第146話
僕が見た タイ バンコク
2017年に訪れた、初めてのタイ バンコクは優しく刺激的な町だった。
仏教国のタイは、バンコクという大都会でも皆穏やかで、柔らかさを保って生きているように感じた。
バンコクは都会なので、もっと殺伐としているのかと思っていたが、そうではなかった。
テロの影響で、高架鉄道の各駅に警察官が立っているモノモノしさはあったが、そんな事はすぐに忘れてしまうくらい、人々は柔らかくエネルギッシュだ。
タイの人は、大きな声で怒鳴ったりとか、人前で怒って恥をかかせるという様な事は禁忌であるらしい。
交通事故を起こしてもニコニコしている人が多いという、本当かどうかわからない話も聞いた。
そして仏教が下地にある国民性は心地が良い。
その為、来世を信じている方が多くいると聞いた。
今世で施したり損をしても人を助けることで、徳を積んでおくと、来世でいい事がある。
そういう考え方をしている人が多い。
と、そんな話を聞いたことがあるが、確かにそういう事を信じられるような、人々の気の良さである。
街で買い物をしても、最後に手を合わせてくれ
「コップンカー(ありがとう)」と笑顔で言われると、とても暖かい気持ちになる。
正にタイの魅力の一つであり、日本人も手を合わせて「ありがとう」って言えば、少しは殺伐としたものが和らぐのに… とも思ってしまう 笑
実際日本に戻った僕は、しばらく手を合わせてお礼を言ってしまう事があった (^^;)
物価は、今までの三か国が安すぎたため、結構高く感じた。タイに来てから加速度的にお金が無くなり始めた事は、気のせいではないはずだ。。
(たぶんガブ飲みしているビールが原因なのだが…)
だが、日本に比べれば生活費はかなり安い。
ビールは、発泡酒くらいの値段で缶ビールのロング缶が180円程、ドミトリーは1500円くらい。一食も安食堂に行かなければ、300円~500円程かかる。
日本の物価の 3/4 くらいのイメージだ。
昔はもっと物価が安く、ここ十年で物価はかなり上がったと聞いた。
今まで、ドミトリーが600円だの、シングルルームでも1000円〜1500円、50セントで生ビールが飲める国にいたので、割高に感じるが、居心地はこれまでの国の中で一番だった。
その為、そこまで高い!とは感じないから不思議である。
とにかく、バンコクが暮らしやすいと感じる具体的な理由は、
鉄道網がしっかりしていて、移動に困らない。
カオサンに行けばツアー会社がツアーをすぐ組んでくれる。
ご飯の選択肢が多く(和、洋、中あり)美味しい。(特にタイ屋台のメシが安くて美味しい。)
マッサージが安くて上手いので、気軽に毎日行けるので、身体が楽なまま歩き回れる。
大きなモール型スーパーがあるので、なんでも揃う。
などなどである。
そしてなによりも「微笑みの国」と言われるだけあって、皆ニコニコしていて、ゆったりしているので、余計なストレスが殆どない。
そしてとても大事なことだが「治安」がこれまでの国で、一番良い事だ。
(女性も夜中に普通に出歩いている)
とにかく海外初心者向けの国であることは、間違い無いだろう。
そんなタイでは本当に色々な人に出会った。思い切って、この旅で初めて日本人宿に泊まったのも一因だが、バックパッカーの街、カオサンロードの近くでいた事も、その事に拍車をかけたのだと思う。
そして人々と距離が近いのに合わせてか、とにかく野良犬や、特に放し飼いの犬が多い。 そこらへんの店先や路地が犬だらけである。
前の3カ国と比べると、明らかに犬が近くにいる。
前の国々では、明らかに野良犬が多く、こちらから近付かなければ、どうにか犬たちを、やり過ごせたのだが、ここバンコクでは犬がそこいらに不意打ちでいるので、特に路地では気をつけないと、彼らに狂犬病を打ち込まれる可能性が高い。
なかなかスリリングな場所でもある。
意外だったのは、タイといえば「トゥクトゥク」と思っていたのだが、走っているのはほとんどタクシーであった事だ。
トゥクトゥクの走る、風情のある風景を想像していた僕には、少し残念な光景だった。だが実際はスコールもあるので、クーラーも効いているタクシーの方が快適だ。
それによく考えると、トゥクトゥクにはカンボジアでさんざん乗れていた。
トゥクトゥクは今は、日本で言うと観光用の人力車的な立ち位置のように見えた。
また、あまり良い噂は聞かなかった。
一部のドライバーは副業で、客引きも兼ねているらしい。油断すると、べトナムのおっさんのバイクタクシーばりに、ボッタクられたり、怪しいお店に連れていかれるらしい。
(実際に夜のカオサンロードでは、
何人ものトゥクトゥクドライバーに
「そういうお店に行かないか?」
と声をかけられた。)
そして、バックパッカーの聖地であるカオサンロードは、とにかく時間帯によって全く見せる顔が違う。
朝はシャッターがしまった閑静な通り。
昼は、屋台のお土産屋や、屋台飯屋、マッサージ屋など、穏やかだ。
この時間帯で驚いたのは、旅費を稼ぐ為か、自作のアクセサリーを道端に並べて売っている、ヒッピー風のバックパッカーのカップルがいた事だ。
夕方から混み始め、路上も少しずつ賑やかになってくる。皆バーや、クラブに入って飲み出す。
そして、とにかく夜中が本番で、通りの左右にあるクラブやバーから、道に飛び出したタトゥーだらけのおっきい白人さんや、お酒じゃない何かを摂取したであろう… ハイテンションの人達が通りに溢れ、ワールドカップが始まったかの様な大騒ぎが始まる。
人々でギュウギュウな通りで、瓶ビール片手に皆が大騒ぎしているこの通りは、流石にタイ初心者の僕には怖かった。。
いや、初心者じゃなくても怖いはずだ。
なので深夜に飲む時は、一本外れた通りで、屋台のバーで静かに飲んでいた。
(ここはツマミは、タイ家庭料理だが、
ちょっとしたカクテルも出している 笑)
そして、タイに全く知識のない僕は、最後の方に気付いたのだが、不思議な事にコンビニでお酒の買えない時間帯があった。
理由を聞いてびっくりしたのだが、実は前年に、タイ国民全てが敬愛する国王である、
プミポン国王が亡くなった為、国民は喪に服していたのだ。。
その為、お酒を買える時間が決まっているとの事だった。
モニュメントのある通りの高校に、黒と白のリボンが外壁の上に張られていたのに違和感を覚えていた僕だが、実は今タイは国王の死を悼み、ここ数十年で、一番国民が悲しんでいる時期であったのだ。
タイバーツに描かれているプミポン国王は、何か、ただの旅人の僕にも親近感が生まれる。
それは、国王の肖像画などが普通に売られている事や、支払いのたびに目にする、この人相の良い人物が、いかに国民に愛されていたかを実感させられるからである。
外国でこんな感覚になるのは初めてであった。
僕もタイにいる間に、自然とこの国王の事を好きになり、敬愛してしまっていたから不思議なものである。
それほどタイは、一旅人をそういう感覚にさせる程、激動の東南アジア時代を生き抜いた国王への、愛情が凄いのだろう。。
そんなこんなで、とにかくバンコクは、ゆったりと沈没して良し、色々とアクティブに歩き回って良しの、何でもある、遊園地の様な、色々な楽しみ方が出来る夢の国である。
アジア国のディズニーランド とでも言っても過言では無い都市なのである。
旅人が癒しを求めてタイに帰ってくるというのは、たぶん本当だろう。。
それほどタイは、旅人に優しいのだ。
皆様がもし、初めて海外旅行を考えているのなら、難易度の高すぎるインドより、確実にタイがおすすめと言い切れる僕であった。
旅は続く。
↑ タイは皆を笑顔にする 笑
↑ 王宮前と僕
↑ 目印になるモニュメント
↑ 不思議な光が射すカオサンロード
こんな光景に出逢えるのも 外国ならではである
↑ 国民に愛された プミポン国王
僕もなぜかいまだに敬愛している。
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