猫好き俳優 東正実の またたび☆

俳優 東正実の東南アジア旅

いざベトナムへ

 

第44話

いざベトナム

 

ベトナム行きの飛行機内で僕は考えていた。

マレーシアに人生でもう一度来る事はあるのだろうかと。。

 

初めてきた外国、しかし、この国に来るのは最後になるかも知れない。

そう思うと、マレーシアがとても愛おしい国に思えた。

飛び立った飛行機の中で、心の中で

「ありがとうございました」と、この国に感謝した。

飛行機は明るい空を飛んでいく。

僕の席は窓側で、フライト時間は 2時間程だ。

 

窓から見える雲を見ていると、マレーシアであった色々な出来事が 頭の中に浮かんでは消えていく。。

2時間のフライトなのに、機内食が出た。

マレーシア航空だからか、赤々しい弁当で

大好きな「ナシレマ」だ!

最後にマレーシア料理を食べられるとは嬉しい限りである。

 

マレーシアと、ベトナムには時差がある。

ベトナムはマレーシアより1時間早い。

 

ベトナムは、、日本が10時の時、8時

マレーシアは、日本が10時の時、9時

 

不思議な事だが、マレーシアより 日本に近く、日付変更線にも近い、より東側にある ベトナムの方が、1時間多く時差がある。

 

フライト時間は2時間だが、

9:05発で到着は 10:05 であり、1時間 時間を得する計算だ。

 

やがて1時間半ほど経ち、雲間から海が見え始め、しばらくするとまた雲間から陸地が見えた

 

その時僕は思わず声を漏らした

 

  うわぁ。。これが…ベトナム。。

 

そこにはベトナムの陸地があり、本当に綺麗な川と緑の美しい大地が広がっていた。

 

マレーシアは、南国特有の植物のプラントと、

茶褐色の川、開発途中の茶色の大地など、茶色いイメージだったのに対し、

ベトナムは、綺麗な水に、広大な川、そして肥沃な大地に恵まれた、素晴らしい景色だった。

マレーシアの後に、空からベトナムを見ると より美しく神秘的に感じた。

僕は、日本の風景を思い出していた。

 あぁ ベトナムは稲作が盛んなんだろうなぁ

と改めて実感し、日本に近い国だと感じた。

 

やがて飛行機はタンソンニャット国際空港に無事着陸した。

人生2回目の入国審査も、拍子抜けするくらい 無事に終わった。

やはり日本人はあまり警戒されないのかな?

と思うくらいすっと通れた。

 

そして空港の出口に出て 驚いた!!

大量の人が出迎え出口にいる

宿からの迎えもあるのか、プラカードを掲げている人もいる。

 

Googleマップで見た、タンソンニャット国際空港は、ホーチミンシティからは結構離れている。

なので、皆、バイクか 車で迎えに来ているのだろうが、とにかく

 「ヨン様が来るんです!!」

と言われても不思議ではない熱量である。

 

そう思いついた 少しお調子者の僕は、手をクロスさせ、ニコニコしながら、通り過ぎてみた…

しかし、誰も僕には見向きもしない。。

僕は1人、自分をアホかと笑ってしまった。

しょうもない事だが、誰にも評価されない 一人旅の特権でもある。

初めて来た国で いきなり盛大にスベっても 誰にも怒られる事は無い 笑

空港から、初めての国のバスだとよくわからないので、

さすがにタクシーに乗ることにしていたが、

 

僕もうっかりその熱量に充てられてしまっていたらしい。。

 

客引きのおじさんが

「乗り合いタクシーだから 安いよ

   ホーチミンシティに行くよ!」

と言ってくれたので、乗り合いなら安かろうと、ついうっかり付いて行ってしまった。

 

白いワゴンに案内された。

中には運転手と、スタッフが2人いた。

「さぁ、乗って!出発しよう」と言われたが、ほかの客もいないし、何故か仲間が2人乗ってるだけのシロタクである。。

 他に客は乗せないのか?

と聞くと「特別に君だけの貸切だ」

と言われる。

 

乗ってしまったら、完全に3対1である

 (危ない!危ない!!)

と思い僕はすぐにその場を離れた。

客引きの男がしつこく追ってきたが、

 ノーサンキュー!!ノー!ノーサンキュー!

と繰り返し、歩いていく途中で 腹式呼吸全開でさらに大きな声で繰り返した。周りの人も見ている。。すると男はやっと諦めてくれた。

 

危ないところだった。旅に慣れてきているとはいえ、ベトナムは初体験だ。もう一度気を引き締めなくてはならない。

うっかり乗っていたら、どこに連れて行かれるか分からない! 下手すると、強盗されていても不思議では無い。

 

ちゃんとした所で相談しようと、空港内に戻り タクシーを手配してくれるブースに行き、予約した宿までの値段を聞いた所

 "何か高いなぁ。。そんな気がする。。"

と思ってしまった。

初めての国に来ると、相場がよく分からない

1日、2日過ごしてみないと、交通や食事は値段がわからない。

僕は本能が「高い」と訴えて来たので、

空港の周りをうろついて、ほかの手段を考える事にした。

 

道を渡った立体駐車場付きの建物の中にカウンターがあり、市内まで「空港のタクシーカウンター」より安く行けそうだった。

カウンターの若い女性に聞いてみた。

しかし、ここはバイクタクシー専門の配車をするカウンターらしい。 彼女に

 バイクタクシー初めてなのだが、

 安全ですか??

と聞くと、良い人で、

 うーん、危ないっちゃ危ないですよ。

 お金があるなら、タクシーで行った方が…

と、困った笑顔で答えてくれた。

 

 うーん。。無理に勧めずに

 正直に答えてくれた。

 

僕はこのベトナム人女性とのやり取りで、ベトナムに非常に好感を持てた。

 

さっきのシロタクの様に、ヤバいやつはどの国でもいるし、気にしたら負けだ。

 

僕は彼女のアドバイス通りにタクシーで行くことにした。

値段を比較すると、バイクタクシーとタクシーの差額はそこまで無かったからだ。

 

空港内の配車してくれるカウンターで、タクシーを手配して貰う事にする。

一応何件かカウンターをまわったが、値段は一緒だった。

先に行き先をつげ、値段を確定しカウンターで先払いの定額のタクシーなので、安心だ。

「何かトラブルがあったとしても

 KLのタクシーに比べたらマシだろう」

と腹を括り、ベトナムに来たばかりで 右も左も分からない僕はタクシーに乗り込んだ。

 

走り出してから、すぐに違和感を感じた。

何故かはすぐ解った。

ベトナムは、アメリカと一緒で右車線の交通ルールなのである。

マレーシアは、左車線で日本と変わらず違和感無かったが、いざ、逆の右車線になると、本当に感覚がおかしくなる。。

 

道は途中の市街地から混み始め、渋滞し始めた。 原チャリだらけになる。。

バイク バイク バイク、バイクの海だ!

その海をかき分けるように、車が進んでいく。

 

皆 道を走ってるのではなく、隙間を目指して進んでいる言った方がいい。


空いてるスペースに 車やバイクで走り込んでいく、スルーパスシステムだ。

 

絶えず車はクラクションを鳴らし

「どけっ、どけどけー!!」

とモーターバイクの波を掻き分けていく

 

その波を見ながら僕は "東京マラソン" が その昔、まだ品川駅の陸橋で折り返しだった時の、

その陸橋の上から見た、人間たちを思い出した。。

縁日のスーパーボールすくいのボールのように人、人、人が国道を満杯で流れていく。。

折り返し地点なので、まさにスーパーボールすくいのように ゆっくり色々な頭(ボール)が流れていく。。

 

文学座研究所の卒業公演の初日に、大阪から観に来てくれた従姉妹と飲み過ぎ、そのまま品川プリンスホテルのツインルームに泊めてもらい、そこから 2日目の公演に向かう僕からは自然と

「ミロ!ひとがごみのやうだっ!」

ムスカのセリフが自然と出た 笑

 

それくらい少し気持ちが悪いくらいの人間の数だった。。

その時と同じ感覚が蘇ったのである。

 

僕の乗るタクシーも、クラクションを鳴らしながら、少しでも「前へ 前へ」と進んでいく。

 

"面白いな" と思ったのは、赤信号でも、バイクはどんどん右折(日本だと左折)していく事である。

確かに渋滞でそんなに車は、スピードを出さない。

なので交差点で、目の前の信号が赤でも、横から青信号で来る 車やバイクに気をつければ、信号無視して右折できる 笑

大都会ゆえ、道はそれなりに広いからだ。

 

普通に走れば、20分かからないのでは無いだろうか?という道のりを、40分以上かかったが、タクシーは 宿の前にぴったり着けてくれた。

 

お礼を言って降りる。

 

さぁ!!いよいよベトナム旅の始まりだ!

 

宿にチェックインする。かなり早く着いた。

エクスペディアで 初めて宿を取っていた。

何事もチャレンジなので、booking.com以外のサイトで予約をしてみた。

サイトのメッセージで、到着が早くなる旨を伝え、早めにチェックイン出来るか確認していた。この宿はアーリーチェックインは、無料でOKしてくれていた。

 

カウンターには愛想のない、中華系らしい中年のベトナム人女性がいた。片目が少し斜視で、雰囲気もちょっと怖かった。。

 

パスポートを出す様に言われたので、例のカラーコピーのパスポート出すと

「これじゃ駄目です。

 パスポートをだして」

と冷たく言われる。

 

少しカチンときたので

 これじゃなぜ駄目なんですか?

 今までこれで大丈夫だと言われましたが?

と言って粘ってみた。

 

 それはどこで?

 

 ええと、、マレーシアですが。。

 

 ここはベトナムです。

 パスポートを。

 

と、パシッと言われて、流石に引き下がった。。

相手の言う事は確かに正論だ。

ここはベトナムなのだ。

ベトナムでは、パスポートもどきでは泊まれないらしい 笑

まぁ、今までの人達が優しかったのだろう。。

 

宿の中には、パスポートをチェックアウトの時まで、返してくれない所があると 噂で聞いていたが、ここは返してくれた。

 

この宿は、階段を上った2階に入り口がある。ガラス戸のドアから入ると、右手奥がカウンターであった。

また、ドアの正面はエレベーターであり、そこに20代半ば位の男性スタッフが椅子に座っていて、挨拶をしてくれていた。

彼が、椅子の隣にあるエレベーターを呼び、部屋まで案内してくれた。

顔は サッカー日本代表岡崎慎司にそっくりだ

(アジアには岡崎慎司さんが

 いっぱいいる、これから僕は

 何人もの岡崎さんに会うことになる 笑)

 

彼に名前を聞くと「ジョン」だと言う。

(ジョンにもこの旅で、

  4、5人に会う事になる)

人の良さそうな笑顔の、中々いい男である。

 

僕がこの宿に決めたわけは、旅の始めは やはり、シングルルームに泊まって、余計なストレスを軽減しようと思っていたことと、値段が

2100円で、風呂トイレ付き、朝食付きで、ランドリーサービスも無料との事で、さらに!!

なんとこの宿にはバスタブがあるのだ!!!

 

僕は旅に出てから、一度もお風呂に浸かったことがなかった。。

 

  全てシャワーである。

 

何か、なにかが。。何故か 疲れがイマイチ取れない。。

と思っていた僕は、この宿を見つけた時に、

 「これだーーー!!!!」

と叫んでいた。

 

日本人の僕が、疲れが 何故か取れない理由が解ったのである!!

 

それはズバリ!!

 " お風呂に浸かっていないからだ!!!" 

と確信したのだ!!!

 

僕は、早速昼間から風呂に浸かることにした!

バスタブにお湯を溜め、ゆっくり浸かる。。

 

あぁ。。何と贅沢な時間だろう。。

 

朝の早かった僕は、そのままうっかり寝てしまった。。

 

久しぶりのお風呂に僕は身も心も蕩けていた…

 

 ベトナム最高。。

 

続く

 

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↑ 空からの景色 

 

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↑ マレーシアより日本に近いベトナム

 だけど時差は多い?


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↑ 嬉しいナシレマの機内食! 最高!!


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ヨン様を待つ人達 笑

 

 

次話

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