猫好き俳優 東正実の またたび☆

俳優 東正実の東南アジア旅

メールが来た。稽古だ。

 

水上人形劇の後、珍しく部屋飲みをしていた。

ホテルでゆっくり333(バーバーバー)ビアを飲んでいると、Gmailが来た。

 

ユンさんからだ!

「明日、稽古に来ませんかー?

 会わせたい方も明日会わせたいです!」

とのありがたい申し出だ。

 

帰る日も、明日 何するかも決まっていない僕に、またしても知り合った方が、お誘いしてくれる。

一つ返事で「参ります」と答える。

どうせ明日も 朝起きて

「さぁ。。今日は何をしようかな?」

と1日が始まるだけであるからだ。

 

この間、宿まで送って貰っていたので、

「ホテルまで迎えにいくわよー!」

と、ありがたい申し出を受け、昼前にユンさんが迎えに来てくれる事となった。

しかし "芝居がしたいな" と思った途端に、稽古の連絡をくれるとは、さすがユンさんだ 笑

 

僕はセブンイレブンで買った、東南アジアでしか見ない、塩味のポテトチップスを食べながら、明日が楽しみだなぁ。。

とテレビを見ていた。

外国で見るテレビは 結構面白い。

 

つい先日は、アニメの「スラムダンク」をやっていた。

ベトナムでは、日本の漫画は大人気のようで、コンビニには、名探偵コナンや、ドラえもんベトナム語訳された単行本が売っている。

(因みに僕は コナンには一回だけ

  チョイ役で出演したことがある)

 

スラムダンク」は、ベトナムの声優達が芝居をしている。ベトナム語はさっぱりわからないが、何度も単行本を読み直している僕には、画面から 何故か日本の声が聞こえ、内容がわかる。

丁度神回の

安西先生!!バスケがしたいです!!」

の回だった。。

「み、三井。。!!」と僕は酔いも手伝って、ベトナム語の三井のセリフで号泣していた 笑

僕は三井の大ファンだ。

 

話を今日に戻すと、

今日は「ジャッキー・チェン」のアクション映画をやっていた。

僕はそれを見ながら驚愕していた。。

一応、日本でそこそこ声優業もやっている僕だ。日本では 間違いなくありえない放送を見たのである。。

それは!!ひとりのアナウンサー風の声優が、活弁士宜しく、一人で、今 生放送で当てているのか? という感じで、中国語に遅れながら、全部の俳優に時間差で声を当てていたのだ。

「そんなバカな!!??」と僕はびっくりした。

イメージとしては、BSで良くやっている、外国のニュースに、生で通訳の方が 後から日本語を当てているあれだ!!

 

役で声色を使いわける訳でもなく、淡々と中国語に遅れて、ナレーションの様にベトナム語を当てていく。。もう奇跡である。

 

声の字幕? とでも言った方が分かりやすいかもしれない。

 

ジャッキー映画を "吹き替え" で育った僕ですら、ジャッキー感ゼロの吹き替えを初めて見たのであった。

 

ともあれ、ベトナムのお芝居事情に、テレビでもこうやって触れることができる。

しかも僕は ベトナム演劇のど真ん中に知り合いが出来、稽古まで参加できる。

 本当に運がいいなぁ。

と自分の 人と出会う運に改めて感謝した。

今回、ドミトリーに泊まっているわけでもない僕は、人と出逢わなければ、そこらを歩いて 飲んで それで1日が終わるはずだからである。

それはそれで楽しいが、断然人と触れ合う方が面白い。

その後、僕は「333」で 宅飲みしながら、知らない内に眠りに落ちていた。。

 

 

…頭の上で携帯のアラームが鳴り響く。。

イベントのある日は必ず鳴り響く音楽である。

 

ベトナムに来てから、アラームをかける事が多くなった気がする。

そしてこの天井にも慣れたのか

「ここはどこだろう??」とも思わなくなっていた。

 

部屋の机を見ると、333の缶が4、5本並んでいる。。 結構飲んだなぁ。。

だが、頭はスッキリしている。

飲みやすくて残らない!

嗚呼!! ベトナムビアの素晴らしき哉 である

 

とりあえずいつものように洗顔しながら、鏡前で顔色を見る。。健康そのものだ。

なにか、アジアに来てから 痩せたのもあるが、どんどん若返っている気がする。

こないだ20代に間違われたのも 満更ではないな?と思いながら、鏡にポーズを決めてみる。

 うん! 悪くない!! 

今日は久しぶりに俳優として動くので、

変なテンションになっていた。

どこでも、初めての稽古場に行く時は、いつも多少の緊張感とワクワク感が交差する。

役者の醍醐味である。

 

宿のモーニングに間に合うが、気合を入れたい僕は、 "山羊さん"  になるべく

隣の「挟み鳥 焼き屋さん」に向かった。

今日はこの間より、さらに鳥が1.5倍乗っているスタミナワンプレートにする。

今日はお婆さんが、じぃーっと、眉一つ動かさずに焼いている。

注文からすぐスペシャルが来る。

 

いいだろう。。 僕は山羊になった。

ぅうめぇぇぇえええ メ"ぇぇえええええ"エ"

と しかも長めに。

 

お婆さんが焼いた鳥は、おばさんが焼いた鳥より、美味しい気がした。

達人が焼くと、より上手いのだろう。

ありがとう!挟み焼き屋さん!!お婆さん!

 

僕は宿のカフェ兼レストランで、まだ無料のモーニングの時間なので、コーヒーだけを飲み、ゆったりユンさんを待つ事にした。

 

日本で インプロの稽古中に気づいた事を、皆で共有していたホワイトボードの写メを読み返しながら、気持ちを整える。

モーニングの時間が終了したが 2杯目のコーヒーからは、長く泊まっているせいか

「別に ただで飲んでいいよ?」とおじさんが言ってくれたので、ゆっくり飲みながら、色々インターネットで調べたり、日本の漫画アプリを見ながら待つ。

 

やがて「ホテルに着きましたー」というユンさんのGmailで、僕は0階から、階段を降り、ユンさんの待つ原チャリへと向かった。

 

ユンさんが、ヘルメットを渡してくれ、僕はまた、ホーチミンのバイクの海へと漕ぎ出した。

 

相変わらずのクラクションであるが、慣れてくると「どけどけーー!!」という意味ではなく、

  「危ないですよー!ここにいますよー!!

      気をつけて下さい!ここにいますからね!」

という、相手を思いやる音に聴こえてくるから不思議だ。。ベトナムを捉えつつあるのだろうか?

 

ユンさんは前に見学させてくれた「お金持ち演劇専門学校」を少し過ぎたところの路上で、"マスク" というか、"お面 " を売っている様に見える、よく日焼けした、細身の男性のところで止まった。

自転車に大きい板を付けて、そこに仮面がズラリと並んでいる。まるで縁日のお面屋さんだ。

そこに立っている彼は、チノパンにサンダル、上は長袖のシャツで、ベトナムの方にしては珍しく長髪でつば付きの帽子を、被っている。

 

ユンさんが紹介してくれる。

「この方は日本の俳優さんですー!

 まさみさん、この方は、

 ここにある仮面でお芝居もしていて、

 いろんなキャラクターを

 仮面で演じ分ける演者でもあるんです!」

との事!!

僕が日本でやっていた、インプロ(即興演劇)にも「マスク」と言う演目と、稽古法がある。

これは、ちゃんとした資格を持っていないと、演者が危ないので、僕も数回かしか経験していないのだが、僕は大好きなインプロである。

 

キャラクターのマスクを被り、何回か手鏡を見ながら、その「マスク」から、インスピレーションを得る と言うより、、心から湧き上がる呻き声や、感情を、素直に受け止めて、そのまま表現する。そこからキャラクターが生まれる。

精神疾患があると、危険なので、その事は演者に確認して、安全を確保をしてからじゃ無いと出来ない、プロフェッショナルなインプロの稽古であり出し物だ。

 

ユンさんが通訳で 色々質問させてくれて、気になる事を聞いてみると、

意識的に演じ分けるのではなく、憑依型で演じるらしく、やはり インプロの「マスク」に近いなと感じた。

 

それを、およそ インプロとかけ離れて見える このおじさんが、インプロの創始者の、キース・ジョンストンを飛び越えて、たった一人でやっている事に感銘を覚えた。

しかも仮面は全て自作なのだという。

 

「この方は、この間も、公演をしていて。

 前にも取材させて貰った人です。

 本当に、公演もとても素晴らしいです。

 いつかあなたにも見て欲しいです!!」

とユンさんは教えてくれた。

その後 さらに質問させてくれた。気になる事を聞いてみると、やはり「マスク」で演じる所の感覚が似ていて、とても興味深い体験だった。

日本の「能」にも共通点があるはずだと思う。

「いつか、公演を見せてください!!」

と握手をし、記念撮影をさせて貰った。

何故、路上でマスクを並べているかは 少し謎だったが、、余計に興味深い。

 

彼と別れ、ユンさんと路地を入ったところの、小さな地元のカフェに着いた。

ここでいきなりの発言があった。

「実は急な取材が入ってしまったので、

 稽古の時間には迎えにくるので

 ここで待っていてくれませんか?

 ええと、2時間くらいです。。」

僕は少しびっくりしたが、まぁ、お仕事ならしょうがない。。

何しろこっちは仕事などしていない、時間だけはある旅人だ 笑

「良いですよ。

 たぶん、二時間は、ここにはいないので、

 散歩とかして時間潰してます。

 2時間後に、必ずここに居ますね。」

と約束をして、ユンさんを見送った。

カフェのWi-Fiで現在地に、Googleマップの保存の⭐️マークをつけて 先に散歩をする事にした。

実は最近気づいたのだが、

Wi-Fiの無い、インターネットに接続していない状態で、Googleマップに「行きたい場所」の緑の旗マークや、場所の保存の⭐️を付けると、その場ではマーキング出来るのだが、次にWi-Fiに接続した時に、全て更新されて消えてしまうのだ。

なので、気に入ったお店や、戻ってきたい場所がある場合は、Wi-Fiに接続してからで無いと、マーキングしても意味はない。

もし⭐️マークが消えてしまったら、僕はここへ帰ってこれる自信はない。。

 

僕はカフェの男性店員さんに、

「散歩の後で必ず利用するから」

と言ってWi-Fiを繋がさせて貰おうとしたが、

「別にそんなこと気にせず 使って良いですよ」

と優しくWi-Fiパスワードを教えてくれた。

こう言うところも、アジアの おおらかさだなぁ。。

と思いながらお礼を言い。

その後、僕は見知らぬ路地を歩き出した。

 

続く

 

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↑ 仮面の演者であり、売っている?の男性。

 

 

次話

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