猫好き俳優 東正実の またたび☆

俳優 東正実の東南アジア旅

タイの犬 噛まれあるあると、酔っ払いあるある

 

第120話

タイの犬 噛まれあるあると、酔っ払いあるある

 

タクシーを宿の目の前の、例の巨大モールで止め、ATMで タイバーツを下ろした僕は、三上さんと、色々なビールと、ツマミを買うことにした。

 

ここは、2階が 巨大スーパーになっているので、何でも揃う。

こんな大きなスーパーに来たのは、プノンペンのイオン以来だった。

 

せっかくなので、色々と値札を見た。

やはり タイは、今までの国よりも物価は高いようだ。特にビールの値段は、ベトナムの2倍以上であった。

しかし、お酒の種類は豊富だ。

せっかくなので、久しぶりに、日本のビールも買い、宿に戻った。

日本より安い。発泡酒くらいの値段だ。

ここの会計を出した僕の方が、先程のお店とタクシー代より、明らかに安く済んでいるのだが、三上さんは、

「気にしないでいいっすよ!」と優しい。

 

モールの中で、とにかくここバンコクは、

 " だいぶ発展している " と勝手に感じていた。

 なんか、先進国に来たな。。

と思ってしまう。

別に他に周った国が、後進国と言っている訳では無く、やはり、一つ抜きん出ている感があるからである。

 

まず、ひとつは、クーラーの温度が、

 " 少し肌寒い" 位の温度で済んでいる事である。

他の国では 「人間も凍らせてしまおう!」

とばかりに張り切って、キンキン冷えているのだが、ここバンコクは そんな事がない。

 

話で聞くと、大した事が無いように思われるかも知れないが、実際に旅している身からすると、これは大変な進歩なのだ! 笑

(翌日に行った市場でも、

 魚の下に 氷が敷いてあった。

 マレーシアのKLの地元の市場では、

 魚を40℃ 越えの中、

 そのまま 台に並べて売っていた。

 その為、匂いも物凄かった…

 落語でよく聞く江戸の魚屋の話を思い出し

 昔は、どこもこういう感じだったのか…

 と、なかなか感慨深い、いい体験だった。)

その為 ここタイは、今までの国よりも、日本に近い感覚でいられるように感じる。

 道理でタイは 居心地がいいと言われる訳だ…

と僕は、勝手に納得していた。

 

近くの屋台のようなところで ツマミも買い足した僕らは、早速、宿の共用スペースに戻り 酒盛りを始めた。

ここには今、僕らとオーナーさんしかいない。

せっかくなので「一緒に飲みませんか?」と誘うと、喜んで参加してくれた。

 

男ばかりで、会話ははずみ、色々な話をする。

三上さんはとにかくタイが好きで、タイにはとても詳しいし、宿のオーナーさんの話も これまた面白い。

 

一部を紹介すると、豪傑の三上さんは、ここバンコクで一度、犬に足を噛まれた事があるらしい。

噛まれても、24時間以内に 狂犬病ワクチンを打てば良い事を知っていた彼は、次の日タイから自宅に帰るので、

(明日、飛行機で戻ってから

 ワクチン打っても間に合うでしょ?)

と、構わず例のレバー屋で、ビールを飲んでいたと言うのだ。

「アルコールで、血行が良くなってて、

 血が止まんなかったんすよねー 笑」

と言って笑っている。。

(なんかこの人、凄い達観だな。。

 長年海外にいるとそうなるのかしら?)

と思い、少しだけ、

(…大丈夫かしらこの人?)と、

タイの初心者の僕は、実は少し そう思っていた 笑

 

信じられない話だが、その時は、逆に周りのタイ人の方が心配して、彼らに無理矢理タクシーに乗せられて、そのまま病院に連れて行かれたらしい。

(タイ人の方がちゃんとしている 笑)

 

ともかく凄い話だ。

僕ならビビりまくって、パニックなり、

(うわー!! し、死んじゃうよ〜!)

と、涙ぐんでいたに違いない。

 

「やっぱり犬怖いっすね。。

 俺も気をつけなきゃ。」

と言うと、これからの タイの滞在時間を聞かれた。

「うーん。。一ヶ月くらいですかねぇ?」

と僕が答えると 三上さんは、

「だったらまず噛まれませんよ。

 大体、長くいると 一度は噛まれるんだけど、

 総滞在時間を併せて、一年以上にならなければ

 まず噛まれた人は居ないです。

 それくらい居ないと逆に、

 犬も噛んでくれませんよ!」

と笑われた。

 

オーナーさんを見ると、彼も大真面目に頷いている。

どうやら、タイの犬 噛まれあるある のようだ。

 

それにしても、野良犬はそこら中にいる。

そして、放し飼いにしている飼い犬 もだ。

それらが、店先とか路地に普通に、猫みたいに座り込んでいる。

何か、今までの国よりも、かなり近くに、そこら中に犬がいるのだ。

そして、動きを見ていると、猫みたいなのだ。

 

日本では野良犬は ほとんど見ないが、タイの

地域猫」ならぬ、「地域犬」的にいる犬は、猫のように人々の生活に溶け込んでいるのだろう。

きっと、猫も犬も放置しておくと、人間との関係性が、やはり 似たようなものなるのだろう。

 

まぁ、そんなこんなで、とにかく楽しい3人飲みは、結構飲んだところで、お酒が切れた。

オーナーさんも かなりの呑んべぇのようだ 笑

 

まだ飲み足りない僕らは、宿の近くの日本食レストランに行く事にした。

オーナーさんが言うには、かなりリーズナブルとの事。

早速入ってメニューを、見ると本当に安い。

 

今までの国では、日本食レストランでは、

一品700円とか、500円のメニューが主流だったのに対して、

ここは、150円〜400円位で食べ物が頼めて、ビールも 相場と殆ど変わらない値段だ。

レストランと言うか、もう日本食堂と言ったほうがいいだろう。

 

枝豆などのツマミを頼み、日本のスーパードライの 生ビールもあったので、早速頼む!

タイのビールより気持ち高いくらいだ。

「アっサッヒッ!!

 すぅぱぁ ドっラ〜イ!」

と、ダメなおじさん3人で乾杯していると、店長さんが挨拶に来てくれた。

店長さんは、40代の日本の方で、気さくな方だった。

宿のオーナーさんとも仲が良く、よく飲んでいるとの事だった。

 

店が落ち着いたあたりで、店長さんも僕らの席に合流してくれた。

この店長さんの話も、本当に面白い。

 

皆 芸人さんばりのエピソードを持っていて、

「タイ バンコク

 すぅべラなぁぁい 話ぁしィ。」

は、延々と続いた。

 

そして、酔っ払いあるあるが起こった、、

ちょっとした 喧嘩が起こったのだ。

 

みなさん知っていますか?

緊張状態でいる人間が、ホッと気が緩んだ時、気を許せる状態になった時、信じられないくらいに酔っ払う事を…

 

宿が日本人だけだと安心感が違うので、今まで気を張ってきた反動が出るらしい。

僕はだいぶ酔っていたが、宿のオーナーさんもホントに楽しんでくれていたのだろう。

かなり酔っていた。。

 

僕が

「37歳で、まだ 売れない俳優をやっている。」

と言うと、楽しそうに、

「東さん、頭おかしいですよね〜」

とニコニコして言われた。

 

即座に、カッチーンと来た僕だったが、しばらくは黙っていた。

僕は結構芝居の事では熱くなるし、生半可な気持ちでやってないからこそ、

別に普段はそう言われても「そうですかね〜 」

くらいで流せるはずだったが、酔いも手伝ったのか?

それとも海外だからよりそう思ったのか?

せっかく会えた日本人に、そんな事を言われて悲しかったのか?

 

僕の中の、役者をやる原動力というか、

全ての逆境に立ち向かってきた、生きる力というか、元々持っている、

とてつも無いエネルギーから湧き上がる、

とてつもないマグマが心から噴き上げてきた。

(お前に何がわかるんや?)

と思っていた僕は、しばらく黙って、その後のみんなの会話を、何とか聞き流していたが、

途中で、酔いも手伝い、うっかりマグマが、

ザッパーっ と火口から噴き出た。

というか、どうしても納得がいかず、

マグマが言葉として漏れ出た。 つい、

 

「オーナーさんって、アレですよね?

 人の気持ちが、結構解らない人ですよね?」

と言ってしまった。

そして、案の定 言い合いになった。

 

そしてその中で、僕の発言が 思った以上にショックだったのか、 彼に

「東さん。。あの。。

 今日初めて会いましたよね?

 なんで僕が人の気持ちが解らないなんて、

 わかった様なことを言えるんですか!」

とても悲しそうに怒られた。

 

その悲みと怒りが内在する オーナーさんを見て、僕はハッとした。

(流石に言いすぎた。。)と後悔し始めた。

反省した僕は、一気に酔いが覚め、

「ごめんなさい。

 さっき僕は、あなたの事を勝手に

 わかった様なことを言いました。

 確かに今のは俺が悪いです。。

 いや、、申し訳ありません。」

と素直に謝った。

 

僕はこう見えて、スイッチが入ったら、かなりイケイケで色々突っ込んでしまう事がある。

だが、、その反面相手の痛みというか、悲しみにも、敏感だ。

相手を傷つけて平気でいられない、不思議な自分もいる。

他の二人は、大人なのだろう。とりなすでもなく、僕たちのやりとりを、黙って聞いている。

逆にこういう居方というものは、なかなか出来ないものである。

ありがたかった。

 

その後僕は、彼と話して、お互いに謝って、この日はお開きとなったが、泊まっている宿のオーナーさんと口喧嘩とはいえ、いきなりやり合うとは、僕も 全くやらかしたものだ。

 

だが、こんな風に人とぶつかったのは久しぶりだった。

僕はよく ”まっすぐな人ですね” と言われる事がある。

きっと、良くも悪くもだ。

彼もまっすぐな人なんだろうなぁと、なんとなく思っていた。

だから僕も矛を収め易かったんだろうと思った。

(実は、彼の発言には、本当に悪気はなく、

 その理由を聞いて、誤解が解け、

 後日、僕も納得するのだが。。)

 

 

何にせよ、酔っ払い過ぎると本当に良くない。

人間の 噛みつきあるある まで披露した僕は、

 明日の朝、気まずくても 

 改めてきちんと謝ろう。。

と決めて、ベッドの中で僕は

 

 やれやれ。。

 酔っ払いに噛みつかれた後に効く

 そんなワクチンが無いものだろうか…?

 

とアホな事を考えながら、深い眠りについた。

 

こうして僕の タイの初日は

色々と "やらかしながら"  

無事? 終わったのである。

 

 

続く

 

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↑ タイのスーパーのビールの種類は豊富!

 


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↑ 個性的で、自由なタイの犬たち。

 

 

次話

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