猫好き俳優 東正実の またたび☆

俳優 東正実の東南アジア旅

川沿いで鷺に遭遇する

 

第92話

川沿いで鷺に遭遇する

 

エアメールを書き上げた僕は、最初に届けたエアメールに喜んでくれた シャイナさんから頂いたアイスコーヒーを飲み切り、早速 郵便局へ行く事にした。

 

Googleマップ先生で調べると、南側の川の手前に、郵便局があると言う。

この宿が当たりなところは、自転車を無料で貸してくれる事だ。

昨日 辺りを散策したが、レンタル自転車屋が周辺で見当たらなかったので、非常に助かる!

心を込めて書いたハガキ達を 前掛けにした貴重品バックに入れ、郵便局へ向かう。

相変わらず すごい日差しなので、たっぷりと日焼け止めを塗って出発だ。

がたつく歩道を南下していく。

昨日散策した場所でもあるので、もう自分の庭である。Hard Rock Cafe を過ぎ、さらに行って川にぶつかり、橋を渡らずに右折する。

ここを曲がるとすぐに郵便局があるはずだ。

Googleマップ先生がそう仰っていたので、間違いはないはずだ。

事実右折して2分もたたないうちに、右側に郵便局が見えてきた。

門があり、入るとかなり広い敷地だ。正面は、二階建の結構大きな 立派な郵便局である。

 

以前にマラッカで手紙を出した時は、レッドハウスの広場の 端の赤い建物が郵便局だった。

 

どこも国営でやっているせいか、どの国の郵便局も立派だ。

日本みたいに、小さい郵便局がいっぱいある国はきっと珍しいのだと思う。

 

だから、全てを一手に扱う、中央郵便局のような郵便局が一つドカーンと! 地域に一個あるのが 外国では普通なのだと思う。

Googleマップ先生でも、郵便局で検索すると、近くには大体一つしか出てこない。

 

郵便局一つとっても、" 日本の特殊性" に気付けるのだから、海外に出るという事は本当に面白い。

日本にいた時は当たり前すぎて、気づかなかった事に、自分で気付ける。

セルフ 「ここがヘンだよ日本人」である  笑

自分で相対的に日本を理解する事は、人生では、とても大事な感覚だとも思う。

 

海外から手紙や葉書を出すと、

  " 届かないことがある "

という事は、マラッカでのケルビンさん探しの中で、実地で学んだ事の一つである。

日本国内だけだとありえないが、考えてみると、エアメールを郵便局で出すと、

カンボジアの郵便局と日本の郵便局、そして、委託しているであろう航空会社も絡んでくるのだろう。これだけ人が関わっていると、何かが起きても不思議ではない。

僕は海外へ出るまで、興味を一切持ってなかったが、黄色いトレードマークのDHLや、FedExなど、一社しか関わらず、海外と配送業務をやってくれる会社に、なぜニーズがあるのが よくわかるようになった。

その一社に預ければ、送り先の海外でも、その会社が責任を持って重要書類などを届けてくれるという、よく出来たシステムである。

郵便局はあまり信用されていないのだろう 笑

 

郵便局に入ると 窓口が四つほどあり、僕はエアメールを送りたい旨を 窓口の女性職員に伝えた。彼女は切手代を計算してくれ、値段を伝えてくれる。一通に100円掛からず数十円で送れる事にも結構びっくりする。

わざわざ、飛行機か 船かはわからないが、国を越えていくハガキが100円かからずに送れるのだ。結構すごい事だと僕は思う。

葉書も長い旅をして日本に届く。

大体1週間〜2週間ほどで届くらしいが、手紙が届く頃、僕はどこで何をしているのだろう?

今日はハガキを書いたこともあり、少しセンチメンタルな自分もいる。

 

郵便局の局員さんは、国際郵便にも慣れているのか、全く淀みなく手続きをしてくれた。

ニコッと笑って接客してくれたので、安心してハガキを托せた。

 

ここでもアイデアマンの僕は、仲の良い友人達だけに、LINEであるお願いをしていた。

それは、ハガキが届いたら 当然自分の自宅に、返信ハガキを送ってくれるのだが

「送る手紙や、ハガキを写メールで、

 旅行中の僕に送ってくれないか?」

とお願いしていたのだ。

沢木耕太郎さんの時代は、友人達は手紙の返信を、沢木さんが その時期はここにいるだろうと思った国の、その国の日本大使館に手紙を送っていたらしい。

それを日本大使館でピックアップしながら、旅をしていた沢木さん。

だが、今はデジタルの時代である。

いつ日本に帰るかわからない僕には、手紙が届いたら、書いてくれた手紙を自宅に送るついでに、僕に写メールで送ってもらう事にして、返信が旅の間に貰えるようにして、やりとりが出来る様に、友人達にお願いしていたのだ。

このアイデアは結構秀逸だと思う。

皆さんも長い旅に出た時は是非やって頂きたい。ハガキや手紙のやりとりほど、人間性を刺激するものはない。

とても素晴らしい経験になると思います。

ラインやメールとはまた違うので。

 

無事ハガキを預けられた僕は、目の前の川を眺める事にした。川幅は3メートルくらいだろうか。(後で調べると、シェムリアップ川というまんまな川だった。)

木々の陰で涼しいので、なんとなしにそこに立っていると、原チャリに乗った細身の40前の男が、バイクを止めて話しかけてきた。

 

 ハロー、何してるんですか?

 

 いや、、川を見ています。

 

 ハハハ、それはそうですね。

 実は私はこういうものです。

 

と言って彼は、自分の若い時の授業風景の写真を見せてこう言った。

 実は私はフリースクールの教師なのですが、

 この学校は寄付で賄われています。

 不躾なお願いですが、いくらでも良いので

 寄付をいただけませんか?

 ちなみにコレは今まで寄付してくれた方に

 書いていただいてます、ノートです。

と言ってノートを出してきた。

そこには日本語や、英語などで、十数ページに渡って色々な人がした、寄付の記録とコメントがあった。皆 肯定的なものだ。

とんでもなく速い展開の話が来た。

ここで僕の例のセンサーが微かに作動した。。写真が十年以上前の、彼の若い頃の古いものだった事と、いきなり 初めて会った人間目掛けて、寄付を頼んできた事にである。

(これ?本当に本人の写真かしら?

 コイツ、ちょっとあやしいなぁ。。)

と思ったのだが、僕は、ちょっと違うことも同時に期待してしまっていた。。

(寄付とかしたら、ひょっとしたら、

 授業とかに参加させてもらえないかなぁ?)

と思ってもいたのだ。

僕は、カンボジアの子供達が素敵過ぎて、何か関わる機会がないかなぁ?とも思っていたし、

実は僕は大学で、教職免許も取っていて、子供達にお芝居を教えたり、一緒に芝居したりするくらい、子供が好きなので、そんな事も考えてしまっていたのだった。

そこで僕は、ドルを渡すのはちょっと嫌だったので、今、自分が 一番渡してもいいお金を考えた。

そこで、持ってきていた貴重品財布の方にある、日本円の事を思い出した。

財布には、千五百円くらいが入っている。

「あげたいんだけど、今お金がなくて、、

 日本のお金でもいいかなぁ?」

と聞くと彼は、よろこんでくれ、

「大丈夫です。有り難いです。」

と言ってきた。

そこで僕は、財布から500円玉を取り出して、彼に渡した。

この時まで 、実は僕は 半分以上信じていた。

世話になったジェイクが、その様な人々の善意で成り立っているフリースクール出身で、自分の夢を叶えようとしている事もあったし、応援したかったのだ。

お金を渡し、名前と、値段をノートに書いた。

コメントは、自粛した。 その後に、

「これから授業なんですか?」と、聞くと、

お金をもらった彼は、急にしどろもどろになり

「今日は授業はないです。ありがとう。」と言って、原チャリに乗って逃げる様に去っていった。。僕は

「あ、あれ??やっぱりやられたのかなぁ…」

と思ったが、

(いや僕は、カンボジア

 未来ある子供達に貢献したのだ!!)

と、自分に無理やり言い聞かせた。

後でネットで調べると「地球の歩き方」にも載ってるらしい "有名な詐欺" らしいが、

僕はいまだに「騙されてなどいない!!」と自分に言い聞かせている 笑

 

まぁ、500円でも、金額の多寡に関わらず、キッチリと、凹むものは凹むので、不思議なものである 笑

 

続く

 

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