猫好き俳優 東正実の またたび☆

俳優 東正実の東南アジア旅

僕は 自転車を装備し「ワットプノン」へ

 

第68話

僕は 自転車を装備し「ワットプノン」へ

 

パブストリートのトンレサップ川側に、プロレスラーの様な体躯の店主のいる 貸し自転車屋さんがあった。

 

実は前に マラッカで自転車を借りようとした時に、パスポートを預けなければならず、

(自転車借りるだけの為に、命の次に

 大事なパスポートを預けられるか!!)

と、僕は憤慨し 借りるのをやめた事がある。

「パスポートを預かります。」と言われて 僕は

例の如く「パスポートのコピーじゃ駄目?」

とパスポートのカラーコピーを出すと

" 信じられない!" と言う顔をされて、

まだ15、6歳くらいの若者の店主に

「おとといきやがれ!」的な事を言われた。

今考えると、確かに飯の種である自転車を、保証もなく貸すのはリスクが高いのだろう。

きっと、バックパッカーの中には、返しにこない輩も多いのであろう。

その為、旅人にとって、1番大事なパスポートを人質にとるのだ。

アジアでは高価であるはずの、自転車が帰ってこない。。そうなると、損害は計り知れないのかも知れない。そう考えると、彼が言っていたことも理解が出来る。

そのお陰で僕は、マラッカの「野良犬ストリート」を、命懸けで徒歩移動するハメになったのだが。。

 

ここプノンペンの貸自転車屋さんは、そこはドライで、最初からお客を信用していないシステムだった。

貸し自転車代自体は、2、3$くらいで安いのだが、補償金として、デポジットで40ドルほど最初から上乗せされる。

無事返してくれたら、40ドルを返すし、返さなければ、このお金で新しい自転車を買いますのでね。 うへへ🤤

という、わかりやすすぎるシステムだった 笑

この方が分かりやすいし、パスポートを預けるくらいなら、40ドルを預けた方が安心である。だがそうは言っても40$は僕にとって大金だ。僕は明日旅立つ為、店の閉店時間をしつこいくらい確認した。

僕は ここでママチャリを借りたが、実物を見てびっくりした。ブレーキは甘いは、ナットは緩んでるわで、危険極まりない。走っている間に壊れたら 大怪我をする。

僕は日本では、小学生の頃から 自転車は自分で直している。

その方が、実費だけなので、修理費用が1/3に抑えられ 安く済むからだ。

店主に交渉して 工具を借りて、自分で調整をする。

最初「何が不満なんだ??」と 言っていた店主も、手際よく自転車を調整する僕を見て、びっくりし、最終的には感心していた。

「日本人は本当に手先が器用なんだな 笑」

と言い、冗談で「うちで働かないか?」とも言っていた。。

 

さて、安全な自転車に生まれ変わったそれに乗り、僕は お寺に向かって走り出した。そこは有名なお寺らしい。昨日 宿のマスターからも聞いていた。

「ワットプノン」へ僕はママチャリで爆走し始めた。

あまり、観光という周り方をしない僕だが、今回 珍しく2泊三日でのプノンペンだった。

今までは必ず、一つの街に4泊五日はしていた僕なのだが。。

それには理由があった。越南(ベトナム)の ハノイで合流する予定だった 俳優の「来越の日程」がいよいよ決まり、カンボジアにいられる時間が限られていた為、次の予定地である、遺跡のあるシェムリアップにいる時間を多くとる為に、仕方なく この日程にしていたからだ。

マレーシアで出会ったアランが

「都会のKLは 二日で充分!」と言っていたのも思い出し、プノンペンという大都会での日程を削っていた。

しかし、プノンペンは 結構刺激的な街である。

本当は もっとこの街を堪能したかったが、飛行機のチケットを取ってしまっていたので、旅に出てから初めて 速足での街巡りとなっていた。明日には 飛行機に乗らなければならない…。

速足で回るにも、あまり足が速くない僕は、自転車でこの街を少しでも掴まえようとしていた。

自転車で走っていると、風が気持ちいい。ベトナムと違い、交通量は普通で、皆あまりスピードを出さないので、意外と安全である。

だが、やはり暑い。。

(あ〜、熱々~、風も暑い気がしてきた…。

 ふぅう。。あっちいなぁ。。)

とすぐに汗だくである。もうTシャツは絞れるくらいになっていた。

ワットプノンに着くころには、僕はカッサカサになっていた。

自転車を降りると、何やらパラソルがあり、その下にクーラーボックスで飲み物を売る出店があった。Tシャツにハーフパンツの若者が売っている。

ボックスの中を覗くと、そこには、氷水で キンキンに冷やされた飲み物がいっぱいだ。

アクエリアス」が目に入る、今日は外に出てから 水しか飲んでいない。

熱中症対策の為にも、今 出て行ったミネラルや 塩分を補充しようと思った僕は、日本で親しんだ アクエリアスのペットボトルを手に取り、パラソルの下の 若い店員からそれを買った。

 

皆さん想像してみてください。

カラカラになった喉と体に、キンキンに冷えた「アクエリアス」を流し込むと言う行為を。

きっと、最高に気持ちいいはずだ!!

それを想像しただけで 喉が鳴る。

僕は「キンキンに冷えてやがるよー!!」と言う準備をしながら、

アクエリアスを一気に喉に流し込んだ!!

 

その瞬間である!!

  ングっ!?  ぐはぁっっ!!!

と僕はアクエリアスを 盛大に空に噴き上げていた。

 

な、なんと!!

アクエリアス炭酸入りだったのだ!?

(え、え?!  なに? う、嘘だろ?!) 

と僕が、噴き出したアクエリアスで ベトベトになって、むせていると、

売ってくれた店員が 爆笑している。

僕はしばらくむせていたが、すぐに一緒になって笑い出していた。

「だって、炭酸なんだもんっ!そら吹くわっ 笑」

と、笑いながらジェスチャーで説明すると、店員はツボに入ったのか、うずくまって動かなくなった。

彼の肩が激しく揺れている。僕も余計に笑いが止まらなくなる。

ひとしきり笑った僕らは、なぜか仲良くなった 笑

 

水分補給のつもりが、笑いを取った挙句、大笑いした僕は、余計に汗をかいてしまった…。

「謎の炭酸アクエリアスだけでは 足りなくなった僕が「水も売ってくれ」と言うと、

彼は笑いながら「これも吹くのかい? 笑」とジェスチャーで言ってきた。

僕が「ああ、もちろん」と言って大真面目にうなずくと、彼は大喜びしてハイタッチしてきた。

まったく、アクエリアスでこんなに盛り上がる日が来るとは、日本にいた時には全く予想していなかった。。

後でマスターに聞いた所、カンボジアでは、

アクエリアスに炭酸が入っているのは ”常識” だという。逆にポカリスエットには、炭酸は入っていないそうだ。 知らんわそんな事!

こんな儀式を終えた僕は、ワットプノンへと向かう。ワットプノンは、結構階段を上がった上にある。見上げていると、横を「セグウェイ」に乗った若者が 涼しげに通り過ぎた。。

 せ? せぐぅぇい?? セグ?

と、?マークが頭を支配したが、落ち着いて周りを見て見ると、立派な綺麗な一軒家が多いエリアだと気づいた。

僕が泊まっている宿の周りの、コンクリの2、3階建ての、雑然とした 古い建物エリアとはまるっきり違う。 新築の綺麗なオシャレな家が多い。

 

ここは日本で言うとお成城や、白金のような場所なのかも知れない。。

だとしたら、成城でベンツばかりが走っているように、ここも、セグウェイくらいは走っているだろう。

そう 妙に納得した僕は、ワットプノンへと、階段を登り始めた。

 あ、暑い。。あっちぃ。。

今日は、暑いしか言っていない気がする 笑

階段を登りきると、素敵なお寺さんがある。

僕は中に入る。靴が散乱しているのを見て、土足厳禁だとわかったので素足で伺う。

中は綺麗な作りで、仏像があり、皆信心深い方達が、お詣りをしている。

中は扇風機がまわっており、少し暗くて涼しい。

前の方がお参りを終わったところで、小額のリエルを入れ、正座し、お参りをする。

地元の方や、お坊さんに「こうしてね。」と言われた事をちゃんと守っていれば、日本のお参りの作法でも、敬意を持っていれば問題はない。そんなに大きな違いはないからだ。

その土地の神様へ、ご挨拶をする。

頭がスッキリする。やはり 心が洗われる。

 

外に出ると、早速ご利益?があった。

散乱する靴たちの中から、自分のサンダルを探していた所、日本人から話しかけられたのだ。

「日本の方ですか?」と。

プノンペンには ほとんど日本人は

 いないのでは無かったのかしら? 笑)

と思いながら、僕はその素朴な感じの日本の若者と話を始めていた。

 

続く

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↑ ワットプノンと 結構ある階段

     汗だくな僕。。

 

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↑ ワットプノンとその内部

     こじんまりとしていて静謐な空間

     地元の方の 信仰の場でもある

 

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↑ ワットプノンの周りの高級住宅街

     そしてセグウェイ

 

 

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