猫好き俳優 東正実の またたび☆

俳優 東正実の東南アジア旅

手渡しのエアメール

 

気持ちのいい朝を迎えた僕は、今日は アンコール・ワットで、少年時代の僕を思い出させてくれた少年から買ったポストカードで、日本の大切な人達に手紙を書く事にした。

 

朝起きて、シャワーを浴びた僕は、朝ごはんは昨日見つけた「究極のチャーハン」を食べに、大通りの "角っこ" のお店に向かった。

 

  昨日は 感動しすぎたのではないのだろうか…

と少し不安であったが、食べ始めると、また夢中で食べてしまう チャーハンと鳥スープである。

(ま、毎日ここでいい。。)

と思わせられる、、もはや、麻薬だ 笑

旨味のシャワーも、バシャバシャ浴びた僕は、大満足でしばらく放心していた。。

 

そしてここは、美味しいだけでなく、またしても何かが起きる。

僕の隣のテーブルに、若い女性が1人で座った。

18歳くらいの、小綺麗な格好の、ベトナムか、カンボジア人かの女性で、その世代の普通の女の子が着るような服装の子である。

その後に、友達だろうか?

お嬢様感丸出しの、真っ白なワンピースに、同じ真っ白な 貴婦人が被るような帽子かぶり、赤い口紅を引いた、中華系の色白な女の子が、彼女の向かいに座った。これまた17歳くらいの女性だ。まるで、昔の昼ドラに出てきそうな "御令嬢スタイル" である。

 

彼女は汗だくで、大きな扇子で自分を煽ぎながら、座ると同時に、向かいの女性に、ものすごい勢いで文句を言い始めた。それも半泣きで。

中国語だったので、正確には分からなかったが、

 あぁ〜!!あっつい!!もう、最悪!

 ねぇ、そうおもうわよね?

 どうなってるの? ホントもうヤダァっ 泣

 ちょっと!!注文はまだしないわよ!

 あっち行ってよッ!!  ふぅ。。

 暑いわ、来なきゃ良かったこんな国!!

 ねぇ!あなたもそうもうでしょ??

 なんなの?! ホントにもう!!

と言っていた。というか捲し立てていた。

(何故か身振り手振りで、

 不思議と 内容が良くわかる 笑)

先にいた 向かいの女性は、手を膝に置き、苦笑いしながらそれを聞いている。

しばらく バタバタと扇子で自分を煽って、

「あぁ〜 泣」とか「暑いわ…」と、独り言で文句を言っていた令嬢の彼女は、急にスッと立ちあがってどこかへ行った。

トイレにでも行ったのだろう。と思い、向かいにいた彼女をふと見ると、目が合った。

 大変だね?  友達大丈夫?

とこちらも苦笑しながら聞くと 彼女は、

 いや、友達なんかじゃないです。。

と言う。

(あらら…。ずいぶん嫌われてるな 友達に。)

と思い、

 でも暑いからさ、

 ああなるのもしょうがないと思うよ。

 彼女はどこかのお嬢様なの?

と聞くと、彼女は下を向いてからこう言った。

 知りません…、初めて会ったので。

僕は(あぁ 今日旅先で知り合った人か?)と思い。

 ええ? あぁ、さっき知り合ったの?

 

 いや、本当に友達とかじゃないんです。

 今、ここであったんです。

 

(んん? 話が見えないんだけど、、)

 一緒にご飯食べようとなったんだよね?

 

 違います。私がここに座ると、

 いきなり座って喋り出したんです。

 

 えええ?? ホントに??

 じゃあ、本当に知らない人が

 いきなり話しかけてきたの?

 

 そうです、私もどうしていいか分からず、

 とりあえず笑っておきました。

 

 ホントに?! だとしたら彼女凄くない?

 やばいよね?!

 

 はい。

 何故この人は 私に話しかけてくるんだろう?

 とずっと思ってました 笑

 

 あははは。

 あっ、俺もあなたの知り合いじゃないのに

 同じように話しかけちゃってるけど、

 それは大丈夫だよね?

と冗談で言うと、

 はい、あなたは話が通じるので 笑

と返してくれたので、僕達は笑ってしまった。

一緒に笑っていたが、せっかくだから、こちらに座りませんか?僕が誘うと、

「はい是非」と彼女が移ってきた。

話を聞くと、彼女はリーアさんと言って、プノンペンから旅行に来たらしい。お父さんは、ベトナム人で、お母さんはカンボジアの方だという。

僕はご飯は食べてしまっていたので、コーラを頼んで、少し話す事にした。

話してみると、とても当たりの柔らかい可愛らしい人だった。

この店には 初めてきたらしい。僕は 昨日来ただけなのに、まるで常連のように、彼女にチャーハンと鳥スープを勧めた。

運ばれてきたそれを一口食べた彼女は、

 お、美味しいです。すごい美味しい。

 ありがとうございます。

と何故か僕に笑顔でお礼を言ってくれた。

 どういたしまして。

と、僕も御礼に応じる。

彼女はこれから遺跡周りに行くというので、僕は、たまたま予備の新品のマスクをカバンに入れていたので、それを1枚あげた。

 トゥクトゥクの風除けにどうぞ。

というわけだ。まさに紳士マサミである。

トゥクトゥクの風除けにマスク」というアイデアと、マスクに彼女は思った以上に喜んでくれた。ご飯を食べ終わって、少し話したところで、時計を見た彼女は、

「あ、いけない」と、待ち合わせの時間が迫っているらしく、丁寧にお礼を言って、バタバタと去っていった。

 そして、彼女が去った後のお店は、

 色を失ったかのように、急に魅力を失った。

(あ! 連絡先、聞いておけばよかった。。)

と思ったが、後の祭りである。

僕は(いろいろとご馳走様でした 笑)と、心でお店にお礼を言って、宿に戻る事にした。

部屋に戻り、ポストカードを取り出した僕は、今はカフェタイムとなっているテラスへと出た。

屋根のおかげで日陰で涼しく、風が吹き抜けていて気持ちがいい。

今は僕しかいないので、この空間を独り占めだ。

紅い綺麗な布のテーブルクロスに、ポストカードを並べる。

アンコール・ワットで少年から買ったポストカードには、「バイヨン」や、「アンコール・ワット」など、各遺跡の名所の写真がプリントされている。

 さぁ、どのポストカードを、誰に送ろうか?

こういう事をゆったりと考えながら、手紙を書くというのは、本当に贅沢な時間だ。

まずは、タイを勧めてくれた、ここ数年間一緒に芝居をしていて、もう家族に近い俳優仲間に、最初の一枚を書く事にした。

 拝啓 〇〇様

 僕は今 カンボジアシェムリアップに居ます…

から始めて、人との出会いや、旅での出来事を書き連ねる。

ハガキや手紙を書くという事は、当たり前だが、送り先の人の事を考えながら書く。

異国で日本の友を思う。

お世話になった大好きな人を想う。

以前 マラッカでも、皆や家族にも 無事を伝えるハガキを出していたが、何度あっても、良い時間である。

正直にいうと、「深夜特急」の作中で、沢木氏が日本宛に手紙を書いている下りがあって、

「俺も旅に出たら、絶対やりたい!」と、旅に出る前から やろうと決めていたのだ。

だが やってみると、これがなかなか素敵な時間だった。

さっきの彼女との出会いもあって、気持ちが柔らかくなっている所に、こういう時間である。

本当に贅沢な1日だ。

僕は、お世話になった人や、家族、友人達に次々と溢れる想いを綴った。

異国の一人旅のせいで、少しセンチメンタルな文章だったかもしれない。。

書いていると ふと、視線を感じた。

顔を上げると、以前モーニングを僕に出してくれた、若い女性スタッフが立っていた。

(どうかしましたか?)と僕が笑顔を向けると、彼女は話しかけてきた。

 

 どこに手紙を書いているのですか?

 

 日本の友人達にです。

 

 これは日本語ですか?

 

 そうです。日本への手紙だからね 笑

 

 そうね。日本語難しそうね。

 でも、わたし、数字だけは言えるわ。

 ええと。、イチ、ニー、サン、シ

 ゴ、ナナ、ハツ、、

 

 ロクが抜けたよ。

 

 あら?そう。ええと、ごめんなさい。

 やっぱり難しいわね 笑

 ハガキ、そんなに何枚も書くの?

 

 カンボジアで買ったポストカードだからね。

 カンボジアにいる間に書いておきたいんだ。

 

 素敵ね。。

 私は外国に行った事はないし、

 そんな手紙も勿論貰った事は無いけど…

 きっと嬉しいんでしょうね。

と言って彼女は綺麗な顔で、少しはにかんだ笑顔を見せた。

その時! 僕のサービス精神と、発明精神が発動し、ビビビっと化学反応を起こした!!

 

ファイルから、マラッカの街並みがキレイに描かれているポストカードを取り出し、数字と 読み方を書き始めた。

 

 1  いち  Ichi

 2  に   NI

 3  さん  Sun

 4  し   Shi

                  ・

     ・

     ・

 10 じゅう JUU

というぐあいに1〜10までを書いて

 これはマレーシアのマラッカで買ったんだ。

 プレゼント フォーユー。

と言って微笑むと、びっくりした彼女は、

 こんな綺麗なポストカードは貰えないわ

 だって、友人の為に買ったんでしょ?

と遠慮するので

 

 僕は マサミと言います。

 あなたのお名前は?

 

 私は…、名前はシャイナです。

 

僕は彼女の綴りも聞いて、

 

左上に空けておいたスペースに、

 Dear  Shina 

と書き、一番下に、

   Your friends Masami Azuma  from Japan

と書いて彼女に渡した。

彼女は感動してくれたらしく、ハガキを胸に抱いて、

 凄い嬉しい!!大事にするわ!

といって、手紙の僕の名前を見直してから

 「アリガト!マサミ!」

と日本語でお礼を言ってくれ、足取り軽く、テラスから出て行った。

(うーむ、我ながら素晴らしいアイデアだった!)

と、彼女の喜びようを見て、僕は1人悦に入っていたが、今 冷静に考えてみると、

 こんな こっ恥ずかしいキザな事を

 よく"平然と" やってのけたものだ。。

と今でも思う 笑

まぁ、とにかく彼女が喜んでくれて良かった。

実は後から彼女は、サービスでアイスコーヒーまで、持ってきてくれたのだが…。

 

異国への旅というものは、これほどの魔力を秘めているのである。。

 

これも良い思い出だ。

 

続く

 

 

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↑手紙ををゆったり描ける宿のテラス

 

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↑ シャイナにプレゼントした

     マラッカで購入したポストカード

     マラッカや、KLが描かれている。

     サムの宿で気に入って購入した。

 

次話

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