第63話
仕掛けてくるカンボジア
中国の銀行に、手数料で "一日分の宿代" を取られた僕は、静かに怒りをたたえながら、飲み物を買う為にコンビニに向かっていた。。
コンビニに入ると やはり涼しい!!
やはりカンボジアも くそ暑い。。実は バスから降りた瞬間から、汗が吹き出していた。
水を手に取り レジで会計の際に、100$札を出した所、なんと!?
「オオゥっ?! ミリオンダラー!!」
と 店員にズッコケリアクションを取られた。
その男性店員に、
「お釣りがないので、細かいのはないか?」
と聞かれた。
しょうがないので、国境で変えておいたリエルで払う。。
どうやら 100ドル札は、
現地では 引くぐらいの高額紙幣らしい。。
僕は 100$札を、とりあえず貴重品財布の方にしまい。
パスポートの中の、25$を普段使いの 小財布に入れ直した。
それにしても「ミリオンダラー!!」である。
僕は「Million Dollar」と言うと
"100万ドル" と思ってしまうが、カンボジアでは、
100$を「ミリオンダラー」と呼ぶらしい。 不思議だ。。
「Million Dollar Baby 」(百万ドルのベイビー)
と言う アカデミー賞 受賞の映画があったが、
「100ドルのベイビー」だと格好がつかないだろう。。
また、「百ドルの夜景」に彼女を連れて行っても、ちょっと怒られそうだ 笑
そんなことを考えていたら、自然と 先程から抱えていた怒りは、どこかへ消えて無くなってしまっていた。
さすが東南アジアだ 笑
そういえば ベトナムでも、
"ひったくり" のことを
「アリババ」と呼んでいた。。
「アリババ、気を付けて
後ろから来るバイクは アリババが多い」
と言われた。
だが、僕の知識では 原作は、
「アリババと40人の盗賊」であったハズで、
主人公の ”アリババ” 自身は 盗賊ではないはずだ。そして最後は、盗賊たちを 退治する側だったはずだ。
だが、彼らからすると、
"盗っ人" =「アリババ」 らしい
まぁ。こんな事があるのが、東南アジアの面白い所である 笑
そんなことを考えながら、水を片手に汗だくで、、宿へと歩いていると 向こうから、、
信じられない数の、白いバイク集団がやってきた!!
ブオォン!!ブゥぉオン!! パパァー!!
と音を鳴らし、向こうからやってきた。
皆、白いシャツと白いキャップをかぶり、青い旗をはためかせている!!
よく見ると、車まで混じっている
その "白の集団" を見て僕は
ぼっ、暴走族だ!
かっ、、カンボジアの暴走族だ!!!
カンボジアに来て…
いきなり"暴走族" に遭遇した!?
と驚愕した!!
だが、、落ち着きを取り戻し よく見てみると…
んん…?? みんな笑顔だ。
ニコニコしている…?!
それに…おじさん おばさんばかりで
若者はあまりいない。。
そう思って見ていると、何人かは笑顔で 僕に手を振ってくる。
一応 手を振り返すが、謎のままである。
どうやら、何かのパレードの様だ。
かなり長いパレードで、 ”白い中年達” は2分程途切れず、そのまま結構なスピードで 通り過ぎていく。。
彼らが走り去った後の道路は、何事もなかったように、さっきまでの道路に戻った。
車やバイクもまばらだ。
僕はしばらく呆けていた。。
何だったんだろう?今のは?!
あまりの暑さに僕は、
まぼろしでも 見たのだろうか??
と疑うくらいの暑さと、現実感の無さだった。
もし、熱中症の幻覚だとしたら相当やばい。。
とにかく僕は 水をガブガブ飲み、日陰を選んで宿へ急ぐことにした。
途中で日本語表記のホテルを見つけ、涼むついでに話を聞こうと 中に入ってみると、ホテルの内装も日本風だ。
フロントには、なんと!
日本語が話せるスタッフさんがいた。
カンボジアの方だと思うが、まだ30手前の丁寧に話してくれる男性で、日本語で話せるので助かる。
宿は決めていたが、一応一部屋の値段と、部屋の写真を見せて貰う。値段はそこまで高くない。
聞くところによると、このホテルは、東南アジア各国に 何件かチェーン店があり、和食が食べれたり、日本のテレビも見れるらしいが、最大の売りは 屋上にある露店風呂だった!
まさか カンボジアに露天風呂があると思わず、僕は驚き 喜んだ。
いままで周った国の中でも 初めての設備だ。
そしてなんと!! 宿泊客でなくとも、お風呂だけ入れるプランもあるらしい!
僕は「時間が出来たら是非伺います!」と言いながら
(そういえば!さっきの。。)
と ふと思い出し、例の ”白い中年達” について聞いてみた。
彼が言うには、近く選挙がある為、支持政党の応援の為にパレードをしているとか。
どうやらこの国では 選挙はお祭りのようなものらしい。
僕は、あの 白の集団が 幻では無かったことに安心し、お礼を言い ホテルのカードを貰ってその宿を出た。
道をさらに歩く。。
大通りではなく一本入った道なので、車はあまり来ず、人もあまり歩いていない。
野良犬がちらほらいるが、暑さのためか、あまり活動的ではない。。助かる。
今回の僕の宿は、プノンペンで日本人の方が経営する、ドミトリー宿だった。
日本人のレビューも評判が良く、booking .comでも、9点以上の宿だ。
Googleマップを頼りに、宿の通りまで来ると、右側には鉄柵付きの塀があり、その奥には赤茶色の屋根の建物が、縦長に続く。それは国立の博物館らしい。かなり広い敷地であった。
やがて宿に着く。
外観は3階建てで、一階は、こうゆう宿では、ありがちなのだが、縦長のカフェになっていた。そのカフェは、綺麗でおしゃれだった。
日本人のマスターがいて、その男性が 宿のオーナーさんだった。
40歳中盤の、落ち着いた雰囲気ではあるが、柔らかい印象の 明るい方だった。
部屋へと案内しながら、色々と宿のシステムを教えてくれた。
部屋は照明がやけに暗かったが、たぶん 部屋で騒がれないように、という工夫だと思う。
寝ることがメインになりそうだ。
だが、奥の窓のカーテンを開けると明るいし、小さなバルコニーもある。
バルコニーからは、目の前の博物館と、道を行く人々や、そこを走る「トゥクトゥク」が見える。
ベッドは二段ベッドが3つあり6人部屋だ。
その割には部屋は広く、贅沢な作りのドミトリーだった。
ベッドは布できちんと仕切られており、プライバシーは確保できる。
しっかりした作りのベッドなので、軋みの音に悩まされる事も無さそうだ。
何より、床もベッドも清潔なのが素晴らしい。
さらに、鉄製の大きなロッカーがあり、りっぱな錠前のカギもついており、それを1人につき一つ貸してもらえるので安心だ。
日本人ならではの、お客さんの事を考えて作られた宿である。
また当たりの宿を引いた!!
僕はカンボジアに到着早々、幸先の良さを感じていた。
荷物を整理し、下段のベッドから這い出た僕は、誰も部屋には居ないので カーテンを開け、窓際に置いてある椅子に座り、窓から道を眺めていた。
「トゥクトゥク」が多い、タイで多く走っている というイメージだったが、カンボジアも多いみたいだ。
僕は、話には聞いていたトゥクトゥクを、ここ三ヵ国目のカンボジアで 初めて見た。
トゥクトゥクとは、オート三輪のタクシーと、オートバイに 客席の荷台を引かせる種類のものがある。ここカンボジアは、後者が主流のようだ。
ようは、馬の代わりに、オートバイで引く馬車である。
そんな風景を見ながら僕は、
国が変わると、わかりやすく
乗り物自体が変わるのだなぁ。。
と、3カ国目ならではの感想を抱きながら、詳しい話を聞きに、フロントのある一階のカフェへと降りて行った。
続く
↑ 暴走族?!
ではなく、支持政党応援パレード。
↑ プノンペンでは珍しい
一体型トゥクトゥク
ほとんどは、バイク引き式である。
次話