥクトゥクはもう 浅草の人力車的な観光用の需要がある程度だ。

なのでトゥクトゥクが大好きな方は、カンボジアがオススメです! 笑

 

意外とカンボジアは、ご飯も、お店も色々あり、ちゃんと選べばかなり美味しいし、ビールも安い!

宿も、僕が泊まった宿は清潔で広いシングルルームで、シャワートイレ付きで、一泊千円程度で、かなり安かった。

一番お金を使わずにのんびりできる国でもある。ベトナムも食事やビールが同じくらい安いのだが、宿だけは、カンボジアの倍くらいの相場だからだ。

そして何より自国通貨がメインでなく、米ドルが支払いのメイン通貨として流通している不思議な国でもある。

なので、日本円だといくら? という計算も簡単に出来る。

 

唯一不安なのが 治安だが、僕が行ったところでは、夜でも、不用意に路地に入らず、気を付けていれば、そこまで危なく無い。という印象であった。

だが、ひったくりや、トゥクトゥクのボッタクリ、強盗などの話をよく聞き、特に夜は、僕の行った他の国に比べると明らかに雰囲気は違う。

社会情勢がまだ不安定の国の為、お金で色々解決できてしまうのも原因の一つだろう。

拳銃も「お金を出せばすぐ手に入る」

と聞いていたし、何か警察沙汰になっても、

お金か、街の有力者(市長や、町長等)にコネあればすぐに解決できるとも聞いた。

何にせよ、まだまだ荒削りな国なのだが、そこがまた魅力でもあるのだ。

 

そして、シェムリアップの遺跡群はカンボジアを代表する、いや、世界に冠する観光地である。

アンコール・ワットを始めとする遺跡は、各場所に点在し、その大きさも、形も様々だ。

本当に東西南北すべての遺跡を周ろうとすると、たぶん一週間以上はかかると思う。
もしかしたら、それでも周り切れないかもしれない。

シェムリアップに来てみて、一番驚いたのは、その遺跡たちの多さである。


そして、炎天下でそれらを周るのは結構大変だ。

一か月間、アジア三か国を歩き倒した僕ですら、途中で体力の限界を感じた。
一週間休みなく、みっちりと遺跡を周る。。
もしそのスケジュールで動くことを考えてみると、実際に三日しか周ってない僕でも、かなりゾッとする日程だ 笑
なので、遺跡周りは余裕をもってスケジュールを組むことがお勧めです。
遺跡周り 休み 遺跡周り 休み 遺跡周り
と言うような日程が理想だと思う。
あと " 絶対に" 自転車で周ろう となど、しないで頂きたい。
これはその悲劇を目撃した僕からのお願いだ 笑

大変だが、遺跡周りはかなり楽しい、最初はすべて同じように見える遺跡も、周ってるうちに、個性と言うか、違いが分かるようになってくる。
そして、「いいな」と思った遺跡はじっくり周ればいいし、「なんかなぁ…」と思った遺跡は一通り見たら すぐに出ればいい。
そういった遺跡の周り方は、美術館で絵を見て周るのに似ていると思う。

少なくとも僕は、その周り方で充分楽しめた。

 

そして、なんといっても、シェムリアップの子供たちが、とても可愛くて 美しかった。

ご縁があって、僕は日本では、お芝居を子供達に教えたり、一緒に共演する事もある。

そのやりとりも、とても好きだし、子供達といると とても良い刺激を貰えたり、感動したりする。

だが、カンボジアの子供達の笑顔は、それとは少し違う、正に「天使たち」とも言うべくような、本当に無邪気な笑顔である。

 

 何故だろう? と考えてみた。

 

これは僕の勝手な考察だが、日本の子供達は、優しいと言うか、良くも悪くも空気を読まないといけない所が、強制されている気がする。

どこか傷つかないように傷付けないように、

「完全に無防備ではいられないから」な気がする。

僕も経験があるのだが、本当に無防備でいると、早いうちに出る杭のように打たれて矯正される。。

たぶん、そのせいで処世術のようなものが、子供ながらに、少し身についてしまう。。だがそれは自分や、他人を守る為の優しさや、防御なのだろう。

これはきっと、僕ら日本の 大人の責任でもあると思う。

 

カンボジアの子供達は、逆に とことん無防備な気がする。

「傷付けられる事など一切無い」と 信じているようなところがある様に見えるのだ。

僕は、どっちが良い とか言っているのでは無い。ただ、カンボジアの子供達からしか受けない感動が 確かにあるのである。

勿論、日本では、日本の子供達からしか貰えない感動もある。それも素晴らしいものだ。

これは僕の主観で、僕が感じて考えた事なので、本当にそうなのかはわからないが、僕は確かに現地でそう感じたのだ。

 

また、シェムリアップでは、プノンペンで見かけなかった、お年寄りの方との交流もあったり、現地の人とも少し交流がもてた。

彼らは素朴で、柔らかい明るさを持っていて、笑顔がとにかく素敵だった。

 

色々なものを見て、人と交わり、僕は カンボジアをどんどん好きになっていった。

 

「またいってみたい国は?」

とよく聞かれるが、

 

「他も色々また行きたいけど、

 やっぱり、カンボジアかなぁ。。」

と答える自分がいる。

 

そんな魅力的な国を出て僕は、いよいよ初めて再入国するベトナムへと旅立つ事になる。

ベトナムでは、何が待ち受けているのか?

楽しみでしかない自分がいた。

 

そして旅はつづく

 


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シェムリアップ 遺跡コレクション