猫好き俳優 東正実の またたび☆

俳優 東正実の東南アジア旅

純白のKLセントラル

暗い、陽の差し込まないホテルのバスルームで

 熱めのシャワーを浴びながら、
 僕は体育座りをしていた。


ここは、クアラルンプールのKLセントラル駅の南側、
少し、スラムのような、、
危険な雰囲気のある通りにあるホテル。

人生で初めて泊まった海外のホテルの一室


駅直結の、
東南アジアとは思えない綺麗な巨大モールで、

事件は起きた。

 

KLセントラル駅
クアラルンプール国際空港から、
バスや鉄道で一本で来れるセントラルステーション

しかも、モノレールや鉄道で一本で
チャイナタウンや、
首都クアラルンプールでも一番の繁華街であるブキ・ビンタンや、
ペトロナスツインタワーにも行ける。

安宿が多いのも、そんな利便性からバックパッカーが集まってくるからだろう。

大体のバックパッカーはここか

パサール•セニ駅(クアラルンプール駅)のチャイナタウンに宿を構える気がする。

僕が最初の宿に選んだのは、@HOTELSという
のほほんとした名前のホテルのシングルルームだった。

(初海外で、いきなり、知らない人たちと同部屋のドミトリーは、僕には、ハードルが高すぎた為だ(-_-;) )

とりあえず、ここに三泊予約し、

活動の拠点にしたのだ。

駅には直結のショッピングモール、NU Sentralがある。

宿の周りや、駅の中などを散策し、少し地理に慣れた僕は、そのモールの中をうろついていた

 ほお、スターバックスがある
 H&M、っだと!?
 ユっ!ユニクロまであるのかっ!?

と驚愕しつつ

某ブログで事前に情報収集していた
一階にある一番レートがいいと言われているEXCHANGE (両替所)
の場所を確認していたところ

向こうのトイレ付近から手を振ってくる男性がいた

恰幅の良い
清潔感のある
白い長めのシャツのようなものを着ている。

インド人俳優の
サルマンカーンを太らせた感じの
40歳くらいのさわやかなおじさんである。

こんな異国に知り合いなどいないので
自分の事とは思えなかったが

周りを見回して

もう一度見てみる。

やはり手を振っている

あらためて
  自分か?

ジェスチャーすると
やはり僕だという風にうなづいている

戸惑いながら半笑いで近づいてみると、
 
 どこから来たの?

と聞いてきた

 日本です。

 それは良い
 
 はぁ。

 これから予定がなければ、一緒にご飯を食べないか?
 
ぼくは
  おお!!これか!!
 と思った

僕がバイブルとしている
沢木耕太郎さんの「深夜特急」に出てくる

”日本人をもてなしたい”
という親切な人とのイベントが!
 
 早くも起きたっ!!

と思ったのである。

だが、
初めての外国である!

少し警戒しながら
片言の英語で
職業を聞いてみると

メディカル 医療関係者だと言う

僕は一緒のエレベーターに乗りながら
 
 あぁ、だから白い服なんですね 笑

などと笑い合っていた

医療関係者と言う事と
綺麗なモール
親切そうな笑顔
沢木さんの本の情報を

勝手に当てはめた事により

僕は完全に気を許してしまっていた

やがて、4階でエレベーターがとまり

彼が下りようと言って二人で降りた

しかし、明らかにレストランフロアではない。。

ここにはレストランは無いみたいですよ
とぼくがいっても

彼は
 大丈夫 あってる 付いておいで

と言いながら歩きだした

 んん?

とは思ったが、付いて行くと
このフロアのトイレに着いた

僕は
おかしいな と思いながら
いいほうに解釈した
 あぁ、さっきはトイレに行きたくて
 トイレ付近にいたのか
 僕に声をかけたせいで行きそびれてしまったんだね 笑 

と。。

 

彼は後ろも振り返らずに
ズンズントイレに入っていった

僕は外で待つことにした


それから、、

1分経ち

3分経ち

5分経った。。

マレーシア特有のトイレ掃除おばさんが
僕を怪訝そうに見てくる。。

 おっそいなぁ

と思ったその時

彼がすごい勢いで戻ってきた

そしてその第一声は驚愕のものであった

  どうして一緒に入って来ないんだ!?

少し怒気をはらんだ彼の英語に

一瞬にして
 ボクはすべてを理解した

  “逃げるべきだと”

上の階に逃げよう!
エスカレーターに向かうと
何やら言い訳をしながら彼が追って来る

僕は
 NO! NO THAK YOU!!

なぜか急に発音がよくなった NO!を連発しながら歩いていく

エスカレーターに着き
ようやく上り始めたところで


それは起こった!

なんとっ

後ろから手をつかまれたのだ!!


「こんなに情熱的に男性に手を握られたのは
 正実にとって初めての経験であった。。」

とナレーションが入るくらい謎の間があり

そして僕は

手を振り払い!
渾身のカタコト英語で叫んでいた!!

  アイム! ノォーマルッ!!!

そして振り返らずにドンドン上に逃げた

するとあきらめたのか
追ってくる気配は無くなった

そのかわり聞こえてきたのは
彼の断末魔のような悲しい

 マネェーーーーーー???(金かーーーい??)

という声だった。。

(後にも先にもマネーを疑問形で聞いてきたのは、旅の間でこの男だけだった。。)

僕は上の階で警備員らしい男性のところに半泣きで近づき

後を付けられていないことを確認したのち、宿に走って逃げ帰ったのである


これが体育座りで熱いシャワー事件の顛末である

いきなり外国の洗礼を浴びた僕は

熱いシャワーを口に当てながら

ん゛あ゛ああぁ゛あ゛ぐぁ゛あーーーー

とやっていたのだった


続く

 

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↑これくらいの笑顔でした