猫好き俳優 東正実の またたび☆

俳優 東正実の東南アジア旅

豪華な航海

 

第20話

豪華な航海

 

ふと目が覚めると

 

宮下さんは隣から いなくなっていた。。

 

目の前の砂浜をみると

砂浜にかがみ込んで

何か書いているようだ。

 

それをチェアに横たわりながら眺めていた。

 

 うーん。平和だ。。

 

と思わず僕は呟いた。

 

わさわさ いそいそ  楽しまなきゃ

これも あれもこれも!! と

バタバタ観光するのではなく。

 

ゆったりと海で過ごす。

 

リゾート とはこういうものか。

と僕はゆったりする贅沢に浸っていた。

 

やがて彼女がもどってきた。

 

 寝ちゃいました。すいません。

 

というと

 

 凄い気持ちよさそうに寝てましたよ 笑

 

と宮下さんも平和な顔をしていた。

 

隣に座った彼女とまたまったりと話をした。

 

 優雅な時間だよね~。

 ご飯もほんと美味しかったし!

 

 だよね リゾートしてるね うちら

 セレブ  デビューしちゃってるね〜。

 

などと たわいもない話をして時を過ごした。

 

しばらくして  「出ますか?」 と話して帰りの準備をしていると

例のおじさんが寄ってきた。

 もう帰るのかい? そうか。楽しかったかい?

 

 おじさんのおかげで物凄い

 いい時間を過ごせたよ!

 ありがとう!! また来るね!!

 

 うん ぜひそうしてくれ!

 ここはとってもいいところさ。

 ここで働いてる連中は

 みんな地元の人間なんだ。

 みんなここが好きで戻ってくるのさ。

 ところで。。

 最後にパラグライダーはどうだ?!  笑

 

 ともう ”笑いながら” 聞いてきた。

 

 次来た時はきっとね! 必ず!! 

と僕も笑いながら 彼と固い握手をして別れた。

 

やっぱり 彼も人間が好きなのだと思った。

営業は仕事だが オフシーズンで 人がいないこのビーチで

 ”ここに来る人も”  ”ここも” 大好きで

自分の好きな "ここ" を気に入って欲しいし

暇を持て余しているより 

たとえお金にならなくても 世話を焼くのが楽しいのだろう。

 

僕は 次に来るときは 「俳優で売れて」

そこら辺にいる人を ”とっ捕まえて” この素晴らしいビーチの空を

2、30人 彼の為に飛ばしてあげよう! と本気で思いながらビーチを後にした。

 

 

道に戻り 喉が渇いて

クーラーが恋しくなった僕らは

昼に見つけておいたマクドナルドで涼むことにした。

 

色々と日本では見たことのない商品もある。

 

ソフトクリームがなぜか安い 60円くらいか。

 

僕は160円くらいのアイスカフェラテを頼んで

二人でまとめて支払いを済ませる。

 

宮下さんが頼んだのは ”マックフルーリー的な”

シャーベットだったがレシートには目を疑う数字が!!

 

「0.7RM」

約20円くらい。。

 

いくら何でも安すぎる。。

 

マレーシアに来て初めて

リンギットを切った商品を目にした 笑

 

日本では何百円かで売られているが 、、

本当は 原価が在って無いような物なのか

原価に忠実! すごいぞマレーシア!!

 

しばらく涼んでからバスで

フェリー乗り場のターミナルに戻る事にした。

 

実は僕が Sunset (沈む夕日)が大好きな為

有名なペナンヒルで日没を眺めようと計画していたのだ。

 

ペナンヒルとは ケーブルカー で頂上に行くと

ペナン島が一望できる天然のルーフトップである。

 

そこで夕陽を見ながらビールを嗜むというのが

僕のペナンで一番やりたい事だった。

 

…思ったより時間が無い。。

 

フェリーターミナルに戻るのに 結構時間がかかる。

行きでは、40分以上かかったからだ。

 

さらにフェリー乗り場からバスで

ペナンヒルの下まで向かい。

そこから "ケーブルカー" で

頂上まで上がらないと行けない。

 

間に合うか?!

 

と思いながらバスに乗っていたが

夕方のせいか 焦る気持ちとは裏腹に

思ったより 人が乗ってきては 降り行く

すぐ バス停で止まって すすまない。。

 

各駅停車だ。

 

行きはほとんど 乗り降りがなく 止まらず運行していた。

 

運行スケジュールが

有って 無いようなマレーシア。

 

ドンドン遅れていく。。

 

日は ゆっくりと傾いて行く 笑

 

 うーん。このままでは楽しめない!?

 

僕は この「間に合え!」という気持ちを

"手放す" 事にした

 

せっかくの楽しさが半減してしまうので、

「間に合わなかったら それはそれでいいや!」

と さっさと 諦めたのである。

 

 

余談だが

当時僕は 日本で

「インプロ」(台本の無い即興劇)

と呼ばれるお芝居を4年ほどしており。

お客様を入れた公演や

旅公演なども何回も経験していた。

 

インプロ(即興劇)の基礎を

俳優でもある師匠に

叩き込んで貰った時期があり。

 

その師匠がよく

「自分のアイデア固執し過ぎずに

                       "手放そう"     」

と粘り強く教えてくれていた。

 

ぼくはその境地に行く事にした。

すると気持ちはスルッと楽になり

前向きになった。

 

インプロで培った感覚は

旅をする時にはとても重宝する。

 

やがてフェリー乗り場に着いたが

空はすでに夕方になろうとしていた。

 

近くの人に 宮下さんが聞いてくれたが

今からペナンヒルに行っても

日は暮れて間に合わないとの事だった

 

とにかく海に沈む夕日が見たい僕は

コーンウォール要塞のある北側の海岸に出れば

海の左手に 西に沈む夕日が見れるはずだと

 

Googleマップ先生を見て そう判断した。

 

 

二人でそちらに行こうとした時。。

北側の海に停泊する 豪華客船 が目に入った。

 

・・・まてよ。。

 

と僕は立ち止った

 

 

    ”そして閃いたのである!!”

 

 

 宮下さんは飛行機で来たんですよね?!

 

 はい。

 

 じゃあ!

 フェリーはまだ乗ってないですよね!!

 

 ええ。。

 

 じゃあ、たった50セントの

 豪華な航海をしませんか?

 

 えっ?!

 

 サンセットクルーズです!

 

と言いながら僕はフェリー乗り場を見た。

 

宮下さんもフェリー乗り場を見て

何かを理解したのか 笑顔でぼくにうなずいて見せた。

 

続く

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↑ よく寝た僕

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↑ビーチ

 

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↑ パラグライダーおじさんと私


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↑ バトゥ マック フェリンギ 笑


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↑ バトゥ フェリンギのバス停

 

 

次話

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