猫好き俳優 東正実の またたび☆

俳優 東正実の東南アジア旅

魔窟より母上様へ

 

第12話

魔窟より母上様へ

 

拝啓 母上様

 

お母様 

ご心配をおかけしております。

僕が初めての海外に出て、1週間が経とうとしています。

お母さんは "魔窟" というものをご存知ですか?

僕は今 "魔窟" に泊まっております。

クアラルンプールのパサール•セニ駅の

ある魔窟です。

けれど 決して心配しないで下さい。

案外慣れるとみんな、僕も悪魔の1人として優しくして下さいます。

 

魔窟はとても変わった方が多いです。

ずっと共用スペースにいらっしゃる黒い魔人さんは、ここはWi-Fiという強い魔法が飛んでいて、電力という魔力も回復出来るので

もうここに住んでいるのしら?と思う事があるくらいいつもここにいます。

彼は多分、魔窟動画のYouTubeを見ているのでしょう。

魔王様のように

「バハハハ!!ぶバハハハ!!!」

と笑ってはたぶん  "FX" という人間共の魂のトレードをしているのか、画面を切り替えて

「ダム!!」とか「フ⚪︎ック!!」とか

「シット!!!」と怒ってはまた動画に戻り

「ブハハハハ!!!バハハハハハ!!!」

と笑う儀式を繰り返しています。

 

また

いつも明るく挨拶してくれる白い魔人さんは

いつも純白の白い紙を鼻に当て、黄色く染める儀式を欠かしません。

この儀式は僕も経験があるのですが、そのうち頭が割れるように痛くなるので、早くお医者様にかかる様祈っております。

 

魔窟を仕切る下僕の方たちはとてもいい方達です。

いつだったか うっかりしており

僕が寝ぼけてトイレに "茶色い魔力のカス" を出した時、トイレットペーパーでお尻を拭き

うっかりそのまま流してしまったのですが

やはり詰まってしまったのです。

 あ!やっちゃったと思ったときには

もう遅かったのです。

マレーシアは下水事情があまり良くなく

高圧のシャワーの様なノズルで

セルフウォッシュレットをしてから紙で拭き

紙は "備え付けのゴミ箱" に捨てます。

でないと詰まるのです。

早速

どうしよう!とフロントにいるガタイの良いマレー系の男性に相談すると、一緒にトイレに見に行ってくれました。

すると彼は私のシット(魔力のカス)を見て

本当に心から

 オー!! F⚫︎CK  シット!!

と言ったのです。

僕は本当に、これが「シット!!」の正しい使い方だと心から思いました。

学校の授業では習いませんでした。

真実の生きた英語でした。

彼は道具を使わずに、いきなり手を突っ込み、トイレを治してくださいました。。

僕はフロント横の水道で熱心に手を洗う彼に、本当に申し訳なく

アイムソーリー。

ベリーソーリー。。ソォソォリィ

と謝っていたのですが彼は

 大丈夫だ!気にするな!!

と言ってくれ。

本当に人間の優しさが身に沁みました。

 

また、熱い水が出るはずの魔道具は、

頭と全身泡まみれになった途端。

魔界と繋がったのか、ぶぶぶ。。ぐぐぐ。、

と使い魔の断末魔のような声を上げ

急に真下にトボトボと、少ししか湯が出なくなり

それをかき集め体を流すのにとてつもない時間がかかりました。

魔界レベルが高すぎるここは、

韓国の魔人の夫婦も泊まっていましたが

奥さんは怖がって女性専用ドミトリーから、ほぼ出てこないで いつも旦那に、

 いつここでるの?いつここでるの?

と同じ呪文を唱えておりました。

 

そんな魔窟も住めば都です。

交通は便利だし、チャイナタウンも徒歩1分です。

モノレールでどこでも行けるし。

 

僕も魔人仲間に習い「女性専用」と書かれた

熱い水の出る魔道具室に勝手に入って、ちゃんと泡を流せるようになり、心も強くなりました。

 

色々ありますが慣れればそんなに悪い魔人も人も、この世の中にはあまりいないのだと思っております。

今ではバックパックもそこら辺にほったらかしてます。

帰国しましたら、一皮向け、成長し魔王様に近づいた僕をお見せしたいです。

 

俳優 魔人 正実より。

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↑パサール・セニ駅

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↑ブキビンタンにいる黄金の魔人
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↑使い魔さん

 

 

次話

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