猫好き俳優 東正実の またたび☆

俳優 東正実の東南アジア旅

バンコク ジャパンビレッジ

 

第128話

バンコク ジャパンビレッジ

 

ここの日本人宿はかなりの規模で

「ジャパンビレッジ」という言い方がしっくりくる。

それほどの日本人の多さだった。

 

ここはもう、ひとつの村である。

若者が多いこの村には、色々な旅人がいて面白い。

長期旅行者も多く、もう日本に3年、5年帰ってない という人もざらにいる。

 お金はどうしてるのか?

と聞くと、皆、物価の一番高い、オーストラリアで、青年海外協力隊を通じて農場で働くらしい。

長期旅行者の旅人は、一度はここで働いた事があるとのことだった。

住むところも、食事も出る為、あまり生活費はかからない。大体2ヶ月で70万以上稼げるらしい。

それを元手にまた、旅に出るのだとか。。

皆、どうしても日本に帰りたくないらしい 笑

他の手段は、皆 一芸を持っているので、路上でギター片手に歌ったり、大道芸のような事をして、日銭を稼いでいるらしい。

すごい暮らしだ。

 

何にせよ、およそ日本で聞いた事も、会った事もない面白い人達である。

 

そして中には、ここが心地よいので、日本で少しまとまった休みが取れると、ここに泊まりにくる 短期旅行の常連さんも多いらしい。

 

そんな皆は、する事がない時は、屋根もある吹き抜けの共有スペースで、ダラダラしたり、ギターを弾いたり、トランプをしたりしている。。

まるで大学のサークルを思い出させる。

そんな自由さがここにはあった。

 

僕が到着した時、鍵の番号を教えてくれた男性は 長期旅行者で、南野という28歳の旅人であった。

かなり柔らかい印象の青年だ。

初対面で、不思議とウマが合った僕達は、すぐに打ち解けて、

僕は、彼の渾名である「なんちゃん」という名前で呼ぶことにし、彼には 日本での僕の渾名である「ヅマさん」と呼び合う事になった。

バンコクには何回も来ているが、ここに来るのは初めてだという。

そして、今日来たばかりだと言う。

もう3年 日本には帰っていないそうだ。

 

 

宿の主人さんが、明日帰ってくるとのことなので、とりあえず代理の、旅人兼スタッフの方に、部屋に案内してもらう。

2階の一人部屋であるが、言われた通りクーラーは無く。扇風機が一台あるだけの、角の部屋だ。

3畳くらいの部屋は、そこまで狭くはない。

 

僕は荷解きをして、部屋はやはり暑いので、早速 涼しそうな共有スペースに降りていった。

 

下ではなんちゃんが、もう一人の日本人と、ギター片手に話している。

話しかけるともう一人は、木下さんという男性で、童顔で ちょこんとした感じの人で、30歳だと言う。

3人とも「今日この宿に来た」 という、何かの縁で、僕らは色々話して仲良くなっていた。

そして、そんな日本人宿は、誰かがイベントを提案して「いきたい人〜」と募ることもあるようだ。

 

今夜は 常連組の、29歳の、いかにも日本で仕事をバリバリやってそうな女性の提案で、有志の皆で出かける事になった。

なんと無しに、彼女に仕事を聞くとやはり大手のレコード会社勤務らしい。

中々 綺麗な女性である。

 

僕は、なんちゃんと、木下さんと話して、

「せっかくだから」と、皆と一緒に行く事にした。

10人程のメンバーは、タクシーにバラけて乗って、現地に向かう。

タクシーの交渉は、旅人のなんちゃんに任せて、場所までも指定してもらう。

 

ここバンコクは、タクシーは、まずは窓越しにやり取りする。

まず、メータータクシーか聞く。

メーターじゃ無い場合は、場所を告げて、いくらで行くかと交渉をする。

 

何故最初にメーターか聞くかというと、ほとんどの場合、メータータクシーの方が安いからである。

メーターを積んで無い運転手は、行き先にもよるが、大体50〜100バーツは高くふっかけてくる。そういう運転手はこちらが、

 メータータクシー?

と聞くと、答えずに、すぐ行く場所を聞き返してくる。

 

幸いメータータクシーがすぐに見つかり、僕達は、夜のバンコクへと繰り出した。

ここバンコクは、もうタクシーがほとんどのようだ。

タイの代名詞だと思っていた、トゥクトゥクはまず見かけない。

聞くところによると、ベトナムのシクロと同じで、観光用の乗り物になっているとか。。

ありし日のタイが見れないのは、少し寂しいが しょうがない。

 

そんな中、すぐにメータータクシーを捕まえた僕たちは、なんちゃんの英語で、行き先を告げた。どうやら有名な歓楽街らしく、そこの名前を聞いたタクシー運転手は、「OK。」と片手を上げて、すぐに出発してくれた。

なんちゃんに聞いてみる。

 

 なんか、どこ行くのかわからんのだけど、

 なんて言ってたっけ?

 

「ゴーゴーボーイっすね。」

 

 ???  ゴーゴーボーイ??  なんそれ?

 

「僕も行くのは初めてですけど。。

 まぁ、ズマさん、行けば分かりますよ」

そういって なんちゃんはニヤリと笑った。

 

木下さんをみると、彼もキョトンとしていて、目が合うと(わかりませーん)とジェスチャーをしてきた。

やがてタクシーは、煌びやかなネオンのあるゲートの前で止まった。

ゲートの奥はさらにギラギラとしたネオンで明るい。

まるで、近未来映画のセットの様だ。

他のメンバーは僕らを待っており、全員でお店へと向かう。

「一人、〜バーツで、

 飲み物はまた別だけど良いかな〜?」

と例のレコード会社の女性が、テキパキと交渉してくれる。

ここまで来て、入らないという選択肢などない。よっぽど高くなければ、帰る者など居ないだろう。

みんなOKして、店内に入る。

店内は薄暗く、タイ人の男性のスタッフに案内される。

奥へと進むと、何やらトランスミュージックの様な音が聞こえ始める。

やがて店内の開けたところに入り、僕はなんちゃんが、ニヤリと笑った理由を理解した。

 

店内には、中央に花道の様な横長のステージがあり、まっ裸のマッチョな漢達が踊っていたのだ。  みな若い。。

僕は唖然としたが、ここに来たいと言っていた例の女子は、大喜びである。

 

奥のL字型の豪華なテーブル席に通される。

レコード会社の彼女は、舞台の真下に移っていき、かぶりつきで楽しそうだ。

僕と同じく、どこに行くのかよくわからないまま付いてきた、まだ20歳くらいの大学生の女の子は、びっくりしすぎたのか、目をまん丸くした後、真っ赤な顔を手で覆っていた。

 

舞台のすぐ横のかぶりつき席には、眼鏡をかけた、まだ16、7歳であろう、タイの若い男の子の客が2人ほど 憧れる様に、頬杖をついて、うっとりと彼らの肉体美を見上げている。。

 

 なるほど。。そういう男子達の、

 楽しみの場所でもあるんだなぁ…

と妙に納得する。

 

大はしゃぎの例の女子と、仲間の2人の女子は大はしゃぎだが、我々男共と、女子大生には、ちょっとキツイだけだった。

皆黙ってお酒を飲んでいる。。

僕は役者のサガなのか、せっかく来たので、とりあえず、一回り店内を回って見ることにした。

 

舞台にはポールもあり、トランスミュージックに合わせて、男達はクネクネと踊ったりしている。

ステージを降りたところでは、パンツ一丁の男達が、出番待ちなのか、ひたすらバーベルなどで、体を鍛えている。。

ゆっくりと、重そうなダンベルを上下させ、上腕を鍛えている、パンツにサスペンダーだけの格好の男性もいる。。 きっと オシャレなのだろう。

 凄いな。。 凄い空間だ。。

席に戻った僕は、その光景を見ながら、皆と酒を飲む。

しばらくいたが、僕は正直なので、

「俺、もう充分だから、

 他のお店に行こうかな?」

と言うと他のメンバーも、激しく同意してきた。

舞台前で楽しんでいた女子3人組も、満足したのか、帰ってきた。

彼女達は、僕らの雰囲気を感じ取ったのか、もう満足したのか、みんなで、

「出ようか。。」となり、店を出た。

 

会計はレコード会社の女性がまとめてしてくれ、一人いくらでいいよ。

と多めに出してくれていた。

思ったより、みんなが引いていたので、

流石に「悪いな。。」 と思ったらしい。

凄いところに連れてきてくれた挙句に、大はしゃぎしていたので、

(おいおい… ちょっと オネェちゃん。。 笑)

と思っていたのだが、案外可愛いところがある。

 

店を出たところで、奥の飲み屋で みんな飲むらしい。

僕は(もうここは充分だな。)と思っていたので、黙って店の前にいた。

皆、奥にワイワイ言いながら消えていった。

(まぁ、一人いなくなっても大丈夫だろう?)

と僕は、やはりあまり大人数でつるむのは昔からあまり好きでは無いので、自然とそれを見送っていた。

 

(さてと、。どうしたもんだろう…?)

と一人、入り口のゲートに帰ってきた僕に、声をかけてきた男性がいた。

それは なんちゃんだった。

「ずまさ〜ん、どこ行くんですか?

 一緒に飲みにでもいきましょうか。」

優しい笑顔でそう言ってくれたなんちゃんの横には、木下さんもニコニコしながら、立っていた。

どうやら僕のバンコクナイトは、これで終わらない様だった。

 

つづく。

 

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バンコクのタクシー


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