第62話
一路?プノンペンへ。
ついに国境を越え、カンボジアに入った。
カンボジアの道をバスはひたすら走る。
道の横には建物や民家はあるが、空き地も多く、建物の奥にも空き地や畑が多い。田舎道だ 。
アスファルトなのは、僕たちが走っている国道だけで、一本横や 交差点で脇に入った道は、ほとんどが乾いた赤土の道路である。
しばらく行くと、平屋の大きな建物が奥にあり、その前の 乾いた土の駐車場にバスは止まった。他にもバスが止まっている。
建物は食堂になっていて、どうやらここで食事休憩を取るようだ。
バスを降りるが、何時に戻ってこいとは言われない。。
皆、最初は戸惑っていたが、食堂に入る者、隣の小さなストアで買い物をし バスの座席に戻る者と別れた。
僕がとりあえずトイレに行って戻ってくると、さっき降りるのを見た、僕のバスの運転手が、席で昼食を食べ始めていた。
彼が出ない限り、物理的にバスは動かないはずだ。僕は 近くの席で、彼を見張りながら 食事を取る事にした。このバス会社の調子だと、油断していると うっかり置いていかれても 不思議では無い。。自分の身は自分で守らなければならない。(一体どんなバスツアーだ 笑)
先払いのシステムで、スープ付きのチャーハンのようなものを頼んだ。
国境付近の為か、何故かベトナムドンが使えたので、余っていたベトナムドンを使う事にした。
食事はベトナムより少し安かったが、味はあんまりだった。
ひとつ驚いたことがある、カンボジアに来たのだと 実感させられた事だ。
それは、食事を終えて、まだ運転手が席にいることを確認しながら、缶コーヒーでも買おうと
隣のストアに行った時、
干してあるのか、売っているのかわからないが、店先に、直径1メートルほどの皿の上に、昆虫が山盛りで置いてあったことだ。
多分油で揚げたであろうそれは3種類あり、コオロギらしきものと、黒い黄金虫と、僕にはどう見ても、ゴキブリにしか見えないものが、山盛りで置いてある。。
これ。。?本当に食べるの??
と僕は少し気持ち悪くなったが、日本でもイナゴを食べるのだから、不思議は無い と思い直した。
だが。。一種類は確実にゴキブリにしか見えない。。何度見ても、見れば見るほど「G」である。
僕も 他の観光客と同じく写真を撮ったが、少し考えて、、やはり気持ち悪いので、珍しく写真をすぐに削除した。
バスの運転手は、まだゆったりと席にいる。
ここは、子犬や、猫がおり、鶏まで走り回っている。
静かで、何か平和だ。。
大きな建物は周りになく、空が向こうによく見える。
僕は再び運転手の近くに座り、道の向かいに見えるカンボジアの大地と、空を見ながら、缶コーヒーをのんでいた。
ここでふっと気づいたのだが、、
パスポートを返して貰っていない。。
僕は、あれ??っと思った。
スタッフ忘れているんじゃ無い??と。
普通、国境を越えたら、すぐ返してくれるのが当たり前では無いか?
また不安になった僕は、席に戻ったら 隣の白人さんに相談してみようと思い。
運転手が、戻ったタイミングで、そそくさとバスに戻った。
バスに戻ると、皆不安なのか、すでに全員が席に戻っていた。
僕が席に着くと、添乗員が 数を数えるでもなく、目視で後部座席までざっと見て、運転手と話し、バスは再び走り出した。
隣の白人さんに、
「パスポートは、返してもらった?」
と聞くと
「いや、まだだ。。けど、大丈夫だろ?
気にしない 気にしない。」
と力強く励ましてくれた。
そのとおりで、しばらく走ると添乗員が、パスポートを乗客に返し始めた。
僕もそうだが、外国人の顔は、区別がつきにくい。。だが、スタッフは、ひょいひょいとパスポートを返していく。
(凄いなぁ、さすが慣れているなぁ。)
と思っていたが、何のことはない、自分にわかるようにパスポートを列の順番で重ねておき、その順番通りに返しているだけのようだ。
その為、たまに隣の人と間違えて渡すが、
本人達が気づいて「これあなたのじゃない?」
と渡したり、勝手に交換するので、問題は無いようだ 笑
僕は唯一の日本人のためか、間違えずちゃんと本人に渡してくれた。
もう一つ気付いたのだが、一人乗客が増えていた。
立派なアゴ髭とはやした、中東によくいそうな男性だった。
添乗員の横に座り、親しげに話をしている。
どうやら、客ではなく 添乗員の友達のようだ。このバスに ついでに乗せてあげているのだ。
このシステムは不思議なもので、彼が1時間後に降りて行った後、しばらくして、また1人乗り込んできた。
そして彼らは降りたい所で降りていく。
やがてバスはプノンペン市内に入った。
さすがに首都プノンペンである。
街並みが一変し、建物だらけになる。そして道は、アスファルトの舗装された道路だけになる。
間違いなくここは大都会だ。
このバスには観光客だけではなく、ホーチミンからカンボジアに帰る人もいて、何人かは、信号待ちの間に、途中でバスを降りて行った。
Googleマップを見ると、僕の宿の近くに近づいていたので降りたかったが、バスの下に荷物を預けていたので、到着まで座っていることにした。
それから数分後に バスは無事、プノンペンのバス停に到着した。
Googleマップを見ると、宿からは2キロほど離れていたが、歩けない距離ではない。
隣の白人さんに、軽く挨拶をして別れた。
もちろん「Good Luck ! 」である。
まずは お金を下ろそうと、道を挟んだ目の前の中国語の銀行に向かう。
やはりカンボジアもバイクだらけだ。。
カンボジアも右車線である、左を見て、右を見て渡る。 もう右車線には慣れ切っていた。
だが、細心の注意を払って渡る。
国が違えば、運転も違う。
慣れるまでは、特に注意が必要だ。
完全に安全な歩道でなければ、携帯を見るのも控えることにする。
初めて、中国系の銀行のATMを利用してみる。
立派な銀行の中に入り、ATMでいつも通り英語で何となく進み
「WITH DRAWAL」を押し、何ドル分のお金を下ろしますか? という画面に、
100と打ち込み、100$分のカンボジア通貨を下ろす事にした。
すると国境で両替した、カンボジアリアルではなく。
「100ドル札」が1枚 ピン札で出て来た。
やはりな。。そいうことか。
と僕はべつに カンボジアリエルが出て来ない事に驚きはしなかった。
クレジットカードでお金を下ろすというのは、要はクレジットカードのお金で、その国の通貨を、その時のレートに近く ”買う ”ということである。
お金が出てくるので、下ろしているように感じるが、実はクレジットカードの枠で、
通貨を買っているのだ。
なので、その国の通貨が出て来ないといけない。
つまり、ドルが出て来たと言う事は、
この国の"通貨"は 米ドルと言う事なのだ。
実は 国境を越えてすぐの食堂も、隣のストアも、米ドルでの表示があり、ドルで支払いが出来たのだ。
その時に、
(米ドルが そのまま使えるのではないか?)
と思っていたし、カンボジアのバス会社であろう、ツアーバスのビザ取得代が、米ドルありきだったこともヒントになっていた。
だが、明細を見て、僕は止まった。。
なんと!手数料が6ドルも取られていたのだ。。普通、1ドルとか、2ドルで、下ろせたのだが、ここに来て650円ほど取られた。。
一晩の宿代と同じである!!
(今回予約したドミトリー宿は
一晩の値段が、6ドルであった!)
「たっか!!ナニコレ??」
と僕は この銀行が大嫌いになった。。
「中国系の銀行! 二度と使わない!!」
僕はこの旅で、久しぶりに腹が立っていた!
ぷりぷりしながら僕は、飲み物を買うついでに、ピン札の100$札を崩そうと、コンビニに向かっていた。
続く
↑ カンボジアでの初めての食事
↑ そこらを歩き回る鶏
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