猫好き俳優 東正実の またたび☆

俳優 東正実の東南アジア旅

猫好き俳優のぶらり街歩き

 

第67話

猫好き俳優のぶらり街歩き

 

今日は北へと足を運んでみようと決めていた僕は、宿を出ると、目の前の道を 左に折れて歩き出した。

 

目の前の国立博物館の壁沿いに北上していく。

昨日 Googleマップ先生を見たところ、

「セントラルマーケット」と言うバザールがあるのを知ったからだ。

地図を頼りに北上する。

 

明るい内に街を歩くと、町の印象は一変していた。

人と車とバイクが走り、東南アジアのパワーを感じる。だが、ホーチミン程の渋滞はしていない。

セントラルマーケットに着くと すごい人だ。

人 人 人である。セントラルマーケットは、真ん中に十字の建物があり、その周りの敷地に、日除けのパラソルや 天幕を張ったエリアが広がり、様々な小さなショップがある、建物の周りに後から作っているので、もちろん下は アスファルトである。

真ん中のしっかりした建物エリアは、綺麗なモールになっていて、貴金属等も売っているが、周りの天幕エリアでは、生活用品や、衣類、食料なども扱っているし、なんと!一部のエリアでは ”床屋” が何軒もあった。

床屋のエリアだけ、コンクリートで多少段差が作って有り、床屋は一段低くなっており、排水が出来るようになっていた。そのためシャンプーも可能だ。

バザール内に床屋があるのを 初めて見た。このエリアは女性ばかりで あまりジロジロ見てはいけない雰囲気で、男子禁制のような印象を待った。床屋の印象だが、美容室とでも言った方がいいのかもしれない。

驚いたのは、原チャリが 人の間を縫って走っていたことだ。天幕エリアは 元々下は道路?の為だろうか? さすが 原付免許が要らないカンボジアである。

よくよく考えてみたら「免許が要らない」と言う事は、道路交通法や、交通ルールをまったく学んでいない人が、感覚でバイクを運転するということである。つまり、カンボジアの人からすると原動付きバイクは、自転車の運転と変わらない感覚なのだろう。

一番びっくりしたのは、7歳くらいの少年が、後ろに4歳くらいの弟を乗せて、二人乗りでバザール内を走っていたことだ!

少年だけあって 攻めの運転で、結構なスピードで、人の合間を縫っていく。。

 おいおい嘘だろ?! マジですか?! 笑

と僕は最初呆然とし、すぐに吹き出して、その人生初の光景を眺めていたが。

(確かに、免許が要らないんだったら、

 子供が乗ってもいいのだもんね。。)

と、すぐ後には 感心していた。まさに目から鱗だ。

 

バザールを 充分冷やかした僕は、川に出ようと東へ歩き出した。

それにしてもカンボジアも暑い。。途中で小さなショップに寄り水を買う。

5ドル札を出してお釣りを貰う。

お釣りは、4ドルと、1300リエルだった。どうやら細かいお釣りは、米セントではなく、カンボジアリエルでくれるらしい。 面白いシステムだ!

「良貨は悪貨を駆逐する」とは聞くが、それにしても、どれだけ自国の通貨が弱いのだろうか… と言うより米ドルが強すぎるのか?

 

水を飲みながら川に向かう。額から大量の汗が流れ落ちる。。

(あ、暑い。。死にそうな暑さだ。。)

カンカン照りで、本当に凄い日差しだ。

川に出ると、不思議な横長のテントが並んでいた。白い 長々とした、かなり横長のタープテントだった。

(一体 何のテントなのだろうか?!) と、

中を見て見ると、白い布で スペースが区切られていた。

テントの中には、日本の小学校でも使われているのと同じ、"懐かしい机と椅子" があったが、かなり古くてボロボロだ。

一瞬 日本からおさがりで来たのではないか? と思いながら覗き込むと、空間を区切る 白い布に貼ってあるプリントが目に入った。

僕はそれを見てやっとこのテントの謎が解けた。

なんと それは!昨日の暴走族とも関係があった!

何故ならこのテントは、選挙の為に建てられたものだったのだ!!十数部屋に分かれた このテントスペースは、全て投票所だった。

(うーむ。。すごい簡易な投票所である。。

 だが、すぐ撤去できるという点からすると、

 実用性という意味では、良いのかもしれない)

 そう思いながら、テントの先頭に歩いていくと、外国のメディアが取材に来ていた。

アメリカか、ヨーロッパ系の白人さんが、アナウンサー1人、スタッフ2人で撮影をしていた。

スタッフは、1人がカメラマンで、1人がアナウンサーの顔を照らすためか、太陽光を反射する レフ板を持っている?!

僕は思った。

 おいおい十分明るいぞ。。大丈夫だろ?

 黒澤明監督の「羅生門」撮影時代の、

 感度の低いカメラじゃないんだから。。

 ”このクソ暑くて、白のコンクリートの 照り返しが眩しすぎるカンボジアで、なぜレフ板がいるのだ?!” と。

僕には、スタッフが マイクを持ったアナウンサーを ”焼き殺そうとしている” としか見えなかった。。

よく見ると、アナウンサーの着ているシャツは、汗で すでにビショビショだ。

(実は シャツを乾かそうとしているのかな?)

と笑うしか無かった。3人共、真剣そのものなので しばらく眺めていた。

リハーサルだったのか、カメラ位置が決まると、三人とも日陰に避難し始めた。

アナウンサーだけでなく、皆汗だくで「はぁはぁ…」言っている。

(皆さま、ご苦労様です。)

”真夏の屋外ロケ” の過酷さを知っている僕は、そう心の中で労ってから トンレサップ川に向かった。

太陽の下で見るこの川は 大きく美しい。

地元の漁師さんの木の小舟がゆっくり進んでいく。。

ゆったり下流へと流れ行く水の流れが、悠久の時を思わせ、実にゆったりとした気分にさせてくれる。

僕はこの場所が、すぐに大好きになった。

僕はしばらくこの場所を堪能した後、

(また夕方に来よう!)と決めて博物館へ歩き出した。

川の少し下流に歩き、右折し、少し歩くとすぐに博物館の入り口に着いた。

入り口から中に入ると、すぐ右側にテントのような作りの、しっかりとした作りの小さな劇場があった。準備をしている 若い女性スタッフと目が合うと、寄ってきてチラシをくれた。

どうやら、カンボジアの民族舞踊の公演をしているらしい。

開演時間を聞くと、19時だという。ついでにちょっと中を覗かせてもらう。

白い布で、外と仕切られている作りだが、今は布は開いている、劇場内を見ると、客席は満席でも60人も入らなそうな、こじんまりとした作りで、どの席からも、ステージが良く見える素晴らしい作りだ!

僕はがぜん興味が湧き、ここでのショウを見ることにした。

スタッフさんに値段を聞くと、チケットは 3種類程あって、ステージに近い程高いらしい。一番安いチケットで15ドルだという。

(少し高いなぁ…ハズレだったらどうしよう。)

と多少迷ったが、カンボジアのエンターテイメントに触れる貴重な機会である。

客席を見た僕には、仮に一番後ろの席でも十分楽しめることが分かっていたので、一番安い15ドルのチケットを買うことにした。

スタッフさんに「チケットを買いたい」というと、博物館の入り口にある、チケットオフィスに案内してくれた。

窓口の人のよさそうなおばさんに話しかけると、10ドルだと言われた。

 …え?! 安くない? 

 15ドルではないのですか?

と聞くと、おばさんは

ミュージアムじゃないの?」と聞いてきた。

僕は笑いながら、劇場を指さし

「あれ、あれ!」と言って「舞踊のチケット」が買いたい旨を伝えると、

「ちょっと待ってね」と言ってから、しばらく待たされる。

何かごそごそしてから、やっとチケットを売ってくれた。

どうやら舞踊のチケットを売る準備をしてなかったようだ。

ちょっと不思議に思ったが、考えてみると、カンボジアでは、こういうところに来る人はツアーで来るか、きっと開演の直前にチケットを買うのだろう。

僕のように予定をわざわざ組んで、先にチケットを買うような人は、カンボジアには、めったにいないのだと思う。

(確かに予定が変わることもあるし、

 直前にチケット買えばいいんだよなぁ…

 売り切れてたら、また来ればいいのだから)

公演の前に、事前にチケットを買って準備した僕は

 色々旅してても、

 やはり自分は まだまだ日本人だなぁ。。

と改めて感じてしまい、急に可笑しくなってしまった。

僕は思わず「うふふふ…。」と不気味に笑っていた。

周りの人から見たら、きっと 暑さでおかしくなった人に見えた事だろう。

そんな事を考えながら、僕は自転車を借りる為に、パブストリートの近くにある 貸自転車屋さんに歩き出していた。

 

続く

 

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↑ セントラルマーケットとバザール

 

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国立博物館

 

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↑ 貰ったチラシ 面白そうだ!


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↑ 悠久の時を刻むトンレサップ川


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↑ トンレサップ川沿いに建てられた "選挙会場" 


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↑ アナウンサーを焼き殺そうとするスタッフ 笑

 

 

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