猫好き俳優 東正実の またたび☆

俳優 東正実の東南アジア旅

国境を越えた日

 

アーバスは順調にベトナムの道を進んでいく。。

ホーチミンという大都会を出たせいか、渋滞とは無縁になっていた。

 

車内の一本目の映画の終盤で、添乗員がパスポートと、ビザ申請代の徴収を始めた。

 

ビザに貼るであろう、証明写真も一緒にだ。

僕はビザ申請等に、証明写真が必要になる事があると、日本で調べていたので、自分の証明写真は 3枚程パスポートに忍ばせていた。

 

そして、いざという時の為に、これまたパスポートに入れていた 米ドルの100$を全て取り出し、パスポートと共に、35$を渡した。

 

僕は日本で、UFJ銀行のエクスチェンジで、米ドルを買っていた。

50$札と20$札、10$札二枚、そして5ドル札二枚で、計 100$というセットがあったので、それを買ってパスポートに忍ばせていた。

何かあった時の為に、米ドルを持っていた方がいいと聞いていたからだ。

それが、こんな所で 役に立った。

 

スタッフは、35$と証明写真をパスポートに挟んで、次の乗客のところに行く。

彼の手には、35ドルを挟んだパスポートが、折り重なっていく。。

 

例の、ギュウギュウなミニバンで一緒だった、30前後の白人男性二人は、通路を挟んで隣の席だったが、一人が「2ドル足りない」とスタッフにいうと、

スタッフに「ドンは無いのか?」聞かれ、足りない分はベトナムドンで払っていた。

 

(なぜドルありきで話すのだろう?)

 

と僕はここでも不思議に思っていたが、後にこの謎は解けることになる。

 

やがてバスは国境に着いた。

 

バスが建物に横付けすると、添乗員のスタッフが大きな声で、バスから全員降りるように指示してきた。

荷物をどうするのか?と見ていると、皆、バスに持ち込んだ手荷物だけを持って降りていく。

そして添乗員に付いて、国境の正面に向かう。

 

 生まれて初めて見る国境である!!

 

これが国と国を隔てる境界線であり、ここを越えると、そこはまだ見ぬ国、カンボジアなのだ!!

 

本当は、写真を撮るのは禁止のはずだが、、

どうしても記念に撮りたかったので、国境の写メを撮った。

だが、別段誰にも咎められなかった。

ベトナム側の国境は 平和なのか、特に兵士なども立っていない。

 

国境の事務所に入ると、添乗員に

「ここで待ってろ」と言われ、なんとなく国境の窓口に並ぶが、どうやら並ばずに待っていれば良いと気づき、トイレに行く事にした。

皆、思い思いに休憩している。

 

何も聞かされていないし、どうしろとも言われない。。ただ待つ。

 

建物内部は思ったより暗い。

そのせいか、少しネガティブな想像が浮かんでくる。

事実、ミニバンで一緒だったもう一組の、中華系の若い3人組(少し太っちょの男性1人、女性2人)は、とりあえず列に並んで

「本当にここに並んでいて あっているの?」

と心配そうに話をしている。

 

僕はここまで来ると

「なるようになるさ」と開き直っていた。

バンでも一緒だった、白人男性と目が合うと、やれやれ という感じで僕にジェスチャーしてきた。

 

僕も、やれやれ感をお返しし ニヤッと笑い合って、黙って待つ。

 

15分ほど待っただろうか。。

 

添乗員が戻ってきた。

「バスに戻れ」と促される。

 

皆が座席に戻ると、バスは出発した。

 

 どうやら無事通過できるようだ。

 

と ホッとしたのも束の間、またバスが止まり

「皆降りろ!」と大きな声で言われる。

 

 ??!!

 一体どうしたのだろうか??

 何かあったのだろうか??

 

と心配になったが、皆 黙って、また手荷物を持ち降りていく。

 

再び建物に入り、「ここで待て!」と言われる。

 

 本当に、どうしたのだろうか?!

 

と心配だったが、スタッフの動きを見ていて、僕は理解した。

 

 あぁ、そうかぁ。。

 さっき行ったのは 出国手続きで

 これからは入国手続きをするんだ。

 

飛行機でしか 国を越えた事の無い僕は、

一度に出入国をするのは初めてだったので、

さっきのが 入国手続きだと、勘違いしていたのだ。

 

ベトナム側と、カンボジア側で、それぞれ手続きをする。よく考えれば当たり前の事である。

 

 やれやれ。。

 今日は やけに取り越し苦労が多いな。。笑

 

と苦笑いをする。

それだけ 初めての国境越えに 入れ込んでいるのだろう。

ここでも、添乗員が全てをやってくれるらしく、皆 建物の周りをうろついたり、トイレに行っている。

ここで、驚いたのは、"闇の両替商" がいた事である。

おばさんの集団で、数人がすごい勢いで話しかけてくる!!

カンボジア通貨のリエルに両替しとかないと

 ここから先はカンボジアだよ!!??」

とすごい勢いでまくし立ててくる。

 

バンで一緒だった中華系の三人組は、旅慣れていないのか、言われるままに 両替していたが、

こういうところは レートが悪いに決まっている

 

だが僕も初めてのカンボジアだ。損しても、両替しておく事にした。

予定では、これからカンボジアで食事休憩もとるはずだし。

実は、ベトナムドンはだいぶ使い切っていたが、まだ800円分程余っていた。

その内の400円分のベトナムドンだけ、カンボジアリエルに変えた。

 

「本当にこれだけでいいの?!

 ねえ!いいの!いいの?!大丈夫?!」

とまくし立てられたが、そこは冷静に

「大丈夫! See you Again!!」

と振り切った。

隣の席の白人男性二人が、完全に相手にしていないのを、後から見て、

(失敗したのかな?)と思ったが、、それも見越しての400円なので、何かあったら勉強代としては安いし、何よりカンボジアのお金を 多少持っていたほうがいいに決まっている。

 

なんだかんだ、、突然のおばさんの闇両替集団に、ドキドキして平常心ではなかった僕は、そうやって自分を納得させ、自分自身を落ち着かせていた。。のだが、、

バスが出発すると「いよいよカンボジアだ!」と思い。そう考えると そんな些細な事は吹っ飛んでしまった。

 

それにしても 不思議なのは、国境での出国審査も入国審査も、ほぼ待っているだけで出入国の審査官に 一度も対面せずに、すんなりバスに戻れたことだ。

 

この国境は よっぽど往来が多く、それで審査がザルなのだろうか?

それとも…と僕は思い。

(多分、時間短縮の為に、袖の下を

 審査官に渡しているのではないだろうか?)

と 勝手に邪推していた。

きっと ビザ取得代の手数料5ドルには、それも含まれているのだろうと。。

 

そして僕は無事に、、

そして遂に 陸路で国境を越えたのである!!

 

ベトナムと 正直あまり変わり映えはしない景色を見ながら僕は

 確かにここはカンボジアなのだ!!

という感慨にふけっていた。

 

車窓を流れゆく景色を見ながら

日本から遠く離れて、いよいよ3カ国目で旅を続ける自分に

(僕は いつまで旅を続けるのだろう?

 この旅には 終わりは来るのだろうか…。)

と そっと問いかけたが、もちろん答えなど出るはずなどなく。。

 

僕はただ、

  この旅は 自分が納得した時に終わるのだろう

と 漠然と思いながら、、

まだ見ぬ旅の終わりを、車窓から後ろに流れていく まだ知らぬカンボジアと その景色に重ねていた。。

 

続く

 

f:id:matatabihaiyuu:20210327235353j:image

ベトナム側の国境事務所

 

f:id:matatabihaiyuu:20210328000800p:image
f:id:matatabihaiyuu:20210328000753p:image
f:id:matatabihaiyuu:20210328000747p:image

 

ホーチミンプノンペン

 モクバイの国境を越える。。