第173話
タイ猫を愛でる。
バスは山道を順調に進み。
ほぼ定刻通りにチェンライのバスセンターらしきところに着いた。
「らしき」というのは、コンクリ舗装されていない、下が土の広場に着いたからである。
バスが並んでなければ、子供達がサッカーでもやってそうな「原っぱ」である。
そして、無事にバスセンターについたは良いが、順調すぎて僕は少し拍子抜けしていた。
東南アジアはタイの、最北東の、田舎のチェンライに行くので、実はかなり険しい道を覚悟していたのだ。
山道は片道しかなく、崖ギリギリをガードレール無しで、バスとバスがすれ違う。。とか。
土の道に入り、そこでぬかるみにハマって、みんなでバスを押す。そして、みな額に汗と泥をつけながら、汗だくになり、バスは一体感に包まれて、俺たちは戦友として、やっとチェンライに辿り着いたのだ。。と。
などという事を少し期待していたのだが… 残念ながらそこは先進国タイであった。
コンクリートできちんと舗装され、ガードレールもしっかりある、アスファルトの道路が、チェンライ市街に入るまで、キチンと続いていた。
途中、多めのカーブで車に酔ったくらいで、山道は全く問題は無かった。
街に入ると道幅も大きくなり、片側2車線の、きちんとした国道であった。
はっきり言おう。。恥ずかしながら、まだ私はタイを舐めていたのだ。
まぁ、少し残念だったが、何はともあれ無事に着いたので、予約してある宿を探す事にした。
実は、出発前のチェンマイのバスターミナルで、意外とバスの待ち時間があった僕は、近くの綺麗なモールに入り、すき家を見つけ、そこで牛丼で腹ごしらえをし、ついでにモールのWi-Fiで宿を見つけておいたのだ。
いつもの検索方法で、予算と宿の評価で絞り込み、これまた300バーツ(1000円程度)
のドミトリー宿を見つけていた。
写真ではかなり綺麗な宿だったので、期待大である。気持ちチェンマイの最高の宿、マイクん家に何となく既視感がある宿であった。
皆に続いて降り、そのバスターミナルから相棒のザックの「グレゴリーちゃん」を肩がけにして歩き出す。
右に曲がり、しばらく進んだところで、僕の宿のあるはずの通りへ、これまた右折しようとした時、、その角のガラス張りの店を見て、僕の足はピタリと止まってしまった。。
なんと!!
大きなガラス越しに、猫ちゃんが大量にいたのだ。
な… なん。。なんだ?
こ、この、猫桃源郷は?
私は冷静さを失っていた。
よくみると、置き机があり、人間どもは皆、地べたに座り、ドリンクを嗜んでいる。
ほ、ほほう。。ここはカフェぇ
つまり猫カフェですな。。
…うふふふふ
まさかここに来て、
まさかのタイ猫カフェとな😼
ねこねこにゃんにゃん。
にゃにゃにゃにゃーわーーーー!!
わーわー!!
つまり、わたくしの脳はバグっていました。
一人旅が長かった私は、余程、猫の体温に癒されたくてしょうがなかったのでしょう。。
涎を垂らしかねない顔で中を覗き込んでいると、金髪を三つ編みにした、綺麗な白人女性と、窓越しに目があった。
彼女は、目が合うとサッと目を逸らし、また僕を見たかと思うと
「何見てるのよ?!」
とばかりに不審な目で僕を見つめてきた。
ち、違んうんです!!
僕は猫を。ただ猫さんを。。そりゃ
少し、あなたを美しいなとも思いましたが…
ねこ、おもには猫、ネコなんですよ!!
そう言い訳したかったが、防音であろうガラス越しなので、なす術がない。
そして、猫目当てであろうが、ここで中に入ろうものなら、彼女にさらに不審な目で見られる事は明白である。
本当は「猫浴び」をしてから宿に行きたかったのだが、僕は泣く泣くそこを離れ、宿に先に行き、出直す事になったのだ。
後ろ髪をひかれながら宿を目指すと、猫カフェを右折した先に宿らしき表記があった。
片側一車線の綺麗な目抜き通りらしい道になっており、向かい合うように、3、4階建てのビルや、二階建ての鉄筋の建物がびっしりと並んでいた。
まるで日本の、池上通りの商店街のようである。
宿の一階はこういう宿にありがちな、カフェ兼フロントになっており、扉を全開にしたそこは、ガレージのように開放的だ。
フロントに中華系の、細身のタイの若者がいて、僕を迎えてくれた。
宿は予約サイトの写真のとおり清潔で、新しかった。
フロントの細身のタイ人は、20代前半だろうか?
気の良さそうな若者でニコニコしている。
そして、何故か初めて会った気がしない。
支払いを済ますと、彼は2階のドミトリーに案内してくれ、色々と丁寧に教えてくれた。
ベッドもしっかりとした作りで綺麗で、寝心地も良さそうだ。例の如くきちんとカーテンも完備され、プライバシーも大丈夫そうだ。
僕が日本人である事をとても喜んでいて、
「ヨロシクオネガイシマス。うれしい。」
と日本語で挨拶もしてくれた。
聞くと、日本に1、2ヶ月間いたことがあるらしい。
WWOOF(ウーフ)という農業ボランティア制度を利用して、日本に滞在していたという。
これは、繁忙期の農作業を手伝う代わりに、宿の世話と、食事だけ出してもらえるらしい。
その他は全て自腹だという。
ベトナムのホーチミンで会った岡林さんは、「技能実習生」を探しにきていたが、これとは違い、金銭のやり取りなどは発生せず、あくまで農業を手伝うボランティアをする代わりに
"宿と食事だけ提供 "という形で、気軽に日本に行ってみたい若者には、嬉しいシステムのようだった。
そして、他人な気がしない理由も話していて気付いた。私の日本での俳優仲間と顔がそっくりだったからだ。
世界には似ている人間が数人はいるらしいが、ここタイにもキチンといたのだ 笑
人相で人を見る僕としては、
「きっといい奴に違いない。」
と、日本の彼を思い出し、逆に安心する顔であった。
案内された2階のベッドへ荷物を置き、一緒にフロントに降りた、友人にそっくりな店主と、情報収集を兼ねて色々と話すことにした。
そこで、夕日スポットや、上記したWWoofの情報などを聞き、時間がたった。
そして、上手い事時間を潰した僕は、満を侍して出かける事にした。
そう!
あの猫カフェに行くことにしたのだ。
(あれからたっぷり40分は経っているから
あの女性も帰っているに違いない…!)
意外と計算高い私は、なんとしてもあの猫カフェで、チェンライに無事着いたお祝いをしたかったのだ。。もちろん!ビールで!!
ふふふ。。あんな事があっても、
抜け目のない僕は、しっかりと、
めにゅーは、確認済みなんやで?!
なんと、あの猫カフェは、食事もできるし、ビールも飲めるのだ!!!
猫様至上主義の日本の猫カフェでは、病気やストレスから猫を守るためにしっかりとしたシステムが確立されている。
そのため、アルコールや、食事は厳禁である!
だが、ここタイは、人間のおおらかさと、猫さんの強さを信じて、普通に飲み食いが出来、猫さんとも戯れられる。。桃源郷、、いや、桃源猫(とうげんびょう)なのである。
さ流石だ!! 凄いぞタイランド!!!
猫カフェを覗くと、狙い通り、先ほどの席にはもう彼女はいなかった!!
僕は早速粥のような旨そうなご飯と、瓶のチャンビアーを頼み、猫たちの中へと分け入っていったのだ。。
ビールと猫さん。
はぁぁあああ! 癒される。
にゃーん。
つづく。

↑ 全ての移動の起点となる目印 時計台





↑ チェンライのネコ様たち❤️

↑ 猫カフェというより、猫BAR🥳






































































