第94話
乾いた赤土の大地
それが僕のカンボジアの印象でもある。
シェムリアップは、自然に囲まれた、田舎の観光地という印象だ。
遺跡だけではなく、カンボジアの田舎も堪能できるので、のんびりしてて僕は好きだ。
だが、観光地でもあるので、バーや、レストラン、バザール、サーカスなども色々あり、本当の田舎とは違い、遊ぶところは結構ある。
市街は、通りはアスファルトの道が多く、お店や、家屋などが密集しているが、シェムリアップ国際空港や、郊外の遺跡に向かうと、道中に見るものは、たまに道端に建っている平屋の民家か、他は畑か、野原である。
後はひたすらカンボジアの赤土の大地と、向こう側に見えるあまり高くはない山々、そして晴れ渡る空。遮るものが無いので、道の向こうに空が良く見える。
トゥクトゥクいえばタイのイメージがあるが、実際、今はタイでは(特にバンコクは)タクシーが殆どで、トゥクトゥクはもう 浅草の人力車的な観光用の需要がある程度だ。
なのでトゥクトゥクが大好きな方は、カンボジアがオススメです! 笑
意外とカンボジアは、ご飯も、お店も色々あり、ちゃんと選べばかなり美味しいし、ビールも安い!
宿も、僕が泊まった宿は清潔で広いシングルルームで、シャワートイレ付きで、一泊千円程度で、かなり安かった。
一番お金を使わずにのんびりできる国でもある。ベトナムも食事やビールが同じくらい安いのだが、宿だけは、カンボジアの倍くらいの相場だからだ。
そして何より自国通貨がメインでなく、米ドルが支払いのメイン通貨として流通している不思議な国でもある。
なので、日本円だといくら? という計算も簡単に出来る。
唯一不安なのが 治安だが、僕が行ったところでは、夜でも、不用意に路地に入らず、気を付けていれば、そこまで危なく無い。という印象であった。
だが、ひったくりや、トゥクトゥクのボッタクリ、強盗などの話をよく聞き、特に夜は、僕の行った他の国に比べると明らかに雰囲気は違う。
社会情勢がまだ不安定の国の為、お金で色々解決できてしまうのも原因の一つだろう。
拳銃も「お金を出せばすぐ手に入る」
と聞いていたし、何か警察沙汰になっても、
お金か、街の有力者(市長や、町長等)にコネあればすぐに解決できるとも聞いた。
何にせよ、まだまだ荒削りな国なのだが、そこがまた魅力でもあるのだ。
そして、シェムリアップの遺跡群はカンボジアを代表する、いや、世界に冠する観光地である。
アンコール・ワットを始めとする遺跡は、各場所に点在し、その大きさも、形も様々だ。
本当に東西南北すべての遺跡を周ろうとすると、たぶん一週間以上はかかると思う。
もしかしたら、それでも周り切れないかもしれない。
シェムリアップに来てみて、一番驚いたのは、その遺跡たちの多さである。
そして、炎天下でそれらを周るのは結構大変だ。
一か月間、アジア三か国を歩き倒した僕ですら、途中で体力の限界を感じた。
一週間休みなく、みっちりと遺跡を周る。。
もしそのスケジュールで動くことを考えてみると、実際に三日しか周ってない僕でも、かなりゾッとする日程だ 笑
なので、遺跡周りは余裕をもってスケジュールを組むことがお勧めです。
遺跡周り 休み 遺跡周り 休み 遺跡周り
と言うような日程が理想だと思う。
あと " 絶対に" 自転車で周ろう となど、しないで頂きたい。
これはその悲劇を目撃した僕からのお願いだ 笑
大変だが、遺跡周りはかなり楽しい、最初はすべて同じように見える遺跡も、周ってるうちに、個性と言うか、違いが分かるようになってくる。
そして、「いいな」と思った遺跡はじっくり周ればいいし、「なんかなぁ…」と思った遺跡は一通り見たら すぐに出ればいい。
そういった遺跡の周り方は、美術館で絵を見て周るのに似ていると思う。
少なくとも僕は、その周り方で充分楽しめた。
そして、なんといっても、シェムリアップの子供たちが、とても可愛くて 美しかった。
ご縁があって、僕は日本では、お芝居を子供達に教えたり、一緒に共演する事もある。
そのやりとりも、とても好きだし、子供達といると とても良い刺激を貰えたり、感動したりする。
だが、カンボジアの子供達の笑顔は、それとは少し違う、正に「天使たち」とも言うべくような、本当に無邪気な笑顔である。
何故だろう? と考えてみた。
これは僕の勝手な考察だが、日本の子供達は、優しいと言うか、良くも悪くも空気を読まないといけない所が、強制されている気がする。
どこか傷つかないように傷付けないように、
「完全に無防備ではいられないから」な気がする。
僕も経験があるのだが、本当に無防備でいると、早いうちに出る杭のように打たれて矯正される。。
たぶん、そのせいで処世術のようなものが、子供ながらに、少し身についてしまう。。だがそれは自分や、他人を守る為の優しさや、防御なのだろう。
これはきっと、僕ら日本の 大人の責任でもあると思う。
カンボジアの子供達は、逆に とことん無防備な気がする。
「傷付けられる事など一切無い」と 信じているようなところがある様に見えるのだ。
僕は、どっちが良い とか言っているのでは無い。ただ、カンボジアの子供達からしか受けない感動が 確かにあるのである。
勿論、日本では、日本の子供達からしか貰えない感動もある。それも素晴らしいものだ。
これは僕の主観で、僕が感じて考えた事なので、本当にそうなのかはわからないが、僕は確かに現地でそう感じたのだ。
また、シェムリアップでは、プノンペンで見かけなかった、お年寄りの方との交流もあったり、現地の人とも少し交流がもてた。
彼らは素朴で、柔らかい明るさを持っていて、笑顔がとにかく素敵だった。
色々なものを見て、人と交わり、僕は カンボジアをどんどん好きになっていった。
「またいってみたい国は?」
とよく聞かれるが、
「他も色々また行きたいけど、
やっぱり、カンボジアかなぁ。。」
と答える自分がいる。
そんな魅力的な国を出て僕は、いよいよ初めて再入国するベトナムへと旅立つ事になる。
ベトナムでは、何が待ち受けているのか?
楽しみでしかない自分がいた。
そして旅はつづく
↑ シェムリアップ 遺跡コレクション
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