猫好き俳優 東正実の またたび☆

俳優 東正実の東南アジア旅

さらば魔窟よ さらばKL

 

第16話

さらば魔窟よ さらばKL

 

ついに魔窟からの脱出の時がやってきた。

 

結局日本人には1人も出会えなかった。。が

なんだかんだ言って生まれて初めてのドミトリー。

色々な人に会い結構思い入れはある。

だが 此処にこのままいたら ダークサイドに落ち、沈没しかねない。。

 

昨日はアロー通りでビールを飲み

そのあとさらに通りの奥に進んでみた。

急にお洒落なバーエリアになり、日本人らしい人たちも上品に夜を楽しんでいた。

23時くらいまでOKな 長すぎるハッピーアワーのあるバーでビールを飲みながら

一昨日 国立モスクで貰った

日本語のしおりを改めて読む。

 

 "本当に人間は、喪失の中にいる"

 

その夜なぜかその言葉は僕に深く沁み込んだ。

 

そして出発の日

時間ギリギリでチェックアウトしKLセントラル駅に向かう。

ここのスタッフさんは、本当に親切だった。

心から サンキュー! と気持ちよく出発する。

出掛けにペンギンさんが 挨拶してくれた。

勿論左手にトイレットペーパーを持ちながら。

もう結構この人の事が好きになっていた 笑

 

LRTでKLセントラル駅に着き

例の ”謎の待合” で自信満々に待ち

やがて駅スタッフに付いてホームに行く

車内に乗り込み、チケットにある自分の席に着く。

完璧な流れである!!

そして、、物凄い綺麗な電車である。

トイレまでついている。

ゆったりとした席も最高である。

 

電車は動き出し、、

 

やがてすぐにクアラルンプール駅に停まった。

 あれ?クアラルンプール駅停まるんだ。。

 宿から歩いてここから乗れば良かったのでは?

と思ったが 

もう無事に電車乗れたからそれで良いや!と

僕はお菓子を食べ始めた。マレーシアには、セブンイレブンがいっぱいあるので、そこで買っておいたお菓子だ。

 

しばらくすると寒くて仕方がなくなった。。

マレーシアはどこでも  ”親の仇のように”  冷房をマックスで効かせるのだ。

宿でも駅でも車内でも、おかげで寒くて仕方がない。。

僕は急な雨や、山に行った時ように買っておいた薄手のジャンパーをバックパックから引っ張り出し、膝にはTシャツをかけていたがまだ寒かった。

 

景色は、ほぼプラントのような森が続く。

民家がちらほら見えてきたなと思ったら

やがて駅に着く。

それを繰り返して進んでいく。

 

途中2つか、3つ日本のイオンがあったのが、驚きだった!

 なかでも、一つは ”茶色の切り立った崖の下” に建っていて すごい立地だった。

崖崩れがあったらどうするんだろう?

と心配になった

 

飲茶が美味しい!と評判のプーリー駅も過ぎ

だいたい4時間きっちりで

「もうすぐバタワース駅」

とアナウンスがあった。

 

トイレに行っておこうかと思ったら

結構混んでいた。

みんな、急にトイレに行きたくなったらしい。

 駅に着いたら行こう と我慢する。

やがて、電車はバタワース駅に到着した。

僕は やっと着いたという感動より、トイレを探した。

 

駅の改札を出て すぐ横のトイレに行こうとすると  "有料"  と書いてあって

入り口のおばさんにお金を払うシステムだった。

 

マレーシアでは、有料のトイレが多いのだが、

都会のクアラルンプールでは有料トイレは、ほぼ無かったので

 ええー、お金かかるのかよー。

と、たかだか20円くらいだが、お金を払うのが悔しくなった。

(だからみんな到着直前に電車でトイレに行っていたのだな。。)

と気付くが後の祭りだった。

 

どこかにトイレくらいあるだろうと賭けに出た僕は、とにかくフェリー乗り場に行くことにした。

フェリーは50円くらいだったと思う。

とにかく安い。

地元の人の足になっている為だろう。

 

気になったのは、軍人さんが多かった事だ。

初めて見るマレーシア軍の人が、フェリー乗り場の途中やフェリーの改札にも何故だかいて少し怖かった。

 

マレーシアの小銭を入れて、カチカチカチと

遊園地にある入り口のような、逆流できない鉄の棒が回転する回転扉の改札である。

 

生憎 細かいお金がなかったので、どうしたら良いのか聞くと、すぐ手前の死角に、両替窓口があった。

ここも軍人さんが両替してくれる。

両替機などというものは無いらしい。

 

ようやくフェリー乗り場につきフェリーを待つこととなるが

トイレは道中なかった。。

 

老人や、女性(妊婦さんは)優先的に先に入れる列と、他の一般客用の二つの列があり

ようやくフェリーが来て、乗り込む。

 

船内を探してみると、前と後ろに、小さなトイレがついている!!

少し汚かったが僕は

やっぱり無料のトイレがあった!という思いと

ようやく用を足せるので、至福の顔をしていた

バイクや車が乗り込んで、ようやくフェリーは出発した。

 

フェリーには小さな売店があったので、マレーシア特有のスポーツドリンク「100」を買って飲みながら、景色を眺める。

 

最高の風と、海だ!

 

僕はやはり沢木ストとして

「 nice breeze..」 と呟いた。 

僕が呟ける数少ない英語だ  笑

 

左手に大きな橋が見えた。

マレーシア本島のバタワースと

ペナン島を結ぶ長い橋が開通していた。

物凄い長い橋である。

 

15分くらいで憧れのペナンに着くらしい。

深夜特急」でも有名なペナン島

作中では、船乗りや旅人も皆 

「イエス!ペナン!!」 と言う!

 

KLで仲良くなった中華系のマレーシア人のアランも

「KLは2日で十分。やっぱりピネンが一番だ」と教えてくれた。

 

マレーシアの人は ”ピネン” と呼ぶ

アランはヨーロッパやアジア、日本にも旅したことがあり、少し日本語が話せた。

そんな彼も 「やはりピネンだ!!」

と言っていた。

 

沢木氏の旅から何十年も経っているのに。。 

やはり YES Penang!!  なのだ!

 

フェリーはゆったりと進み。

やがて進行方向に街並みが見えてきた。

 

これが僕が憧れ続けた「深夜特急」の舞台

ペナン島なのだ!と。

僕の心は旅と物語の中に溶け込んでいった。。

 

続く

 

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↑ フェリー内部

 

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↑長すぎる橋

 

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ペナン島


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↑国立モスクのしおり

 

 

次話

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