猫好き俳優 東正実の またたび☆

俳優 東正実の東南アジア旅

郷に従うと酸っぱいよ、朝。

 

んん?! ここは何処だ??

結構広いシングルルームで目を覚ました僕は、

初めて見る天井を見て、そう思っていた。。

 

 あぁ…  そうだった。。ハノイかぁ。

 そういえば ベトナムに来たんだった。

 

一週間ぶりに、寝起きで違う天井を見ると、一瞬、何処にいるのか 分からなくなるようだ 笑

昨日チェックインしたこの宿は、とあるガイドブックで オススメの宿であり「日本人もよく泊まる」と聞いていた宿である。

宿のレビューも結構高かった。

この宿を、何より素晴らしいと思ったのは、ここでもまた、前回のベトナム旅でしか出逢えなかった、

バスタブ付きの宿 だったからである。

 お お おー! お、お、お風呂に入れる〜♪

僕は、プノンペンの日本風宿の「屋上露天風呂」に入れなかったことも手伝って、バスタブがある事が決め手となり、この宿を予約していた。

結局、カンボジアの遺跡周りの勤続疲労を落とす為に、ここハノイ "セルフ湯治" をする事にしていたのだ。

朝ごはん付きなので、僕は顔を洗ってから2階の部屋からフロントに降りていった。

 

フロントには、明るいこのホテルのオーナーがおり、彼は日本語が少しだけ話せるらしく、

「オハーよー!ゴザイまぁす!」

と日本人の僕に、大きな声で元気に挨拶してくれる。

 

無料の朝食は簡単なもので、パンに、あとはビュッフェ的にウインナーや、ゆで卵が置いてあり、自分で取って食べる。

使った食器は自分で洗って、水切りの食器たてに戻すシステムだった。

硬めのコッペパンの様なものが、主食の様なので、トレイを覗いてみる。

すると、何故か小さな蟻が結構いる。。

 ええ? マジで?! 蟻がたかっとる…

びっくりした僕は、一気に目が覚めた。

 

周りを見渡すと、他の宿泊者の人達は皆、気にせずに、黙々とパンを食べている。。

ベトナムバックパッカー宿は、

 皆、こういうものなのだろうか?

 気にしたら負けなのだろうか…?)

と思った僕は、周りの人たちが あまりにも平然としているので、郷に従い パンを取ることにした。

(まぁ、払いのければ問題無いだろう…)

と思ったのである。

そういえば、子供の頃お世話になった 教会の、優しかったおばさんも、ピクニックに連れて行ってくれた時に、おにぎりに蟻が一匹登ってきた時に、僕が嫌がると、

「あら、アリさんが食べに来るって事は

 それくらい美味しいおにぎりなのよ。」

と僕に優しく諭してくれたことも思い出し、

僕は旅慣れた旅行者然として、あえて騒がずに、黙って食べる事にした。

(俺が何カ国周ってきたと思ってるんだ!?

 ふーん。。全然こんなの気にしませんよ?)

と僕は強がっていたのだ。

インスタントコーヒーを入れ、ウインナーと、ゆで卵、パンを取った僕は、席に座り食べ始めた。パンを一口齧ると、酸っぱい。。気がする。

 …腐ってないよな??

匂い嗅ぐが、問題はなさそうだ。

今度は、中央の割れ目を覗いてみる。

 

するとそこには、先程のアリさん達が数匹、まだ歩き回っていた。。

 こんにちは。 ようこそベトナムへ!

アリ達に挨拶され、僕は戦慄していた。

何故なら、さっき酸っぱかったのは、アリを 一緒に噛み潰していたからだと 気付いたからだ。

(マジで?? もう飲み込んじゃったよ?!)

 

「うわー!!」と叫びたかったが必死に我慢し、再び周りを見てみると、皆平然と食べている。

僕も感覚がおかしくなり、自分が悪い気がして、

(そっか、、中も取らなきゃダメだったんだ)

という謎の境地に至り、パンの中の蟻を必死に取り出した。。が、表だけでなく、少し中にまで食い込んでいる奴もいて、なかなか大変だ。。

やっとの事で蟻を全て取ったぼくは、パンを何度もひっくり返し、確かめてから、何とか食べ切った。

朝から中々の試練だった。

 

一応、フロントの元気印おじさんにこの事を伝えると「ええ? ホントに?!」と焦ってトレイに行き、彼は目に見えている蟻を払いのけ、

「もう大丈夫!」と力強く僕に報告してくれた。

何が大丈夫なのかは、全然わからなかったが…。

 

そんな僕はとりあえず、ハノイの街に出る事にした。

昨日はすぐ近くにある、そこそこ大きい池の周りの公園へ 散歩に行ったくらいだった。

 

街に出ると、ホーチミンと違い、結構雑然としていて、道も狭い。お店もぎゅうぎゅうに営業している感じだ。

しばらく行くと、巨大な建物があり、中は、バザールになっていた。

3階建ての、中央が吹き抜けた巨大なモールだった。入って見ると、かなりの熱気だ。お客も多く、小さなお店の店主達と値段交渉をしている。

一通り三階まで冷やかした僕は、満足して、そこを出た。

 

さらに 歩いていくと、何やら かなり古い煉瓦造りの門があった。いきなり道に出現した感じで、2車線の道を、分断している。

真ん中に2メートルくらいのアーチ状の穴があり、そこからは、バイクだけが、出入りしている。上には国旗が飾られていて、ここだけ急に昔のベトナムの風情が顔を出す。

だが、特別感はなく、ここハノイの街並みや、地元の人達に違和感なく溶け込んでいる。

 不思議な門だなぁ。。風情もあるなぁ。

と引き込まれて、ここが気に入り、僕しばらく近くや遠くから眺めていた。

後で調べて見ると「東河門(ドンハー門)」という、有名な門であるらしかった。

 

街歩きをして見ると、不思議な事に、かなり街はゴミだらけだ。

ホーチミンでは、国家的ゴミ拾い人が、大量にいたのに対し、そのオレンジのツナギの人達は、かなり少ない。

 えーっと、ここは「首都」のはずなんだけど…

と、ベトナムの首都「 ハノイに対するイメージが崩れていく。

 

大通りを歩いても、オレンジツナギの国家公務員の方々は少なく、どうやら 捨てるゴミに国家公務員の数が追いついていないようである。

そして、ホーチミンでは各店に1人いた警備員の数も明らかに少ない。。

一人で2、3店舗見ている印象だった。

ホーチミンより、首都であるはずのハノイの方が、田舎のように感じた。

それでも、中々味のある街ではある。

 

僕は、昨日 空港から来るときに通った 大通りに出て、少し北上してみた。大通りは片側2車線で、車もバイクも多いが、ホーチミン程は 渋滞していない。

大都市同士のはずだが、結構違うものである。

僕はここで、ホーチミンのホテルのジョンが言っていた

ホーチミンが、一番暮らしやすいしね」

という言葉を思い出していた。

たしかに、ここベトナムの首都ハノイと比べると、ホーチミンは より洗練されている印象になる。

 

 何故、首都なのに、こんなにも、

 ホーチミンより、田舎に見えるのかしら?

 

と僕はベトナム政府のお金の使い方に疑問を覚えつつ

(まぁ、こういうの…  別に嫌いじゃないぜ? 笑)

とさらに歩いた。

 

そんな街を歩きながら僕はずっと

 (やっぱりおかしいよなぁ…)

と 朝食時に起きた現象について考えていた。

郷に従うというか、時空の歪みに引き摺られたかのように、蟻パンを食べていたが、二度と食べたく無い自分がいて、これは "旅慣れたから平気なはず" とかいう感覚とは明らかに違うはずだ。。   僕は考えた末…

 やはりおかしいのは、宿にいたアイツらだ!

という結論に至り、あの宿の朝食は二度と食べない事に決めた。

 

急に怒りが込み上げてきた僕は、

 ふざけんな…。 と呟いてから、

(もう食べないと決めたから、別にいいや…)

と前向きに、苦い記憶…というか、酸っぱい記憶とおさらばし、

ハノイの街を スッキリした気持ちで歩き出した。

 

つづく

 

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↑ どこもバザールはすごい熱気だ。

 行くだけでテンションが上がる。


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↑ 東河門(ドンハー門)

 歩いていると いきなり出現する。

 昔の風情を感じられてとても良かった。

 街中にあるので、よく前を通る為、

 その内に 親しみが出てくる。