猫好き俳優 東正実の またたび☆

俳優 東正実の東南アジア旅

ゴムゴムのトウモコロシ。

 

第75話

ゴムゴムのトウモコロシ。

 

パブの2階に上がり、外がよく見える席に座っていいかを聞き、そのスタッフに、いつものようにすぐにビールを頼んだ。

 

彼はすぐに、よく冷えた瓶ビールを持ってきてくれた。メニューを見ると、とうもろこしの揚げ物があるらしく、美味しそうだと思い、それを頼んだ。

こういうところのミュージシャンは、どれくらいお金が貰えるのか、どうなのか分からないが、とにかく上手だ。プロだなぁと思うレベルの人たちが多い。耳が洗われる。

2階は 結構混んでいたが、家族連れなどで、あまり、音楽は聴いていない。

僕は曲の終わりのたびに拍手していた。

やがてコーンの揚げ物が来た。

コーンまるごとではなく、缶詰のつぶつぶコーンを そのまま上げた感じで、意外だった。

山盛りのそれをスプーンですくい、口に放り込むと、結構硬い。。というか、歯応え??

ギュムギュムとゴムのような強さがあり、なかなか飲み込めない。。

ぼくはその後、3口ほど頑張ったが、食べるのを諦めた。

顎が疲れ切ってしまったからだ。

僕は顎の力を鍛える為に、わざわざこの店に来たわけでは無い 笑

他のメニューを頼む気が失せた僕は、曲を聴きながら、テラス席から見える大通りを眺めながら、もう少し雰囲気を楽しんだら、向いにあるこじんまりとしたお店に行こうと決めた。

ひょっとしたら、山盛りコーンの「下の方はイケるのでは?」と

最後にもう一度だけ、下の方をすくって頬張ってみたが、コーンは変わらず、僕の顎を鍛え続けただけだった。。

 

(店の雰囲気も、歌もいいし、

 ビールは美味いんだけどね〜。)

なんか…、もったいないなぁ。。

と思いながら、会計を頼んで店を出た。

 

咬合力(噛む力)が格段にアップした僕は、通りの向かいの店に、その成果を見せに行こうと大通りを渡った。

夜になってはいるが、結構車は走っている。

こじんまりとした、扉もない店に顔を出すと、16歳くらいの少年が、カタコトの英語で話しかけてきてくれた。

他のお客さんの食べている炒め物も、美味しそうだ。

僕はここで夕飯を食べる事にして、席に着いた。

まずはやはりビールだ。

ここは、カンボジアのビールの「アンコール」だけではなく、瓶のタイガービアーも置いていた。マレーシアぶりのタイガービアである。

懐かしくてそれを頼んだ。

瓶ビールは、触るとぬるかったが、その後すぐに、氷を入れたジョッキを置いてくれた。

どうやら、冷蔵庫で冷やさず、氷でカチワリにして、冷やして飲むらしい 笑

このシステムは初めてだった。

しかもカンボジアの氷だ。。

 ええと… 大丈夫かしら??

とは思ったが、氷は 昔の飲食店や昔のマックで使っていた様な、小さな 四角いダイスの様な氷ではなく、結構ちゃんとした筒形で、中に空洞が空いている、円柱のしっかりとした氷である。

周りの人も普通に その氷で呑んでいる。

僕は、大丈夫だろうと 郷に入り従う事にした。

旅の最初の "食べてはいけない5箇条" は、旅の間に だいぶ様変わりしていた。

ホーチミンで、猫を美味しいと言っていた友人の女性に、僕は 他にも聞いていた事があった。

ベトナムの人はお腹を壊さないの?

 お腹が強いの?」と質問をして

「ちゃんとお腹を壊します。

 よく壊します。 同じ人間ですから。

 貴方がお腹壊すものは 私達も壊します。」

と丁寧に怒られていた。

 

そんな僕は、現地の人が大丈夫なら、大概のものは大丈夫だと、ついに腹を括っていたのだ。

だって 同じ人間だもの。

 

僕は氷にビールを注ぎ、飲む事にした。

凄く泡立つ 常温ビールを慎重に入れ

飲んでみると、スッキリして美味い!!

 やるな!! カンボジア!!

と僕はそのまま、回鍋肉風の豚肉の野菜炒めを頼み、チャーハンも頼んだ。

2杯目のカチワリビールを頼んだあたりで、料理が来た。

ゴムゴムも、ワシワシもしていない、美味しい野菜炒めだった。

僕は断然、ビールが進み、大量に摂取していく。どうやらお腹の具合は大丈夫そうだ。

瓶ビールを4本飲んで、僕はその日は大満足して宿に帰った。

宿の玄関扉を開け、さらに宿の扉を開ける。

フロントの店主の奥さんが、挨拶してくれる。

 

僕は「グッドナイト!!」と言ってから、2階に上がり、そのままベッドに倒れ込んで寝てしまった。 シェムリアップも最高である!

 

…翌日、僕は10時半過ぎに起きた。

やはり移動日の翌日は、早起きが出来ない。。

ベットで少し ぼぉ〜っとしてから、シャワーを浴びた後、昨日頼んでおいたモーニングを食べに向かう。

どうやら幸いな事に、お腹も無事なようだ。

部屋を出てすぐ右手のテラスに向かう。

僕の他には、男性が1人モーニングを食べていた。「ぐっどもーにんぐ」と挨拶をし、隣のテーブルの席座った。

若い宿の女性スタッフに挨拶をすると、しばらくすると、モーニングを持ってきてくれた。

内容は、一般的なスクランブルエッグとパン、スープとサラダ、置いてる皿から取るフルーツ付きのモーニングだった。

フルーツは何種類かあり 食べ放題で、パンはお代わりして良いとの事であった。

味は。。かなり普通だった。

フルーツ好きなら最高のモーニングだと思うのだが、残念ながら僕はあまりフルーツが好きではないのだ 笑

 これだとちょっと割高だなぁ。。

と感じた僕は、次の日から、モーニングは頼まない事にした。

 

その後、フロントに降りて、ツアーの相談をする。

昨日説明して貰っていたのだが、この宿の良いところは、宿がツアーを主催している事である。移動手段がトゥクトゥクのこの街では、遺跡を周るには、トゥクトゥクを貸し切って周るのが一番効率的で、一番経済的だ。

僕もここに来るまでは、遺跡が、ギュッと固まっている街だと 勝手に思っていたが、Googleマップで場所を見てみると、アンコールワットですら、宿から歩いて行ける距離にないし、遺跡群は、各地に点在している為、かなり移動しなければならない。

もちろん、アンコールワットやアンコール・トムのバイヨンの様に、隣り合って遺跡が固まっている所もあるが、それでも、徒歩移動だけだと無理だろう。

 

この宿には3人のお抱えのトゥクトゥクドライバーがおり、1人は英語と少しの日本語、もう2人は英語が喋れる。彼らは宿の送迎だけでなく、ガイドも兼ねているのだ。

そして、最初に宿で 値段を確認し、交渉できる事が大きい。トラブルがあっても、宿にクレームを入れたり、責任を問える。

 

実は、シェムリアップトゥクトゥクは、個人で頼もうとすると、かなりの交渉力を要するらしいと聞いていた。

ぼったくりも普通にあるし、英語が怪しい人も多く、最初に値段を取り決めるのも一苦労だ。とり決めたはずの値段も後から

「そんな事は言ってない!」と、ひっくり返され、吹っかけられる事も多いと。

トラブルにあっても、相手が流しのトゥクトゥクだと、泣き寝入りするしかない。

それを分かっている悪質ドライバーが 結構いるらしい。勿論、逆に優良なドライバーさんもいるに違いないが、それを自分で判断し、交渉し、コミニュケーションを取り、自分で行きたい所を決め、そこに行ってもらえる様に話し合う。。

こういう事が好きな旅人もいるだろうが、初海外の僕にはハードルが高すぎる。

僕は、多少値段が高くても、こういうストレスや、手間は回避する事に決めていた。

僕の「安全をお金で買う」という考えは、予防注射を打ちまくっていた、新横浜から変わっていない。

そんな僕が、フロントにいた宿の主人に、ツアーに行きたい旨を話すと「えっ?」という顔をされ、彼は時計を見て、考え始めた。

どうやら、昼から行けるツアーは限られているらしい。

 もう少し早く起きるべきだった。。

とちょっと焦っていると、メニューを見せてくれ「small tour」というものを勧めてくれた。

僕は、何日かに分けて遺跡を巡るつもりだったので、初日は彼に言われるままに、そのツアーに決めた。値段も安かったし、実は正直、どこに行ったら良いのかも分からなかったからだ 笑

 

彼は、すぐに表に出て、トゥクトゥクドライバーを呼んでくれた。

黒いキャップの若い男性。

それは、昨日迎えにきてくれたジェイクだった。

僕の遺跡周りは、彼と共に始まる事となった。

 

続く

 

https://youtu.be/hN3cHUFFcoU

シェムリアップの最初の夜 パブにて

 

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↑ パブの2階のテラス席と

    そこから見える大通り

 

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↑ モーニングのテラス

 

 

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