猫好き俳優 東正実の またたび☆

俳優 東正実の東南アジア旅

人生初シクロで シタ苦労

 

昨日泥の様に眠った僕は、心地よいベッドで ゆったりと目を覚ました。

(んん? あ、そうだ… また違う天井だ。。)

と僕は、宿を変えるたびに見る 新しい天井の景色を眺めていた。

 

時計を見ると、まだ8時頃だ。

しばらくゴロゴロしていたが、僕は起き上がり、シャワーを浴びる事にした。

 

ドアを開け 廊下に出ると、人の気配は全くない。僕は共同のシャワートイレに入り、シャワーを浴びる。

石鹸とシャンプーのボトルも設置されていたので、それを使い身体と頭を洗う。

シャンプーは、かなりメンソールが効いていて、結構 痛かった。。

(こ、これ… キツイな。 は、禿げないかな??)

などと心配だったが、在るものは使うに限る。

せっかく買った石鹸は、勿体無いので、なるべく使いたくはない。

 

各国のボディソープや、シャンプーを色々使ってきた僕だが、

これは 歴代最強クラス のメンソールだった 笑

当たり前だが、アメニティも、国によっても、宿によってもかなり違う。

それも なかなか興味深いものである。

 

身体がだいぶ軽くなっていたので、僕は午後の待ち合わせまで、また散歩に出る事にした。

(実はこれが間違いであった事は、後で分かる)

 

ハノイの街を結構周るが、炎天下を周っている内に、昨日の疲れが出た僕は、ちょっとクラクラ来たので、カフェに入る事にした。

 

冷たいアイスコーヒーを頼んで、ゆったりとする。

Wi-Fiを繋いで、色々調べものなどをしている内に、上田との待ち合わせの時間が迫って来ていた。

僕はカフェを出て、待ち合わせの彼女の宿に向かう。

宿に着くと、丁度彼女はフロントで、大きいほうの荷物を預けているところだった。

今日の夜の便で、彼女は日本に帰るのだ。

 

 なんか、そこらへんに 他のと一緒に

 荷物置かれてるんだけど… 大丈夫かな?

と心配する彼女に、

 どこもそんなもんだよー。

 フロントの前だから、意外と安全だよ。

と慰めてから、二人で街に出る。

 

まだ お昼ご飯を食べてないので、美味しそうな、米の麺の つけ麺屋のおばさんから、

「オイイシヨー!ヨッテって!」

と日本語で誘われた僕らは、そこで食べる事にし、予想通り美味しかった つけ麺に舌鼓を打ち、その後 観光に出る。

 

「水上人形劇が見たい!」と上田が言い

僕は「いいネ!」とばかりに、同意した。

 

ホーチミンで 一度見ていた僕だが、もう一度見てみたいと思っていたし、ハノイ版はどうなのかも気になっていた。

 

先に チケットを買いに行くことにした僕らは、昨日行った池の、周りにある劇場に向かった。

劇場は、いかにも老舗感のある建物で、2階が劇場の様で、一階の窓口でチケットが買えた。

ウェイティングバーなのか、窓口の隣にはバーと、お土産屋があった。

 

無事にチケットを買えた僕らは、彼女の提案で、「シクロ」という、自転車の前に客席を付けた、人力の乗り物に乗る事にした。

 

事前に交渉して、2人で30万ドンと言われたところを、25万ドンに負けて貰って、市内を周ってもらう事にした。

 

ちょっと高い気もしたが、せっかくの観光で、1250円なので、1人625円だと考えたらまぁ良い値段だろう。

一人だと、乗る事は無かったシクロだが、2人だと楽しそうだ。

 

おじさんは、ニコニコして、とても良い人そうだ。カタコトの英語で、色々街を説明してくれる。

オススメだという、小物屋さんに案内してくれ、上田もテンションが上がり、色々店内を見ている。

 

観光を再開したあたりで、おじさんが、写真を見せてくれ、

「これは私の息子だ。警察官なんだ。」

「偉いんだ、私の息子は。」

と自慢してくる。

 

最初は、微笑ましく聞いていたが、車中でも、同じ事を何回か言い始めた。

僕は少し違和感を感じていた。。

 

ホーチミン廟の前の大通りの前を過ぎて、その近くの公園を一周したところで、少し降りて休憩になった。

 

そろそろ戻らないと、

「水上人形劇に間に合わないね」

と話し合って、おじさんに、間に合うかな?

と聞いた所、おじさんは

「間に合わせるから、先にお金を払って欲しい」

と言い出した。

 

まぁ、ここまで来てくれたら、もう大丈夫かと思い、25万ドンを渡そうとすると、

「50万ドンだ!!50万ドン!!」

と、突然おじさんが言い出した。

 

最初、キョトンとしていた、人の良い僕達だったが、よく聞くと、どうやら、

 1人25万ドンの約束だから、

 2人で 50万払え!!

と言っているらしい。

僕は最初に、2人で25万だと、しっかり交渉していたので、「始めやがったな…」と思う。

 

上田は多分 人生でもボッタクリにあった事はないだろうし、女性なので

「えええ? そうなの?

 でも、25万の約束だよね??

 づま、どうしよう?」

と不安がっている。

 

おじさんは、先程の笑顔の "恵比寿顔" とは真逆の「悪い顔」になっている。

まるで、水戸黄門の「越後屋」の様な、分かりやすい悪顔だ。

そして、先程見せていた 息子の写真を見せて、

「警察だぞ!! 私の息子は!!」

と脅しをかけてくる。

 

ここまで来ると、はっきり解る、分かり易すぎる "ぼったくり"  である。

「えええ? づま、、どうしたらいいの?」

と言っている 彼女も護らなければならない。

 

何より僕は、認めてはいないが、カンボジアですでに、詐欺にもあっている 笑

これまでの 経験が生きてくる。

 

僕の頭はフル回転し、

(上田は 今日帰るから、僕と違い、

 後日、彼に会う事もないだろう。)

とまで考え、彼と対峙した。

 

「いや、2人で25万だとあなたは言った。

 間違いない。50万なんて払わない!!」

とかなり強くいうと、彼も負けじと、

 なら、警察を呼ぶ!!息子は警察だぞ!!

 電話するぞ!今するぞ!!

 私思いの息子は、すぐ飛んでくるぞ!!

と電話を見せて脅してくる。

(ああ…さっき しきりに息子が警察だと

 わざわざ言っていたのは、この脅しの

 伏線だったのね。。)

と気付く。

 

(コイツ!  かなりの確信犯だ!!)

僕は怒りが込み上げて来た。

 

「それなら、絶対払わない!!

 なんなら 1ドンも払わないぞ!!

 25万ドンだけにするか、

 それとも無しにするかだ!!」

と僕がいい。

「いや、50万払え!」

「いや、25万か、ゼロかだ!」

と言い合いをしばらく続けていると、

彼は憎々しげに僕を睨んだ後、

再び電話を見せながら、

 息子に言いつけてやる!!

 ひどい、あなたは酷い。。

 こんな年寄りを!!

 あんなに自転車を漕がせて!!

 25万で済まそうというのか!?

 ここまでいっぱい漕いだ!!

 50万と言ったに決まってるだろう!!

と泣き落とし気味に言われた。

 

たしかに、不当な事を言い始めたボッタクリだが、年寄りの彼に自転車を漕がせて、若者の僕達がゆったり座っていたのは、事実である。。

 

僕は人が良いのか、、

(たしかに… そこは間違ってないな。。)

と思ったが、もう対処は1つしかない。

 

僕は、彼の 一理 だけは認め、

「じゃあ、後 5万ドン(250円)だけ、

 チップとして渡す。これはチップだからね!

 じゃあね!タクシー探すわ!!」

と、上乗せした5万ドンとで、おじさんに30万ドンを無理矢理握らせて、上田に

 

「行くよ!! どうせシクロがあるから

 追って来れないから。」

と言って歩き出した。

 

策士の僕は実は、交渉をしながら、

「なら払わないぞ!」と、何度も脅しのジェスチャーも兼ねて、少しずつシクロから離れながら 怒鳴りあっていたのだ。

 

おじさんは、結構向こうにあるシクロが放って置けないので、悔しそうに、電話をかけるふりを始めたが、僕は上田をせかして、とにかくボッタクリシクロから離れていった。

 

後ろを振り返りながら、トラブルにならないかと 心配している上田に、

「大丈夫だから。 追って来ないから。

 十分 向こうも儲かってるから。」

と、タクシーの相場も知っている僕は、彼女を急かして 大通りを曲がり、僕達は 彼の視界から消えた。

 

ボッタクられたとは言え "無賃乗車" は、さすがにやばいだろうと思い、料金は払ったし、チップまで渡したのだから

(無賃乗車だなんだとの、

 警察沙汰にもならないだろう)

と計算して、まだハノイに滞在する僕は、

彼や、彼の仲間に

 " あまり恨みを 買わない様に "

とも計算して、一応5万ドン上乗せしていたのだ。

 

"ボッタクリだから" とは言え、

人を あまりやり込めると、必ず恨みを買う事を、僕は人生経験でよく知っている。

 

「ボッタクリされたから、

 こうしてやった!!

 1円も払わずに降りてやった!」

などと武勇伝を作る事は、僕は あまりしたくない。

何故なら必ず何処かで、恨みを買っていそうで怖いからだ。。

 

百戦錬磨の旅人ならば、まず最初の値段が高いとか、もっと上手くやれるよ?

と思うのだろうが、海外で初めてのボッタクリに遭遇した僕は、この対応で精一杯だった。

上田を不安がらせない為に 強がってはいたが、なんのかんのいっても、僕も内心ドキドキだったからだ。

 

その後僕達は、タクシーを捕まえて、無事水上人形劇に間に合った。

 

色々あったが、公演にも間に合って、

僕は ほっと胸を撫で下ろしていた。。

 

続く

 

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↑ 美味しい米のつけ麺。

 薬味の香草は、かなりキツかったので

 あまり使わなかった 笑

 

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↑ 水上人形劇に展示してある人形

 


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↑ いざシクロで市内観光!

 

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ホーチミン廟の前も周る!


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↑ 最高の笑顔のおじさんと僕。

 まさかこの恵比寿顔が、

 越後屋顔になるとは。。


「やれやれだぜ。。」と言いたくなった 笑

 

 

次話

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