猫好き俳優 東正実の またたび☆

俳優 東正実の東南アジア旅

西へ東へ

 

第46話

西へ東へ

 

ホテルにいるだけで 何故か大冒険をした僕は、風呂上がりの一杯をやる為に街に出た。

 

ここは、大通りから道を一本入った 角に立っているホテルで、すぐ右手に地元の人の小さなローカル食堂があった。

店先の道路で、火力が強すぎる七輪のようなもので、鉄網で挟んだ鶏肉を焼いている。

今日の気温は40度近いはずだ。

そんな中 おばあさんがひたすら焼いている

なんてお元気なんだろう。。頭が下がる。

タレに漬けてから焼いているそれは とても美味しそうな匂いがする

 

だが、焼き鳥の気分ではない僕は、ホテルの逆の、左手の方の 奥行きのある食堂に入る事にした。

利発そうな可愛らしい少年が、店先で声をかけて来たからだ。

 ビールはある?

と聞くと 小学校高学年くらいの彼は、 ニコニコして ガラスの冷蔵庫に入っているビールを指さした。

僕は、無事ベトナムに着いた事を、初体験のベトナムビールで祝おうとしていたのだ。

そして、風呂上がりにはやっぱりビールだ!!

日本を出てから、初めての風呂上がりビールである!!

 

ここは中華っぽいお店で、他にも地元のおじさん2人が すでにビールで一杯やっていた。

ザーサイみたいなモノでビールを飲っている

 

ホールには、さっきの利発そうな少年がいる。

 メニューをくれる?

というと、英語のメニューをわざわざ選んで持って来てくれた。

美味しそうな炒め物や、焼き物が並んでいる。

 

彼に「ベトナムのビールは?」 と聞き

教えてもらった「333」という名前のベトナムビールと、野菜炒め そして鳥の唐揚げらしきものを指差して、頼んだ。

僕は一応 ベトナムの数字は覚えていた。

「3」は ”バー” なので、バーバーバー読むはずだ。

彼は英語はあまり話せないみたいだが、全てを察し、頷いてオーダーを通してくれた。

 

よく冷えた缶ビールと グラスが運ばれてくる。

ビールをグラスに注いで呑むと、スッキリしていて、いくらでも飲めそうだ! 美味い!!

 

改めてメニューを見た僕は、国を跨いだという事を実感していた。

マレーシアでは200円以上していたビールが、ベトナムではなんと!50円 と安くなっていたからである。

ビールは 10000ドンだ

僕はベトナムドンの簡単な計算式を空港で見つけていた。

(当時レートは 1ドンが0.0049円 だった)

 

1万ドンなら、まずは100で割って、100円にし

さらに二分の一にして、値段は 大体50円という事だ。

 

要は、200で割ればいいのだが、上記のやり方の方が簡単に暗算できる

 

だが「1万」と聞くと、やはり大金に勘違いしてしまう 笑

実は、空港ATMで2万円分のVDN(ベトナムドン)を下ろしていたのだが、

”400万ドン” という とんでもない数字のお金が出てきて 正直僕は引いた…

物価は別として、僕は人生で 400万 というお金を持ったのは初めての経験である。

たぶんインフレのせいだと思うが、初めてベトナムに来た人は 皆ビックリする、

" ベトナムあるある "  だと思う。

だが、50万ドン札や 10万ドン札という高額紙幣がある為、財布がパンパンになる事はない。

 

話は戻るが 

 ”ビールが安い国 = 俳優 東正実の天国” 

である!! 

あっという間に、ビールを飲み終わった所に、頼んだ野菜炒めが来た。

ビールのお代わりを頼みながら、野菜炒めをパクつく!

 最高だ!! 最高の時間だ!!!

 

またしても僕は、心の中で

ベトナム最高!!」 と叫んでいた!!

 

僕は飲食店には 昔から鼻が利く。

日本にいた時から「孤独のグルメ」よろしく、食べ歩きや、新しく行った街でラーメン屋、立ち食いソバ歩き、ランチの店、居酒屋探訪を、勝手にやっていたせいか、そういう能力が身に付いていた。

そしてその能力は、外国でも通用する。

 

その為、お客の雰囲気や 店先に漂う匂いで、

マレーシアでも いつも当たりの店を見つけていた。

美味しくて安い店には 国籍を問わず

何か ”オーラ” があるからだ。

 

アジアは 日本と違い、ドアで密閉されている店は少なく、道路から直通の、あけっぴろげな お店ばかりである。

メニューを見てから、帰るも、食事をするのも自由である。

 

僕は初めての街では、散歩ついでに 7、8軒くらい物色して、お店の人とも少し話して、ゆっくりお店を決める

そういう 時間は楽しいし、僕には時間もある。

旅では、やはり 食事が大きな楽しみのひとつなので、軽い朝食付きの安宿でも、僕は外で遅めの朝食を摂ることも多かった。

 

やがて唐揚げと さらにお代わりのビールで心地よくなった僕は、缶ビールを3本飲んでも、マレーシアでの1本分にもならない値段に満足し

 なぜもっと早くベトナムに来なかったんだ!?

と自分を呪っていた 笑

 

唐揚げも美味しかった!!

風呂上がりの一杯(正確には三杯だが)を終えた僕が会計をお願いすると、

少年が、ぱっぱと暗算してくれ 会計してくれた。

その際に、「ビー ケアフル」といい、可愛らしい笑顔で、一枚の紙を渡してくれた

そこには 英語とイラストがプリントされた紙で ひったくりや 置き引きの手口など、色々なベトナムでの犯罪の手口が描かれていた

 利発な彼には 僕が来たばかりの観光客だと分かったのだろう。。

 

不意に触れた少年の親切に僕は胸が熱くなった。

「サンキュー!気を付けるよ。また来るね!」

と握手をして別れた。

 

 それにしても、ベトナムである!

 

ホーチミンに着いてから、色々な人が親切にしてくれたり助けてくれている

この国に来て、やはり正解だった!!と僕は思っていた。

すがすがしい気持ちで、少し回った 心地よい体内のアルコールに身を任せ、僕は宿の周りをパトロールすることにした。

まずは大通りに出ることにする。

 

ここは大通りから一本入った生活道路とはいえ、車は結構通る。

右車線の為うっかり日本の感覚でいると危ない。

対向車が、自分から見て 右側に寄せて走る日本の感覚で避けようと、左側に寄って歩くと、

右車線の為、一緒に 自分の方に車が寄って来る。

 え、ええ? あっ、危ない!

早く慣れないと事故にあうだろう。

 

大通りに出て信号を渡る。

交差点渡り、そのまま進むと、大通りの隣は、観光客向けのパブ・ストリートになっていた。

まだ明るい中、色々な国の人がお酒を片手に盛り上がっている。

宿からここまで 徒歩3分ほどである。

素晴らしい立地だ!

 

僕は暗くなってからまた来ようと決め、一旦 Googleマップ先生を開いた。

僕がいる場所から、宿の方向にそこそこ大きな川が流れている。

川好きな僕は、宿の方向にUターンし、その川を目指すことにした。

 

やがて宿を過ぎ、宿から5分ほど歩くと川に出た。。

 だが…何かイメージと違う。。

飛行機から見た、美しい河川とは違い、色は濁り 汚れている。。ごみも所々に浮いている。

ここは大都会よろしく、昔の日本のように川が汚れている。さすがに下水は流していないのか、悪臭はあまりしない。

うすうす感じていたことだが、ここベトナムは中国のすぐ南で 中華支配の時代も長かったせいか、中国の影響を強く受けているのだろうか。

皆、ゴミは道端に捨てている。そしてそれを、オレンジ色のツナギの清掃員がひたすら拾っている。どうやら、捨てても拾ってくれるので、道は巨大なゴミ箱 という感覚らしい。。

 

 

言い忘れていたが、ベトナム社会主義国家であり、共産国家である。

なので ひたすらゴミを拾う人たちも、国家公務員なのではないかと思う。

オレンジの人たちは大通りに多数生息しているので、大通りは綺麗だが、一本生活道路に入るとやはりごみがそこらに落ちている。

 

僕は水溜まりに足を突っ込まないように注意することにした。水溜りは、ゴミの汁をたっぷりと含んでいるからだ。

サンダルを履いているので、下手するとその水から感染症にかからないとも限らない。

皮膚病になっている暇は僕にはない。

 

新しい国に来ると、色々新鮮に感じたり、考えたりする。

僕にはすでに日本との比較だけではなく、先に訪れた国 マレーシアとも比べることが出来るようになっている。

その事は自分の視野が広がっている事を意味していた。

 

ベトナムに 新しい刺激を貰い 僕は、海外に初めて来たばかりの時のように わくわくしていた。

 

続く

 

f:id:matatabihaiyuu:20210208010842j:image
↑ 近くの川と縦長すぎる建物

 

 

f:id:matatabihaiyuu:20210208010630j:image

ベトナムドン

 

 

次話

azumamasami.hatenablog.com