猫好き俳優 東正実の またたび☆

俳優 東正実の東南アジア旅

さらば魔窟よ さらばKL

 

第16話

さらば魔窟よ さらばKL

 

ついに魔窟からの脱出の時がやってきた。

 

結局日本人には1人も出会えなかった。。が

なんだかんだ言って生まれて初めてのドミトリー。

色々な人に会い結構思い入れはある。

だが 此処にこのままいたら ダークサイドに落ち、沈没しかねない。。

 

昨日はアロー通りでビールを飲み

そのあとさらに通りの奥に進んでみた。

急にお洒落なバーエリアになり、日本人らしい人たちも上品に夜を楽しんでいた。

23時くらいまでOKな 長すぎるハッピーアワーのあるバーでビールを飲みながら

一昨日 国立モスクで貰った

日本語のしおりを改めて読む。

 

 "本当に人間は、喪失の中にいる"

 

その夜なぜかその言葉は僕に深く沁み込んだ。

 

そして出発の日

時間ギリギリでチェックアウトしKLセントラル駅に向かう。

ここのスタッフさんは、本当に親切だった。

心から サンキュー! と気持ちよく出発する。

出掛けにペンギンさんが 挨拶してくれた。

勿論左手にトイレットペーパーを持ちながら。

もう結構この人の事が好きになっていた 笑

 

LRTでKLセントラル駅に着き

例の ”謎の待合” で自信満々に待ち

やがて駅スタッフに付いてホームに行く

車内に乗り込み、チケットにある自分の席に着く。

完璧な流れである!!

そして、、物凄い綺麗な電車である。

トイレまでついている。

ゆったりとした席も最高である。

 

電車は動き出し、、

 

やがてすぐにクアラルンプール駅に停まった。

 あれ?クアラルンプール駅停まるんだ。。

 宿から歩いてここから乗れば良かったのでは?

と思ったが 

もう無事に電車乗れたからそれで良いや!と

僕はお菓子を食べ始めた。マレーシアには、セブンイレブンがいっぱいあるので、そこで買っておいたお菓子だ。

 

しばらくすると寒くて仕方がなくなった。。

マレーシアはどこでも  ”親の仇のように”  冷房をマックスで効かせるのだ。

宿でも駅でも車内でも、おかげで寒くて仕方がない。。

僕は急な雨や、山に行った時ように買っておいた薄手のジャンパーをバックパックから引っ張り出し、膝にはTシャツをかけていたがまだ寒かった。

 

景色は、ほぼプラントのような森が続く。

民家がちらほら見えてきたなと思ったら

やがて駅に着く。

それを繰り返して進んでいく。

 

途中2つか、3つ日本のイオンがあったのが、驚きだった!

 なかでも、一つは ”茶色の切り立った崖の下” に建っていて すごい立地だった。

崖崩れがあったらどうするんだろう?

と心配になった

 

飲茶が美味しい!と評判のプーリー駅も過ぎ

だいたい4時間きっちりで

「もうすぐバタワース駅」

とアナウンスがあった。

 

トイレに行っておこうかと思ったら

結構混んでいた。

みんな、急にトイレに行きたくなったらしい。

 駅に着いたら行こう と我慢する。

やがて、電車はバタワース駅に到着した。

僕は やっと着いたという感動より、トイレを探した。

 

駅の改札を出て すぐ横のトイレに行こうとすると  "有料"  と書いてあって

入り口のおばさんにお金を払うシステムだった。

 

マレーシアでは、有料のトイレが多いのだが、

都会のクアラルンプールでは有料トイレは、ほぼ無かったので

 ええー、お金かかるのかよー。

と、たかだか20円くらいだが、お金を払うのが悔しくなった。

(だからみんな到着直前に電車でトイレに行っていたのだな。。)

と気付くが後の祭りだった。

 

どこかにトイレくらいあるだろうと賭けに出た僕は、とにかくフェリー乗り場に行くことにした。

フェリーは50円くらいだったと思う。

とにかく安い。

地元の人の足になっている為だろう。

 

気になったのは、軍人さんが多かった事だ。

初めて見るマレーシア軍の人が、フェリー乗り場の途中やフェリーの改札にも何故だかいて少し怖かった。

 

マレーシアの小銭を入れて、カチカチカチと

遊園地にある入り口のような、逆流できない鉄の棒が回転する回転扉の改札である。

 

生憎 細かいお金がなかったので、どうしたら良いのか聞くと、すぐ手前の死角に、両替窓口があった。

ここも軍人さんが両替してくれる。

両替機などというものは無いらしい。

 

ようやくフェリー乗り場につきフェリーを待つこととなるが

トイレは道中なかった。。

 

老人や、女性(妊婦さんは)優先的に先に入れる列と、他の一般客用の二つの列があり

ようやくフェリーが来て、乗り込む。

 

船内を探してみると、前と後ろに、小さなトイレがついている!!

少し汚かったが僕は

やっぱり無料のトイレがあった!という思いと

ようやく用を足せるので、至福の顔をしていた

バイクや車が乗り込んで、ようやくフェリーは出発した。

 

フェリーには小さな売店があったので、マレーシア特有のスポーツドリンク「100」を買って飲みながら、景色を眺める。

 

最高の風と、海だ!

 

僕はやはり沢木ストとして

「 nice breeze..」 と呟いた。 

僕が呟ける数少ない英語だ  笑

 

左手に大きな橋が見えた。

マレーシア本島のバタワースと

ペナン島を結ぶ長い橋が開通していた。

物凄い長い橋である。

 

15分くらいで憧れのペナンに着くらしい。

深夜特急」でも有名なペナン島

作中では、船乗りや旅人も皆 

「イエス!ペナン!!」 と言う!

 

KLで仲良くなった中華系のマレーシア人のアランも

「KLは2日で十分。やっぱりピネンが一番だ」と教えてくれた。

 

マレーシアの人は ”ピネン” と呼ぶ

アランはヨーロッパやアジア、日本にも旅したことがあり、少し日本語が話せた。

そんな彼も 「やはりピネンだ!!」

と言っていた。

 

沢木氏の旅から何十年も経っているのに。。 

やはり YES Penang!!  なのだ!

 

フェリーはゆったりと進み。

やがて進行方向に街並みが見えてきた。

 

これが僕が憧れ続けた「深夜特急」の舞台

ペナン島なのだ!と。

僕の心は旅と物語の中に溶け込んでいった。。

 

続く

 

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↑ フェリー内部

 

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↑長すぎる橋

 

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ペナン島


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↑国立モスクのしおり

 

 

次話

azumamasami.hatenablog.com

 

 

 

 

 

 

僕の見た クアラルンプール

 

第15話

僕の見た クアラルンプール

 

最初に見た外国の情景は強烈である。

 

僕にとって、マレーシアで印象に残っている風景は

”茶灰色の泥の河” である。

それは、列車の中からも飛行機の窓から見ても
ずっとそうだった。

 

首都 クアラルンプールは Kuala Lumpur と書き

”泥の交わるところ” という意味なのも納得で

実際にクアラルンプールで見た川も
落ちたらまず助からないな…  という泥色だった。

面白かったのは、その泥の河から ”ほぼ入れ食い状態”で
上半身裸で釣りをしている人がいっぱいいた事だ。
(釣れていたのは結構大きな、白身魚だろうという魚だった)

橋の下や その近辺で住んでいる人たちに見受けられたが
真相は分からない。

 

クアラルンプールは大都会だった!!

とにかく高層ビルだらけ!建設バブル真っ盛りで、僕らの年代が体験していない

  バブル期だった!

実際知り合った中華系のマレーシアン達は

不動産関係で ”稼ぎまくっている” らしく

 

米軍キャンプのような囲いの中の

身分証を見せなければ入れない警備員付きの

ものすごい豪邸に住んでいたり。

皆 ブイブイ 言わせていた。

 

建築法もきっと日本みたいに厳格ではないのだろう

3つの高層ビルが並んでいると

ビルの間には通れる通路はなく 間を通れないので

ビルの向こう側の道へ行くのに

ビルを2つか3つ、ぐるーっと、廻って行かねばならず

10分以上かかることもある。

 

この間まで大通りから見えていたビルも

その前にさらにドーンと!新しい高層ビルが建って

  ん…? あれ?

       あのビル無くなった?? 

と思わされる事もあるらしい。

 

そして、ほぼみんなが最低限の英語が話せるので、教育水準も非常に高いと思う。

アジアを旅するなら、英語がほとんどの場所で通じるマレーシアは、英語が義務教育の日本人には、旅がしやすい国であると思う。

事実、マレーシアは、外国の人に優遇しているので、ここで暮らす日本人、余生をマレーシアで過ごす年配の方も多いらしい。

 

物価も安い。

お酒だけは、お酒が禁止のイスラム教の国家なので、税金が高く、日本と同じか、場合によっては日本より高い。

 

僕がすぐ覚えた英語の一つがexpensiveだった。

バックパッカーは、とにかくお酒について、expensive!expensive!(高い!高い!)

と言っていた 笑

 

そしてKLで気をつけなければいけないのが

タクシーだと教わった。

パスポートを盗まれたり、強盗にあったり、ボッタクられたりが多いらしい。

特にたとえホテルからでも

「ミスター! ミスター!」

と急に声をかけてきて

握手をしてくるような運転手は要注意だ !

(明らかに人相が悪い 笑)

 

運転手にも縄張りがあるらしく

ホテル専属らしい運転手たちに囲まれ凄まれ

犬でも追っ払うかのように シッシッ!! と追い払われていた。

追い払った運転手があとで親切に車内で

 

「あいつはタチが悪いんだ!

 すぐパスポートを盗むし!

 お金もちょろまかす!

 乗らなくて正解だ!

 ああいう輩のせいで

 俺たちまで評判が下がる!!」

 

と親切にまくし立てていたが。

どっこいこの運転手も目的地にたどり着けずに

挙句に

「もう他のお客を乗せたいから降りてくれ!

 迷って時間がかかったから

 割増料金がいる!」

 

と言い出し、友人のマレーシアンと大喧嘩になった 笑

 

こういったトラブルを避ける為 アメリカで生まれたのが、いま日本ではイーツで有名な ”Uber” らしい。

 

ウーバーだと会社に登録しているので足がつくし、星によるドライバーへの口コミもある。(ただ、素人が小遣い稼ぎでやってる場合も多い)

場所を入力し 計算してくれ

クレジットで ”先払い” なのでトラブルが少ない

 

だからクアラルンプールでタクシーに乗るときは「Uber」か 

シンガポール生まれの「Grab

のどちらかで頼むのが確実らしい。

東南アジアでは「Grab」を多く見かける

バイクタクシーもある。

 


聞いたところによると
マレーシアは大きく分けて三つの民族から成り立っている

 

もともと住んでいたムスリム(イスラム教徒)の
 ・マレー系と呼ばれるマレーシア人

 

 ・印僑のインド系マレーシア人

 

 ・華僑の中華系マレーシア人


その為 町には
モスク ヒンドゥー教寺院 関帝廟 
の三つが混在している。

 

あまり見たことのない状態である

世界的にもだいぶ珍しいのではないだろうか

 

ちなみに 
観光地のバトゥ・ケイブは 隠れヒンドゥー
秘密裏に信仰を続けていた 巨大洞窟だし。

 

参加者がトランス状態になる為

”危険すぎる”

本場インドでも禁止されているヒンドゥー教

  秘祭 ”タイプーサム”

が、ここマレーシアのペナン島では

未だに世界最大規模で行われている。

 

マレー半島の南の端の国 シンガポールなどは
中華系のマレーシア人が独立して作った国である。

 

もともと住んでいたマレー系の人たちに
他の民族は 遠慮してきたのではないかと思うところが、結構あった。

 

わかりやすいのがお酒事情だ

この国は元々のマレー系の、基本的には

  ”ムスリム国家” なので

イスラム教で禁止されているお酒類

よっぽどの観光地
(例えばブキビンタンのアロー通り マラッカ ランカウイ島やペナン島)
などでなければ大っぴらに飲めない

レストランも、スーパーも、コンビニでさえ
マレー系の人がやっているお店では

絶対お酒は扱っていないし

中華系のレストランも
お店が外としっかり区切られていないと
お酒を扱っていない

ビール片手に散歩なんてのは ”もっての他だ”


また
友達の中華系のマレーシアンは
外でも家でも 食事の時はお酒は飲まない
家に帰って お酒だけ飲むのである

日本みたいに
お酒と食事はセットになっていない。

これは僕の考えだが

長い間マレー系の人たちに遠慮して
(時に血なまぐさいことになるのを避ける為に)
中華系の人達には
こうした 人目につかないところだけで呑む習慣が定着しているのではないかと思っている。

 

それと 観光地政策の結果 ”外国人の飲酒” により、この国のマレー系の人達は
徐々にムスリム以外の飲酒に
寛容になってきたのではないだろうか?

僕が勝手に感じた事だが
マレー系の人は元々南国気質なのか
あまり経済活動(つまりお金儲け)が得意ではない印象である。

中華系の人が経済を回して お金を儲けまくっている印象だった。

 

マレーシアではマレー系の人の為の経済優遇政策が法律で通ったという話も聞いた。

 

僕はそんなに現地では感じなかったが

この三つの民族の子供たちが握手をする
融和啓蒙のCMをわざわざ政府が流していたとも聞いたので

実際は 相当仲が悪いのかもしれない。。

 

僕の印象は三つの民族は

 

 棲み分けが出来ていて
 あまり他の民族とは関わらない

 

という感じだ


そして
マレーシアのイメージは? と聞かれて思い浮かぶのは

とにかく暑い国! である。


赤道直下なので
地図を見ただけでも 暑く 感じる!

モーレツな暑がりで 汗っかきな私には

暑すぎる国 マレーシア と記憶され
戻ってこようとは しばらく思えなかった

 

ベトナムに着いたときなどは 

 「暑いが全然まし!天国や!!」

 と思ったくらいだった。

 

二年後に再びマレーシアを訪れたが、不思議なことにそこまで ”暑い”とは感じなくなっていた。

初めての体験した熱帯の東南アジアの国の為、余計 "暑い国" だと記憶されていたようだ。

 

 

 

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↑ KLタワーから


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↑ 人生初めて行った”青いモスク”


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↑ アロー通りの行きつけの店


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↑ @hotel 滞在中  いつも洗濯していたコインランドリー


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↑ 夜のペトロナスツインタワー

 

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↑ 国立モスク


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↑ パサール・セニ チャイナタウン


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↑ バトゥ・ケイブ


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↑  秘祭タイプーサム

 

 

次話

azumamasami.hatenablog.com

 

 

 

 

 

 

 

 

 

旅の連鎖

 

第14話

旅の連鎖


ついにペナンへ


僕はペナン島に行くことにした。
魔窟はあと一泊予約していたが、キャンセルし旅立つことにしたのだ。


Booking.comで予約していた為、宿のスタッフにそちらでキャンセルをしてくれないと返金できないと言われたので

アプリを開いてキャンセルしようとしたが、

Booking .com 。。。

何やらキャンセルに関する規約が脅しのように色々書いてある。。

 

「もう予約できなくなりますよ?安易にすると!?」と読めた。。

 

ビビった僕は
じゃあ、返さなくていいので明日出ますと伝えた。


どうせ600円弱だし。。安すぎて笑えるなぁとその時改めて感じた。どんな宿に泊まってるんやワシ?と。

 

調べてみるとペナン島へ行くには

飛行機とバスと電車がある。

飛行機に乗ることをまだ ”大ごと” に感じていた僕は電車で行くことにした。


僕は国内でもそうなのだが、あまりバスが好きではない。

子供の時車酔いをするたちだったのも影響していると思うが

何故かやっぱり電車が落ち着くのだ。

 

電車はKLセントラル駅からペナン島近くのバタワース駅まで ”特急” が出ているらしく
価格も2000円くらいで4時間で着くという!!


なんでも、昨年くらいにできた新型で、車両も綺麗で快適らしい。


チケットはネットでも買えるらしいが、英語表記の画面で買わなければいけないらしい

ATMの画面の単語すら良く分からない僕は断念した。

 

とにかく駅に着けばチケットは買えるのだ!僕は当日に買うのは怖い人なので

さっそくこの午前中にチケットを買いに行くことにした。

どうせ時間は無限にある。


 ”今日は特急のチケットを買うだけの日”

 

と決めた。


KLセントラル行きはバスだと難しそうだったので、LRT(高架上を走る電車)で向かった。


駅に着き窓口のスタッフに聞くと

上のチケットオフィスで買ってくれと言われる。

 

二階に行き見つけた駅の女性スタッフに

  バタワースに行きたいのだが

と伝えると

すぐ横の 待合所のような ベンチもあり 地べたにもゴザのようなものを引いて待っている人たちがいるエリアで待つように言われた。

 おや?っと思ったが

ここで待っていたらチケットを売りに来るか、順番に案内されるシステムなのかな?

と思いベンチに座って待つことにした。


周りはマレーシア人ばかりである。

Wifiが繋がったので、いろいろ調べたり、ペナン島Googleマップでオフラインでも使えるように、マップをダウンロードしたりしていた。

(maps'meが地図をあらかじめダウンロードしてオフラインで使えるのであれば

Googleマップでも同じ事ができないか?と色々いじってみると、実は地図をあらかじめダウンロード出来! maps'meと同じ使い方ができる事に気付いたのであった!!)

 

そしてどうやら、僕の憧れの

深夜特急」で沢木氏も乗った例のフェリーはまだ健在のようだ。


僕が乗ってみたいアジアのフェリーは

このペナン行きのフェリーと

香港島のスターフェリーだったので、夢が一つかなうことになる!!


色々やってるうちに人はどんどん増えてくる。


皆静かに疑問を持たずに待っているので、僕も黙って待っていたが  少し疑問に思った。

無秩序に皆いるが どういう順番でチケットが買えるのだろうか?


いつの間にか、ゆうに40分はたっている。

  "何かがおかしい"

僕はさっきの女性スタッフに、もう一度話しかけてみた。


 ここで本当にあってるのか??

 明日の特急のチケットを僕は買いたいんだ。

 

 ここでいいって言ったでしょ?!

 ここで待ってて!

と忙しそうに軽くいなされた。


それからまた元のベンチに戻ったが、”空港のベンチ休憩”とは違い

自発的ではないうえに、明らかにここにいてはチケットが買えない気がする。
  

おかしい?何かが絶対おかしい…?

と不安に思いながらさらに20分待った。。


言葉が通じない国で、

 あれ?これ違うんじゃない?

 あれ?でも聞きずらいな。
 ここでいいって言ってるけど、、

 絶対違うよね?!


と思って過ごすのは実は精神的にかなり堪える。。


その時スタッフが皆に並ぶように 指示しだした。

 

僕も列に並ぼうとしたが前の人が

明らかにチケットらしきものを持っているのを発見した。


  ええ?もうチケットもっとるやん?


これはもう絶対違う!!と思った僕はスタッフに再度話しかけた。


すると面倒臭そうに 「ここに並べ」 と再度言われた


すぐに会話を打ち切ろうとするスタッフに、さすがに僕は粘って話しかけ続けた!


 アイうォんとゥ チケット トモロウ!

 だからぁ!トモロウチケット!!


それを繰り返すと、どうやらやっと間違いに気付いたらしく、
”ヤベっ” という顔をしてから

「チケットオフィスは向こう側にあるわ」

と教えてくれた。


言われた方に行くと明らかな

"チケット売り場" があった。。


これは  僕の英語力にも問題があるのだが

マレーシアのスタッフの人は

何かやる気がなくサービスに関して無頓着な人がたまにいる。

仕事中  ずっと携帯をいじってる人に多い。
人の話もあんまり聞かないタイプのひとが結構いたりするのだ。

 

ひょっとしたら 英語があんまり得意じゃなったり、外国人が苦手だったりするのかもしれない。。 だが、マジで態度は悪い。。笑

 

1時間も、カウンターも窓口もないところで待っていた僕も僕だが。。

 

けれど実は、最初に空港で窓口の職員にあらぬ疑いをかけてしまった後ろめたさがここで出て、”とりあえず信じよう” となってしまったのである。

まさに旅は繋がっていていて、思考も経験によって連鎖しているのである。

 

チケットオフィスのスタッフはとても愛想がよく、いろいろ親切に教えてくれた。

僕が「さっき、あっちで並べと言われた。」というと

あれは僕が乗る特急の待合所で、あそこから、係員がホームの電車まで、お客を引率していくという”謎のマレーシア特急システム”であることを教えてくれた。

なにはともあれ、明日の乗りたい時間のチケットは無事買えたのだ。

さらに、待つ場所まで実地で分かって、並ぶ予行演習までできたのだから、

明日は安心!あんしん!!はっはっはっは!!

とポジティブな僕は、いつも通りブキビンタンのアロー通りに、ビールを飲みに行くことにした。

KL最後の夜を満喫しても大丈夫なように、特急の出発時間は昼過ぎにしていた。

お酒を飲むことに関しては抜かりのない僕だった。

 

続く

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↑KLセントラル駅

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↑チャイナタウン

 

 

次話

azumamasami.hatenablog.com

 

 

 

 

 

 

 

 

僕と旅と神様

 

第13話

僕と旅と神様

 

僕の旅のスタイルは、基本その街に最低3泊4日はし、ゆっくりその街を見ながら移動するものだった。

 

"行きたいなぁ" と思っている場所には

行きたいと思ったときに向かう。

もうこの街は充分かな?と思ったら。

 よし!! っと

 

 advance to.. ! 先に進もう! 

 

と出発していた。

この一瞬の気持ちを逃すと居心地が良くてダラダラいてしまい。

なかなか次の街には行けなくなってしまうのである。

だからそれまでは、今いる街や街の人 街の雰囲気などを堪能し 食事も美味しくて安いお店を見つけて そこの常連になる。

店のおばさんも顔を覚えてくれて、挨拶してくれたり話しかけたりしてくれる。

徒歩で実地で街を見るのが好き。

人を見るのが好き。

街に行けば "なにか" があるのである。

だからその街に着いたら

今日は西の方面を散策

昨日西に行ったから今日は東へ。

明日は南へと

ゆっくり自分で地理と街を把握していくのだ。

歩いているうちに "なにか" があるのである。

 

さて、今日も

魔窟からでも 歩け歩こうである!

宿を出ていつも通り散策していると

パサールセニ駅の川向こうに、何やら綺麗な建物が見えた。

道中色々工事していたが、進んでい行くと寂れた駐車場に出た。

人の気配がまったく無いので怖くなって走って突破すると大通りに出て

その道向こうに。

巨大なモスクが現れたのである。

とてつもなく "荘厳な" 印象を受けた。

中に入れないかと覗いていると、警備員に止められた。

 

以前KLセントラルからモノレールで見た

とても綺麗な青いモスクは後日に訪れると

 誰でも、いつでも入って良いですよ。

と言って貰い 入った事があったので

理由を聞いて見ると

ここは時間が決まっていて、

今はムスリムの礼拝の時間なので"入れない"との事だった。

半ズボンもNGで

タンクトップなど肌を露出しすぎるものは駄目らしい。

それでも入りたい時は紫色のローブを貸し出してくれる。

との事だった。

結構厳し目に言われたので、さすが、厳格なムスリムだなぁと、感心した。

 

(これは僕の考えだが、僕は旅とは、その国に ”お邪魔させて頂いている” と思って行動するので、その国には "敬意をもって" その国の文化を尊重します。

特にその国には、その国のその土地の神様がいらっしゃると思っているので、

敬意を持って、気になるお寺や、モスクがあると、ご挨拶してから、旅をする。

そうすると、旅は不思議と出逢いに恵まれ、上手く行く。

病気やトラブルにも巻き込まれない。と僕は思っているし、実際そうなった。)

 

なのでたまにいる

 なんで今入れないんだ?!

 せっかくきたのに!!

などと粘っている旅行者を見ると悲しくなる。

そんな、自分の都合ファーストで、自分本位に旅をしても何もいい事はないよ。。

と僕は思ってしまう。

(旅の間、自分本位な旅人に何人かあったが、

 全然仲良くなれなかった。)

 

僕はお礼を言って、なら明日こようと、

礼拝のスケジュールが貼ってある紙を写メし

いつも通り、アロー通りへビールを飲みに行くことにした。

 

パサールセニ駅にそのまま戻るのも、なんなので、KLセントラル方面に歩き出した。

 

少し歩いていると、左手に駅が出現した。

食堂があり、奥になにやら駅がある。

なに駅なんだろう? と思って入っていくと、

東京駅のような趣のある

古いが ”気品のある駅” だった。

近くの人に聞いて見ると

なんと!クアラルンプール駅だという。

僕は発展している KLセントラル駅が、クアラルンプール駅だと勘違いしていた。

 

後で調べるとマレー鉄道最古の駅との事。

クアラルンプール駅は  ここにあったのだ!

僕はパサールセニ駅=クアラルンプール駅だと感じた。少しは離れているが

赤坂見附駅永田町駅みたいなものだと。

ここからは鉄道で、一駅でKLセントラル駅へ行けるらしい。

せっかくなので、味のある昔ながらのホームから、KLセントラル駅へ行くことにした。

切符を窓口で買い求めて、何番ホームに来るかを聞き、向かう。

この駅は全然混んでいない、ゆったりと過ごせて気持ちがよかった。

そして、こここそがマレー鉄道の

「かつての重要地点」

マレーシアのかつての中心だったのだ。。と感慨に浸っていた。

そのあとKLセントラル駅経由で、ブキビンタン のアロー通りでビールを飲み

その日は宿で寝た。

 

次の日僕は長ズボンに履き替えて昨日のモスクを目指した。

入り口に着くと、昨日の警備員のおじさんがいたが

昨日とは打って変わって、

とてもにこやかに愛想良く

 靴を脱いでそちらに入れてね

と言ってくれた。

きっと、入れない時間は、結構厳しめに言わないと守らない輩がいるのだろう。

本当は、気の良い人なんだなぁと思いながら、

靴を脱いで向かう。

中もとても綺麗で、心がとても落ち着いた。

礼拝堂についたが、ここは本当にムスリムでなければ入れない。

イスラム教は偶像崇拝を否定しているので

中には何も無い。

だが、その礼拝堂の煌びやかさと

礼拝する人たちの神に対する敬虔な姿勢は

とても美しかった。

僕は、もうクアラルンプールを旅立っても良いのかな?と感じ始めていた。

 

後で調べると

そのモスクは国立モスクで

クアラルンプール で一番有名な所だった。

神の啓示を受けたわけでは無いが

僕の心は動き始めていた。。

 

続く


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↑国立モスク

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↑礼拝堂
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↑モスク内部と僕

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↑クアラルンプール駅

 

 

次話

azumamasami.hatenablog.com

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

魔窟より母上様へ

 

第12話

魔窟より母上様へ

 

拝啓 母上様

 

お母様 

ご心配をおかけしております。

僕が初めての海外に出て、1週間が経とうとしています。

お母さんは "魔窟" というものをご存知ですか?

僕は今 "魔窟" に泊まっております。

クアラルンプールのパサール•セニ駅の

ある魔窟です。

けれど 決して心配しないで下さい。

案外慣れるとみんな、僕も悪魔の1人として優しくして下さいます。

 

魔窟はとても変わった方が多いです。

ずっと共用スペースにいらっしゃる黒い魔人さんは、ここはWi-Fiという強い魔法が飛んでいて、電力という魔力も回復出来るので

もうここに住んでいるのしら?と思う事があるくらいいつもここにいます。

彼は多分、魔窟動画のYouTubeを見ているのでしょう。

魔王様のように

「バハハハ!!ぶバハハハ!!!」

と笑ってはたぶん  "FX" という人間共の魂のトレードをしているのか、画面を切り替えて

「ダム!!」とか「フ⚪︎ック!!」とか

「シット!!!」と怒ってはまた動画に戻り

「ブハハハハ!!!バハハハハハ!!!」

と笑う儀式を繰り返しています。

 

また

いつも明るく挨拶してくれる白い魔人さんは

いつも純白の白い紙を鼻に当て、黄色く染める儀式を欠かしません。

この儀式は僕も経験があるのですが、そのうち頭が割れるように痛くなるので、早くお医者様にかかる様祈っております。

 

魔窟を仕切る下僕の方たちはとてもいい方達です。

いつだったか うっかりしており

僕が寝ぼけてトイレに "茶色い魔力のカス" を出した時、トイレットペーパーでお尻を拭き

うっかりそのまま流してしまったのですが

やはり詰まってしまったのです。

 あ!やっちゃったと思ったときには

もう遅かったのです。

マレーシアは下水事情があまり良くなく

高圧のシャワーの様なノズルで

セルフウォッシュレットをしてから紙で拭き

紙は "備え付けのゴミ箱" に捨てます。

でないと詰まるのです。

早速

どうしよう!とフロントにいるガタイの良いマレー系の男性に相談すると、一緒にトイレに見に行ってくれました。

すると彼は私のシット(魔力のカス)を見て

本当に心から

 オー!! F⚫︎CK  シット!!

と言ったのです。

僕は本当に、これが「シット!!」の正しい使い方だと心から思いました。

学校の授業では習いませんでした。

真実の生きた英語でした。

彼は道具を使わずに、いきなり手を突っ込み、トイレを治してくださいました。。

僕はフロント横の水道で熱心に手を洗う彼に、本当に申し訳なく

アイムソーリー。

ベリーソーリー。。ソォソォリィ

と謝っていたのですが彼は

 大丈夫だ!気にするな!!

と言ってくれ。

本当に人間の優しさが身に沁みました。

 

また、熱い水が出るはずの魔道具は、

頭と全身泡まみれになった途端。

魔界と繋がったのか、ぶぶぶ。。ぐぐぐ。、

と使い魔の断末魔のような声を上げ

急に真下にトボトボと、少ししか湯が出なくなり

それをかき集め体を流すのにとてつもない時間がかかりました。

魔界レベルが高すぎるここは、

韓国の魔人の夫婦も泊まっていましたが

奥さんは怖がって女性専用ドミトリーから、ほぼ出てこないで いつも旦那に、

 いつここでるの?いつここでるの?

と同じ呪文を唱えておりました。

 

そんな魔窟も住めば都です。

交通は便利だし、チャイナタウンも徒歩1分です。

モノレールでどこでも行けるし。

 

僕も魔人仲間に習い「女性専用」と書かれた

熱い水の出る魔道具室に勝手に入って、ちゃんと泡を流せるようになり、心も強くなりました。

 

色々ありますが慣れればそんなに悪い魔人も人も、この世の中にはあまりいないのだと思っております。

今ではバックパックもそこら辺にほったらかしてます。

帰国しましたら、一皮向け、成長し魔王様に近づいた僕をお見せしたいです。

 

俳優 魔人 正実より。

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↑パサール・セニ駅

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↑ブキビンタンにいる黄金の魔人
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↑使い魔さん

 

 

次話

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アロー通りとブキビンタン

 

第11話

アロー通りとブキビンタン 

 

マレーシアのクアラルンプール

クアラルンプールは、僕が思ってるよりずっと都会だった。

 

とにかく高層ビルだらけ!建設バブル真っ盛りで、僕らの年代が体験していない

バブル期だと感じた

クアラルンプールで一番の繁華街ブキビンタン には "パビリオン" という巨大なショッピングモールがあり

ここは "巨大な銀座" だ。

GUCCIやヴィトン、有名なブランドはほぼ全部入っている。お洒落なバーや日本のダイソーまで入っている。

このブキビンタン。やはり "光と闇" が交錯している

KLセントラル駅にも目の不自由な方が、モノレールのエスカレーターを降りると

ティッシュを売っていたりはしていたが

(KLセントラルには、盲目の人が多い。珍しく点字ブロックがあり、盲目の人に優しい街らしかった。勿論働いている方もいる)

ここブキビンタンの路上は半端ない。

路上ライブや、空飛ぶおもちゃを売ったりしている横で

ゴザを引いて、大量のホームレスの人がいる。

驚いたのは、子連れのお母さんが多かった事だった。夜に行くと、2人の子供はもう疲れて寝てしまっていて、子供を膝枕をしながら、空き缶を置いている。

僕は  37歳になってからのアジア。

二十歳そこそこの子が行って感じるような衝撃はもう受けない。

日本でもそれなりに色々見てきたし、経験してきたつもりだった。

日本にいる時から、ホームレスの方を結構気にしていた。

30歳になる時、やはり僕も、

役者を続けるか、働くか、真剣に悩んだ。

結局、最悪ホームレスになると覚悟を決めて

バイトをしながら役者を続けていた。

当時、僕は溜池山王でバイトしていた。

乗り換え駅の新橋でホームレスの人を見る度に、最悪自分もいつそうなるか分からないし、たとえ働いていたとしても 「他人事」とは、思っていなかった。

人生誰もが  いつホームレスになったとしても不思議は無いのだ。

皆色々な理由があってそうなっているのだから。。

だから見かける度に、自分も彼も変わらないと思っていたし  彼らを結構毎回心配していた。

やっぱり同じ "人間だから"だろう。

今日は雨なのにいないけど、大丈夫かな?と心配したり、勝手に何人かの人に、心でいつも話しかけていた。

 

そんな僕は旅の中で決めていた事がある。

それは 心が動いた時に  お金を使うというものだった。

ホームレスの方も数えきれないほどいる。

一人一人にお金をあげていたらキリがない、、とか、色々考えがあると思うが、僕の考えは

"考えない"  と言うものだ。

感じたままに行動しようと決めていた。

心が本当に動いて、お金を渡したくなったら渡して、そうで無かったら  ちゃんと見て  通り過ぎる。もちろん、お母さんと子供を見て心は動く。

でも、見て見ぬ振りはしないで、、

ちゃんと見て  感じて 通り過ぎていました。

これは僕のスタンスなので、旅の間はどう思われても 変わらないものでした。

こういうことも僕の中では

"心の自由" や "旅人の贅沢" だと思って旅をしていた。

だがそんな僕も度肝を抜かれた出来事があった。

アロー通りは、生音でミュージシャンが、移動しながら演奏していて、チップを貰いに回ってくる。渡す人は渡すし、渡さなくても、向こうもこっちも気にしない。

そんな中、向こうから韓流のバラードのような悲しくダイナミックに歌い上げる曲が近付いてきた。

そう、近付いてきたのだ。

なんだろうと思ってそちらを見ると、

本当に箱のような男が、自分を台車に乗せて、

大音量でバラードを流すスピーカーも一緒に乗せて、唯一自由に動くであろう右手で地面を漕ぎながら移動してきたのだ。

正直僕はギョッとした。初めて見る人間の形だったからだ。。

身体が生まれつき悪いのだろう。

だが、一番同情を誘うのか、皆お金をどんどん入れていく。

特に中国の人らしい観光客は、こういう時ぱっぱとお金を入れてあげる。

きっと、ひとまわりするとかなりのお金になるバズである。

俳優としてのサガで、色々想像してしまう。

彼は逆に一家の大黒柱なのではないだろうか?

哀れな顔をしてアロー通りを通っているが、

実は、稼いだ後は、目を細めて旨そうにタバコを吸っていたりして。。

などと想像してしまう。

僕の悪い癖であるが、案外真実かも知れない。

ペトロナスツインタワーのような煌びやかな場所も有れば   その対をなすように闇も深い。

人が 生(き)のまま生きている気がする。

これがアジアなんだなぁ。

と、改めて日本にいない事を自覚した夜だった。

 

続く

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↑KLタワーから見たクアラルンプール 

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ペトロナスツインタワーと僕

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↑パビリオン

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↑アロー通り

 

 

次話

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魔窟へ

 

第10話

魔窟へ

 

ついに私は人生初のドミトリー体験をすべく

パサール・セニ駅へ向かった

ドミトリーとは、ひとつの部屋に大体2段ベットが4つか、3つ置いてあり、ベッドの数だけ知らない人と相部屋になる。その分一泊の料金が安いのである

このシステムがある宿は大体「ホステル」か「ゲストハウス」と名前が付いている。

シングルルームで荷物をまとめ       また "魔王を倒せそうな完全装備" となった僕はKLセントラル駅から、だいぶ乗るのに慣れてきたモノレールではなく、わざわざ市バスに乗ることにした。

これもまた沢木耕太郎氏の旅への憧れの一つだった。それでnuモールで痛い目に遭ったのに、僕はそれでも憧れを優先していたかった。

それは外国で、"普通のバス" で移動するというものである

深夜特急

「もしバスに乗って行き先が間違っていたら、戻れば良いのだ。バスにどんどん乗ろう。また私は、もう一つ自由になれた気がした。」

的な事が書いてあったので。

外国に行ったらいつか市バスで移動してやる!! と僕は意気込んでいたのである。

 

地下の高速バス乗り場ではなく、nu モールの前の地上のバスセンターの乗り場を色々見て回ってみると、ある乗り場の標識に

でっかく 「Pasar Seni 」という

大きな四角で囲まれた表示があった。そこを血管のように、大量のいろいろな色の路線が吸い込まれている

 

なるほどこのバス乗り場からは、ほぼ全てと言って良いほどのバスが、パサール・セニ駅を通るらしい。

と感心したところに丁度、バスのフロント部分に電工掲示で 

「Pasar Seni 」 と表示されたバスが来た!!

が、僕は

  うん。。なるほど…

とひとまずスルーした。

 「間違えたら戻れば良い」

という考えは、どこに行ったのか?まぁ、人間そんなにいきなり挑戦できないものである。。はやい話が いきなりバスが来たので、びびっていたのである。

周りの人間に聞いてみると、やはりほとんどのバスがパサールセニ駅に行くらしい。次に来たバスの運転手にPasar Seniに行くかを何度も何度もしつこいぐらい確認し。

もはや「間違える気」が一切ない僕は、

バスに乗った。

 いよいよ市バスだ!油断するなよ!!

車内のアナウンスもよくわからない僕は、

そう自分に言い聞かせ

車内の電光掲示板を凝視していた。

やがて。。

5分経つかたたないかのうちに

そのままバスはパサールセニ駅に到着してしまった。。!? 、、いや、、した。

 めっちゃ近所じゃん!!

 というか、一駅??

あまりの事に拍子抜けしたが、

無事に着いた事は感謝しなければならない。

僕は颯爽とパサールセニ駅に降り立った!

川沿いにあるパサールセニ駅

とにかく宿を探さなければならない。

ガイドブックで、 "日本人もよく泊まる" と紹介されていたゲストハウスに、僕は向かった。

僕は早くも日本人に飢えていたのだ。

しかし、、あ、暑い、。

完全装備で歩くには、本当に暑い。

僕はパサールセニ駅に着いて5分も歩かないうちにもう汗だくになっていた

スクリーンショットで撮っておいた、Google マップを見ながら探してみる。

似たようなビルが多く、迷いながら探してみる

途中、ヒンドゥーのお寺に誘われて寄ったり

、他のゲストハウスで一晩いくらか聞いてみたらしながら、なんとか、そのゲストハウスにたどり着いた。

古びた雑居ビルの上の方にあるらしく

ビルの階段入り口で看板を見つけた、斜め上を指す矢印の通り、階段で上がっていく。

本当にここにホテルがあるのだろうか?

と疑うほど壁紙もはげかかった古びた階段である。。

三階まで何も無い

4階にやっとこさ何か気配を感じる。。

  大丈夫かしら?ここ?。。

そう思いながら入り口に着く、入り口はガラスのドアが開けっぱなしで

足元にはいろいろな靴やサンダルが散乱している。

どうやらここは土足厳禁らしい。

受付らしき小さなカウンターには、パソコンを見ているちょっと強面の白人の男性がいた。

 へロぉ。。

と恐る恐る話かけると

OH! hello! welcome!!

と最高の笑顔で話しかけてきてくれた。

 (あれ?いい人そう)

とりあえずBooking.comで予約した旨を伝えると、パスポートを求められた。

ビビりの僕は、こういう時パスポートはなるべく出したくなかったので

日本でカラーコピーした物を、百均の透明なパスポートケースに入れ、簡易のパスポートもどきを作っていたので

それを提示し、 これでいいか? と聞くと。

前の宿と同じく、これでいいと言ってくれた。

日本人だね! と喜んでいた。聞くと日本が大好きだそうだ。

パソコンで調べてもらうと予約はないという。

  えええ?そんなはずはないよ?

いきなりのトラブルか?とびっくりして、携帯の画面を見せると

パソコンでガシガシ調べてくれた。

そして彼が言うには、このゲストハウスは本館と別館の2号館があり

どうやら迷っていた僕は、近くの2号館に来てしまったらしい…

気のいい彼は

 同じボスがやっているから、俺が言って

 ここに同じ値段で泊まれるように交渉してあげるよ

と言ってくれた。

この暑さの中、もう一度外に出て、新しく本館を探すのは、正直かなり精神的にもきつかったが

、帰ってくるたびに4階に上がって来なければいけない事と、今は日本人の宿泊者がいない事が決定的になり、

 こっちの方が新しいよ!

 是非日本人の君に泊まってほしい!

という彼の申し出を残念ながら断ることにした。

彼は最後までいい人で、何度見ても辿り着けない地図を描いて、僕に渡してくれた。

 サンキュウ!次は泊まりに来るからね!  と約束し階段を下りた。
…正直なところ彼が、

「ここに泊まれ。ここに泊まりなよ!」 とあまりに強く引き留めてくるので、ちょっと怖くなっていたのだった。。

 

Googleマップの写メールを凝視し、看板がないか、よく見ながら前に通った通りに出ると。

風景に溶け込んだような、見つけづらい看板を発見した。

 これだ!ここが本館に間違いない!!

ぼくはインターホンを鳴らし、ドアを遠隔操作で開けてもらい、二階へと上がっていった。

階段には段ごとに、右端に靴が置いてある。

ここも土足厳禁らしい。

二階へ上がると、やはりカウンターと、

共用のスペースらしく椅子と机があり、宿泊客らしい、黒人の男性が、パソコンをいじっていた。

フロントにいる20代後半の中国人ぽい女性に、予約している旨を伝えると、パソコンで調べて手続きしてくれた。

現在時刻は午後1時、チェックインできるのは午後2時からなので、1時間くらい、この共用スペースのロビーで待って下さいとのこと。

「今細かいお釣りがないので、後ですぐ返しますので、ちょっと待っててね」といわれ。

やっとこさ椅子に座れ、待つこととなった。

隣ではでっかい黒人さんがずっとパソコンで

「バハハハ! ブハハハ!!」

と笑ったかと思うと。

「チッ!」とか、「ダム!!」とか

「フ⚪︎ック!!」とか言ってはまた

「バハハハ! ブハハハ!!」

と笑っている。

とても こんにちは とは言えない。。

そして今度は奥からトイレットペーパーを片手に、ペンギンみたいに、ペタペタと裸足で、事あるごとに鼻をかみながら、赤っ鼻の、白髪の白人さんがやってきた。

背は170センチいかないくらい。

彼に挨拶すると

「オー ハロー!」

と、挨拶を返してくれた。

ここは、トイレットペーパーは自分で買ってきて使うシステムだと説明されていた。

彼はトイレットペーパーを片手にずっと持っていて、事あるごとに鼻を噛んでいる。きっと蓄膿だと思う。早く病院に行ったほうが良い、絶対。

だけど、そんな事を言える雰囲気ではない。。

 こんなところに、本当に僕は泊まるのだろうか…?

と思っていると、インドネシア人っぽい、明るく旅慣れた感じのがっちりした体の若者がやってきた。

彼は、部屋を見せてくれない? と、フロントの女性に、爽やかに聞いている。

 おお!知り合いになれそうな人が来た!

と喜んでいたのも束の間、

彼は部屋を見て、最高の笑顔で、

「また来るよ!」と階段を降りていってしまった。

 おいおい、この宿、上級者向けすぎじゃね?

 あんな強者でも帰るのかよ?!!

と後悔に苛まれていたが、既にお金も支払い、とても"他を探すからお金を返して"と言う勇気は僕にはない。。

またしても、

 皿まで、、いや、机まで喰らってやるわ!

と、腹を決めた。

1時間待っても、忙しいのか、全然案内してくれない。。

しかも、「すぐに返すわね」と言っていた

お釣りもかえしてくれない。。

僕はだんだん腹が立ってきた!

こっちは、机まで喰う覚悟で泊まるつもりでいるのにどういうつもりだと!!

バタバタ動いている先程の女性スタッフに、

「へい!フォーティーンオクロック!!ナウ!いや、オーヴァー!」

と言った。

彼女は、あら、もうそんな時間?

そんなに怒らないでよ?!的なことを優しく言って案内しようとしてくれたが、

もう不信感の塊の僕は、

"お釣りやられたなたぶん"と思っていたので、「マイマネーは、どうなったんだ?!」

と、きつめに聞いた。もう戦う気満々である。

すると彼女は、 あっ、という顔をし、

 very sorry !!

と、きちんと謝り、お金をすぐ持ってきてくれた。

本当に忘れていたようだ。。

気まずくなった僕は、これから泊まるところのスタッフに、やっちまったと思い、なぜか僕も

 ん。。ノープロブレム。ソーりー。too. と、謝った…?

案内された部屋は、4つの二段ベッドが有り、既に5人が泊まっていた。

もちろんカーテンなどはない、剥き出しである。

上のベッドを使えと言われ、よじ登ったぼくがやっと一息ついた時、向かいのベッドから

「ハロー!」と声が聞こえ、

先程のペンギンの白人さんが、前歯の一つ欠けた、最高の笑顔で迎えてくれた。

 

続く

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↑魔窟近くのストリート

 

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↑ありがたいけど辿り着けない地図

(まず、同じ通りに本館はない。。)

 

 

次話

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とことこいとこ

 

第9話

とことこいとこ

 

空港での食事で、お腹を壊さなかった僕は、ただ運が良かっただけなのか?

それとも、案外僕は"丈夫なのか"葛藤していた。海外で、全くお腹を壊さない人もいるからだ。(中にはガンジス川の水を飲んでも大丈夫な強者もいる)

 

念のため、旅行保険の日本語で対応してくれる電話と、クアラルンプールで治療対象の病院が乗っている小冊子は肌身離さず持っていた。

地元の人が集う安食堂は、とても海外初心者が入れる雰囲気ではなかったし、朝からみんなめっちゃ辛そうな”赤赤しい”チキンご飯プレート的なものを食べている。

辛い物が苦手な僕は、ホテルの同じ通りに中華屋さんがあるのを発見したので、朝はここで鶏の中華粥を食べるのが日課だった。あとは、マックなど、日本にもあるチェーン店。

中華粥は、確か6.5RM(リンギット)だった。日本円で180円くらい。それでも、旅の達人が食べるであろう地元のマレー料理より少し高い。

ホテルもシングルで、シャワー、トイレ付きで一泊1500円、モノレールは、2.10RM(58円)とかで、移動できる。

つまり物価はかなり安い!

空港のバーガーキングと、空港からの新型列車の路線が、単純に高すぎただけのようである。

 

そして、

今日は日本人と会える!従姉妹に会うのだ。

僕は地理を把握する為にも、待ち合わせ場所へ、とことこ歩いていくことにした。

グーグルマップで見るとまぁまぁな距離である。とにかく暑いので、しばらく歩くと死にそうになるので、休憩がてらコンビニに入ったり、スーパーに入ったり、バザールに入ったりしながら、涼みながら移動する。案外色々見れて楽しい。

途中でマックによって、ドリンクを頼みながら、Wi-Fiに繋ぎ、Googleマップを確認する。

世界的にバックパッカーが使っているのは、「Maps.Me」という地図アプリである。

地図をダウンロードしておけば、

オフラインでも使える優れもので、これを入れてないバックパッカーはモグリ?という感じらしい。しかし、英語やローマ字表記の為、僕にとっては非常に使いずらかった。。

つい、日本でオーディションや撮影現場に行くときに使っていた、Googleマップを使ってしまう。Googleマップだと、ローマ字表記の下に「ムルデカ広場」とか「ペトロナスツインタワー」というふうに、一緒に日本語が出るので安心なのだ。

(日本でしか使えないと勝手に思い込んでいたGoogleマップを、空港で、使えると知ったときは、「神かよ?!」と思ったし、日本の漫画アプリが、外国でも普通に読めたのは驚きだった。なんにせよ、現地に行って自分で体験してみないと、何事もわからないものである)

すぐに川に出て、川好きな僕は、川沿いを歩いていた。色は灰色で、こんな色の川は初めて見た。川の両岸から、ハーフパンツに上半身裸で、刺青が入っている人や、半袖ハーパンの人たちが、釣りをしていた。

見てみると、灰色の水から、ほぼ入れ食い状態で、結構でかい川魚が次々と釣れていた。

水が灰色でも魚は元気に暮らしているらしい。

多分白身であろう魚は、結構美味しそうだった。

 

汗だくで歩いていると、人気のない道に出た。

大通りなのに、人も車もこない。。

 

そこにいたのは、中型犬より、少し大きめの野良犬だった。

2、3匹が、 ヘッヘッヘっ と、暑そうにうろついている。。

 

田舎でしか見た事ない野良犬。

日本ではほぼ野良犬を見る機会は、無くなっている。

結構怖い。。

とにかく目を合わせないように。

向こう側の歩道にいたら、こっち側、

こっち側にいたら、向こう側に渡って、刺激しないように。

ゆっくり歩く。。

犬って怖いよね?!

と、改めて感じた。

聞くところによると、昼間はまだ良いが、夜は特に危ないらしい。群れた野良犬は、よるは凶暴化するらしい。。キョンシーかよ?!

と思いながら、歩くだけでこんなにも考えたり、自分の危険センサーがバリバリ反応して、本能が呼び覚まされる。

日本では使わないセンサーがビンビンになるのだ!!

やっとのことで従姉妹と合流したのは、宿を出て、2時半後だった。。

従姉妹に色々案内してもらった

最後はブキビンタン
屋台村のようなアロー通り


以前よりも観光地化していて
料金も高くなって
味も落ちたとのこと

けれど初めてきた僕には安くて美味しくて天国だった!!

( 大いに気に入った僕は
   毎夜ここに通うことになる)

こういうお店はだいたい
取り皿とお箸はプラスチック製である

注文をした後に
本当に自然な感じで
これまたプラスチック製のテーブルに備え付けてある
うっすい紙ナプキンで

従姉妹が急に箸や取り皿を拭きだした

ごく自然な…
 子供の時からやってますがなにか?
という感じである

何やってるの? と聞いてみると

あんまりちゃんと洗ってないはずだから 拭いてる とのこと


 えええ? 大丈夫なの?

 大丈夫やろ(*´▽`*)

 乾いたそんなので拭いても意味ないんじゃ。。

 まぁねぇ、気休めていどー (*´▽`*)

 つ、つよい。。
さすが世界を色々周ってるだけある、と改めて尊敬してしまった

そこで
気になっている事を色々聞いてみた

まず
飲み物についてだが
水はペットボトルを必ず買う事
その際キャップがすでに空いている、軽く回るときは
どんなに勿体なくても捨てること
逆に何を入れられてるかわからないから

生野菜はなるべく食べないほうがいいが
アジアにありがちなキュウリなどの付け合わせは
腐ってなければ食べても大丈夫
サラダ食べても別にお腹を壊したことはないとか

露店で売ってる果物の生ジュースは氷なしで頼めばまず大丈夫

水道水も煮沸すれば行けるとか

男性好きの白いおじさんは多いのか?

→知らん。 とか。。


…ビビりまくってた自分が、馬鹿みたいに思えてきた。。

一緒に色々食べだすと、もう何も気にならなくなった。

さすがにカエル肉は違う意味で気になったが…

マレーシアの不思議の一つだが
ビールはビール専門で売るおばちゃんが各店にいて
バドガール (ガール?) のような格好で
ビール会社のロゴを背負って働いている
(カールスバーグガールが多かった 笑)

日本でいう野球場のビールの売り子さんにイメージが近い

とにかく活気があって楽しい

お祭りに来てるみたいなのだ


ようやく旅の醍醐味を味わうことができ。

少し。。
 自由になれた気がした 37歳の夜

このまま
旅の第二夜は更けていったのである。

 

続く

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↑灰色の川と釣り人たち
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↑川と釣り人と私
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↑アロー通り

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↑最高の夕食

 

 

次話

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純白のKLセントラル

 

第8話

純白のKLセントラル

 

暗い、陽の差し込まないホテルのバスルームで

熱めのシャワーを浴びながら、

僕は体育座りをしていた。。


ここは、クアラルンプールのKLセントラル駅の南側、
少し、スラムのような、、
危険な雰囲気のある通りにあるホテル。

人生で初めて泊まった海外のホテルの一室


駅直結の、
東南アジアとは思えない綺麗な巨大モールで、

事件は起きた。

 

KLセントラル駅
クアラルンプール国際空港から、
バスや鉄道で一本で来れるセントラルステーション

しかも、モノレールや鉄道で一本で
チャイナタウンや、
首都クアラルンプールでも一番の繁華街であるブキ・ビンタンや、
ペトロナスツインタワーにも行ける。

安宿が多いのも、そんな利便性からバックパッカーが集まってくるからだろう。

大体のバックパッカーはここか

パサール•セニ駅(クアラルンプール駅)のチャイナタウンに宿を構える気がする。

僕が最初の宿に選んだのは、@HOTELSという
のほほんとした名前のホテルのシングルルームだった。

(初海外で、いきなり、知らない人たちと同部屋のドミトリーは、僕には、ハードルが高すぎた為だ(-_-;) )

とりあえず、ここに三泊予約し、

活動の拠点にしたのだ。

駅には直結のショッピングモール、NU Sentralがある。

宿の周りや、駅の中などを散策し、少し地理に慣れた僕は、そのモールの中をうろついていた

 ほお、スターバックスがある
 H&M、っだと!?
 ユっ!ユニクロまであるのかっ!?

と驚愕しつつ

某ブログで事前に情報収集していた
一階にある一番レートがいいと言われているEXCHANGE (両替所)
の場所を確認していたところ

向こうのトイレ付近から手を振ってくる男性がいた

恰幅の良い
清潔感のある
白い長めのシャツのようなものを着ている。

インド人俳優の
サルマンカーンを太らせた感じの
40歳くらいのさわやかなおじさんである。

こんな異国に知り合いなどいないので
自分の事とは思えなかったが

周りを見回して

もう一度見てみる。

やはり手を振っている

あらためて
  自分か?

ジェスチャーすると
やはり僕だという風にうなづいている

戸惑いながら半笑いで近づいてみると、
 
 どこから来たの?

と聞いてきた

 日本です。

 それは良い
 
 はぁ。

 これから予定がなければ、一緒にご飯を食べないか?
 
ぼくは
  おお!!これか!!
 と思った

僕がバイブルとしている
沢木耕太郎さんの「深夜特急」に出てくる

”日本人をもてなしたい”
という親切な人とのイベントが!
 
 早くも起きたっ!!

と思ったのである。

だが、
初めての外国である!

少し警戒しながら
片言の英語で
職業を聞いてみると

メディカル 医療関係者だと言う

僕は一緒のエレベーターに乗りながら
 
 あぁ、だから白い服なんですね 笑

などと笑い合っていた

医療関係者と言う事と
綺麗なモール
親切そうな笑顔
沢木さんの本の情報を

勝手に当てはめた事により

僕は完全に気を許してしまっていた

やがて、4階でエレベーターがとまり

彼が下りようと言って二人で降りた

しかし、明らかにレストランフロアではない。。

ここにはレストランは無いみたいですよ
とぼくがいっても

彼は
 大丈夫 あってる 付いておいで

と言いながら歩きだした

 んん?

とは思ったが、付いて行くと
このフロアのトイレに着いた

僕は
おかしいな と思いながら
いいほうに解釈した
 あぁ、さっきはトイレに行きたくて
 トイレ付近にいたのか
 僕に声をかけたせいで行きそびれてしまったんだね 笑 

と。。

 

彼は後ろも振り返らずに
ズンズントイレに入っていった

僕は外で待つことにした


それから、、

1分経ち

3分経ち

5分経った。。

マレーシア特有のトイレ掃除おばさんが
僕を怪訝そうに見てくる。。

 おっそいなぁ

と思ったその時

彼がすごい勢いで戻ってきた

そしてその第一声は驚愕のものであった

  どうして一緒に入って来ないんだ!?

少し怒気をはらんだ彼の英語に

一瞬にして
 ボクはすべてを理解した

  “逃げるべきだと”

上の階に逃げよう!
エスカレーターに向かうと
何やら言い訳をしながら彼が追って来る

僕は
 NO! NO THAK YOU!!

なぜか急に発音がよくなった NO!を連発しながら歩いていく

エスカレーターに着き
ようやく上り始めたところで


それは起こった!

なんとっ

後ろから手をつかまれたのだ!!


「こんなに情熱的に男性に手を握られたのは
 正実にとって初めての経験であった。。」

とナレーションが入るくらい謎の間があり

そして僕は

手を振り払い!
渾身のカタコト英語で叫んでいた!!

  アイム! ノォーマルッ!!!

そして振り返らずにドンドン上に逃げた

するとあきらめたのか
追ってくる気配は無くなった

そのかわり聞こえてきたのは
彼の断末魔のような悲しい

 マネェーーーーーー???(金かーーーい??)

という声だった。。

(後にも先にもマネーを疑問形で聞いてきたのは、旅の間でこの男だけだった。。)

僕は上の階で警備員らしい男性のところに半泣きで近づき

後を付けられていないことを確認したのち、宿に走って逃げ帰ったのである


これが体育座りで熱いシャワー事件の顛末である

いきなり外国の洗礼を浴びた僕は

熱いシャワーを口に当てながら

ん゛あ゛ああぁ゛あ゛ぐぁ゛あーーーー

とやっていたのだった


続く

 

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↑これくらいの笑顔でした 笑

 

 

次話

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ミッション 空港を脱出せよ! エピソード4

 

第7話

ミッション 空港を脱出せよ! エピソード4


午前 10時10分

バーガーキングに入った僕は
値段を見て驚愕していた。。

思ったより値段が高かったのだ!

なんと!セットが700~900円くらい!?


 むしろ日本より高いんじゃないだろうか…
 あれ? さっきの電車も普通の値段なのだろうか?

そうなると、宿代を調べて検討をつけていたマレーシアの物価は、思っていた以上に高いことになる。

用意してきた資金もすぐ無くなってしまうだろう。。


そんな心配はあったが、多少高くても

もうここで 「安全に」 飯を喰らうと決めていた。

この時点で僕にとって安全のルール(お腹を壊さない)は

 ・ 水道水ではない
 ・ 氷が入っていない(元が水道水だから)
 ・ 生野菜は食べない

 ・ 屋台ではない

であった。

680円くらいのてりやき的なバーガーセットを、ポテトとオレンジジュース付きで注文した。

席まで持ってきてくれるそうだ

空港ロビーと とくに敷地の仕切りはなく
30席ほどのこじんまりとした店内

12時前なのと 空港であまり食べる人は居ないのか、居るのは僕ともう一組だけだった。

やっぱり外国のファーストフード店
店員同士でおしゃべりに花を咲かせている

注文を取った後も、別段急いで作業する様子はない。


日本だと一秒でも早く商品を!!

というプレッシャーの中
従業員がパッパッ パパっと働いているのを
日本で見慣れていた僕は、従業員が自分のペースで働いてるのを見て

自分の中の緊張や "旅をしなければ!"

というものから少し解き放たれたのか、この空港に来て初めて少しほっとしていた。

 なんか、この空気感はいいなぁ

と思い始めていた。


接客はちゃんとしてくれたしね

しばらく待っていると、女性店員さんがトレーに乗っけてセットを持ってきてくれた

 センキュウ!

というと

にこっとして帰っていく

 おおお!!
 なんかいい! いいぞ!
 なんか旅らしくなってきたぞ!!

と勝手に興奮していたが、お腹が減っていた僕は早速食べ始めた

まずはポテトをぱくついた

うまい! ちゃんとしたフライドポテトだ! (当たり前である)

次に楽しみにしていたハンバーガー!

包み紙をずらしてかぶりついた。

シャクっと音がして
想像どうり! いや 想像以上の美味しさが脳天を突き抜ける

 うんんン メぇぇー!!! メぇぇぇぇぇええー!!

ヤギのように心の中で絶叫しながら

同時に違和感も感じていた

  んん? …シャクっ?

  シャクっていったよな? いま。

手元をのぞき込んでみると

ハンバーガーに
シャキシャキの生レタスが挟み込まれていた

 ……………。

 えええ??

 な生野菜じゃね?

 
 み、みずみずしい。。
 と言う事はお店で。。

 水道水でお洗いになったよね…きっと!?

 お、おお、落ち着け!

とばかりに僕はストローでオレンジジュースを飲んだ

ちゅー んん …カラカラ

 ん? カラカラ?

 あ。。これ氷入ってるわ

僕はお腹を壊さない為に

”口にしない” と決めていたものを

早くも ”3つも” 口にしてしまっていたのだ!!

しかし もう口にしてしまったものは仕方がない!

 皿まで喰らってやるわ!!

とばかりに、僕はそのまま一気に腹を決めてそのセットを平らげた!!

 

さて考えなければいけないのは食べ終わった後である。
お腹が下り始める前に、なんとかして宿にたどり着かなければならない!!

僕は本気でそう思っていた。

強烈な目的が出来たのと 空腹が満たされたことで、僕の脳みそは 急にフル回転を始めた

 

もう高くても電車に乗るしかない!
考えろ どうするか?? 

ん?そういえば窓口の横に、

自動券売機らしきものがあった。
あれで何とか正規の値段で買うしかない!

 

ATM事件のせいで

機械を無意識に避けていた僕だが

  よおおし!!

と気合を入れて地下に戻ることを決めた。

この空港に着いて初めて力が漲ってくるのを感じた!

 

空港を出てしまうと、Wi-Fiが使えない恐れがあると感じた僕は、改めて宿の場所や行き方をしっかり調べ、Google マップスクリーンショットも撮り!出発した!


地下に戻り 窓口野郎を 一瞥し

券売機と向き合う

 ENGLISH

を押すと

 KL Sentral

拍子抜けするほど簡単に目的地の画面ボタンが出て来た

重要なのは値段である

さあ どうだい!
とばかりに僕はボタンを押した

そこには

 55RM

と出てきた


 55リンギット?!
 え? あれ?! 

 ボッタクリじゃなかったの??
  …ちーん。。

勝手に人の事を
ボッタクリ野郎
と決めつけていた自分が恥ずかしくて、顔から火が出そうになる。

それから僕が、窓口の人と顔を合わせないように、反対側に顔を向けながら改札をくぐったのは言うまでもないだろう。。

こうして空港到着から”5時間以上”の苦闘の末に、ついに僕は空港を脱出できたのである!!

 

(…本当に何やってんだか。。という話だが
 この、空港での大冒険も、

 今思うといい思い出である 笑

 今でも窓口の人には いつか謝りたい。。)

 

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↑さまよう私

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↑ 特急 KLIA Express

 

 

次話

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ミッション 空港を脱出せよ! エピソード3

第6話

ミッション 空港を脱出せよ! エピソード3

 

午前9時20分

 

クアラルンプール国際空港の地下改札に降りてきた僕は
早速チケット窓口でKLセントラル駅行きの切符を買い求めた。

対応したのは
まったく愛想のない
ちょっと感じの悪い男性係員だった。

先ほどのインフォメーションの男性とはエライ違いである

何となく嫌な予感がしたが

KLセントラル駅へ行きたいと伝えた。


彼は、僕を一瞥し

 55リンギットよこしな。

と言ったように聞こえた。。

 15.5(フィフティーン ファイブ)

 リンギット

と聞きかえすと、

 55(フィフティッ ファイブ!)

 リンギット!!

と キレ気味に返された。


 えええ??    
               
僕はびっくりした。
なにせ日本円で1,400円以上である

一晩の宿代とほぼ同じである!

さっき調べたところによると
30分か40分しか乗らない電車がである?!
日本でも 地元の横浜から熱海まで行ける値段!

 そンなにするわけないダロ?!

今思うとその時の僕は
絶対騙されないぞ!という
変なスイッチが入っていた

 

 (ほォ!!これが世にいう 

   ぼったくりですか!!

  いくら懐に入れる気や!?

      オマエさん?! )

 

 「じゃ、いいですゥー!!」

と言って僕は怒ってその場を離れた。

 ぜってーあいつからは買わねえ!!
 っつーか、マレーシア!なんなん?!
 マジでなんなん?!

と僕は、呆れてブツブツ言いながら 歩いているうちに、

いつの間にか最初の場所まで戻って来ていた。

 

振り出しに戻った… が仕方がない。

今のところ、僕にとってのマレーシアの世界は

"飛行機を降りて~電車の改札まで "
しかないのだから。。

ここに戻るしかなかったのだ。

(この出来事の言い訳をさせてもらうと
 その時の僕は、疲れと疑心暗鬼で
 みんなが悪意を持っているように

 感じてしまっていたのだと思う
 普通に考えたら
 マレーシアの国際空港の
 ちゃんとしたチケット売り場で職員が

 そんなことするはず無いからである 笑)

 

そんなことに考えが及ばない当時の僕は、
あの職員が窓口業務を交代したら、違うスタッフからチケットを買おうと、

本気で憤慨していた。

 

もう恒例となったベンチ休憩をしながら、
やっと繋いだWi-Fiで、なんと!

日本の漫画アプリが、外国でも見れる事に驚きながら、つい漫画を読み、現実逃避をしたりして。。

 

やっと どうしようかと、現実世界に戻って来た僕に、向こうにあるバーガーキングが目に入った。

 そういえば
 昨日深夜に羽田空港を出発してから
 何も食べていない。。

ハンバーガー屋を見て
胃が急にアピールしてきた。

 とりあえず、バーガーキングなら

 お腹を壊すこともあるまい。。


僕はマレーシアで初めての食事をとることにした。

 

続く

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↑ マレーシアの改札

 

 

次話

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ミッション 空港を脱出せよ!エピソード2

 

第5話

ミッション 空港を脱出せよ!エピソード2

 

空港のベンチで、あしたのジョーの様にうなだれていた僕は、

心のマジックポイントの 回復に努めていた。


やがて、15分程ベンチで休んだおかげで

だいぶ落ち着いた僕は、

 よーし! いっちょやってみっか!!

と再びATMの前に立った

 

操作方法は、ベンチで何度もシュミレーションしておいた。

下ろす金額も計算し 2万円分くらいと

しっかり決めた!

 

もう怖いものは何もない!!

先ほどの操作をそつなくこなし、

金額の画面に 難なくたどり着いた僕は、少し自信を取り戻していた。

 なんだよ正実。

 落ち着いてやれば出来るじゃないか。

と自分の中の リトルマサミが褒めてくれた。

 

ところが。。

200$というボタンを押したはずだが!!

 ばばばばばばばばばばばばばばばば!!!

と すごい勢いで目の前にお札が出てくる!!
しかも全然止まらない!!

 どばばばばばばばばばばばばば!!

 ばばばばばばばばばばばばばばばば!!

 ぶばばばばばばばばばばばばばばばば!!!

どんどん出てくる!!

 

  うわぁーーーーーーー!!!
  誰かーーー!!
  これ とめてーーーーー!!!
  とまってーーーーーーーー!!!!!!
  お願いーーーー!!!

 

と叫びたかったが
歯を食いしばってそれに耐えた。

 

やがて、

ぶばばばばばばばばばばばばばばばば すん。

と ようやくATMは静かになった。。

 

目の前には…
大量の札束リンギットが 魔法のように出現していた。

 

恐る恐るその札束を手にした僕は

周りを警戒しながらバッグにすぐ詰め込んで
足早にATMから立ち去った。

そして周りに人がいない
少し死角になるベンチを見つけ、

誰にも見られていないことを確認したのち
お金を数えてみた。

全部で2,000リンギット

 

地球の歩き方」のお金の章を開き
レート換算してみると…

日本円にして 5万円以上 手に入れていたのだ

(ATMに大きなお札がなかったのか
 細かいお札で出てきていた為大量の札束になったようだ。
 なぜ2,000リンギットも出て来たのかは未だにわからない…   )

 

それにしてもマレーシアでは大金のはずである。

いきなり大金持ちになった僕は
大きなお金を入れておく用の貴重品財布のほうにお金をしまい
パンパンになったそれを

バックパックの奥深くに封印した。

 

冷や汗がほほを伝うのが分かった。

 やばい…
 こんなにお金を持っているのがバレたら
 間違いなく襲われる。。

そんな恐怖を感じた僕は

”すぐにでもここを出るべきだ” と判断し、

 個人情報が盗まれるのではないか?!

と 警戒し、繋ぐのをためらっていた 空港のWIFIに、決死の覚悟で接続し、KLセントラル駅への行き方を調べた。

 どうやら電車で行けるらしい!!

周りを見渡すと、確かに電車のマークに、矢印が付いている標識がかかっている。

どうやら、エスカレーターを降りた地下の方に、直通の電車があるらしい。

 

善は急げとばかりに僕は
空港にありがちな長いエスカレーターを下り始めた。。

 

続く

 

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空港エスカレーター

 

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↑ マレーシアのお金

 

次話

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ミッション 空港を脱出せよ!

 

第4話

ミッション 空港を脱出せよ!

 

午前10時50分
なぜか僕はまだ空港内にいた。。


空港到着からすでに

”5時間以上”たっている

それなのに僕は

まだ空港を出れないでいた。。

 

  時を戻そう。

 

インフォメーションの人のアドバイスに従い
飛行機から直の 謎の列車に乗り
(僕がそう思っていただけで、空港内を移動する電車でした(^^;)

降りると、ちゃんと入国審査のイミグレーションがあった。

他の飛行機も着いているのか

かなりの人数がいた。

ほっと胸をなでおろしながらも

まだ油断はできないと観察してみると
どうやら外国人とマレーシア人で並ぶところが分かれているようだ。

列をよく観察し
明らかに外国の人たちが並んでいるところに並ぶ。

 あぁ 僕は生まれて初めて外国人となったのだ。。

と妙な感慨があった。

並んでいる先の表記には
「FOREIGNER」
と書いてある。

 なるほど、外国の人は

 フォーリナーというのか。

 ふむふむ、アイム ふぉーりなー。

  フフフ。。

早速、新しい英単語を バッグパックの前に

ゲットする。

 

結構な時間並んでやっと自分の番が来た

ドキドキしながら 地球の歩き方で予習し
機内で書いておいた入国カードを渡し、パスポートを渡す。

入国審査官はじっとパスポートを眺めている

何しろこっちは人生初めての入国審査である
後ろめたいことは何一つないのに


 ドキドキが止まらない!!


だって入国審査なんて
中川家のコントでしか見たことがない。。


しばらくして

審査官に
列の前の人と同じように
指紋をとる機械に
両手の人差し指を押し付けるよう指示された

そして    無事!!

入国出来たのである。

…案外あっけないものだった

 

だが感慨にふけっている暇は僕にはない

バックパックを取り戻さなければ!

イミグレーションエリアから出てみると

なんとも大量のレーンが…

20レーン以上ある!!

落ち着け と自分に言い聞かせて

自分のレーンを調べて探す

遅れて来たせいか…

僕のレーンのバッグは空っぽに近く
人もほとんどいない


ドキッとしながら
じぃ~っと待つ。。


全然出てこない。。


ひとまず、飛行機からここに来るまでに疲れ切っていた僕は
自分のレーンが見えるベンチに座って待つことにした。

しばらくレーンを眺めながらぼうっとこれからの事を考えていた。

当たり前だが
まずお金を下ろさなければならない

携帯はシムフリーではないので
安全なWIFIを見つけなければならない

KLセントラル駅の
ホテルまでの行き方を調べなければならない

 

そんなことを考えていたが
待てど暮らせど
バッグは一向に出てこない。。

 あれ?これ詰んだんじゃね?
 ロストワールドじゃね?

と、一人でいる不安と相まって
ちょっと泣きそうになったその時

バッグが!流れてきたのである!!


目立つようにわざと選んだ
グレーに赤色がお洒落な

グレゴリーのバックパックである!!

僕の大事な大事なグレゴリーちゃん!

お気に入りのグレゴリーちゃん!!

旅立つ前日に枕もとに置いて寝た

グレゴリーちゃん!!!

 

 

そのグレゴリーちゃんがレーンの奥から

のれん?のようなものを
くぐって来たのを
見たとき!


僕は
デロリアンでドクが
未来から戻って来た時くらいの
感動を覚えたのである!

 

慎重な僕は

100均のワイヤーロックはかけていたが

あまりに遅く出てきた為

何かされてたんではないか心配になり

中身を確認して見た…おお!!

どうやら、中身も無事なようである!

 

バッグを無事ゲットした僕は

次にお金を下ろすことにした


初めて見る海外ATMの前に立つ

何か自分がひどく目立っている気がする

なぜなら
周りはすべて言葉も通じない人間ばかりである…
周りの全員が僕を見ている気がする。。

治安も悪いに違いないと思っている私は

周りを見渡し
 俺の金を狙っているのは
 俺はわかっているぞ!
とばかりに周囲に睨みを利かせ

付近に人がいなくなったタイミングを見計らい
今だ!!!
とばかりにATMの前に立ちはだかった!!

これからATMに

LET's Challenge!!

挑みかかるのだ!!

 

銀行のキャッシュカード以外で
しかも外国のお金を初めて下ろすのだ!

とにかく気合を入れて機械をいじってみる

まずカードを入れるらしい

事前に作っておいたプリペイド式の
VISAのクレジットカードをATMにいれた。

画面の ENGLISH というところを押し

進む

CREDIT CARD という画面のボタン選び

 クレジットカードはさすがに解るもんね!!

と強がり 進む

何やら四桁打つらしい

 ふんふん!暗証番号でしょ!!
  さらに強がり 四桁押し 進む


進んでいく…


しかし、英語が良く分からない

急に知らない単語の画面ボタンが 6つほど出てきた。。

 

冷や汗をかきながら

色々いじってみる

変に進み
エラーでカードが戻ってくるのを繰り返し

やっと

 WITHDRAWAL

という画面ボタンで下ろせそうだと何となく理解した。

なぜなら金額を打ち込むであろう画面が出て来たからだ!


勘と なんとなくこうだろう?

という気持ちだけで
限りなく適当にお金を扱っているのだから

日本でやってたらありえない。

なんとも恐ろしい話である。。


やがて
 何ドル下ろす?

という画面で 僕はフリーズした。

 いくら下ろすか全く考えていなかった…


しばらく考えていると

時間切れでカードが戻って来てしまった…


ここで僕がとった行動は、

いったんベンチに戻って、

深呼吸をし 落ち着く。

というものだった。

 

ATMとの格闘と、入国審査で、
僕の心は、すでに折れかかっていたのだ。。

 

続く

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↑ 空港 マレーシアへようこそ!


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↑ 旅の中 ずっと一緒の グレゴリーちゃん

 

 

次話

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空港到着

 

第3話

空港到着

 

2017年 5月10日  午前5時45分

 

ついに!

ついに! 初めての外国の地に降り立った!!

 

 

ふと、まだ暗い飛行機の機内で目を覚ました僕は、そのまま眠れず、あと30分程で着くはずの飛行機の窓から、外の景色を眺めていた。

飛行機は暗闇を飛んでいたのだが、到着時間が近付くと、

眼下には、蛇行しながらずっと先まで伸びる、かなり明るい光の線が見え始めた。

その、細い川のように見える、金色の綺麗な明かりを見ていた僕は、

ワクワクした気持ちと、胸の高鳴りが抑えられなかった。

 あの光はずっと伸びているが、国境なのだろうか?

 いや… 国道なのかもしれない。。

などと空想しながら、明かり以外、何も見えない窓の外を眺めながら、

僕は、まだ見ぬマレーシアの大地を想像していた。

 

そうこうしている間に、やがて微かに夜が明け始め、

まだ仄暗い空港へ、飛行機は 到着予定時間よりも 15分程早く到着した。

 

クアラルンプール国際空港、通称 K L I A
金正男さんが暗殺されたことで、ある意味有名になってしまった空港である。

 

バックパッカー初心者の僕は、出発前に羽田空港で、ある失敗をしていた。

機内に持ち込めるのに、バックパックをうっかり預けてしまっていたのだ。

飛行機から降り次第、とにかくバックパックをゲットしなければならない。

 いや… その前に入国審査なのだろうか?

などと考えながら、何もかも 処女航海な僕は、飛行機から降りると、ドキドキしながら、とりあえず人の流れに着いていくことにした。

 まぁ…

 ”人の流れについていけば何とかなる” とは

 沢木耕太郎さんの小説にも書いてあったからな。

と安易に考えていた。


ところがである。

飛行機を降りて、人の流れに着いて行ったはずだが。。

いきなり地下鉄的なところに出て、
乗客は皆、ホームから綺麗な電車に乗って行ってしまった。。

 

 えええ? いきなり電車?!

さすがに日本でも飛行機には、6回以上乗ったことはある。
だが 飛行機を降りて、いきなり電車が姿を現した事など、一度も無い。。


いくら外国の空港とはいえ、


(いきなり電車に乗っては ダメに決まってる!)


と思った僕は、呆然とそれを見送った。
電車が行ってしまった後、多少の思考が回復した僕は、


 あれ?
 ま、マレーシアって、入国審査無いんだっけ?
 それとも、、
 VIP の流れに乗ってしまったのだろうか。。


と 現状をまったく把握できてはいなかった。

 

とにかく周りを見渡して 情報を得ようと試みるが、
あまり英語が得意でない僕は、
標識をみてもあまり良く分からない。。

とりあえず、いったん飛行機を降りたところまで戻って、
逆方向に行ってみたが、
行き止まりになっていた。

 

もう周りには、他の乗客は、一人もいない。

 どうしよう…。
 次の便が来るまで待って
 その人たちに付いて行こうか?

次にいつ来るかわからない飛行機を待とうかと
本気で思うほど、ちょっとパニックになっていた。

 

改めて先ほどの電車のホームに戻って、

少し深呼吸し、改めて周りを見回してみると

  information

と書かれたところに、ホテルマンのような、
上品な、若い男性が立っていた。

 あぁあ!
 いんふぉめーしょン!!!

 俺にも読める英語だ!!
 
 インフォメーション!!!


先程は何故か気付かなかった。

ニコニコして立っている細身の若い男性に、
片言の英語で話しかけてみた。

 へ、ヘロー、
 えくすキュウズミー。

 

 OH. hello.

 

 おお、英語が通じるぞ!!
 すごいぞ、マレーシア!!

などと意味不明な感動を覚えつつ、

何とか聞いてみると、

 

 ”とりえず電車に乗りなさい”

 

ということが分かった。

 飛行機に預けたバックパック。。
 まだゲットしていないんだけど。

 

 大丈夫。 乗りなさい。

 

僕は、彼を信じて、とりあえず電車に乗ってみることにした。

 

続く

 

 

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↑空港から見た朝日

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↑ 安心安全の全日空

 

 

次話

 

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